「地域が元気であること」の一番のポイントは、地域の産業が元気であること。今回、そんな地域活性化に関心があり、「地域の中小企業」「若者」「インターンシップ」というキーワードにピンとくる方に、一押しの求人をご紹介します!
求人詳細はこちらから>>「これは、地域に確かな変化を起こす「静かな革命」だ。」
前編はこちらから>>「地方創生ど真ん中! 熊本県八代市で、地域の中小企業と若者を長期インターンシップでつなぐ新規事業とは?(前編)」
世界基準でおもしろいと思える事業をつくる
──センター長というと、立場上、ビジョンをもって全体を指揮するイメージが強いのですが、今回は高校生と大学生、企業との間を繋ぎ、コーディネートすることがメインのお仕事となるのですか?
そうです。指導やコンサルティングよりも事業をつくることの方が大事です。たとえばの話ですが、「若者をこのまま地元に残したい」と市から言われるとします。「じゃあ、誰が残りたいと思うんですか?」となるわけです。地方に若者を残す、つまりは出て行かせないという発想で同じ議論ばかり繰り返していても、「では、出会いの場をたくさん増やしましょうか」しかない。
でもそもそも、若者からしてみれば、「自分たちがここに残るメリットはどこにあるんですか?」と言いたくなりますよね。それはその街がおもしろいかどうか、情報の感度がいいか、暮らしやすいかどうか、です。情報感度は、都市部の方が圧倒的に高い。
だから、その街の魅力や事業をどうつくりこんでいくかが大事なんです。結局、地域でも、世界基準でおもしろいと思える事業をつくる方向へいく方が、やっている方も断然おもしろい。そうやって街や事業の魅力を磨いていけば、結果的に人が集まるんです。
インターンシップが最高だとは思っていない
──学生も一緒に、ですよね。では学生への目線として、普段、どのように学生さんと接していらっしゃいますか?
僕らが大事にしているのは、企業からは「一目置かれること」で、学生からは「憧れられる存在であり続けること」です。特に学生から見たとき、「ここにいたらおもしろい」「この人たちといたら自分が加速できる気がする」、そういう風に思ってもらえたらいいですね。
学生たちへの僕らのスタンスは、そういう存在でありながらも、彼らの実現したい夢やビジョンに向かって伴走していくということです。インターンシップが常に最高だとも思っていないし、留学でも資格でも、その子にとって一番いいと思う選択肢を常に一緒に考えます。
──なるほど。インターンシップでなくてもいいと思われる学生がいたら、そういう風におっしゃるんですか?
言いますね。学生の4年間って大事な時間だと思うので、限られた時間の中で、僕らに半年間を投資すると考えたときに、学生にとって費用対効果が一番高いものがいい。
それが本当にインターンなのか。インターンといっても各社によって違うし、インターンではなく今目の前にあることをじっくりやった方がいいこともあるし、インターンを選ぶことのリスクもあると思います。だから、留学やバックパックなど僕らはありとあらゆる情報を彼らに渡します。僕らで出せないものは、人を紹介します。でも、最終的には、「自分で決めろ」って話なんですよね。
何よりも、僕らはインターンシップでビジネス経験を積んでほしいとは、ほとんど思っていません。就職したら営業も接客もやるし、ビジネスマナーなんてどうせ仕事の中で揉まれる中で身に付いていく。半年もかけて学ぶ必要はない。
でも、壁があってもそこをクリアしたいともがいている、しかもそれを乗り越えてきた先輩のもとで学ぶことは、すごく意味があると思っています。
くじけそうな状況を、くじけずに頑張っている人の背中から学ぶ
──それは社長のことですか?
はい。特にマイナス産業の中でプラスを出している社長は、相当の覚悟や意志をもってやられています。くじけそうな状況をくじけずに頑張っている人の背中から、考え方や行動の仕方、とっさの判断などをそばで学んでほしい。
その最初のステップは自分の人生を自分で経営することだと思っていて、だから、何をするかは自分で判断することが大事なんですよね。
──自分で判断するための考え方や生きる姿勢を、社長のそばで学ぶ。
そうですね。背中を押したらやるんですよ、でも絶対に押さない。おすすめはするけど、背中は押さない。自分で決めなさいと。我々もそのスタンスを絶対に崩さない。
メリットとデメリットを踏まえたうえで、自分でやるかやらないかを決めてもらうところに、そもそも育てたい力があります。
自分が自分を経営しているという気づき
──決めてもらう力とは?
