TOP > ワークスタイル > 子育てしながら「自由に働く」を選択できる社会へ。〜新しい働き方展レポート~

#ワークスタイル

子育てしながら「自由に働く」を選択できる社会へ。〜新しい働き方展レポート~

2018.12.11 

フルタイムか育児100%か。そんな二極の選択ではなく、子育てしながら “もっと自由に、自分らしい” 働き方が選択できる社会をつくろう。2018年11月8、9日の2日間、「超福祉展」のサテライト会場であるみずほ銀行渋谷支店にて「新しい働きかた展」が開かれました。「超福祉展」とは、福祉そのものに対する「心のバリア」を取り除こうと、2014年より毎年11月の1週間、渋谷ヒカリエを中心に開催を続けている展示会です。

 

「新しい働きかた展」では、渋谷エリアで子育て中の母が活躍しているNPO法人代官山ひまわりを中心に、Airbnbなど新しく自由な働き方を推進する企業や団体が集い、パネルトークやグループセッションを行いました。副業解禁を始め、働き方に大きな変化が訪れつつある昨今。子育てと仕事を両立し、いきいきと暮らすには、どんなやり方があるのでしょうか?当日の様子をレポートします。

 

仕事も、子育ても!子育て世代の不安とアンケート。

 

会場に入って最初に目に飛び込んできたのは、このパネル。育児と仕事を両立する上での、課題や不安に関するアンケートです。下記3つの選択肢のうち、あてはまるものの上位2つにシールを貼るようになっていました。

 

超福祉展1 この3つの選択肢は、代官山ひまわりさんが、別の機会で子育て世代を対象に行ったアンケートで、回答が多かったベスト3を用いています。「子どもと一緒にいなくて後悔しないか」「働き始めたら、家事にとれる時間が減り、部屋が散らかるのがストレス」など、子育て、家事がおろそかになるかもしれない、という不安と同じくらい、「情熱を傾けられる仕事ができるのか」という不安も多いことが分かります。

 

子育ても大事にしたいけれど、仕事のやりがいも実現したい。

 

女性の社会進出が進んだとは言え、まだまだ男性社会の日本。会場に足を運んでくださった参加者の声からも、アンケートからも、新旧のライフスタイルの価値観でゆらぐ、女性の姿が垣間見えました。

 

今は、正社員、パートなどの雇用形態を超え、もっと自分らしく、自由に、ワクワクできる働き方が世の中に広がっています。どんな取り組みがあるのかを知ってもらうことで、視野が広がるといいなと思っています」

代官山ひまわりの代表、森田さんからの挨拶で、会がスタートしていきました。

 

超福祉展2

さまざまな、自分らしい“働くカタチ”

パネルトークでは、各団体の活動紹介と共に、話し手自身のキャリアについても話が盛り上がりました。話し手の皆様は、大手企業からNPO団体への転職、会社員からの起業、専業主婦からのボランティア・・・など、仕事の形も個人のバックグラウンドも多種多様でした。

 

子どもを産んだら興味関心がガラっと変わり、今までの仕事に興味をもてなくなってしまったんですね。子どもと一緒に過ごす時間の少なさ以上に、その少ない時間さえ笑顔になれない自分が嫌でした。子どもたちから『仕事つまらないの?』と質問を受け、良い親の背中を見せるためにも、自分が納得できる仕事に転職しました。」

「妊娠した時に、周りの人に『ごめんなさい』と謝りながら、仕事をする自分が全然想像できなかったんですね。でも、キャリアも欲しいし、子どもと関わる時間も作りたい。だから、友だちと起業することにしました。」

「専業主婦だったのですが、子どもとの関係が上手くいかなくなり、自分のペースで仕事を始めてみました。今は、親子関係も良好です。」

「3人の子どもを育てながら、Airbnbの体験ホストをさせて頂いています。外国人観光客の方に自宅の一室で茶道体験を提供してまして、4年間で400人くらいの方を受け入れさせて頂きました。」

 

また、子育て世代ではないですが、会場には80代の女性の方もいらっしゃっていました。Airbnbのホストをされていて、自宅の一室を外国人観光客の方に貸し出されています。

「私は、英語もメールもできません。でも、Airbnbのホスト、できるんですよ。楽しいですよ。みんな色々考える前に、まずやってみたらいいと思うんです

 

人生の大先輩に、「挑戦してみなさいよ!」と励まされる若輩者の私たち・・・!実は、私たちが思っているよりも、もっともっと自由な働き方ができる機会があふれていることを、個々の体験談が伝えてくれたように思います。

超福祉展3

 

新しい働き方を支援する活動、団体について

もし、「新しい働き方」に興味があり、一歩踏み出したいと思っていらっしゃる方がいましたら、今回のイベントに登壇した、こちらの団体にアクセスしてみると、ヒントが見えるかもしれません。どの団体も、あなたらしい働き方を応援しています。

子育て中のママ達が、チームで助け合いながら働くNPO

渋谷エリアで子育て世代の女性が集い(2018年11月現在170人)、新しい「働くカタチ」を発信しています。中でも力を入れているのがLoco-working事業です。Loco-workingとは、「Loco(地元)+Coworking(コワーキング)」。“暮らす”と“働く”が愛着のある場所でつながる、新しい働き方のこと。具体的には、一つの仕事をチームで請け負い、子どもの体調不良や一人では不安に感じることなどの課題を共有し、チームで助け合いながら仕事をしています。案件ごとにチームとクライアントの間にコーディネーターが入り、スケジュールを管理して責任もって仕事を完成させています。フルタイムか育児100%の2極ではなく、その間の選択肢で子育てしながら仕事をし、社会のつながりを持ち続ける、好きや得意を活かせる“働き方”をつくりだしています。

