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#経営・組織論

少数精鋭のソーシャルベンチャーが、人・モノ・金が限られる中で採用活動を成功させるには?【採用活動のポイント:NPO法人シブヤ大学】

2020.08.19 

DRIVEキャリアを通じて、採用に成功された求人企業・団体の採用担当者様にその秘訣をたずねる【採用活動のポイント】シリーズ。 今回、お話を伺うのは、まちのあらゆる場所を教室にして多様な授業を開催するNPO法人シブヤ大学。限られたリソースの中で、自社のカルチャーに合った優秀な人を採用するポイントを、代表理事の左京 泰明さんに伺いました。

 

左京さん丸抜き

左京 泰明さん

1979年福岡県生まれ。早稲田大学卒業後、住友商事株式会社に入社。2005年に退社後、特定非営利活動法人グリーンバードを経て、2006年9月、特定非営利活動法人シブヤ大学を設立、現在に至る。著書に『シブヤ大学の教科書』(シブヤ大学=編 講談社)、『働かないひと。』(弘文堂)がある。

 

※DRIVEキャリアでは、人材採用にお困りのNPOをサポートしています。

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タイトルは、ミッション+役割を書く。ほしい人材要件を明確にし、魅力が伝わる言葉になるまで磨く

 

DRIVEキャリアを通じて採用された大澤 悠季さん(27)は、代表理事の左京さんに継いで2代目のシブヤ大学学長となっています。メンバーの世代交代が課題になる団体も多い中で、シブヤ大学はどのようにそれを進められたのでしょうか。

 

「新しいシブヤ大学の体制をつくるプロジェクトは、10周年を迎えた2016年頃から行っていました。2019年に大澤さんが採用されたので約3年くらいですね。5名のメンバーであれこれ考えながら、『どんな人に来て欲しいか』などを話し合いました。

 

次世代を担うコアメンバーを募集すると言っても、大きな組織ではないので、多数を採用してその中からマネージメントを担う人を選んでいく、というプロセスがとれません。だから、1人、2人でいいので、ピンポイントでこちらが求める人材に出会っていかなきゃいけない。それが何より難しいことでした」

 

求める人材に出会うために、どのような工夫をされたのでしょうか。

 

「何度も採用活動をしてきたので、求人記事を出す度に、どのようなメッセージがよいか工夫を重ねました。2018年の春に自社サイトで募集した際のメッセージは、『2代目学長を募集します』と、次世代の経営者を募集していることをハッキリ伝えた記事だったんですね。DRIVEキャリアで2019年に求人を出した際のタイトルは、「渋谷の街をまるごとキャンパスに、学びあいの場をつくるプロデューサー募集」でした。

 

1.DRIVEキャリア求人ページ

2019年DRIVEキャリア掲載シブヤ大学様求人ページ

 

なぜ、メッセージを変えられたのでしょうか。

 

『団体のミッションと『担ってほしい役割』を書いて、こちらが求めている人物像が正しく伝わるように、というのを心掛けました。

 

具体的には、『学び合いの場をつくるというところはシブヤ大学のミッションにあたります。

もともと、生涯学習の文脈からシブヤ大学は始まったのですが、今は全国に姉妹校が増えて、まちづくりの役割も広がってきました。どんな社会的な価値に共感した人にシブヤ大学に来て欲しいだろう?と考えた時に、原点である「学び合いの場」を打ち出したいなと思ったんです。この言葉にビビっとくる人に来て欲しいと思いました。

 

もう1つ、『プロデューサーというのは、役割に当たります。単にスタッフとして参加できれば良いという事ではなく、一定の責任にコミットできる人に届けたいと思っていました。

 

授業を企画したり、誰かに教えたりという現場の活動のみならず、組織のことやお金のことを含め、事業を統括する仕事である事をイメージしてほしくて、『プロデューサー』という言葉を使いました

 

大澤さんは、シブヤ大学のホームページに掲載された「『2代目学長を募集します」』の求人も、DRIVEキャリアの求人も両方見ていたそう。

 

「『2代目学長を募集します』の求人を見た時は、『何、この怖い求人』と思っていました」と、大澤さん。どんな言葉を使うかで、読み手の受け取る印象が全く違うのですね。勉強になります。

 

2.Zoomキャプチャ

オンライン取材中の様子

 

面談は約2時間。過去の生きざまに、その人の価値観がにじみ出る

 

NPOやソーシャルセクターは、ミッションへの共感が肝だと聞きます。次のリーダーを選ぶとなれば、なおさらです。シブヤ大学では、どのようにして、自分たちの目指す方向に合う人を見極めていたのでしょうか。

 

