BRIDGEは、地域での自分の事業やまちづくりに取り組んでいるローカルリーダーのためのプログラムで、フィールドワークやメンタリングを通して、先進的な地域やメンターから、事業の成長や突破をしていくETIC.のプログラムです。
10月31日のスタートに向けて現在参加者募集中のBRIDGEは、いったいどんな内容のプログラムなのでしょうか? まず一連の流れを見てみましょう。
最初は事前の研修からスタート。自分のまち・事業の課題点をまとめ、事業を加速させるための学びのポイントの仮説を立てます。そしてフィールドワーク。自分と同じ課題に取り組んでいる地域に赴き、その地の仕掛け人をメンターとして現場を見て、触れて、語り合い、事業をどう変化させていくのか、その肝を学んでいきます。
次は自らの地域で実践するアクション期間。フィールドワークで学んだことを、自分の事業に活かしてアクションを起こします。新しく出てきた課題はメンターとコミュニケーションして検証しながら、さらにアクションを重ねます。
最後は報告会。自らのアクションの振り返りをし、更に事業を見直し、明日からの行動を変える宣言をして終了。これがBRIDGEの一連の流れです。
今年のBRIDGEのプログラムで、受け入れ地域とメンターになっていただくのは、福島県南相馬市の半谷栄寿さん(一般社団法人あすびと福島)、島根県雲南町の矢田明子さん(CommunityNurseCompany株式会社)、埼玉県秩父の一般社団法人井上正幸さん(秩父地域おもてなし観光公社)、三重県尾鷲市の伊東将志さん(株式会社熊野古道おわせ)、岐阜県岐阜市の南田修司さん(NPO法人G-net)。
BRIDGEの肝は、地域の事業をやってきた先輩との密で濃い繋がりです。先輩起業家との関係を通して、ローカルリーダーである参加者の活動や事業、そしてマインドがどう変化するのか。その繋がりの意味について、二組のメンター-参加者のお話をお聞きしました。
まずお話を伺ったのは、神社に泊まったり、文化的な施設に宿泊できる”文泊”という事業をやっている浅枝さん。メンターは、千葉県の鋸南市など各地で宿泊体験事業を手がけるR.PROJECT、丹埜さん。
浅枝さん:神社などで、長く培われてきた伝統や文化を、外国の方にもわかりやすく体験してもらえる事業をやっています。メンターの丹埜さんの考え方とか、確固たる自信がどういうロジックに裏付けられているのかとか、そういうものはとても影響を受けました。一番印象に残っているのは、「地域に魅力なんてない」ということからはじめたところで(笑)。
———それはフィールドワークのときに言ってらっしゃったんですか?
浅枝さん:はい。フィールドワークの途中で、ある地域の施設を見ながら、「ここには人は来ないよね」と。
———丹埜さんは視線がクールですよね。ご自身のフィールドである「千葉が好き!、千葉の魅力を伝えたい! 」という打ち出しではなく、そこにある資産や価値を冷静に観察しながら仕掛けている。
浅枝さん:はい。でも一方で丹埜さんは、ちょっとした机なども、地元の大工さんにわざわざ作ってらっていたりするんですよ。手間をかけて地元の人といっしょにやっていたりする。昔は電球が一個切れても、街の電気屋さんにわざわざ買いに行ったりしてたらしいです。Amazonでポチっと買えるのに(笑)。そういうところも学びの一つでした。
あとは数字の感覚ですね。丹埜さんは前職での不動産投資という観点をお持ちだから、計算が早いし、採算が取れるかどうかの判断がはやい。私はまだできていないけど、そういう計算ができるようにならなくちゃと。
———BRIDGEを通して活動や事業はどう変化しましたか?
