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DRIVE転職者ストーリーVol.1 途上国にかける熱き想いを形に〜ビジネスセクターから挑む〜 (株式会社People Worldwide・大島里絵さん)

2015.08.12 

DRIVEを通じて、未来をつくる仕事と出会った人たちを追うインタビューシリーズ、「DRIVE転職者ストーリー」スタート! 記念すべき第1回目は、株式会社People Worldwideの大島里絵さん。

国連職員を目指していたという彼女は、留学経験、そして海外でのインターンで得た経験をもとに実務の世界に飛び込んだ。コンサルティング・ファームを経て人材サービス会社へ。そんな彼女がDRIVEを通じて見出した「自分の実力が発揮できる場」は、やはり人材を扱うベンチャー企業だった。 大島里絵さん

株式会社People Worldwide 大島里絵さん

株式会社People Worldwide

主にアジア諸国の人材教育を行い、優秀な外国人材を国内企業に紹介、採用支援することで日本の人材不足に立ち向かう、創業1年のベンチャー企業。現在在籍しているスタッフは全員DRIVE経由での転職だったそう。

きっかけはアメリカの同時多発テロ。そこから社会問題を考えるようになった

― そもそも、どのようなご経歴で今に至るのでしょうか。

 

私は高校からアメリカに留学していたのですが、そこから日本に帰国、東京外語大学を卒業して一橋大学国際公共政策大学院まで進みました。研究テーマが途上国開発だったのですが、在学中はフィリピンをはじめとするアジア諸国でのインターンをいろいろ経験しました。そこで得たのは、国際機関の現場は甘くないという実感でした。

元々国連職員になりたいと思って勉強していたのですが、大学院の教授だった平和構築の権威でもある伊勢崎賢治先生が、ことあるごとに「民間に行きなさい」とおっしゃっていたこともあり、まずは社会人としてちゃんと経験を積もう、と考えて企業への就職という選択をしました。

入社したトーマツ イノベーション(以下トーマツ)には3年半在籍し、その間、営業やコーチング、コンサルティングなどの業務に従事していました。その後インテリジェンスに転職してシンガポール支社の立ち上げに携わるなど、海外駐在経験を1年、それから現在のPeople Worldwideに転職しました。 大島さん1 ― 途上国開発に興味を持ったのはなぜですか?

 

2001年にアメリカで同時多発テロがありましたが、そのとき私もアメリカに留学していたんです。すごくショックを受けて、それをきっかけに社会問題について考えるようになりました。アメリカの学校でも、そうした議論は盛んにありました。

 

― それがアジアでのインターンに繋がったんですね。どんな印象を受けましたか?

 

アジアは10か国ほど行きましたし、アフリカのケニアにも2週間滞在したことがありますが、どこに行っても共通して思ったのは「人は温かい」ということでした。これは日本も含めてですが、先進国ではむしろ実感しづらい部分かもしれません。途上国だからこそ感じられる良いものが、先進国では失われつつあるのではないかと感じました。

加えて、インターンでフィリピンにいたとき、上司のフィリピン人はとても優秀な方でした。その方と一緒に仕事をして、途上国にも優秀な人はいっぱいいることに気づかされました。ただ優秀な人であっても、低賃金での労働力とみなされてしまうのが途上国の現実です。そうした優秀な人たちが実力を発揮でき、それが正当に評価される場所を提供したいと思うようになりました。

一流企業からベンチャーへ。しかしそこに迷いはなかった

― なぜNGOではなくベンチャーを選んだのでしょうか。

 

インターンでは、NGOをはじめ様々なセクターで働く機会を得ましたが、公益事業者にいたときには官僚的と感じる側面がありましたし、日本での国際協力の代表格とも言える団体ですら、参加する個人のやる気に温度差を感じることがありました。

企業に就職してシンガポールにいたときに、やはり「途上国の若者に働く機会と教育の機会を直接提供したい」と強く思うようになり、会社を辞めようと思いました。その次のステップとして、今まで目指していた国連職員になるか、NGOやNPOに行くか……と悩んだのですが、ビジネスセクターで勝負したい、と最終的に落ち着きました。 虎ノ門のオフィスにて

虎ノ門のオフィスにて

それというのも、トーマツ時代に多くのビジネス、そして経営者にお会いして、ビジネスの世界で生まれるイノベーションやエネルギー、スピード感、求められる仕事の質や成果の厳しさに魅せられたからです。

だから私にはビジネスセクターが性に合っている、と思ったのです。そして社会の課題を解決する、ソーシャルビジネスを行う企業への転職を決めました。 ベンチャーを選んだのも、大企業に比べ、そうしたエネルギーが大きく、また魅力的な企業が多くあったからです。自分の実力を試せる場としては、大企業よりもベンチャーの方が数倍魅力的でした。

 

― それでもベンチャーに身を投じるのは大変な決断だったのでは?

