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林業から製材、住宅からエネルギー、不動産、金融まで。日本一の森林面積岐阜県高山市からはじまる、森林利活用の最前線

2017.04.28 

豊かな自然に恵まれた日本で、古くから主要産業だった林業。気候風土に合った住宅として、日本の住宅といえば木造建築が主流でした。しかし、時は流れて、気づけば日常で触れる素材は木材以外のものばかり。林業も「斜陽産業」とまで語られています。

けれど、そんな林業に2035年までの大きなビジョンを掲げて革命を起こそうとするグループ企業が岐阜県高山市に存在することを、ご存知でしょうか? 地場の工務店からスタートし、製材業、林業、不動産、そして現在ではエネルギー、金融の仕組み(自然資本ファンド)まで手がける、「飛騨五木グループ」にお話しをお聞きしました。今回の担当者は、飛騨五木株式会社・企画研究室長の井上博成さんです。

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>>「飛騨五木グループ」では、現在木材総合ECサイト「森ワク」の就職事業立ち上げメンバーを募集しています! 

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森林インフラ企業「飛騨五木グループ」

乗鞍岳スカイライン

日本で最も面積が大きい市とされる岐阜県高山市は、その93%が森林です。しかしながら、林業の低迷によって手入れ不足となった森林では、自然災害が起こり、機械化によって匠の技も失われつつあります。そんな、本来ならば最高に恵まれているはずの飛騨の森林資源を守り活かすべく、森林のカスケード利用・森林に携わる人の育成を進めているのが「飛騨五木グループ」です。

はじまりは、井上さんの祖父(㈱井上工務店 現取締役会長)が1965年に立ち上げた株式会社井上工務店から。現在では、森の川上(不動産・金融・林業)、川中(製材)、川下(工務店・六次産業)までを担う、日本有数の多様なインフラを有するグループ企業にまで成長を遂げています。

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自然エネルギーの研究者として、飛騨五木株式会社の設立に参画

井上さんが所属する「飛騨五木株式会社」は、グループ中で地域商社としての役割を担っています。その企画研究室長である井上さんは、このインフラ構想を生み出したお一人でもあるのです。

京都大学大学院経済学研究科にて自然エネルギーと地域ファイナンスを研究、高山市と大学とで自然エネルギーに関して研究締結、現在も京都大学大学院博士課程に在籍されている井上さんは、将来は高山に環境系の総合大学を設立することを目標にしつつ、自然エネルギーを研究するうちに木材そのものの利用に高い関心を持ち、飛騨五木株式会社の設立に参画されました。

自然エネルギーを出発点として森林に携わる井上さんですが、このインフラ構想の背景には、一つのテーマに留まらない大きな流れでの森林と人間との新しい共存のあり方を描いた未来像がありました。

2035年のビジョンは、「ジャパンインフラ企業への成長。あらゆる生活シーンに森林を」

「まず、会議室を見てみてください。そこに木材はどれだけ使われていますか?」

会社説明会などでは必ずそんな問いかけから始めると言う井上さん。実際にほとんどの会議室では、樹脂、石油系の素材、合成の木材が中心に使われていて、本物の木材があることはまれです。

そんな2017年の日本から、井上さんは「森林があらゆる生活シーンに関係しているという意識に、人々のマインドセットを変えたい」と語ります。

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ここで「飛騨五木グループ」のすごいところは、壮大な夢を語るだけでなく、実現するための道筋をしっかりと描き、着実に現実にしていること。地域で愛されるような企業として地盤を固めた後、全国へ商圏を広げ、ジャパンインフラ企業へ成長するというビジョンを掲げながら、2035年【当たり前に木材のある社会】を目指して歩みを進めています。

ビジョンを実現するための、豊富なリソース

工務店からスタートした「飛騨五木グループ」ですが、冒頭でもお伝えしたように、現在では不動産・森林売買と信託を営む「H.P.Mグループ」、林業・製材を営む「井上工務店」、地域商社としての「飛騨五木株式会社」、その他バイオマスエネルギー事業という幅広いリソースを持っています。

特に、森林信託企業としては、なんと日本初の存在(管理型信託会社としては12社目)。関連会社と連携しながら、山林の信託設定化、流動化を図り、売買も含め、山林の権利関係・管理業務をトータルコーディネートを行っています。

