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#経営・組織論

最初のお客さんはどんなヒト? 給料は? 人材の育成はどうしてる? 社会起業家のホンネとシッパイをぶっちゃけて聞いてみた②

2018.07.02 315view 

第一回も好評だった、事業の裏側ぶっちゃけナイト。

素晴らしい事業内容や成功体験だけが語られがちな起業家にも、その裏でたくさんの失敗や裏側で密かに工夫している点がある。今、事業や活動を行っている起業家にとっては、そんなリアルな話こそが参考になるのでは…!? 普段はなかなか話せない、失敗談や、ヒトモノカネの話までを語りつくしてもらう会、事業の裏側ぶっちゃけナイトVol.2が開催されました。今回のゲストは、スリール株式会社の堀江さんと、キズキグループの安田さんです。

キズキ安田さん(右)とスリール堀江さん(左)

キズキ安田さん(右)とスリール堀江さん(左)

キズキ 安田祐輔(やすだ・ゆうすけ) さん

・キズキ代表安田祐輔さんプロフィール:

983年横浜生まれ。不登校・中退・ひきこもり・うつ・発達障害・再受験など、もう一度勉強したい人のための個別指導塾「キズキ共育塾」などを経営するキズキグループ(株式会社キズキ/NPO法人キズキ)代表。発達障害によるいじめ、一家離散、暴走族のパシリ生活などを経て、偏差値30からICU(国際基督教大学)教養学部国際関係学科入学。卒業後、大手商社を経て2011年に「キズキ共育塾」開塾。多くの講師が挫折経験をもち、生徒の心によりそう指導が評判を呼び、全国から様々な理由で学校に行けない若者やその親から問い合わせが殺到、多くのメディアに取り上げられる。2018年現在、全国に5校(代々木・池袋・秋葉原・武蔵小杉・大阪)。外出困難者のためにスカイプ授業なども展開。また、中退予防のための大学への講師派遣・研修、貧困家庭の子どもの学習支援プロジェクトなども立ち上げ、多岐にわたり若者を取り巻く社会問題を解決する活動をおこなう。2010年度横浜社会起業塾生。

・キズキグループ:

「何度でもやり直せる社会をつくる」の理念のもと、不登校やひきこもりの方の学習支援を行うキズキ共育塾、大手専門学校と提携した中退予防事業など、困難を抱える方のための様々な事業を行っている。株式会社キズキとNPO法人キズキの2つの法人があり、「ビジネスで解決できる」課題のうち、学習教室事業(キズキ共育塾)、中退予防事業、その他委託事業は株式会社で。「ビジネスで解決できない」課題のうち奨学金事業、スタディクーポン事業、少年院支援事業はNPO法人で事業を行っている。。

スリール株式会社 堀江敦子(ほりえ・あつこ)さん

・堀江敦子さんプロフィール:

日本女子大学社会福祉学科卒業。大手 IT 企業勤務を経て 25 歳で起業。「働くこと」、「家庭を築くこと」をリアルに学ぶ「ワーク&ライフ・インターン」の事業を展開。経済産業省「第5回キャリア教育アワード優秀賞」を受賞。現在は、“子育てを知るとキャリアが拓ける”をコンセプトに、若手女子向け・復職社員向け・また、管理職研修の一環として、リクルート、大阪ガス、京都府など企業や行政向けに人材育成事業を展開している。2013 年日経 WOMAN「次世代ガール 25 人」に選出。2015 年日経ビジネス「チェンジメーカー10」にも選出。内閣府「男女共同参画会議専門委員」、厚生労働省「イクメンプロジェクト」や「ぶんきょうハッピーベイビー応援団」など複数行政委員を兼任。2010年度花王社会起業塾生。

・スリール株式会社:

「自分らしいワーク&ライフの実現」をめざして、体験の場であるインターンシップと座学のセミナーを実施。ワーク&ライフ講座事業では、子育てやコミュニケーションの基礎を学びながら、自分自身の仕事や子育てについて考え、体験していく講座やワークショップ、イベントを開催。ワーク&ライフ・インターン事業では、学生を対象に4ヶ月間の家庭内インターンシップを通して仕事と子育ての両立を体感してもらうキャリア教育を行っている。

Q:創業して最初のお客さんは?

