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地域発、働き方改革—自分らしい働き方の実現を支える、釜石ローカルベンチャーコミュニティとは?[PR]

2017.02.04 

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政府が進める「働き方改革」や、個人の価値観の転換、ICTの発達などにより、日本人の働き方は大きな転換点を迎えています。そんななか、新しい働き方の実現に本気で取り組んでいる自治体があるのをご存知でしょうか。

 

それが、東日本大震災以降、「オープンシティ」を合言葉に、多様な企業や人材との積極的なコラボレーションを重ねてきた岩手県釜石市。震災から6年という月日が経とうとする今、釜石市は新たな働き方の実現を支える個人・企業・地域のプラットフォーム「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」を立ち上げました。

 

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岩手県釜石市は、「鉄と魚のまち」として工業と水産業を基幹産業として発展してきた、人口約36,000人の地域。

 

 

釜石ローカルベンチャーコミュニティは、起業や自分らしい働き方を実践する個人、CSR・CSV経営を地域と取り組む企業、次世代に誇れるまちづくりを担う地域パートナーが協働するプラットフォーム。ボードメンバーやメンターには、釜石のまちづくりの中核を担う人物が多数参画しており、コミュニティへの参加者の自己実現を全力でサポートする体制が築かれています。

 

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釜石ローカルベンチャーコミュニティのページ。

 

 

単なる移住者支援とは一線を画すローカルベンチャーコミュニティの取り組みについて、なぜ立ち上げに至ったのか、釜石で実現できる新しい働き方とはどういうものなのかなど、コミュニティ事務局のメンバーであり、釜石市オープンシティ推進室長の石井重成さんにお話を伺いました。

 

※釜石ローカルベンチャーコミュニティの詳細・エントリーは以下のサイトから。

 

“自分の人生を自分で決める”を支えるコミュニティ

 

復興という言葉を使わずに、釜石に人を呼び込むことができるのか——。多くの被災地がそうであったように、震災をきっかけに、釜石にも多くの個人や企業が入りました。しかし、いつまでも復興の持つ引力に頼っているわけにはいきません。このような過渡期において、釜石市が掲げるオープンシティの核となる事業として、ローカルベンチャーコミュニティは生まれました。

 

キーワードは、“自分の人生を自分で決める働き方”です。

 

「僕は、新しい働き方では“自分の人生を自分で決める”ことが非常に大事だと思っています。多様な個人が自分らしい働き方を実践することによって、結果的に“21世紀の公共価値”が生まれていく。そんなコミュニティを作っていきたいという思いが釜石市にはあったことが、釜石ローカルベンチャーコミュニティにつながりました。」

 

プロフィール

釜石市オープンシティ推進室長 石井重成さん。

 

確かに、現代のような不確実性の高い時代では、これまでのマニュアル化された働き方では個人の市場価値は低下する一方です。さらに大企業の中にいたとしても、企業が一生生活を保障してくれるとは限りません。そうした社会の変化が起きていることを敏感に感じ取り、自分の生き方・働き方を見つめ直したい人に、釜石を“使ってもらいたい”と石井さんは話します。

 

「地域課題について語るときって、“まち”や“地域”が主語になりがちですが、そうあるべきじゃないと思うんです。地域は単に人の集合体でしかなくて、地域課題の解決や公共的な価値創出というのは、個人が自分の思いに従って動いた結果でしかない。だからこそ、『自分の行動=仕事=生き方』を他人任せにしない人たちが集えるコミュニティを作ることによって、結果的にイノベーションが生まれてくるのだと考えています。」

 

主語は“まち”や“地域”ではなく“自分”。「一人ひとりが自分らしく生き、働くことが、結果的に地域をより良い場所にする」という哲学が、釜石ローカルベンチャーコミュニティの背景にはあるようです。

 

“21世紀の公共性”は、自分らしい生き方の集積から生まれる

 

ローカルベンチャーコミュニティのWebで印象的なのが、釜石市の風景写真の上に白抜きの文字で載せられた「多様な個人の生き様が21世紀の公共をつくる」という一文です。釜石市が目指す“21世紀の公共価値”とは、何を意味しているのでしょうか。

 

「20世紀の公共価値は、“もらうもの”だったと思います。地場産業が衰退し、高齢者ばかりで集落が立ち行かなくなる中で、『役場は何をやってくれるのか』『国は何をしてくれるのか』。そんな思考回路で日本人は生きてきた。でも、これからの時代の公共性は、きっとそうではないと思うんです。」

 

石井さんは震災以降、個人が自分らしい生き方を実践したことで、地域課題の解決につながるような多くの事例を目の当たりにするうちに、「21世紀の公共性は、”個人の人生の結果“として生まれるものなのではないか」という思いを持つようになったのだと言います。

 