 

子育て中のママによるプロボノ=ママボノで再び働きたいママを応援

社会課題を前に、互いの立場や違いを尊重しながら当たり前のように協働できる社会。サービスグラントは、日本を、世界を、社会参加先進国にすることをめざしてプロボノの可能性に挑戦しています。プロボノとは、仕事で培った経験・スキルを活かした社会貢献活動のこと。サービスグラントでは、子育て中のママによるプロボノ=ママボノも展開しています。育休復帰や再就職など、再び仕事への一歩を踏み出すママのための期間限定プログラムで、仕事の経験や、子育ての経験を活かし、ママの力を求めているNPOや地域団体などの活動支援(ボランティア)を行っています。育児モードから仕事モードへの橋渡しにも効果ありです。

 

地域の子育て世代と企業がつながり、頼りあえる社会をつくるための仕組みを提供

2013年より、送迎・託児を頼り合う仕組み「子育てシェア」を展開。「子育てシェア」とは、地域の友だちや知り合い同士で子どもの預かりや習い事の送迎などを頼り合うことで、子育てをシェアするインターネットサービスです。1回500円から700円でサービスを受けられ、サービスを受けた人がサービスを提供した人へと直接支払うのが特徴。登録料は無料で、会員数は約5万人(2017年6月末日時点)。2018年からは、この「子育てシェア」のノウハウを活かし、どこの地域でも、そこにいる人と人、人と企業が上手につながり頼りあえる社会をつくるための仕組みやツールを全国のみなさまに提供することを目指して、活動しています。

 

「自分の人生に、幸福感を持てる人」を増やすため、女性の起業・多様な働き方を支援

-人間らしく豊かな社会を、次世代に-をビジョンに掲げ、「自分の人生に、幸福感を持てる人」を増やすために、事業を展開しています。主な仕事は、生活を支える分野(衣食住・医療・福祉・教育・エネルギーなど)の課題を抽出して、提案をして解決をする業務改善コンサルティング事業、バックオフィスのアウトソーシング事業の2つ。個人向けには、自分の人生を自分でデザインしていくことのお手伝いもしています。また、女性にとって、 “働く”と “暮らす”は、密接につながっていて分けて考えられるものではない、という意識から「東日暮里長屋プロジェクト」も発足。フリーランスのシングルマザーの方や地域の学生などが集うシェアハウスを運営しています。

 

「働き方革命」の先進NPO。多様なスタッフが活躍する社会問題解決集団

フローレンスは、「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指す、社会問題解決集団です。病児保育問題、待機児童問題、障害児保育問題、孤育て問題、働き方問題など、親子の笑顔を妨げる社会問題に焦点をあて、活動しています。社員は600人を超え、女性社員も多数活躍中。フリーアドレス制のオフィス、週1回の在宅勤務を推奨するなど数々の業務効率改善を推進し、スタッフの平均残業時間 15分/日を実現。多様な働き方に対応した改善活動が実を結び「働きがいのある会社」65年連続で20位以内にランクインしています。

 

自宅を活用した新しい働き方を提案するシェアリングエコノミー企業

Airbnbとは、『空いてる部屋や家を貸したい人』と『借りたい人』とのマッチングサイトで、シェアリングエコノミーサービスの一つ。世界192カ国の33,000の都市で80万以上の宿を提供しています。「宿」だけでなく、「体験」も提供可能。日本であれば、茶道や書道など、ローカルな「体験」をゲストに提供する事もできます。

金額も日程もホスト(サービスを提供する人)が裁量をもって決定できるため、子育て世代や高齢者など、時間や体力に制約がある方でも参画しやすく、新しい働き方の一つとなっています。

 

やりがいと志で仕事を選ぶ求人情報サイト「DRIVEメディア」を提供

思いをもった人、挑戦する人を応援する団体です。「人をつくる、社会をつくる、日本をつくる」をミッションに掲げ、約20年に渡り、アントレプレナーシップ(起業家精神)溢れる人材の育成に取り組んできました。輩出した起業家数は1,270名に、参画した若者たちは7,600名にのぼります(2018年現在)

ETIC.の周りに集う、挑戦のコミュニティを可視化し、「思い」をもった人と事業者がマッチングすることを目指して、求人情報サイト「DRIVEキャリア」がスタート。子育てや介護など、時間に制約がある人でも、自律的に、やりがいを持って働くことができる求人を集め、「理想の働き方をカスタマイズする」特集を展開中。

起業の現場や、変革の現場に挑む機会を通じ、人材と事業、双方の成長を支援しています。

DRIVEキャリア http://xs737720.xsrv.jp/career

理想の働き方

 

 

 

この記事に付けられたタグ

NPOで働く
この記事を書いたユーザー
アバター画像

DRIVE by ETIC.

DRIVEメディア編集部です。未来の兆しを示すアイデア・トレンドや起業家のインタビューなど、これからを創る人たちを後押しする記事を発信しています。 運営:NPO法人ETIC. ( https://www.etic.or.jp/ )