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すべての子ども、その家族が幸せに暮らせる世界を目指して。「みてね基金」運営の中の人に聞く(ミクシィ編)

2020.12.24 

子どもやその家族のために活動をする団体の支援を目的に、2020年4月13日に設立された「みてね基金」。株式会社ミクシィが運営する、家族のための写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」の社会貢献プロジェクトです。「みてね」を通じて、すべての子どもやその家族が幸せに暮らせる世界を目指したいという想いが込められています。

 

原資は、株式会社ミクシィの会長であり、「みてね」の事業責任者でもある笠原健治さんの個人資産から提供された10億円。4月13日から募集した第一期では新型コロナウイルス感染症の影響で緊急支援が必要な子どもや家族に向けて支援を行っている52団体を選定。国外で行った活動を合わせると、これまでに68団体を支援してきました。

 

11月20日からは第二期の募集がスタート。「イノベーション助成」と「ステップアップ助成」の2種の募集で、理想の社会を実現するために中長期的な視点での支援をするとしています。各団体のニーズを踏まえた上で伴走支援が行われることも特徴です。

 

2020年度「みてね基金」第二期募集ページはこちら!

>> イノベーション助成

>> ステップアップ助成

 

今回、「みてね基金」の運営メンバーとして設立時から関わっているミクシィとNPO法人ETIC.(エティック)のスタッフにインタビューを行いました。前編では、「みてね基金」の運営を担う株式会社ミクシィ Vantageスタジオ 事業推進室の岨中(そわなか)健太さん、Vantageスタジオ みてね事業部 マーケティングGの白岩優子さん、コーポレートブランディング企画推進 ブランド戦略室コーポレートブランディングGの関 麻里さん(順不同)から伺った話をご紹介します。

 

聞き手:みてね基金事務局 本木裕子(NPO法人ETIC.)

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左から関さん、岨中さん、白岩さん

 

「ぜひやらせてください」の一言で参画

 

――最初にみなさんが「みてね基金」に関わるようになったきっかけを教えてください。

 

岨中さん(以下、敬称略):昨年の冬、笠原さんから私を含めたスタッフ3人に「こういうことを考えてるんです」、と「みてね基金」のアイデアや想いを伺いました。それが始まりです。私自身が元々ソーシャルセクターに興味があり、笠原から相談があった時は「ぜひやらせてください」とすぐにお受けしました。設立時のスタッフ3人は、今回のインタビューのメンバーではないのですが、互いの得意領域の相性が良かったのもあり、エティックさんに支援していただきながら、一気に立ち上がっていきました。その後、「みてね基金」の方向性も具体化していく中、「これは他ではできない貴重な経験だ」と思いながら、取り組んでいましたね。

 

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白岩さん(以下、敬称略):私の場合は、「みてね」のマーケティングの仕事をしていることもあって、「みてね」としてアプリサービスではできない支援を、という笠原の想いに強く共感し「ぜひやりたい」と参画しました。今年の春、「みてね」が5周年を迎える頃です。

 

私は自分が子どもを出産してから、より一層子どもの虐待の問題やお母さんの困りごとに目が向くようになりました。自分の子どもが入院した時には、難病のお子さまや、そのご家族を目にし、子ども自身はもちろん、家族や家で待つきょうだいへのサポートが必要なことを肌で実感する体験もありました。そのように、子ども関連の社会問題がどんどん自分事化する中で、さらに新型コロナウイルスの感染拡大が起こりました。子どもの深刻なニュースを見聞きする度にこの状況を変えられないだろうかと思っていたので、「みてね基金」は自分の気持ちにとても合っていました。

 