例えば、釜石の海の幸を包んだ「釜石海まん」。釜石の復興のシンボルとなるようなお土産となることを目指して、市内に拠点を持つ水産・製菓・酒造などの事業者が集まって組織された「釜石六次化研究会」の活動の中で生まれた商品です。

 

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この「釜石海まん」の商品化をするにあたって、新たに立ち上げたKAMAROQ株式会社の代表取締役に就任した中村博充さん(取材日:1月26日)も、東京からの移住者。都内の専門商社で働いていた中村さんは、社会人5年目にして自分の働き方に疑問を持ち始め、自分の生き方を見つめ直したい、さらに釜石の復興を支援したいという思いを持ち、釜石市で働くようになりました。

 

「彼が自分のやりたいことと、地域のニーズを擦り合わせていく中で行き着いたのが、『釜石海まん』の事業でした。このように、復興支援で釜石に来た人が新しく事業を始めたり、自己実現のために始めた事業が多くの人を惹きつけるようになったりする光景とたくさん出会ったんです。そのような経験があったため、自分の生き方を他人任せにしない人たちが自分の心に正直になれる場所として、ローカルベンチャーコミュニティを作ろうと思いました。」

 

公共価値を追求するということは、個人の願望を抑制して公の利益に意識を向けなければならないものだと思ってしまいがちです。しかし釜石では、個人を大切にすることが結果として公益につながるという、新しい公共価値の捉え方を、地域から全国に発信していきたいという思いがあるのだと石井さんは語ります。

 

釜石で得られた“自己決定感”

 

今では釜石市の職員として働く石井さんですが、実は自身も“自分の生き方を自分で決めた“移住者のひとり。出身は愛知県西尾市で、釜石に来る前は東京で経営コンサルタントして働き、忙しい日々を送っていました。そんな石井さんが三陸と出会ったのは、2012年の春に宮城県気仙沼市で開かれた、とあるイベントに参加したのがきっかけです。

 

「僕はボランティアとか社会貢献とか、まったく興味がなかった。たまたま友人が気仙沼でのイベントの運営に関わっていたから、会いに行っただけなんですよ(笑)でも、そこで見た被災地の光景が衝撃的で。『大変だけど、なんとかがんばろう』とディスカッションする人たちの姿を見て、『自分が居るべき場所は東京ではない。ここに来なくてどうするんだ! 』と思ったんです。」

 

その翌日には退職を決め、移住に向けて動き出した石井さんは、復興支援団体からの紹介で採用試験を受け、釜石市役所に入ることになりました。最初は、誰かが困っていることを一緒にやろうと思い、ひたすらイベントで椅子を並べたり、雨の日に交通整理のお手伝いをしたり。その後、復興支援員制度を活用した地域コーディネーター事業「釜援隊」を立ち上げ、官民一体の復興まちづくりを推進してきました。

 

釜援隊のメンバーと石井さん。(中央列右から2人目)

 

 

「誰に頼まれるわけでもなく、目の前にある現実を変えたくて、一歩一歩、歩み続けてきた結果として、今があるだけです」と話す石井さんは、東京で働いていた頃との一番の違いを、次のように語ります。

 

「今は、“自分の人生を自分で決めている”という自己決定感があります。課題解決のために、資金や仲間を集めるというのも、誰かに言われたからやっているのではなく、僕の意思でやってきたことです。自分の意思で行動して、仲間を集めて……なので、感覚的には、ワンピースのルフィみたいな感じです(笑)」

 

 “ALL 釜石”で、移住者を独りにしない

 

ローカルベンチャーコミュニティには、参加するためのエントリー方法が2種類あります。ひとつは、地域パートナーと連携して各種のテーマに関わる仕事に取り組む「テーマエントリー」。もう1つは、二拠点ビジネスや遠隔で関わりたい方向けの「フレキシブルエントリー」です。

 

テーマエントリーでは、地域おこし協力隊の制度も活用しながら、移住者向けのサポートプログラムが提供されます。現在6つあるテーマのうち、フリーテーマを除く5つには、それぞれパートナーがいます。「林業・木材加工」「農業・グリーンツーリズム」「着地型観光」「水産・六次化」「商店街活性化」の中から自分の興味のあるものを選び、各パートナーと話し合いながら、個人のやりたいことと地域のニーズを擦り合わせていく中で、自分の役割や具体的なアクションを決めていくため、事業作りのやり方に決まった正解はありません。

 

 

テーマエントリーでは、6つのテーマを募集中。

テーマエントリーでは、6つのテーマを募集中。

 

貫かれているのは、これまで釜石に縁のなかった移住者でも、最初から“独りにしない”ということです。

 

「釜石でできる最高のプラットフォームを提供したいので、移住者本人と地域のパートナーに事業構築を丸投げすることはしません。メンターや事務局による事業計画のサポートもありますし、第一線で活躍する講師陣によるセミナーや面談機会も提供する。僕自身が移住してから、時には寂しい思いも経験しているので、新たな一歩を踏み出す移住者の方を孤独にしないためのコミュニティにしていきたいと考えています。」

