はじめに、この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により影響を受けられたみなさまへ、心よりお見舞い申し上げます。また、今現在も対応にあたっていらっしゃるすべてのみなさまに感謝と敬意を表します。
日本全国、そして全世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。日本政府は4月7日、緊急事態宣言を発出し、同月16日には対象地域をこれまでの7都府県から全国に広げました。現在すべての国民はさらなる感染拡大を防止するため不要不急の外出や移動を自粛するよう求められています。
このような状況は経済活動にも影響が広がり、様々な業界が困難な状況に直面しています。地域の飲食業や観光業もそのひとつです。しかしそのような大変な中、みんなで頑張ろうと新しいプロジェクトに挑戦する方々がいらっしゃいます。今回はこの局面を打破すべく「#旅するおうち時間」というプロジェクトを新たに立ち上げられた、株式会社日添・日野正基さんにインタビューを実施しました。
「#旅するおうち時間」
https://hometime-to-travel.studio.design/
今年のゴールデンウィークはどこにも行かず、ご自宅で日々を過ごす方々が多くいらっしゃると予想される中、日野さんは「おうちにいながら、旅する気分を味わえる」体験を生み出そうと準備を進めていらっしゃいます。そんな日野さんに、プロジェクトの詳細や立ち上げの背景や思い、実現したいことなどについて語っていただきました。
聞き手:NPO法人ETIC.コーディネーター 保田亮太
日野正基さんプロフィール
1987年新潟県新潟市生まれ。大学在学中に中越地震の復興支援に携わったことをきっかけに、2009年、任意団体中越復興市民会議に参画。インターンシップ事業「にいがたイナカレッジ」や移住者発信メディア「移住女子」のプロデュース、地方での起業支援、移住に関する研究、集落の計画づくりを行う。2018年に熊本県球磨郡五木村に移住し株式会社日添を創業。
大変なときこそ、みんなで頑張りたい
ーーまずはじめに株式会社日添についてお伺いさせてください。
日野さん(以下敬称略):株式会社日添(ひぞえ)は、1,000人の村人が暮らす小さな村、熊本県球磨郡五木村(いつきむら)に2018年に設立した会社です。「活かす」「つなぐ」「つくる」「食べる」の4つの事業を柱に、地域活性やまちづくり、移住促進、人材育成、デザイン、飲食事業などを行なっています。そこに暮らす地域の人たちが、なんでもない日常のなかで「なんだか、しあわせだな」という瞬間をつくりだしていきたいと考えています。
たとえば地域の人のチカラや地域の資源を活かして、普段の暮らしのなかで普通にやっていることに着目し、視点を変え、サポートをしながら小さな仕事をつくり出しています。また地域の企業や事業者と学生をつないで事業を推進したり、地域や地域の企業の魅力を引き出して伝える取り組みを行なったり、五木村の食を伝え魅力を発信する拠点として観光客や地元の人たちが集えるカフェ「CAFÉみなもと」を昨年4月からオープンしたりしています。
ーー新しく立ち上げられるプロジェクト「#旅するおうち時間」とはどんなものなのでしょうか?
日野:「#旅するおうち時間」は、ゴールデンウィークの6日間、1日目は高知県四万十町、2日目は宮城県石巻市、3日目は三重県尾鷲市、4日目は熊本県五木村、5日目は石川県七尾市、6日目は山口県周防大島町から日替わりで、「おうち時間のおくりもの」をお届けするプロジェクトです。
たとえば、「おやつの時間」を楽しむための新茶と栗や芋のスイーツや、「おふろの時間」を贅沢にするためのヒノキの天然入浴木をお届けします。また「よるごはんの時間」では海産物をお送りするのですが、それだけではなく、おいしいお寿司の握り方や魚のさばき方もプロが動画で直伝します。
またおくりものが届いた日の夜には、おくり主の地域の人たちと話ができるライブ配信も行ないます。直接おくりものについて質問することができたり、地域のことを詳しく知ることもできます。まるで旅先の居酒屋さんで地元の方々とおしゃべりをする雰囲気をお楽しみいただけます。さらに風景にも触れることができるよう、地域の絶景写真もお送りします。
ーーこのプロジェクトが立ち上がった背景や思いについてお伺いさせてください。
日野:「CAFÉみなもと」の近くには日本一綺麗な川が流れていて、山の中で自然が楽しむことができ、カヤックやバンジージャンプなどアウトドア系のアクティビティも充実しております。通常であれば観光客のみなさんにお越しいただき賑わいがあるのですが、現在は新型コロナウイルス感染症の影響もありお客さんが少なくなってしまいました。2年目ということもあり大変な状況ですが、新たな試みとしてテイクアウトにチャレンジしたりする中、「#旅するおうち時間」のプロジェクトも立ち上げました。
本来ならば観光客のみなさんにお越しいただいて、地域の良さや魅力を知っていただく商売ですが、人の行動が制限されてしまっている今、現地を訪れなくても旅気分を味っていただけるものをつくりたいとおもいました。またみなさん家にいなきゃいけない時間が増え、時間を持て余してしまうであろう状況の中で、ただ単純に地域からものを送るだけではなく、時間の使い方もあわせて提案できたらと企画を考えていきました。
またプロジェクトを立ち上げる上での思いとして、うちを助けてくださいとは言いたくなかったんです。なぜなら飲食業や観光業だけではなく日本全体がこの新型コロナウイルスの影響で大変な状況に立たされているからです。このような大変な状況だからこそみんなで頑張りたいと、日頃からいつもお世話になっている各地のメンバーにお声かけし、今回6地域でコラボレーションすることになりました。
ゴールデンウィークのこの時期はまさに新茶の季節だそうです。
ヒノキの天然入浴木のほか、特別に晩酌のお供もついてきます。
魚料理に挑戦したい方には絶好のチャンスかもしれません。
おうちにいながら、旅する気分を味ってもらいたい
ーーゴールデンウィークの6日間で具体的にどのようなものが届くのでしょうか?