 

そうかもしれません。ただ、「これをやると今の生活が危うくなるかもしれない」みたいな心配って、結局はプライドがあるから生まれるものだと思います。そんな小さなプライドのために生きるのは逆だと思うんです。本当にやりたいことが目の前にあったとき、優先すべきはそっちであって、些細なプライドは捨てた方がいいんじゃないかと思っています。

 

― 私も同感です。プライドが捨てられないのは、自分のキャリアに対して真剣に向き合えていないからかな、と思っています。年齢的な面でのタイムリミットを感じ始めるようになる30代になれば自然と向き合えるようになる、という気もします。

 

よくわかります(笑)。

 

― ただ、いざ実現しようと決断するためには相当のエネルギーも必要だし、タイミングも重要だと思います。ベンチャーへの転職を考えたとき、迷いはありませんでしたか?

 

実は迷いはありませんでした。私は迷う前に行動するタイプなんです。基本的にポジティブな性格なので、何かあっても「これが運命なんだ」と信じ込めば迷うこともなくなります。なので、今回の転職に関しても、ストンと肚に落ちました。 大島さん2 ― かっこいいですね! 同じような立場で迷っている人は多くいると思いますが、そうした方々に伝えたいことはありますか?

 

偉そうなことは言えませんが、結局は「自分がやりたいように生きる」ことでしかないと思います。私みたいな人間は、こういう生き方じゃないと満足できないのですが、「一歩が踏み出せない」という人、「やりたいことが見つからない」という人は、無理をすることはないと思います。

「迷ってる自分が実は好き」っていう人だって、いっぱいいると思うんですよね。それはそれでいいと思います。 誰もが熱い思いを持っていなくちゃいけないとか、志が高くなければいけない、なんてことはないと思います。ただ、毎日が楽しくないと辛いと思います。やりたいことがあって、それに真剣に打ち込める場があれば、忙しくても大変でも、毎日楽しく充実するでしょう。 毎日をどう生きるか、迷っている人はそこを考えて答えを探せばいいのではないでしょうか。

 

― 転職を決意された裏側には、年齢的な要素もあったのでしょうか。

 

私も20代は修行と思っていましたが、歳を重ねるにつれ、いつまで修行を続けるんだろう、いつ本番が来るんだろう、と考えるようになっていました。いつ本番が来るかわからないのは嫌だな、と。 確かに世間的に見れば、外資系コンサルティング・ファーム出身なんてカッコイイ肩書だし、インテリジェンスでシンガポール支社立ち上げ! すごい! なんて評価はあるかもしれませんが、それって何か違うな、と思ったんです。

見た目と現実とのギャップがあるんですよね。 だからそういった今までのキャリアは気にせず、自分が力を出せる道があればそれでいい、と考えました。それこそ40歳になったら挑戦しても後がないかもしれないけれど、30代で失敗してもリカバリが利くと思ったんです。たぶん、40歳になっても全然イケるとは思うでしょうが(笑)。

紙に書き出した不安をひとつずつ消すことで自信に変わる

― 転職を決めたとき、周囲の反応はどうでしたか?

 

友人は驚きつつも賛成してくれましたね。私が一番気にしたのは親でした。これまである程度自由にさせてもらっていたんですよね。留学して大学院にも行かせてもらって、海外で働きもして、それまでずっと花道を歩かせてくれていたのに、急に聞いたこともないベンチャーに行きます、年収が下がります、なんて言って親が悲しんだりしなければいいな、と思っていました。 それでどうしたかというと、シンガポールから母にLINEで「年収がこのくらいだったら、どういう生活すればいいかな?」っていきなり質問した覚えがあります。

 

―「転職したい」とかではなく、いきなり具体的な話だったんですね。

 

親も面食らったと思いますが、「月何万あれば生きていけるかな?」みたいな話をしたら、好きなようにやりなさいって言ってくれたんです。生きていけるわよ、どこでも、って。 その時点でもう迷いや不安はなくなっていました。 インタビュー風景 ― お母様も応援してくれたんですね。仮に反対されたらどうしていたと思いますか?

 

YESがもらえるまで説得していたと思います。やっぱり自分がやりたいことをやるならば、そのくらいの説得はするでしょうね。親に関しては、過去の信頼と実績から、わかってくれるだろうとは思っていました。

 

― それで実際に転職されたと。具体的な話で恐縮ですが年収はどのくらい下がりましたか?

