つい先日、高野山で行われた地方創生会議というイベントの仕掛け人である小幡和輝さん。現在大学の四年生にして、地元の和歌山県を盛り上げるわかやまコンシェルジュという活動や、CAMPFIREの和歌山県公式エリアパートナーなど活動は多彩である。
そんなアクティブな小幡さんだが、小中学校のほとんどの期間を学校に行かず、ゲームに没頭していたという変わった経歴の持ち主である。小幡さんの活動とこれまでの経験、そしてゲームへの想いを伺いました。
和歌山を盛り上げる!
ーーまず小幡さんの今なさっている活動を教えてください。
小幡:1994年和歌山県生まれです。いまは和歌山大学の4年に在籍していて、「和歌山を輝かせる!」をコンセプトに商品を作ったり、イベントやプロモーション企画を作ったりしてます。
自分が生まれた和歌山が大好きなので、もっと和歌山のことを発信したいし、すてきなまちにしたいなと。でも、ぼく一人ではできないので、いまは和歌山が好きな人をどんどん増やしていこうと思っていて、わかやまコンシェルジュという活動に1番力を入れてます。
和歌山の歴史や名産品に関するクイズで試験問題を作っていて、合格者を「わかやまコンシェルジュ」に認定しています。いま1500人くらい認定させてもらってるんですが、そのわかやまコンシェルジュのみんなと、プロモーション企画を作ったり、イベントを企画したりしています。
直近だと地方創生会議というイベントを開催しました。地方創生会議は47都道府県すべてから地方創生に関わっている人が集まる地方創生のプラットフォームです。この場所から新しい地方創生のプロジェクトがどんどん生まれるようなイベントにしていきたいと思って準備しました。クラウドファンディングでサポートを募集したのですが、おかげさまで400万円を越える支援をいただきました。
47都道府県がつながる場所。「地方創生会議」を世界遺産の高野山で開催したい!
僕の中でクラウドファンディングは大きなキーワードで、今までプロジェクトを4回やっているのと、CAMPFIREの和歌山県公式エリアパートナーとして1000万円くらいの資金調達をサポートしてきました。
ーー堀潤さんのレポートなどでも拝見しましたが、かなり大きなイベントになったようですね。
小幡:ありがとうございます。高野山は東京から5時間以上かかる秘境なので、人が集まるかとても不安だったんですが、47都道府県すべてから参加者が集まって、関係者も含めると約300名にご参加いただきました。
Twitterのトレンドでも2日連続で1位になって、こんなこと一緒にできないかな!みたいなお問い合わせもたくさん来ていて、非常にありがたいです。
もちろん反省点もたくさんあるんですけど、まずは第一回が無事に終わってほっとしてるところですね。
ーー お疲れさまでした実行委員長!
小3から中3まで学校には行かずゲームに没頭する
ーーそんな小幡さんですが、昔は引きこもりだったとか。その時のことを教えてください。
小幡:そうなんです。1番最初はあんまり覚えてないんですけど、幼稚園のはじめあたりからあんまり行きたくなくて。笑 小学2年の中盤くらいまでは、行ったりいかなかったりを繰り返し、小学2年の終わりから、中学3年の終わりまではほとんど行ってないですね。ざっくり10年くらい行ってないです。その間は基本ずっとゲームしてましたね。
ーー引きこもりのゲーマーから、今のようなアクティブな人にスイッチ入ったキッカケとか想いのことも教えてください。
小幡:中学校卒業まではそんな感じで、高校は夜間の定時制に行き始めたんです。嫌だったんですけど、僕が学校に行ってない間、いろいろ心配してくれた先生がその学校にいたりだとか、そもそも家の目の前にあったとか、いろいろ理由が重なっていくことにしました。最初は本当に嫌で、教室に入ったらじんましんがでてきて。。でも、高校で出会った人たちに支えてもらいながら、少しだけ人と関われるようになりました。
大きなきっかけとしては、僕が高校2年生になったときに、たまたま出会った1つ年上の高校生がめちゃくちゃがんばってたんです。学校に行って、部活をやって、生徒会をやって、アルバイトをやって、その上で音楽が好きだからバンドを組んでライブしちゃうみたいな。
彼と出会って、本当に人生が大きく変わったんですよね。それから1年くらいはその彼の手伝いをするようになって、高校3年生のときに今度は自分でなにかやってみたいと思って、自分は人に変えてもらったから今度は周りの人に何かしたいなという想いが強くて、それが少し対象が広くなって、自分が生まれた地域に貢献したいと思うようになりました。
ーーちなみにどんなゲームをやってましたか?
小幡:有名どころだとドラゴンクエスト、ファイナルファンタジー、モンスターハンターもやってましたね。あと、戦国無双とか信長の野望とか歴史系のゲームもめちゃくちゃやってました。プレイ時間でいうと全部で30000時間くらい。モンハンだけでも5000時間くらいはやったと思います。
ーー30000時間というと、8時間每日やって10年以上! だいぶやってますね(笑)。そのくらいやり込むと、ゲームってどんな存在になるんですかね....?