自分で選択することですね。自分で決める意志でもあるし、決めたことに責任をもつことだと思うんですね。
──その先に何が待っているんでしょうか。
一人一人が社会をコントロールしているという実感をもてることではないでしょうか。それは経営者さんも同様ですが、業界の調子が悪い原因を別に探すのではなく、自分でできることをする。逆転している人たちは自分でコントロールできるところで既に実践しています。そういう人たちは結果的に業界を背負っていきますよね。つまりは、この業界の次の担い手を自分たちでつくっていくということです。
若者の場合は、自分自身の選択に責任をもてるようになると、自分自身がチャレンジできると決めて取り組めば、社会が動いていくんだという実感につながります。自分が自分を経営していると思って、やりたいことができるように環境を変えればいいんです。
決めているのも、文句を言っているのも自分。変えるのも自分。これらを自覚できる人が増えた方が、より前向きな判断を常にしていけるんじゃないかなと思います。
──インターンを通して、そんな経験をした学生さんたちは変わっていきますか?
変わっていきますね。「なぜそれを選ぶのか」と、自分で考えて決める人が増えていますし、選択そのものにも意志があると思っています。
学生の成長と会社の成長のバランスを考える
──センター長の仕事や役割についておうかがいしたいのですが、まずG-netでコーディネートをする人は何か共通の背景や性格などはありますか?
みんな多分、おせっかいなんだと思います。放っとけないから、若者にも企業にも寄り添ってしまう。どちらの気持ちもわかってくる。だからなんとかしたいと思う。多分、そこが共通点なんだと思います。
──基本は人に寄り添える人。
目の前の人に寄り添うことがベースにありつつも、自分に何か想いがあると「結局何のために」という、もともとの目的に立ち返れるのだと思います。僕ら自身、時々、疲れから軸がずれるときもありますが、「若者を育てたい」という想いが根底にあってインターンシップのコーディネートを続けています。
そうすると、若者の成長のためにも、会社の成長を考えるバランスが求められてきます。
学生が本当に成長しなければ事業もうまくいかないですし、事業の成果が出なければ若者にもチャンスが提供できません。目の前のことに寄り添いながら、「何のためにやるのか」をしっかり考え、突き詰めていけば、学生の育成も会社の成果も実現できると考えています。
さらに、できれば地域全体も見られればいいですが、未経験者の場合はハードルが高いので、センター長の方は最初、インターン生と企業の双方を見続けることになると思います。その中でも、学生と企業の中で全体を見るというのかな、これを徐々に大きくしていくイメージです。
僕の場合、企業にも学生にも「どっちの味方にもなります」と宣言しています
──では、コーディネートのおもしろさややりがいは何なのでしょうか。南田さんがこれまで、本当にやっててよかったなあと思えたことは?