関さん(以下、敬称略):私は普段ミクシィ社全体のブランディングを考える部署にいるのですが、「みてね基金」のことは社内向け告知を見て知りました。すぐに笠原さんに社内チャットで「すばらしい取組みだと思います!どなたが事務局を担当されるのですか?この取組みにとても興味があります!」とお伝えしたんです。以前、NPO法人を自分で立ち上げた経験があることもお伝えました。そうしたら「来週ミーティングがあるんです。入りますか?」と返事がきて、すぐに「入ります!」とお返事しまして、そうして参画が決まりました。私たちは3人とも異なる事業部に所属していて、通常の業務でご一緒することはありませんでした。このように事業部を横断して行うプロジェクトはめずらしいと思います。

 

――基金の企画・運営にミクシィのみなさんが積極的にかかわっているのは、この基金の特徴だと思います。実際に面談に参加しNPO法人の方と話をしていかがですか?何か印象に残っていることはありますか?

 

岨中:気を付けなければと思っているのは、自分の想いと、きちんと判断することのバランスを保つことです。団体のみなさんは真剣な想いで応募されています。だからこそ、私も真剣に向き合いつつも、審査視点に寄りすぎず、団体の想いにも寄りすぎない姿勢が大事だと第一期の審査をする度に思いました。また「みてね」を利用いただいているユーザー、「みてね」を開発している事業部の想いを決して忘れてはいけないと感じました。そういった意味でみてね事業部に所属する白岩がいることは大きいと思います。

 

白岩:みなさん、想いがとても熱いと思いました。実際に世の中を良くするための支援を行っている方の話をこれまで伺う機会がなかったので、とにかく発見の連続でした。物事の見方、必要とする人に支援を届けるための方法など触れるものが自分にとって新しく、貴重なことばかりです。

 

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関:私はNPO法人を立ち上げた時、非営利団体を持続的に運営し続けることの難しさを実感していました。この法人は今も存在しているのですが休息状態です。この取組みを通して、自分が達成できなかったことを、団体の皆様を応援することで実現できるのがうれしいです。

 

また、自分が今いる営利組織で学んだノウハウを、非営利組織と上手く共有し実行できれば、よりインパクトの拡大につながるのではないだろうかとも考えています。

「みてね基金」を通じて社会貢献が当たり前の世の中になってほしい

 

――「みてね基金」の今後については何かお考えはありますか?ご自分ではどう関わっていきたいですか?

 

岨中:「みてね基金」は、ミクシィで働いている人たちにとって、誇りに感じてもらえる存在でありたいと思っています。だから、その火が消えないようにしたいですね。また、それぞれが担当する事業の特徴を活かした社会貢献の形を見つけてもらえるきっかけになれたらいいなと思います。

 

関:私も岨中さんと同じ意見です。それぞれの事業の特徴を活かした社会貢献のかたちを考えるきっかけになるといいな、と思います。また第一期公募にて採択させていただいた団体様とオンラインのミーティングなどで会話をすると、全力で活動に取り組んでいらっしゃるのがわかります。一方で、それらの活動が意外と世の中にまだ知られてないのでは、というジレンマも感じています。私も「みてね基金」の活動を行うことで初めて知る団体様もいくつかあり、こんな素晴らしい活動をされている団体様をもっと多くの人々に知ってほしいと思っています。

 

白岩:私は「みてね基金」に携われていることを誇りに思っています。社内でも同じように感じたり、「みてね基金」のアクションに励まされている人が多いようです。

 

「こんな支援がある」ということを多くの人に届けたいですね。困っているママや子どもがいて、助けたいと活動している団体がいる。そのことを「みてね」のサービスを使ってくださっているママやパパたちに知ってほしいし、助けを必要とする人に支援を届けたいです。

 

さらに、「みてね基金」を知ってくださった人自身が社会貢献できることにも気づいてほしい。虐待されている子どもや難病で苦しんでいる子どもに対して心を痛めている人も、その子たちのためにできることがあります。社内でも、「寄付できるところはないかな」という発言が出てくるなど、「みてね基金」をきっかけに変化していると感じています。自分自身も同じです。

子どもやその家族の抱える困りごとの解決を加速させるために

 