小幡:当たり前にあるものというか、朝起きたらとりあえずスイッチ入れるみたいな感じですかね。学校行ってないんでやることなくて、勉強や仕事みたいな感覚かもしれないです。とりあえず毎日やるものみたいな。
ーーなるほど。お寺の修行みたいですね。朝起きて、とりあえず門前の掃除をはじめる、みたいな感じで(笑)。ある意味で脳や心のお掃除をしていたのかもしれないですね。まあ親は普通は心配しちゃうでしょうけどね(笑)。ちなみにぼくは一番ゲームをやっていたのは中学2年のころで、ぜったい知らないと思いますけど、そのころMSX2という安いパソコンがあって、それを家のテレビにつないで、メタルギアとかやってました。コナミのメタルギアは最初はMSX2というパソコン版だったんですよ。しかもセーブはカセットテープでやってました。もう小幡さんの世代だとテープというメディアすら知らないかもしれませんけど...。
小幡:ふっかつのじゅもんみたいな感じですか? その世代ではないんですけど、スーパーファミコンのゲームをやったとき、セーブするのにメモが必要でビックリしました(笑)。
ーーですよね(笑)。その頃、将来の夢はゲームデザイナーでした。新しい世界を創ることができる、重力みたいな物理ルールや、お金や価値などの経済のルールとかを、この世とは違うルールで構築して、その中でいろいろなヒトと遊べるというところにとても関心がありましたね。
小幡:わかります。ぼくも自分でゲーム作りたかったです。自分で0から作るのは無理ですけど、遊び方なら自分で作れるなと思って、ゲームの中で新しいゲームを作ったりしてました。例えば大乱闘って相手を場外に吹っ飛ばして遊ぶゲームですけど、それをルール変更して鬼ごっこみたいな感じにして遊んだりとか。普段、弱いキャラクターがそのルールだとめちゃくちゃ強かったりして面白かったです(笑)
クリアできないゲームは無い、という根本的な価値観について
ーー今やっていることや今の小幡さんを形成するのに、ゲームはどう役に立ってますか? どう影響してますか?
小幡:根本的な価値観として、物事を考えるときがゲーム感覚なんですよね。クリア(目的)があって、そのためにレベルアップしたり、必要な仲間を集めたり、情報を集めたりみたいなことが自然とできるというか。
ーーああ、ほんとうにそんな感じになるんですね。レベルアップのために練習したりとか、宿で休憩とって体力回復とか。
小幡:壁にぶちあたったとき、諦める前にどうやったらできるかな。って考えるんですけど、それはゲームやりまくってたからなのかなぁと思ってます。ゲームって基本的にクリアできるので。
ーーなるほど! クリアできないゲームは無いと。無駄に難易度高いクソゲーというのはありますけど(笑)。なにかプロジェクトをはじめるときのパーティの組み方とか、自分の役割とはなにか、みたいなところもゲーム的に考えたりとか。
小幡:あと具体的な話でいうと、ぼくめちゃくちゃ歴史が好きで結構詳しいんですけど、それは戦国無双や信長の野望とかをやりまくってたからなんですよね。ゲームだったら楽しく学べるじゃないですか。
ーー確かに。いまの子ども向けの学習教材とかも、ゲームのようになってたりしますね。いわゆるゲーミフィケーションというやつですが。
小幡:はい。それを活かした実体験として、わかやまコンシェルジュの試験問題はクイズ形式にしてゲームっぽくしてみたり、和歌山の名産品とか有名人を絵柄に使った「わかやまトランプ」という商品を作ったんですが、これもゲームやってたから作れたものだと思ってます。
ーーゲームなんて暇つぶしだ、ゲームばかりやってると頭が悪くなる、とか、いわゆる”ゲームは悪”みたいな話しが多いですけど、そんなことはないということですね。
小幡:それはないですね。ゲームをやっていたからいまの自分があるので、ゲームにはめちゃくちゃ感謝してます。
僕はゲームはコミュニケーションツールだと思っていて。例えばドラゴンクエストってかなりの人が遊んでるじゃないですか。そうしたら、好きなキャラクターの話とかで共通の話題になるからそれで仲良くなれたり。ドラゴンクエストシリーズは長い歴史もあるので、上の世代の方とも仲良くなれますね。
頭はどうなんでしょう(笑)。学校行ってなかったからなぁ...。勉強はできないですけど、でも自分でいうのはアレですが、発想力とかIQ的な話でいうと悪くはないと思いますよ。単純にゲームをしてる時間を勉強に使ったら、それは当然学力が伸びるよね。というだけで、ゲームをしてるから頭が悪くなるというのは違うと思いますね。
ーー小幡さんとはこれから、ゲーム、という軸で取材をしたり、記事を書いていこうと計画しています。どんな方向性を考えていますか?
小幡:先ほども話がでましたが、「ゲーム=悪」みたいなイメージはちょっと違うなと思っていて。「なるほど。ゲームってこんな面もあるんだな」みたいな感じで、ゲームのいいところをもっと知ってもらいたいですね。
ぼくも伝えたい話がまだまだありますし、ゲームをいろんな形で活かしてる方って他にもたくさんいらっしゃるので、その方たちにインタビューしたりとか、「ゲームってこんな形で、生活や仕事に活きるんだよ!」みたいなことが伝えられる連載にしたいです。
ーー楽しみですね。ゲームはただの遊びではなく、社会にアプローチする一つの方法なのだと思います。教育や人材育成、ワークショップのようなコミュニティ形成、そしてゲームを通じた社会的インパクトを目指す、Game for CHANGE なんていう団体もありますし(*記事化予定です)、ゲームを通した社会との関わりについて追いかけていきましょう。よろしくおねがいします!
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