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誰でも町長になれてしまう!?江別市+札幌市厚別区=「江厚別町」【ローカルベンチャー最前線: 株式会社プリオンデ 山崎啓太郎さん(後編)】

2020.02.28 

江別市と(札幌市)厚別区を合体させたら面白い?2017年に「江厚別町」が誕生!?

グラフィックデザイナーとして、札幌を拠点に活躍する山崎氏は、クリエイティブな発想や技術によって、次の社会・未来を創ろうとする人たちが交流する「NoMaps」のロゴデザインなども手がけている。今回は、山崎氏の「ひとり働き方改革」に注目し、現在の働き方に至るまでの経緯についてインタビューを行った。

>前編はこちら

 

「えべつセカンドプロジェクト」の活動を通して、自身も江別に馴染み、たくさんの仲間と出会えたと振り返る山崎氏。ある日、そんな仲間たちと話題になったのが、江別市と隣接する札幌市厚別区のこと。

 

メチャクチャな話だが、驚くべきはその行動力だ。

 

「今回の言い出しっぺは”江厚別町”の町長なんですけど、今は本業の関係でベトナムに長期視察に行っています(※)。不在中は副町長である僕が、江厚別町のPR責任者。僕らは江厚別町という街を勝手に作って、“役所ごっこ”をしているので本が好きな人は図書館長に、農家さんは農業振興課長、中には地域おこし協力隊の方もいたり、ちょっと秘書っぽい人に秘書課長になってもらったり、人気ブロガーがブログ係長になったりしていて、完全に遊んでいます」。

※本業の日本語教師の仕事でベトナムに渡航中。

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江厚別町組織図

 

実際に町章をデザインしたり、名刺を作ったり。すでにどこまでが仕事で、どこからが遊びなのか、境界線は曖昧だが、とにかく楽しそうだ。

 

「”江厚別町”の町章デザインもつくりました。これは僕の中で一番熱くなるポイントなんですが、町章のデザインなんてする機会がないじゃないですか。だけど、勝手にまちを作っちゃえばできるんです(笑)。さらに町のマップも作って、勝手に『森林公園ヒルズ』と名付けてエリアの価値を高めようとしたり、浸透させるべく努めています。実際に森林公園付近は地価が上がっているので、文京台も一緒にあげようぜってことで一括りにしちゃいました」。

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江厚別町町章

 

必要性や要請に応じて作るのではなく、自分たちがやりたいことから逆算して、そのために今何ができかを考える。そしてとりあえず行動してみる。それこそ彼が江別を盛り上げるためのプロジェクトに向き合う、一貫した姿勢なのだろう。

 

「江別市は、札幌市厚別区と一緒になることで、地下鉄や競技場が手に入るんです。その代わり江別市は、厚別にはない農地を提供できます。厚別区民にはピンと来ていない江厚別町だと思いますが、それも含めて面白がっていますね。謎の住所を作ったり、グッズも作ってイベントで販売もしました。広報誌も普通のまちのものよりかっこよくしたいなと思って、表紙だけ作って“やってる感”を出しています」。

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表紙だけ作った「江厚別町」の広報誌

 

こうした活動が札幌市の景観事業の取り組みの題材として取り上げられたことをきっかけに、2017年には江厚別町が主体となって、新札幌の商業施設で「景観フェス」の開催を実現させた。この時は新聞など、各メディアで江厚別町が注目されたのだという。

無理のない範囲で、とことん楽しむ!僕は単なるデザイナーから「江別の山崎くん」へ。

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自身の活動をプレゼンシートにまとめて、わかりやすく、ドラマティックに語ってくれた山崎氏。

 

山崎氏から企画や取り組みの内容を聞けば聞くほどワクワクして、思わず「仲間に入れて」と手を挙げたくなる。きっとそんな風に彼に巻き込まれていった人は少なくないだろう。

 

「僕たちの活動に興味を持ってもらえるのは、うれしいですね。関わってくれる人が増えても、ただその人が好きなことをやっているというスタンスは変わらずにいきたいです。言い出しっぺは最後までやらなくてはいけないので、僕自身は気負わず、お金的にも無理のない範囲でやろうと思っています」。

 

とはいえ実際、活動費はどう捻出しているのか。

 

「将来的に利益を生みたいとかは、ちゃんと考えてないなあ。あんまり良くないんだろうけど(笑)」。そしてこう続ける。

「仕事とか売り上げとかを意識しちゃうと、一気に面白くなくなっちゃうんですね。それよりもこういった活動をする前は、単なるデザイナーだった僕が、”江別の山崎くんね”と覚えてもらえるようになって、その方がずっと価値があるなぁと。ただ楽しいことをって思ってやっているので、「ありがとう」「いいね」が増えてくるんです。そこで初めて頑張ってるからお仕事お願いしたいとか、いい人がいるから紹介するよ、みたいな流れになることはあります。そういったものは後から付いてくるのかもしれません」。

「ここは面白いまちだよ」と発信するのが僕の役目。グラフィックデザイナーとしてできることは全力で。

面白いことが大好きで、並外れた行動力も備えている。そして、どこかゆるい。でもそのゆるさこそ、彼の魅力なのだと思う。

 

今後のビジョンを尋ねても、「行き当たりばったりだからなぁ」と空を見上げる。「ビジョンがあるとなんとなくがんじがらめになって、何もできなくなるんですよね。その時に思いついたことをすぐやって、形にしていくというのが、僕らしいのかな」とやわらかな表情で語る山崎氏。

 

実際、とりあえず動いているうちに、あとでいろいろつながってくるというのが彼自身の実感としてあるのだという。ではあれば質問を変えて、「次にやりたいこと」を聞いてみると、今度はすぐに答えが返ってきた。

 

「江別市は札幌のベッドタウンって言われているんですよね。それを思いっきり肯定していきたいです。今、僕たちは”ふかふかのベッドタウン”をスローガンに、それをどうやったらPRできるかなと考えていて、芝生の上で寝ながら音楽を聴けるライブフェスとか、やれたらいいなと」。

 

本当に次から次によく新しいアイデアが思いつくものだと感心するばかりだが、「あんまりビジョンとか考えないのは、決めちゃうと真面目にやっちゃうので、そうなるとつまらなくなっちゃうから、その時その時に考えたい」と彼に気負いはない。

 

インタビュー前編はこちら

>> ローカルベンチャー最前線: 株式会社プリオンデ 山崎啓太郎さん(前編)

 

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ローカルベンチャーPROFILE

会社名:(株)プリオンデ

所在地:北海道江別市文京台46-11

設立年:1999年

事業内容:グラフィックデザイン・企画

(取材・文/市田愛子(Studio Mercato)、インタビュー撮影/伊藤衝)

この記事を書いたユーザー

市田愛子

市田愛子

ママ向けのファッション実用誌「Como」(主婦の友社)、フリーペーパー「オントナ」「さっぽろシティライフ」(札幌/道新サービスセンター)の編集部を経て、2015年に独立。編集ライターとして書籍・雑誌・WEB関連のコンテンツ制作に携わるほか、広告コピーのライティング&ディレクション、企業の広報・販促支援、イベントの企画・運営など幅広く活動。

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