日本各地のいわゆる“地域”で働く、ということが注目を集めています。ETIC.でも、「地域イノベーター留学」や「右腕派遣プログラム」など、地域との関わり方を考えるプログラムを実施していますが、地域での働き方はさまざま。
昨年、コーディネーターという役割をご紹介しましたが(参考記事)、今回は、地域での多様な働き方をご紹介したいと思います。
移住する前に、ステイしてみないとわからない
地域への移住を考える中で、自らが「欲しい!」と思ったサービスを実際に作り、起業した川村達也さん。神奈川県鎌倉市で、2014年2 月にマイクロステイ株式会社を立ち上げました。東京生まれ東京育ちで、ご結婚を機に湘南地域への移住を考え始めた川村さん。
移住検討先が湘南だったこともあり、当時勤めていた都内への通勤時間や環境を確かめるべく、湘南のビジネスホテルに2泊したそう。 そこで気づいたことは、移住するときに確かめるべきことは、通勤に関わることだけではないということ。
まわりにスーパーはあるのか、病院や学校のこと、ご近所のこと、などホテル暮らしではわからないことばかり。そこで、鎌倉山の一軒家を1週間単位で移住希望者に貸し出し、居住体験をしてもらうという企画を立ち上げることにしたのです。これが、現在の「マイクロステイ」事業化のきっかけでした。
次は決まっていなかったけど、会社を退職
そんな川村さんが東京での仕事を退職したのは4年前。もともと、「このまま会社に勤めていたら、きっとずっとこのままだ」と感じていたそう。そんな思いは、毎日の往復2時間の通勤の電車内でどんどん深められていきました。
東京にいると、仕事をする場と、生活する場が近いので、意図的に時間をつくらない限りはなかなか自分を振り返る時間がありません。でも通勤時間のある種の「不便さ」が、逆にメリットになったのです。
ある日の通勤時間に突然降ってきたように決心がつき、特にネクストステップがあったわけでもないのですが、「やめれば何か動くんじゃないか」と会社を退職。それからの1年は、ベンチャーキャピタルのファンドに携わりながら鎌倉で暮らし、その後カマコンバレー(※鎌倉で、ITの知識やツールを武器に、鎌倉を盛り上げたい人を支える運命共同体)に関わるようになります。そこで今のパートナーであるR不動産と出会い、事業をはじめることに。
移住したい人がいるなら、後押ししたい
「ずっと東京に縛られていた自分が、鎌倉でいい感じで回りだして。自分だからできたことではなくて、だれでも思いがあればできるんじゃないか、と思ったんですよね。移住したいという人がいるなら、後押ししたいし、促進したいと思うようになった。移住促進が地域のためになるというのはすぐ腹落ちしましたし、せっかく鎌倉に住んでいるんだし、じゃあやるか!と。
マイクロステイは不動産業ではないものの、家を扱うので、不動産経験がゼロだったのが少しハードルにはなりました。パートナーがいないとできないなと思っていたところにR不動産と出会って、そこで尊敬する方とも出会えて、そのひとがやろう!と言ってくれたことも後押しになりましたね。」
チャンスをつかめる余白を持つ
「自分の生き方として、チャンスが降りてきた時につかめる余白を持っていたい。チャンスは一瞬だし、今やっていることを整理しないとつかめない、というのではもったいない。やりたい!と思って目の前に出てきたことは、すぐに引き受けられる働き方をしたいと思っています。
今は、鎌倉以外でも展開することを考えています。鎌倉は都会と田舎の要素が半々で、ブランド力もあるし、それが追い風になったことは事実。でも、ここでしかできないことではないのではと思っていて、よその地域でもチャレンジしてみたいという気持ちが大きいです。
『それは鎌倉だからできるんだよ、うちみたいな田舎には誰も来てくれないよ』と言っている地域の人の気持ちもわからなくもない。でも本当にそうなのかを、試してみたいんです。この取り組みが、鎌倉に限らず地域での移住を考えている人を後押しできる事業になればいいなと思っています。」
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