事業のスタートだった工務店では、匠の技を残して特殊物件の受注を多数行い、地域商社でも、オリジナル商品の開発・販売、楽天とのコラボでECサイトの構築、六次産業化事業では飛騨五木café&gallery飛騨高山本店の運営、飛騨五木の家という宿泊施設の経営なども行っています。

飛騨五木café&gallery

飛騨五木café&gallery

また、事業だけではなく、植林や人材育成、新規事業や市民団体への支援のため、その売上の一部を「飛騨五木基金」として未来への投資活動も行なっているのだとか! 中高生向けの林業への教育プログラムも積極的に行なっているそうです。

「高山市では林業は担い手不足だと言われていたのですが、その原因を紐解いたときに、高山市にある林業科からは32人ほど入学しても将来林業に進むのはそのうちたったの2人ほどだということを発見して。残りの30人は、ホテルや市役所など、まったくの異業種へ就職してしまうんですね。その原因は、自分たちが育てた木がすべて他県へいってしまうということでした。

そのことを知ってから、去年からこの基金を使って、林学の学生たちにはうちで建てる物件で、すべての工程を体験してもらうようにしました。そうしたら、なんと今年は30人中約半分近くが林業系へ進むことになったんです! あまりにも効果があったので、この取り組みは今年も続ける予定です」

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結婚式向けのオリジナル商品

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林業というフロンティアを開拓し、価値を生み出していく森ワク【就職する】事業部

そんな「飛騨五木グループ」ですが、つい先日には、旅する五木のチャレンジとして「日本の森がもっとワクワク(通称 “森ワク”)」という木材総合EC サイトをオープンしています。

森ワクHPより

森ワクHPより

サイトでは、あらゆるジャンルの森林や自然に関連した情報を提供しており、日本各地の山林売買情報、森林業に関連する様々な投資情報、森林や自然に関わる求人情報、全国の自然に関連した宿情報、木質や自然素材の商品情報が掲載されています。

そこで現在、特に力を入れているのがこの“森ワク”での就職事業だそう。

「日本の林業は遅れていますし、一般的には斜陽業界だと言われています。けれど、だからこそ林業は “フロンティア”だということ。その可能性の面白さを伝えていきたいんです」

そう語る井上さんは、林業へ人を送り込むことだけでなく、その森林の価値をともに考え地域での森林の価値を高めていく伴走者が、この事業には必要だと考えています。

「就職支援の先にあることは、人材を通じた地域づくりだと思っています。ある意味、森林に特化した地域づくりだと言えるかもしれません。就職者への教育目線と、受け入れ企業への産業目線を両立させて、林業をしている人のプライドに寄り添ってコーチのようにサポートしていける人と共に、事業を成長させていきたいと思っています。

また今回は、フルタイム勤務という関わり方だけでなく、副業など業務委託での採用も視野に入れているので、自ら新しい働き方を実現しながら“森ワク”での就職事業に取り組んでいただくことも大歓迎です」

2035年、実現したい社会に共感したなら

この就職事業は、あくまでも「あらゆる生活シーンに森林を」という2035年へのビジョンに向けての枝葉の一つだと語る井上さん。

「働く人が増えないと、林業も成長していきませんから。僕がドイツに調査にいっていたとき、ホームセンターには当たり前のように木材が溢れていて、それで家具をつくれないのはお父さんではないとまで言われていました(笑)。

それくらい、ではないですけれど、2035年には人々がもっと当たり前に森林に入っていって、自分の生活に森林は欠かせないものだと意識するような世界を実現したいと思っています」

森林を軸に、あらゆる方面でのモノと人の利活用と循環を、絵空事でなく実現させようとしている「飛騨五木グループ」。2035年に描かれた社会を共につくりたいと感じていただけたなら、ぜひこちらの求人をチェックしてみてくださいね!

この記事を書いたユーザー
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桐田理恵

1986年生まれ。学術書出版社にて企画・編集職の経験を経てから、2015年よりDRIVE編集部の担当としてNPO法人ETIC.に参画。2018年よりフリーランス、また「ローカルベンチャーラボ」プログラム広報。

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