司会:米田(ETIC.社会起業塾担当コーディネーター):早速ですがまずお聞きしたいのは、起業の初期、起ち上げ時のことです。最初のお客さんのこと、またその後の展開について教えてください。

安田:最近出した本に詳しく書いてあるんですが(笑)、起業した当初は、塾の生徒は全く集まりませんでした。半年たっても誰も来なくて、「自分がやりたかったことは、ほんとうは社会に求められていないのではないか」と思いはじめ、胃がキリキリする毎日で。人間ってそうなるとなんでもできるもので、ETIC.経由で大学生のインターンが来てくれたので、「大学生が塾をつくった」ということにして、メディアに電話をかけまくりました。取材をしてもらえませんかと。新聞2社が取材をしてくれまして、そのおかげで最初のお客さんが数人来てくれた。そこでお話をじっくり聞き、どんなニーズがあるかを把握し、そこからブラッシュアップしていきました。一度お客さんができると、そこからニーズがわかるようになるので後はそんなに大変ではなかったです。お客さんとなる人たちにアプローチするには、WEBに力をいれればいいことがわかったので、サイトの内容をどんどん変えていきました。最初は恥を捨ててやることですね(笑)。

安田さんが2018年4月に出版した『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由 』

安田さんが2018年4月に出版した『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由 』

堀江:1年目は「身の回りから進めていく」スタイルで、知り合いの子どもの誕生会に行って紹介してもらったり、公園にいるお母さんに声をかけていったり、そんなことをしていました(笑)B to Cの場合は口コミで結構広がりますね。子育て家庭には、子どもを預けたいというニーズはもともとあるんですよ。ただ、子どもを預けることに罪悪感がある方もとても多いです。その際に学生がインターンとしてお預かりに入ると、お兄さんお姉さんとの関わりが嬉しくて子ども達が喜んでくれます。受け入れてくれた家庭は、家族が増えていくように感じ、喜んでくれる。それが口コミで広がっていった、というのが最初のお客さんの広がり方ですね。

企業のお客さまは、最初は大阪ガス様でした。女性活躍の施策はもう既に数多く実施されていたのですが、なかなか成果が上がらなく悩まれていた際に、知人の方から弊社へのご紹介がありました。初年度からプログラムを実施していただき、圧倒的な成果が出たので、その後も5年間継続していただいてます。また、その様な口コミから堀場製作所様も実施をしていただきました。こちらのプログラムの最終報告会にて、20社ほどの企業や行政の人事などの担当者が参加してくださり、この実績を見ていただきました。そうすると、京都府の担当者の方が「これまで見てきたプログラムと全然違う、すごい効果がある」と感動いただき、導入が決定しました。

やはり、新しいプログラムなので、特に最初は「協働で実施する」というスタンスで、予算を取っていただけない場合もありました。ただ、そこで圧倒的な成果を出すことで次に繋がってきました。大学の講演会についても、起業当初はなんとか頼み込んで実施させていただいてました。しかし、参加者アンケートでほぼ100%の満足度を出すことで次回も依頼をされたりと、来たチャンスは最大に成果を出して活かすことを心がけてます。

白書づくり、営業について

(会場からの質問)スリールさんは、両立不安白書、というものを出されましたが、反響はどうでしたか?

堀江:作るのは大変でした(笑)。”両立不安”という社会課題を可視化するのが白書の目的でした。女性が「子育てを機に仕事を辞める選択をする」のは、個人の価値観の問題だと思われています。しかしながら実際は、本人の意志だけではなく社会からの期待や声によって選択しているという事実を、データを踏まえて説明し、社会的な問題だと定義しました。昨年の9月にリリースして、いろいろなメディアに紹介してもらったり、テレビの番組でデータを使ってもらったり。それをきっかけにして、モヤモヤしていた女性たちが「これだ!」って思ってくれて、拡散してくれています。じわじわ来ているなという感じです。

両立不安白書

両立不安白書

企業営業では、「なぜ御社の施策が刺さっていないのか、それは裏の原因はこれですよ」というのをデータをつかって示す。そういう場面で白書を使っています。見えない課題に取り組んでいる人には、潜在的にあるものを可視化して数値化することが、社会課題の解決において重要だと考えています。

(会場からの質問)企業や行政へ営業にいくとき、どの立場でいくんでしょうか。買ってくださいなのか、いいことしませんか、なのか。

堀江:営業は実は最近ようやくはじめたところなんです。まずは事業を形にしていくことを先にやってきました。この事業は、本気で変えたいと考えている相手としかできないので、いろいろなツテを辿ってやっていました。ようやく形ができたので、いまウェブマーケティングなどを使いながら営業をしている。立場としては、人材育成の研修とコンサルとして、ですね。「今の御社の施策、成果出てないですよね」やり方を一緒に変えていきましょうという伴走者としてのアプローチで。

Q:ブランディングについて

(会場からの質問)私は子どもに向けた活動を行っている団体で法人化して5年めです。団体のリブランディングをしていきたいなと考えているんですが、ブランドや社会へのメッセージをどう変えていったらいいでしょうか。