「自分が関わっている」という実感があるうえで、人が短期間でガラッと変化していくことですね。しかも、若い人だけでなく社長まで変化していくんです。「あの社長さん変わったなあ」って。たとえば50歳を超えた経営者さんが、若者たちともがきながら気が付けば考え方が変わっていくようなことがあります。柔軟になってきたり、相手に気持ちが伝わらなければ、自分の伝え方を変えようと努力されたり。
──これまでのお話で、コーディネーターは企業と学生の間に立ってどちらにも属さないように上手にコミュニケーションを修正していく役回りという印象を受けました。
僕の場合、企業と学生の両方に「どっちの味方にもなります」と宣言しています。「ニュートラルになる」という話をよくするのですが、「いかに両方にぶれさせるか」が我々の仕事だと思っています。
ふり幅を大きくすること。それが僕のコーディネーターとしてのやるべき仕事で、学生に軸が寄っているときには企業に寄り添う。逆の場合は学生に寄り添う。それぞれにぐっと寄って、「何をどう変えればいいか」を考えるように働きかける。この「何を」をそれぞれ相手の目線から考えてもらいます。こういう振り方がすごく大事なんじゃないかなと思っています。
課題と人とを繋げるのが、コーディネーター
──そこがポイントになるのでしょうか。間に挟まれたときのスタンスのとり方は色々あると思うのですが、共感でつながると強いですよね。
共感しておいて、相手をさした指を自分自身に戻させるんですけどね。「相手が」というのを、「じゃあ、自分はどうかな」と。誰でもみな、言ってることは正しいんですよ。お互いがそれを理解できれば、目的に立ち戻れるんじゃないかと思います。「事業と若者の成長ですよ」と。
みんなが正しいと思っているから、その関係性をもう一度つくるしかなくて、そのチーム、会社の正しいをもう一度つくるしかない。社員一人ひとりの言っていることは正しいんですよね。
──それぞれ言っていること、考えていることは正しい。コーディネーターは、そこで全員の共通の目的に立ち戻らせる存在。
我々の場合は若者と企業の間に立ちますが、課題と人とをどうつなげるかがコーディネーターの大事な仕事です。共通の目標を設定して、その目標を関係者全員が把握して、解決するために貢献し合える人たちを巻き込んでいって、機能するような対策をつくっていく。これもコーディネーターの仕事ですし、数年実績を積めば、すべての仕事ができるようになると思います。専門性の知識の有無はともかく、視点としては。これはコーディネートのうま味にも当てはまると思います。
求めているのは、「何かしたい」に伴走できる実践者
──では、これまでの話を踏まえて、改めて募集されているセンター長の仕事内容について教えてください。
まず、一年目は事業やセンター長としての土台をつくっていく時期になります。そのため達成目標は5件ほど。また入社後は半年ほど、岐阜県のG-netで毎月約1、2週間の割合で研修を受けてもらい、岐阜県で我々と一緒に仕事をしながら、現場の仕事を通して価値観のすり合わせをしてもらいます。
そのため、実質的に事業が本格稼働するのは来年度(2017年度)下半期に入ってからになる予定です。下半期から徐々に企画を始めていって、再来年(2018年)春に本格的に動き始めると考えていただいていいと思います。
具体的には、我々が得意とする中小企業の自社ブランドや新規事業の立ち上げを行っていきます。センター長にはディスカッションパートナーとして、企業や学生の間に立って、新商品開発や新たな市場開拓のためのヒントを探り当ててほしい。それをおもしろいと思ったやり方で、話題性の高い事業に育ててほしいと思っています。
戦略的な展開を想定でき、実践することに意欲を感じる人が向いていますし、商品開発やマーケティング経験のある人だとよりやりがいの大きい仕事だと思います。
──なるほど。中小企業診断士の資格等よりも経験と意欲が大事ということですね。
うちの代表理事の秋元祥治も言っていますが、財務状況がいいかどうかはどうでもよくて、我々が求めているのは、我々のところへ来た企業や若者たちの「何かしたい」に伴走できる人です。
そして、大学生、高校生など若者の挑戦をサポートし、成長していく過程に楽しみや喜びを感じられる人。人材育成、人事面で若者が活躍できる土壌を企業内につくれる人。最後に、「なぜやるのか」の理由が明確にある人。たとえば出身地のために何かしたいという想いの人や、こういった事業の仕組みそのものが大事だと思っている人など。思い当たる人はぜひ我々とおもしろい街づくりに挑戦してください。
NPO法人G-net共同代表・理事/南田修司さん
2009年、三重大学大学院教育学研究科を修了後、新卒でG-netに参画。2015年より共同代表に就任。地方随一の実績を誇る長期実践型インターンシップ事業の責任者として、若者と中小企業のコーディネート、大学連携プログラムの企画開発、コーディネート人材の育成に取り組む。さらに同年よりUIJターン事業の企画運営などにも従事、採用や定着支援領域にも力を入れているほか、若者と地域の魅力的な企業が段階的に出会う仕組みづくりを推進している。
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