 

テーマの一例を挙げると、「林業・木材加工」でパートナーになるのは釜石地方森林組合です。釜石地方森林組合は、最近では「釜石の木と釜石の鉄」をテーマにした製造販売事業「mori-to-tetsu(森と鉄)」のシリーズ第1弾として、スギの間伐材と鉄の丸棒を組み合わせたテーブルセットを開発・販売を発表して注目を集めました。「農業・グリーンツーリズム」でパートナーとなる甲子地区活性化協議会では、釜石市の内陸にある甲子地区にしかない「甲子柿」のブランド化を目指して、新企業を立ち上げようとする機運が高まっているのだそうです。

 

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「mori-to-tetsu(森と鉄)」のシリーズ第1弾として開発・販売された、スギの間伐材と鉄の丸棒を組み合わせたテーブルセット。

 

このように、新たな取り組みに積極的な人たちがたくさんいる釜石市。それでもなお、あえて外から「ヨソモノ」を呼ぼうとするのは、なぜなのでしょうか。

 

「人が還流し続けること自体に意味があると思うからです。釜石市には、震災によって醸成された危機感だけでなく、日本初の西洋式高炉を生み出し、日本の産業革命のはじまりの地となるなど、外部の人材を受け入れながらイノベーションを起こしてきた歴史的な背景や文化的な土壌があります。イノベーションが起きるには、まさにこれまで釜石がそうであったように、人の還流が絶えず起きている状態にあることこそが重要なんです。」

 

ローカルベンチャーコミュニティの話を聞いていると、石井さんの本気度、釜石市の本気度が、ひしひしと伝わってきます。

 

「僕たちは本気ですよ。“ALL 釜石”の布陣を敷いて、全力で取り組んでいます。たとえば自治体の計画で『U・Iターンを推進する』と言っておきながら、それを書いた張本人が自分の子どもには『田舎なんて何もないんだから、東京で夢を叶えろ』と平気で言っちゃうとしたら、そんなのおかしいですよね。嘘っぽいのは嫌いなんです。『自分たちが最高のコミュニティを作るんだ』という気持ちがないと、血の通った言葉で人を誘うことはできないと思いますから。釜石市は、本気です。」

 

 

自分のふるさとを創る

 

今は、施政方針演説で政府が働き方改革を掲げる時代。長年にわたって、日本人の勤勉さの象徴とされてきた長時間労働の見直しが始まり、至るところで新しい働き方について議論が交わされている中で、自分の働き方や生き方を自分で決めたいと感じている人にとって、釜石市は最高の舞台となりそうです。

 

「これまでの社会を作ってきた人たちの中では『田舎には何もない、東京で成功するのが勝ち組』という固定観念が強い。こうした大人が作ってきた社会に疑問を感じながら育った世代が、社会の中核を担うようになってからは、本質的に働き方が変わると思います。

 

だって、震災を経験した中高生は、今の大人とは全く思考が違いますからね。釜石に残ることが消極的な選択肢の結果ではない。自分の意思で、いつか釜石に戻ってきたいという気持ちを恥ずかしがらずに話すんです。そんな土壌ができたのは、やっぱり震災後だと思います。」

仲見世

6次化研究会

水産資源の6次産業化、商店街のリノベーションなど、釜石ではさまざまな分野で移住者が活躍している。

 

 

 

最後に、ローカルベンチャーコミュニティへの参加を考える人に向けて、次のようなメッセージを残してくれました。

 

「テーマの中にピンと来るものがあれば、ぜひ心の声に正直に従って欲しいなと思います。一歩を踏み出してくれるなら、それを支えるコミュニティとしてできることを真剣にやっていく責任や本気度を、僕たちは持っています。

自分の居場所や役割を実感できる場所を“ふるさと”と呼ぶのであれば、“ふるさと”は創るものだと思う。自分の“ふるさと”を僕らと一緒に創りましょう。震災後に、興味はあったけど、釜石や東北に行きそびれていたという人も大歓迎ですよ。」

 

【取材日:1月23日】

お知らせ

釜石市では、釜石ローカルベンチャーコミュニティへのエントリーを募集しています。詳細・エントリーは以下のサイトから。

 

また、2月5日(日)には釜石ローカルベンチャーコミュニティの説明会を株式会社ガイアックス Nagatacho GRIDを会場に開催するとのこと。興味がある方は、ぜひご参加ください。詳細・申し込みは以下のFacebookページから。

 

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野本 纏花

1983年兵庫県生まれ。元デジタルマーケターのフリーライター。大学卒業後、IT企業に就職。2010年よりライター業を始め、518Lab(コトバラボ)として独立。テクノロジー系の話題を中心に、AllAbout インターネットサービスガイドほか、様々なWebメディアで執筆中。