堀江:キズキは”塾”っていうブランドを作っているよね。

安田:ブランディングについてはあまり意識したことがなくって。売上があがればいいかなと思ってる。

堀江:“塾”っていうのでまずわかりやすいもんね。”わかりやすい”というのがすごく大事だと思います。私たちも、これまで”目的”よりも”やりかた”のほうを話してしまっていたのは反省しているところで。「子育て体験をするところです」という”やりかた”を話していたんですが、結局それが何になるのかという目的をきちんと示せていなかった。「キャリア教育と女性活躍と働き方改革をやっています」とまず目的を示すように話しかたを変えました。

安田:誰にささるかが大事ですよね。

堀江:企業向けの営業なのか? 採用なのか? 個人のお客様なのか? 誰に伝えるかによって言い方を変えるというのは大事。スリールは人材育成の会社なんですが、以前は「ベビーシッター事業」と思われていた部分がありました。そのイメージを払拭するために経済産業省主催の「キャリア教育アワード」という賞をもらってお墨付きをもらうと、やっぱり見方が変わる。

理念やミッションは、カチッとしたものが決まるまでは、外向けには変えなくてもいいんじゃないかなと。スリールも、ウェブサイトずっと変えたい変えたいと思いながら、どう変えたらいいのかわからなくて5年位かかりました。

Q:組織が大きくなって経営課題は変化した?

(会場からの質問)組織が大きくなってくると、経営課題はどう変わってきていますか?

堀江:変わりました。いまの課題は稼ぐこと。これまでは、教育も変えたい、行政も変えたい、企業も変えたい、でもどこから変えたらいいのかわからなかったので、とりあえずいろいろなところに当たって行って。ようやく響くところがわかってきたのが今(笑)。イメージしていたカタチが全部できて、そのやりかたもわかったので、あとは広げるだけ。今までは対象がアーリーアダプターだけだったんですが、マジョリティに届ける段階に進もうとしています。そうしないと世の中が変わらないので、今はスケールアップというのが課題に変わりました。

安田:現場レベルだともうちょっと利益率をあげなきゃいけない、というところで変わってきましたね。最初の4-5年は借り入れなしで10%くらいの利益があったんですが、いまは人も増えて投資もかさんで、利益率はなかなか上がらない。そこが今一番悩んでいるところです。

あとはオペレーションのバランスが難しいですね。オペレーションをきつくすればするほど仕事へのやりがいがなくなり、離職率も高くなっていって採用コストもかかる。

ただキズキ僕からのは権限委譲が終わっていて、塾の事業については僕は毎月の数字を見るくらいでほとんどタッチしていないんです。

将来的なことでは、投資を入れて上場をしたいのか、そうなると政策提言のほうは力入れる時間はなくなるし、これからどこに行きたいのか、というところは考えています。

安田さん

キズキ 安田さん

Q:給料について

(会場からの質問)起業するときに想定していた給料と、実際にいま稼いでいる給料と、どのくらいズレがありますか?

 

堀江:安田くんは給料については最初から大事にしていたよね。(*編集部注:お二人は2010年度社会起業塾プログラムの同期です)

安田:大事にしてた。最低でもこれくらいは貰えないとイヤ、というラインがあって、それは、新卒4か月で辞めた前の会社に今も在籍していたらもらえた額の8割、それが貰えなければ辞める、というモチベーションでやっています。自分のプロフィールとかまで社会にさらけ出してるんだし、それくらいもらえなきゃ、と思ってやってました。創業当初とか、合コンとかでも相手にされないですしね(笑)。

(一同笑)

堀江:わたしはそこはあんまり考えてなかった(笑)。1人の時は自分が限界まで働けばいいやと思ってたけど、チームができてくるとメンバーに苦しい思いをさせたくない、というのが原動力になってきましたね。給与水準はまだまだ低いと思っています。想いを持って、給料がスリールよりもいいところから来てくれているので、頑張ってあげていきたいと思っています。

安田:自分だけが稼ごうと思えば、企業のコンサルティングなんかをやれば稼げちゃう。苦しんで起業をするとそれくらいのスキルはついて、フリーで食えるくらいにはなりますね。だけど社員の給料が低いのは嫌ですね。そこをあげるためにも、事業の拡大は必要を思っています。

Q:採用・育成の基準は?

