今週も最新のtechニュースをピックアップ。
コンピューティングやクラウドのテクノロジーが、日々巨大なインパクトを実現して、世界の有り様を変えていることを感じることができるニュースを5本、お届けします。
ボランティアコンピューティングで、精密な気候シミュレーション
膨大な計算処理を必要とする巨大データを細かな塊に分解し、個人が所有しているパソコンの空き時間を利用して計算させる———ボランティアによる分散コンピューティングは、これまでにも地球外知的生命体の探査や、タンパク質の構造解析で活用されてきました。オレゴン州立大学のWeather@Homeでは、2030年から2049年のアメリカ合衆国西部の気候をスーパーコンピュータで行うよりも精密にシミュレーションすることができたとのこと。
「エイリアンの作った超巨大構造」を調査するプロジェクトがクラウドファンディングに成功
https://www.kickstarter.com/projects/608159144/the-most-mysterious-star-in-the-galaxy/updates
KIC 8462852という変光星は、天文学者たちを悩ませてきました。変光の原因には、惑星が恒星の前を横断するといったことが挙げられますが、KIC 8462852には既存の理由が当てはまらないのです。エイリアンが建造した超巨大構造が恒星の周りを回っているという説を提唱する科学者もいるほどです。この謎を解くため、研究者のチームがクラウドファンディングを行い、10000ドルの資金調達に成功しました。
マイクロソフトの開発したジカ熱防止のための「蚊取り器」
ジカ熱やデング熱など蚊を媒介にした感染症が世界中で猛威を振るっています。こうした問題に対して、米Microsoftが発表したソリューションがハイテク蚊取り器。感染症を媒介する特定の蚊かどうかを判別、対象以外の昆虫は逃す仕組みになっています。捕獲した日時や気温、湿度、光度などのデータは、クラウドにアップロードされ、蚊の判別精度も機械学習で向上させていくのだとか。
ブロックチェーンで著作権管理
ビットコインで知られるようになった「ブロックチェーン」は、多数のノードを使って何らかの台帳を分散管理する技術。通貨だけでなく、あらゆる分野でブロックチェーンの応用が検討されています。スタートアップのMediachainは、このブロックチェーンを用いて著作権管理を行うシステム。このシステムに登録されたコンテンツは、誰の著作であるか容易に追跡できるようになります。
アナログコンピュータの復権
http://news.mit.edu/2016/analog-computing-organs-organisms-0620
コンピュータは、データを0か1にデジタル化して処理を行う「デジタルコンピュータ」が当然になっていますが、かつてはアナログの入出力データをそのまま扱う「アナログコンピュータ」も研究されていました。近年、細胞の働きを研究する生物情報学などの分野で、アナログコンピュータが改めて注目されてるようになっています。MITの研究者は、入力された数式をアナログ回路に変換するコンパイラを開発。これによって複雑なアナログ回路を短期間で作成できるようになり、生物プロセスのシミュレーションをより効率的に行えるようになりそうです。
/執筆協力:山路達也
編集者/ライターとして、IT、科学、ビジネスなど多方面で活動。著作は、『弾言』(共著)、『Googleの72時間』(共著)、『新しい超伝導入門』、『アップル、グーグルが神になる日』(共著)など。https://twitter.com/Tats_y
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