「面接の前に書類選考をするのですが、履歴書の他に『志望理由書』と『あなたの考える理想の学び場の姿についての作文』を課題として出してもらっています。

 

我々の面接は他の団体と比較しても時間が長いと思います。だいたい2時間くらい。定型的な質問もしますが、その人となりを知るために、その方のこれまでのキャリア、人生について聞きます。どのような経験をして、その時何を感じて、考えて、その次のステージを選ばれてきたのか。

 

未来のことは色んな想いや想像で、膨らませて話すことができると思うんですけど、過去は、その方自身の変えられない軌跡ですからね。見栄もはれないし、嘘もつけません。その中に人柄、考え方、価値観などが出てくるんじゃないかと思っています。割とさかのぼって今までに至る経験を聞いていますね」

 

このようなやり方に至った背景には、左京さんの日頃からの人との向き合い方があるそう。

 

「シブヤ大学でたくさんのボランティアスタッフの方と関わりながら一緒に授業やイベントをつくっていくんですが、ボランティアスタッフ一人ひとりのことを理解するために、その人が過去にどういう事をしてきたのか、ということを日頃の会話の中で聞いていると思います」

 

3.スタッフ:2019年忘年会

シブヤ大学2019年忘年会でのスタッフ集合写真

 

DRIVEキャリアを通じて応募があったのは20人。最終的に大澤さんお一人を採用された訳ですが、決め手は何だったのでしょうか。

 

「特定のエピソードというよりも、これまでの人生の話を聞いていて、周りに流されることなく自分自身で考えて決断、実行してきた方だなという印象がありました。シブヤ大学の場合、リーダーを求めていましたので、自分の信念や想いによって動いていけるのはとても重要なことでした。

 

面接の瞬間に『この人が来てくれたらいいな』と思ったんですが、大澤さんは他社さんも受けていたので選択肢はシブヤ大学だけではなかったんですね。チームのメンバーからもお尻を叩かれて、私から大澤さんに『うちに来て欲しい』と必死に電話しました」

 

大澤さんは当時を振り返って「そんな事になっていたとは、気づきませんでした」と言います。「メールでは『大澤さんの意志を尊重します』のような淡々とした感じでした」と、大澤さん。

 

大澤さんは沖縄在住でしたので面接はすべて遠隔。熱意を伝えるのも難しいことが想像できます。

 

「もう少し採用期間が長ければ、こちらから沖縄に押しかけて行ったと思います」と話される左京さんに、熱意をきちんと伝える大切さを感じました。

求人メディアでの掲載が、「未知なる出会い」を運ぶ。広く呼びかけた先に、共に働く仲間がいた

 

世の中には、たくさんの求人メディアがありますが、左京さんは、なぜDRIVEキャリアを選ばれたのでしょうか。

 

「母体であるNPO法人ETIC.(エティック)を中心とした、『社会のために仕事をしたい』と思っている人たちに、メッセージが届きやすいことに魅力を感じました。実際に、何かしらの社会的な価値を感じて、求人に応募してくる人が多かったように思います

 

自社ホームページでも募集されていらっしゃいましたが、お金を払ってDRIVEキャリアを使うメリットは何だったのでしょうか。

 

「実は、DRIVEキャリア経由で大澤さんを採用したのと同時に、もう一人採用した方がいました。その方は、学生時代からシブヤ大学でインターンをしていたんですね。社会に出て数年は会っていない時期もあったんですけど、タイミングが合ってこちらから声をかけました。お互いのことを長く知っているので話しやすいですし、言いにくいことも言い合える信頼関係もあります。

 

でも、これは既知の関係の中で生み出された採用です。

 

今は、大澤さんと一緒に仕事をする日常が当たり前になっていますが、去年の途中まで、彼女は沖縄にいました。DRIVEキャリアがなければ出会うことができなかったってことですよね。新しい出会いの可能性があったっていうことは非常に重要なことだなと思います

 

左京さんのお話を聞き、小さな組織の採用活動は、「出会いたい人に出会う」ための工夫がとても大切なのだと思いました。求人記事は広く読まれるのも大事ですが、届いて欲しい1人にきちんと届くことが重要です。そのためには、自分たちがどういう人に出会いたいのかをしっかり言語化すること。また、「マッチする一人」を粘り強く探していくことの大切さを改めて学ばせていただきました。

 

沖縄から移住と転職を同時に行って、シブヤ大学に入職された大澤さんの記事はこちらです。転職者目線での体験談もぜひお読みください。

 


 

<お知らせ>

14周年を迎える9月に、「リニューアル特別授業」といった形で5つの特別授業(オンライン)を実施します。興味のある方は、ぜひこちらのページをご覧ください。

 

 

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