日野:さきほどご紹介した、おやつの時間・おふろの時間・よるごはんの時間のほかに、「あさごはんの時間」「ひるごはんの時間」「ほろよいの時間」もあります。
「あさごはんの時間」では素敵な一日をスタートさせるために、豆乳を使ったへルシーなホットケーキの材料や100%天然のハチミツをお届けします。「ひるごはんの時間」では里山里海の恵みを存分に味わえる農家のパスタ三種とパスタを茹でる時の天然塩を、「ほろよいの時間」ではワインがすすむおつまみ用に島のオイルサーディンやクラッカーやチーズに合う贅沢果実のジャムをお楽しみいただけます。
ーーおうち時間のおくりものやライブ配信、絶景写真の楽しみ方をお伺いさせてください。
日野:おうち時間のおくりものを満喫しながら、夜には地域や美味しいものの紹介をライブ配信で聞くことができます。ご購入いただいた方は双方向でコミュニケーションをとれますので地域の方々に直接質問やお話をして仲良くなっていただけます。また日替わりでお送りする絶景写真で、現地を訪れなくても地域の雰囲気をお楽しみいただけます。
普段だったら6日間でこの6地域を一気に旅行するのは難しいですが、このプロジェクトで、各地の旬なものや地域の方々とのコミュニケーション、そして素晴らしい風景を通じて、おうちにいながら旅する気分を味っていただきたいです。
ホットケーキのほか、紅茶などもお楽しみいただけます。
里山里海を感じる美味しいパスタランチを、簡単にご自宅で。
夜の優雅なひと時を演出するアイテムの詰め合わせ。
「#旅するおうち時間」を通じて、次の旅行も楽しみになる
ーー「#旅するおうち時間」でどのようなことを実現したいですか?
日野:おうちで旅する気分を十分に味っていただきつつ、ぜひ夜のライブ配信の際に各地域のメンバーと積極的に仲良くなっていただきたいです。なぜなら今後行動制限が緩和したあとの、みなさんの次の旅行がより一層充実したものになると考えているからです。
配信後も地域の方々とSNSでつながったりしていただければ、たとえば地元のおすすめスポットや地元の食材の美味しい食べ方なども聞くことができますし、なにより、旅行前にすでに旅先に知り合いがいるということが、旅行を楽しむ視点を変えてくれるとおもっています。
「#旅するおうち時間」を通じて、地域とご縁が生まれ、きっといつか行ける現地への旅も何倍も楽しくなるはずです。
ーー最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。
(※2020年04月22日現在、原稿を一部差し替えております)
日野:「#旅するおうち時間」が公開されてからたくさんの方にご好評いただき、おかげさまで当初予定しておりました限定100セットが完売し、現在もお問い合わせをいただいております。まずはプロジェクトメンバー一同、あらためまして心より感謝申し上げます。
またこのプロジェクトは、「少しでもたくさんの方におうち時間を楽しんでいただけたら」と思い始めさせていただきました。小さな6つの地域がおくり主ということもあり、生産できる数に限りがありますが、プロジェクトメンバーと事務局で議論を重ね、生産の限界までセットをつくり、お届けしようと考えました。そこで、当初設定しておりました4月22日(水)の締切を、27日(月)まで延長させていただくことにしました。ただし商品をお届けできる数の上限に早めに達した場合、締切を前倒しさせていただく可能性もございます。あらかじめご了承ください。
今回ご紹介した「おうち時間のおくりもの」はあくまで一部ですので、この記事をご覧になってもしご興味をお持ちくださった方がいらっしゃいましたら、「#旅するおうち時間」のWEBサイトにて詳細をご覧いただけると嬉しいです。
この局面をきっかけに時間のことについて深く考えるようになった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。時間の使い方を大切にしていきたいという思いもあり、このプロジェクトでは地域の旬なものをお届けしながら、時間の使い方の提案もさせていただきました。
ぜひゴールデンウィークのおうち時間で6地域のことを想像しながら、近い将来、実際にみなさんにお越しいただける日を、プロジェクトメンバー一同、心より楽しみにしております!
「#旅するおうち時間」
https://hometime-to-travel.studio.design/
インタビューをオンラインで実施した時の様子。日野さんはCAFÉみなもとからお繋ぎくださいました。(写真中央:日野さん、写真右上:著者)
ーーありがとうございました。「#旅するおうち時間」を心から応援しています!
【各地域のおくり主について】
5月1日(金)高知県四万十町
・一般社団法人いなかパイプ:https://inaka-pipe.net
・株式会社四万十ドラマ:http://shimanto-drama.jp
5月2日(土)宮城県石巻市
・一般社団法人フィッシャーマンジャパン:https://fishermanjapan.com
5月3日(日)三重県尾鷲市
・株式会社夢古道おわせ:http://yumekodo.jp
5月4日(月)熊本県五木村
・株式会社日添:https://hizoe.co.jp
5月5日(火)石川県七尾市
・株式会社御祓川:https://misogigawa.com
・能登スタイルストア:https://notostyle.shop-pro.jp
5月6日(水)山口県周防大島町
・瀬戸内ジャムズガーデン:https://www.jams-garden.com
※本記事の掲載情報は、インタビューを実施した2020年04月18日現在のものです。
※2020年04月22日現在、原稿を一部差し替えております。
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