浅枝さん:面白いアイディアやアドバイスをもらえたことは大きいです。あとは採用や地域の人との付き合い方について見てきたことは、そのまますぐマネをしました(笑)。
事業計画も変わりました。いかに手間をかけないでやるか、よりシンプルにするという方向に変わったんですが、それは丹埜さんのアドバイスによるものでしたね。
———今後、丹埜さんのR.PROJECTとはお互いの事業を通しての関わりもありそうですね。
浅枝さん:R.PROJECTに来てくれているお客さんに、文泊を体験してもらったり、R.PROJECTさんに泊まってもらったり、お互いにwinwinの関係で関われたらなと思います。事業をスケールして地方でやるときに、ご一緒できたらいいなと思っています。
プログラム終了後も関係が続く、地域で事業をする先輩としての繋がりが続いていくというのもBRIDGEが提供している価値かもしれません。そして浅枝さんのメンターとなった丹埜さんのお話です。
———丹埜さんがメンターとして意識して伝えていたことはなんですか?
丹埜さん:BRIDGEの参加者の皆さんは、地域で事業をやるというイメージはある人たちだと思うのですが、それをもっとリアルに体感してほしいなと考えていました。ふだんどういうふうに社員とコミュニケーションとったり、社外の地域の人たちと取り組んでいるのか。それを知ってもらうために、いろんなタイプの打合せを入れたり、できるだけ地域で事業をやる日常を見てもらうようにしていましたね。
———参加者の浅枝さんは丹埜さんからどう見えていましたか?
丹埜さん:浅枝さんはすごく好奇心がありました。うちのメンバーや関係者とも積極的にコミュニケーションしていたし、話を聞くのも上手。そしていつも自分のやろうとしてることを頭に置きながら現場をみていたと思います。ポジティブで吸収力もあるあのスタンスはよかったですね。
———終了後も関係は続いている?
丹埜さん:Facebookで友だちになっているんで、フィードを見て「あーやってるな」というのを確認していたりしますね。彼女の事業とはぜひご一緒したいというか、ツアーでお客さんをシェアするなんてこともできるかもしれないなと思っています。
———これからBRIDGEに参加しようと考えている人にメッセージをお願いします。
丹埜さん:参加するときに問題意識があると必ず吸収できるものがあります。自分たちでやりたいことのヒントではなく、やっていることのヒント、もっと知りたいとか繋がりたいとか、そういう姿勢で参加したら、得るものも大きいと思いますね。
続いてはもう一組。BRIDGEの参加者として地域おこし協力隊として北海道の津別町の道の駅あいおいで活性化に取り組んでいる都丸さんと、メンターである四万十ドラマの畦地さんにお話を伺いました。
都丸さん:私は地域おこし協力隊として地域に入ったのですが、BRIDGEのことは役場の人から紹介されて参加しました。道の駅の事業をやっているので、メンターの四万十ドラマさん、畦地さんのことを少し調べてみて、「これは行かなくちゃ」と思って。
———畦地さんをはじめ、メンターの方たちからどんなことを学びましたか?
都丸さん:メンターの皆さんはどの方も地域のことをよく知っていらして。そんな皆さんが仰っていたのは、"焦らずやる"ということ、ちょっとずつ足場を固めていくということでした。畦地さんは、「三歩進んで二歩下がるだよ。おれもそういうことあったよ」って言ってくれて。経験してきた人の言葉はとっても重くて、安心できるというか。
———先輩も同じ道を歩んできたんだなというのは、たしかに安心にも自信にもなりますよね。もちろん具体のアドバイスとしても。畦地さんの地域である四万十へのフィールドワークではどんな学びがありましたか?
都丸さん:畦地さんと地域の人たちとのやりとりを聴かせてもらって、わたしが今取り組んでいることはやっぱり変えなくちゃいけない、ということに気づきました。とはいえ何から手を付けたらいいのかもわからなくて。もうこれは畦地社長にそのまま言おう、と思って言ったんです。そうしたら畦地社長が、筋道を立ててあれとこれとこれが必要だ、ということを言ってくれた。
それがほんとうに私の中で大きくて、「わーっ!」って変わって。地域のみんなに畦地社長の話、四万十の話しを聞いてもらいたい、こんなチャンスって無いし、来てもらわないとダメだと。それで来てもらったんです。あれ以前と以後で、畦地社長にも「顔が変わったね」と言われたんですが、ほんとうにそうだったんだろうなあと。
———わたしも実は、別人かと思うくらい変わったなあと感じていました(笑)
都丸さん:もやーっとしていたものがほんとうにぱっと晴れました。前のわたしはグラグラだったので、あれじゃあ人は付いてこないよなあと振り返って思います。
———具体的にはどう変化したんですか?