(会場からの質問)採用・育成についてお聞きします。成長にともなって、事業も拡大しなくちゃいけない。同時に人の育成もしなくちゃいけない。というところで、人材育成をどうしたらいいのかがボトルネックになっています。うちに最近入っているのは社会人1~2年目のメンバーなんですが、若手を採用して育成するのがいいのか、それとも経験者採用なのか。

 

堀江:スリールの場合は対峙する相手が企業の人だったりもするので、採用にあたっては必ず3年以上の企業経験が必要だと考えています。

安田:キズキの場合は逆で、会社経験のある人だと仕事の型がついてしまっているのでやりにくい時もあります。採用については、その人の能力よりもカルチャーフィットを重視しています。能力はあとからついてくるけれども、カルチャーのズレは変えられないという考えです。ここは会社によって違うと思いますけれども。カルチャーを具体的に表すために6つの行動規範というのも作っています。

あとは経営者自身のキャラクターもありますよね。堀江さんはいろいろな人となかよくできると思いますが、僕はそうでもない(笑)。自分とある程度合う人とやっていかないと後で揉めてしまったりする。だからカルチャーフィットを重視しているというのもあります。そのために採用基準もけっこうしっかり作っています。

堀江:採用基準があるのはいいよね。スリールはこれまでほとんど感覚でやってきていて、面談した社員3人がOKって言ったら採用!みたいな(笑)。募集のかけかたも、今までは自社媒体でしか行ってなかったのですが、事業も拡大を考えるフェーズになってもう少し広い層に見てほしいと思ったので、DRIVEキャリア(求人サイト)を使うことにしました。

あと、いきなり採用じゃなくてプロボノはおすすめです。どういう人が欲しくて、どういうアウトプットが欲しいのか。それがわかれば、プロボノ経由で人は来ると思います。

安田:どういう人が欲しいのかでいうと、募集要項は大事ですね。DRIVEで求人を出したときにも何度も修正しました。あと採用に関しては、株式会社にしたことによるメリットもあります。例えば、1500万円くらいの給与の人材を、800万円の給与に株をストック・オプションとして渡すことで採用できる、ということも可能だと思っています。

ただ、WEB人材については採用はあまりできていなくて、中で育てている。それはなぜかというと、いいWEB人材は、スキルを学べるスタートアップに流れていくから。エンジニアの人たちはお互いに技術を学び合いたいというのが強いので、だれも教えてくれない環境に若手がポンと飛び込むというのはなかなか厳しいんだと思います。

Q:ウェブマーケティングの取り組みについては?

(会場からの質問)ウェブマーケティングについて、どんな取り組みをしているのか教えてください

安田:ウェブマーケティングはとても重視しています。中退・不登校経験者の支援ということで言うと、どうしても支援の現場に目が行きがちなんですが、それよりもまず彼らが支援の現場に来ることが難しいわけです。高校をやめて引きこもりになり、塾にも行ってみたけれどもやっぱりやめて、家のベッドでスマホを見ている、そういった子たちが支援の対象になるのですが、スマホでキズキの存在を見て、そして来てもらう、ということが大事。そういう意味で徹底的にマーケティングをしました。

制作は、インターン生と3日間ひたすらWEBをつくることに没頭したり、当時楽天にいたエンジニアの方にプロボノ的に関わってもらったり、サービスグラントさん経由で電通の方に来てもらったりと改修していくうちにだんだんデータがたまっていって、「この文言は顧客に響かない」といった骨格ができていった。電通の方には、「学習とメンタルをセットで支援します」というキャッチコピーを作っていただいて、「あ、これだ!」となった。両方支援できるところがキズキの強みだ、っていうことがはっきりして、それをWEBでどんどん展開していきました。

キズキグループのウェブサイト

キズキグループのウェブサイト

堀江:NPOの世界ではSEOやWEBマーケティングをあまりやってなかったりするところも多くて、スリールはようやくそれに取り掛かるという段階です。どっちかというと足で稼ぐタイプなので(笑)。

安田:タイプによりますね。僕の場合は人前に出るのがイヤなので、あんまり営業をしたくない。そうなるとWEBマーケしかない(笑)。堀江さんは最初から初めからプレゼンがうまくて、社会起業塾の同期もそうで、これは敵わないな、と。いかに地道な作業で勝てるか考えました(笑)。

堀江:なるほどね! といいつつ最終的にはWEBも営業もどちらもやらなくちゃいけないんだけどね(笑)。

安田:そう! 結局どっちもやらなくちゃいけないんだけど、やっていくと意外と苦手意識も消えていくし、組織で他にできる人が出てくることもあるよね。

Q:やる仕事、やらない仕事の判断は?

(会場からの質問)どういう基準で仕事を受けたり受けなかったりするか。ビジョンにつながる仕事の中でも、目の前の困っている人に対応する仕事もあるし、もっと長期的な視点のものもあると思うし、儲かるものもそうでないものもある。時間もお金も限られている中で、どう判断しているのか?