 

ピークのときと比較すると30〜40%くらいダウンしました。実際、私も金銭的な部分というのはすごく不安があったんです。なので、不安は全部紙に書き出すようにしました。これはコンサル時代に培った技ですけど、絵でも文字でもとにかく不安を全部吐き出して、ひとつずつ消していくんです。そうすると、思っていたことが実はたいしたことじゃなかったことに気づくようになります。

お金の面も、たとえばこれくらい下がるけど本当に生きていけないのか考えてみると、実際にはそんなことはありません。家賃から何から計算してみて、これくらい貯金ができれば大丈夫かな、と思えるようになりました。

「私を募集している!」 そう思ったんです

― なぜPeople Worldwideを選んだのでしょうか。

 

転職しようと決めたとき、尊敬する先輩の一人にDRIVEの存在を教えてもらい、早速検索をしたところ目に飛び込んできたのがPeople Worldwideでした。アジアの優秀な若者、採用、教育、社長の右腕、スタートアップ、IT、新規事業立ち上げ、シンガポールとの連携、自分で考え行動し周りを巻き込める人材を募集……すべてのキーワードが刺さり、「これだ!私のことを募集している!」と思いました。

 

―「私を募集している!」 素晴らしい言葉ですね(笑)。

 

本当にそう思ったんです。だから「運命」だと思えたんでしょうね。 私がPeople Worldwideのビジネスに共感したのは、そのビジネスの目指すところが「途上国の若者の就職を応援する」ということと同時に、「日本の労働人口減少の解決」と「日本の内なるグローバル化」のTriple Winだったからです。

昔上司に、「将来を予測するのは難しいけど、一つだけ確実にわかることがある。それは人口だ。人口に注目してビジネスを考えろ」と言われたことがありました。日本の労働人口減少は目に見ている。一方でシンガポールのような、たった50年でアジアのトップまで発展していった国は、外国人の力をうまく活用している。その差は明らかです。 大島さん3 シンガポールで働いているとき、「日本の会社もっと頑張れよ!!」とものすごく感じていました。日本人の中には、「言ってもまだ日本がアジアではトップでしょう?」「なんでわざわざあんな発展途上の国に行くの?」と言う人もいますが、そういう人にはぜひ現地に行って自分の目でいろいろ見てもらいたい。

発展途上国という呼び方はもう相応しくないと思えるほど、パワーを感じます。 もちろん、私は日本が大好きですし、日本人としての誇りを持っています。それでもシンガポールの職場で、平均3か国語を操れるアジア人と一緒に仕事していると、「英語がわからないから海外はちょっと……」「外国人と働くのはちょっと……」と言っている日本企業のことが本当に心配になるんです。

 

― ダイバーシティ(多様性)が重視されるようになってきてはいますが、確かに日本企業の歩みは海外と比べると遅いですね。外国語教育も実践的ではなく、まだまだ不十分に思えます。

 

確かに、海外に出たくてもいきなり進出はできないという企業もたくさんあると思います。だったら逆に、外国の優秀な人材を日本に連れてくればいい。オリンピックもあるし、最近は観光で訪日外国人の数も増えているし、日本をグローバル化するには今の波に先手で乗るしかない! って思ったんです。

 

― 先手を打つ、その機動力はベンチャーならではのものですね。

 

まぁ実際に働いてみると先手すぎて理解してもらえず、壁にぶつかることも多々ありますが……。 私も、People Worldwideがただの人材紹介ビジネスだったら、そこまで魅力は感じていなかったと思います。でも、その根底には想いと志があるので入社を決めました。会長のDavid Leong、日本代表の松崎さん、それから一緒に働いている仲間が全員この想いを持っています。ちなみに入社前、「一緒に働く仲間は同じ志を持っているか?」とかなりしつこく社長に聞きました(笑)。 一緒に働く仲間はとても大切だと思います。 メンバーとは密なコミュニケーションを

メンバーとは密なコミュニケーションを

DRIVEには志があふれている。社会を良くする仲間がきっと見つかる

― 私もフリーランスで活動して思いますが、人の縁というのは本当に大事ですよね。

 

本当にその通りだと思います。私もトーマツの先輩がいなければ、いまの仕事には出逢えていなかったかもしれません。DRIVEという媒体は、とても素晴らしい志がいっぱいあります。私はコアファンを自認しています(笑)。

 

― コアファンの視点では、どういう人がDRIVEとの相性がいいと思いますか?

 

やっぱり熱い思いを持っている人ですね。目指すレベルは世界でも国内でも、あるいは目の前の人というのでもいいと思うんです。とにかく絶対やりたい! という熱い思いがある人にとっては、とても相性がいいと思います。

 

― やはり決め手は「熱い思い」ですね。

 

成し遂げよう、という気持ちは働くうえではとても大切です。ベンチャーやNGOで働くことに不安を持って行動できない人もいると思います。でも、そんなの大企業に入ったって公務員として働くのだって、「働く」という一点に関しては同じこと。どんな環境にいようと、一流の人は言い訳をせず、常に想いを実現しようと試行錯誤しています。私はまだまだその足下にも及びませんが、そうなりたいとは思っています。

社会を良くしたいと本気で思い、行動する仲間ともっとたくさん出会って、いろんなことを一緒にやれたら楽しいですね。

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中林 智

1981年生まれ。神奈川県鎌倉市出身。自由学園卒業後、金融コンサルタントとしてリスク分析の仕事に従事。中堅出版社に転職、編集者を経てフリーランスに転向。ライター兼編集者として活動。「人に楽しんでもらえる辞書づくり」をライフワークとする。趣味は楽器演奏。