※最新版(2019年)のデータに関する記事はこちらです。
>>世界の人口はどう推移する?2050年には97億人、2100年には110億人へーおさえておきたい未来人口予測(2019年版)
2050年、2100年の世界はどうなっているのでしょうか? 今回は国連が発表した世界人口予測(2015年)をみながら、これから人類を待ち受けている未来についてちょっと考えてみたいと思います。
「100億人を突破します」とまではよく言われますが、それだけでは「ずいぶん人が増えるのだな、食糧や水は足りるのかな」という程度であまりイメージが湧きません。ですので今回は「どこで増えるのか」に注目して、21世紀末の世界の姿を探っていきたいと思います。
爆発的増加か、地球人口減少社会か
まず全体の人口をみてみます。さかのぼって1950年時点では25億人だった人口は、2000年には61億人を突破しています。ちなみに直近の2015年では73億人。この人口はどこまで増えるのでしょうか?
最も起こりそうなケースを想定した「中位推計」では、2050年に97億人、2100年には大台超えの112億人となっています。ちなみに多めに見積もった「高位推計」では2050年に早くも108億人、2100年には166億人と、まさに人口爆発の様相を呈しています。
なお最も増加がマイルドな「低位推計」では2050年に87億人に到達し、2100年には人口が減って現在と同水準の73億人に戻っています。これは「21世紀中に地球の人口が減少する」という興味深いシナリオです。
人口増加分の8割を占めるアフリカ
次に、どの地域で人口が増えるのかをみてみます。世界をざっと6地域に分割して考えると、アジアとアフリカの存在感が圧倒的です。さらに人口増加のほとんどがアフリカで起こることがわかります。(これらは中位推計の数値です)
グラフをみると黄色のアジアも多いように見えますが、2015年時点人口は44億人、2100年時点は49億人とそれほど変わりません。2050年時点では53億人と予測されているので、21世紀後半にはアジアの人口は既に減少局面を迎えると予測されているのです。
驚くべきは赤色のアフリカで、2015年時点に12億人だった人口は、2050年には25億人、そして2100年には44億人へと、85年間で32億人増加しています。世界人口の増加予測が39億人ですから、人口増加分の8割超をアフリカが占めることになります。
ちなみに6地域のなかで唯一人口が減少しているのはヨーロッパ。2015年の7.4億人から2050年には7.1億人、2100年には6.5億人へと、着実に人口が減少していきます。
未来の巨大市場を見据えてしのぎをけずる各国
未来の巨大マーケット・アフリカを狙って、各国は国を挙げての進出を加速しています。中国はこれまでに6900億ドル以上をアフリカに投資しており、在留中国人人口は100万人を超えると言われています。
安倍首相は2016年8月にケニアで開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD)にて、アフリカに300億ドル単位の投資を行うと発表しました。思い切った投資ではあるものの、総額としては中国におよばず、現時点での在留人口も約8,000人と中国の1/100以下となっています。
経済力に加えて、政治的な存在感も大きくなりつつあります。現在アフリカには国連加盟国が54カ国あり、全193カ国の約1/4を占めており、このことも先進各国がアフリカ諸国に進出し、その支持を得ようとする動きを後押ししています。
民間主導のイノベーションも注目されています。象徴的なのはアフリカのスタートアップ・シーン。フェイスブックのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏がアフリカを訪れ、スタートアップ企業を訪問しました。彼はアフリカで大規模な通信インフラ構築事業に取り組むという噂も流れており、アフリカへの注目度の高さがうかがえます。
現地で活躍する日本人起業家も続々と現れてきています。売上高500億円を超える中古車販売会社ビィ・フォアードや、25万人の生活環境を改善したと言われるケニア・ナッツ・カンパニーなど、現地の人々のなかでもよく知られた企業がアフリカで活躍しています。政情の不安定さや公衆衛生など様々な社会課題も指摘されるものの、急成長する熱気にあふれたアフリカ。これからの展開に要注目です。
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