都丸さん:私自身が、話を聞くスタンスに変わったんです。スタッフの人たちの声をちゃんと聞いてみたら、彼らが想いもあって、いろいろなことに気づいていたんだなということがわかりました。役場の人たちともより深く話せるようになった。
———今後のことについても教えてください。
都丸さん:私も自分の事業のことをがんばっていかなくちゃ、畦地社長なんかに相手にもしてもらえないと思うので、がんばって、新しい人を受け入れられるようになっていくことが、恩返しになるのかなと、そんなふうに思っています。
———そういえば、畦地社長から「都丸さんに、”ほんとうに困ったとき”のちょっと前に連絡するように、と伝えてくれ」と言われていました。もうダメ、助けられない、というときに連絡されても助けられないから、少し前からシェアしてくれと(笑)。
都丸さん:ありがとうございます!
———BRIDGEに参加しようかなと考えている人が居たら、メッセージはなにかありますか?
都丸さん:とにかく体験してみてください!
BRIDGEで顔が変わった、という都丸さんのお話でした。続いて都丸さんが”変わる”きっかけになった、畦地さんのお話です。
畦地さん:ぼくは、地域の活動というのは、商品開発にしても街づくりにしても、ノウハウを囲んだりするのではなく、やる気のある地域同士が手を組んで、互いの話を聞いたり提携しながらやるべきだと思っていて。でもそれは想いのある人が集まらないとうまくいかない。ETIC.のBRIDGEはそういう人が集まる場所になっている。だからこそ協力できる。
———都丸さんとはじめてあったのはフィールドワークの四万十ですか?
畦地さん:そう。丸ちゃん(*畦地さんは都丸さんのことを”丸ちゃん”と呼んでいます)は、最初会った時は「大丈夫かな〜」と思ったね(笑)。やる気はあるけど、何をやっていいのかわからない感じだった。でもはじめての地域に来たら、受け入れ側がちゃんと決めていないと、そういうことになる。やる側も。明確な考え方がお互いにないとうまくいかない。
地域起こし協力隊、国の助成金で人件費いらないよね、くらいしか考えていないとぶれてしまう。そこを突破するためには、丸ちゃんがなにをしたいのかちゃんと聞かないといけない。だからちゃんと話しました。
———事後のアンケートで都丸さんが「お前は本気でやるのか? 覚悟があるのか? と畦地社長に問われて、それで腹を括った」と書いていました。
畦地さん:僕のほうは何かを教えるということよりも、ただ問うだけなんです。本気なのか。腹を括る覚悟はあるのか。そういうことを参加者には問い続ける。自分も若い時は中途半端なこともしてきたし、そういう自分は恥ずかしいなという思いもあるからわかる。
丸ちゃんが本気だなと感じた時があって。目が変わって、見る視点も変わった瞬間があった。地域の仕事はもちろんそれですぐにうまくいくわけではないし、先がある。1年で結果は出ないし、3年続けてやったときにはじめて丸ちゃんの次の生き方が見えてくると思います
———BRIDGE終了後も繋がりつづけて、相談し合ったり、事業で協働したり、ということもありますね。
畦地さん:うん。丸ちゃん次第だけど、何かできるといいですね。とにかく本気な人と一緒にやりたい、それだけなんです。
以上、二組のメンターと参加者のお話を伺いました。事業は、特に地域の事業では、人との繋がりはもっとも大切な要素です。BRIDGEが提供するのは、事業への新たな視点や方法論という知恵と、そして別の地域の同じ志を持つ人たち、そして先輩たちとの繋がりです。
自らの地域での事業をもう一段、二段と飛躍させて行きたい人にとって、こうした横の繋がりはきっと大きな価値になるはずです。プログラム以降も3年、10年と続く豊かな繋がりになるかもしれません。興味を持たれた方は以下のリンクから詳細をご覧ください!
ローカルリーダープログラムBRIDGE、エントリー受付中です(10/31日締切)!
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