安田:僕の場合は一つは、競合がいないことしかやりたくないんです。他にやってくれている人がいるところをやっても意味がないと思うのでやらない。儲かるかどうかも基準ではないですね。「儲からないことは「儲かるように変えたい」と考えるので、「やらない」とはならないです。

あとは、今は儲からないからできないけれどあと5年後にはできるかな、というようなことはあります。貧困世帯向けのスタディクーポンについては、昔からずっとやろうと思っていて、でもまだ会社に余裕がなくて時期が来ていないなという感じでしたが、やっと去年くらいにタイミングが来た。いつかやろうと考えているものは頭の中にリストとしてありますね。

堀江:基本的にミッションに繋がることしかやらない。ミッションで稼ぐ、ということを貫く。でも初期は自分がわくわくすることはなんでもやってました(笑)。

安田:それすごいわかる。やらないほうがいいんだよなあ…。

(一同笑)

堀江:うん(笑)。事業が進むとともに、会社でやることと自分でやることは分けるようになりました。会社でやることは、会社で決めた基本的な計画があるから、それに従う。それをはみ出すことで、自分がワクワクしたり、会社の成長にぜったい繋がると思うようなことは、自分でプライベートの時間にこっそりやったりする(笑)。

安田:起業する人はだいたいやりたいことがたくさんある人だから、ミッションに沿ったこと以外はやらない、とか決めたほうがいいかもしれない。ミッションに沿っていてもお金にならないとか成長に繋がらないものだったら、会社の時間ではなくて個人の時間にやる。まぁ会社と個人の時間の分かれ方もよくわからないんですが、月300時間くらい働いてるから50時間くらいは好きなことやってもいいかな、みたいな(笑)

堀江:価値が出せるか、お金になるのか、わからないうちはとにかく全部やってみて、とにかくやり切れば次に繋がると思う。予算がほとんどない案件とかでも、「絶対成功させましょうね!だから次はぜったい予算つくってくださいよ!決済者を次のMTGで呼んでください!」って引っ張って来年につなげたりしています(笑)。

安田:経営者までが完全に事業計画どおりにやっていると、2〜3年後に実を結ぶような新しいことって、できなくなっちゃうんですよ。社内でも誰もわからないし説明しても伝わらないんだけど、自分には感覚的にわかっていて、3年後にこうなるな、っていう芽が見えていることってある。それは個人の時間でやっていますね。

司会:米田やるやらないの基準だけでなく、会社としてやることと個人としてやることを分けてそれぞれ考えている。経営者ならではの仕事の考え方で、参考になりました。

では最後にメッセージをいただけますか。

安田:社会性の高いことをしている事業というのは、あんまり儲からないことが多い。でもそのぶん社会に利用できるリソースはたくさんあって、活用しながらやると意外と何とかなると思います。プロボノだったりETIC.の社会起業塾のようなプログラムなど、どんどん利用してやるといい。

あと、僕も最初は「起業家なら人前に出なきゃいけないんじゃないか」「給与を多くもらっちゃいけないんじゃないか」と思ったりしたけど、自分のスタイルでやれた方がパフォーマンスをあげられると思います。今日の話も、こんなやり方あるんだ、と参考に聞いてもらいつつ、自分に合うスタイルを大事にしてほしいですね。

bu-ho

堀江:最初は「お金よりもまずはミッション!」という感じでやっていたのであえて言うんですが、儲けていない事業はだれも幸せにしません。最初から、”お金、大事”って言えていたらよかったなと、今は思いますね。お金の引き出し方っていうのはいろいろあって、それに自分がどれだけコミットしているか。陥りがちな、「完璧主義」、「お金をもらうことに罪悪感」、「投資ができない」という3つの悪癖があって、わたしはまさにそうでした。やりたいことにこだわるのはもちろんいいんだけれども、じゃあどうしたら、相手がお金を払いたいくらいいいもの、価値あるものにするのか。それをちゃんと考えて行動していくってことは、あらためて必要だなと思います。お金をもらうことは、価値をどれだけ提供しているかっていうことの裏返しだから。事業を広げて影響力を出すにはお金が必要だし、影響力が無いと社会は変わらない。関わる人を幸せにする事業、幸せにしたいお客さん、メンバー、そして自分を幸せにする事業をやりましょう。


安田さん、堀江さんから普段はなかなか聞くことができないお話を伺えた時間になりました。お二人ともOBで、事業の成長の途中で活用してくださった社会起業塾についてはこちらを御覧ください!

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