――「みてね基金」を運営する側の想いが伺えたと同時に、「みてね基金」を通してミクシィと非営利組織がつながっていくその先に可能性を感じました。では、「みてね基金」を運営していくなかでこれから大切にしたいことを教えてください。

 

関:自分がNPO法人を立ち上げた経験から思うのは、結局大切なのは人ではないかということです。人の想いがかたちになるし、人が動いて物事は解決し変わっていくと思います。社会をより良くしようと志を持った人々が、情熱を維持しながら活動を続けてもらえることが大切だと思っており、その方法は仕組みによって仕事の負担を軽減することかもしれないし、金銭的な支援かもしれません。いろいろな形があると思いますが、「みてね基金」では、それを後方支援したいと思っています。

 

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岨中:非営利組織の方々は高い熱量とモチベーションを持ち続けていらっしゃいます。みなさんが前を向き続けるために提供できること、手助けになるようなことができたらいいなと常に思います。みなさんのお話を伺っていると、様々な課題も見えてきました。我々のような企業の中から、課題解決に興味を持った人をうまく引っ張り出すことなどを考えたいです。そういう人を増やして、非営利組織の推進力を上げていければと思います。

 

一方で、私自身がのめりこみすぎず、引きすぎずのバランスを大事にしたいです。そうでないと立ち位置の良さが活かせなくなりますから。

 

白岩:「みてね」のサービスは「家族を笑顔にしたい」という想いから始まっています。「みてね基金」においても、子どもたちや家族を助けたい、笑顔にしたい、という想いは一緒です。情報や支援を拡げて、その活動をNPOにとどめるのではなく、世の中の人が当たり前にしていけるようにしたい。NPOのストーリーを拡げて、「私もやってみようかな」と思う人を増やしたい。支援したり支援されたり。その関係性が「みてね」から広がってほしいと思います。

「このチャレンジで世界が変わるんだ!」と頑張る人を応援したい

 

――最後に「みてね基金」第二期の公募について、応募を検討している方に一言お願いします。

 

岨中:イノベーション助成では「これで助成金を取るのは無理だろう」と思う事業でも応募してほしいですね。難易度が高くても、将来のゴールを見据えた事業の方がワクワクします。

 

現状維持ではなく、今よりも一歩二歩進んでステージを変えていきたいという想いがある団体の方はステップアップ助成に積極的に応募してください。

 

関:基金の事務局として、預かったお金を大切に使わなきゃいけないと思う一方で、チャレンジしてほしいという想いがあります。ミクシィも信念のある人が大きな事業を作ってきました。それを「みてね基金」でも実現できるといいですね。「このチャレンジで世界が変わるんだ!」と頑張っている人を応援したいです。

 

白岩:ロジカルに考えた背景を聴く必要もありますが、私はチームのストーリーが知りたいです!ぜひ、面談で丁寧に伺わせていただきたいと思っています。支援者の想い、支援を受けた方々の声。数字だけでは見えないことを知りたいです。そして、「みてね基金」を感化させてほしいです。

 

関:そうですね。ひとつひとつの事業と丁寧に向き合っていきたいと思います。

 

――岨中さん、白岩さん、関さん、「みてね基金」と活動されている団体の方への想いをありがとうございました!

 

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後編はこちら

>> 子ども・家族支援に新しい資金の流れをつくる―子ども・家族のための「みてね基金」運営の中の人に聞く(ETIC.編)

 


 

「すべての子どもやその家族が幸せに暮らせる世界の実現」に向けた取り組みを対象にした「みてね基金」では第二期の助成先公募を開始しました。

 

中長期的なインパクトが期待できる取り組みに最大1億円の支援をおこなう「イノベーション助成」のほか、子どもや家族に寄り添いながら地道に活動を続けている団体の成長資金を提供する「ステップアップ助成」があります。詳細はリンク先の募集ページをご覧ください。

2020年度 「みてね基金」第二期 「イノベーション助成」募集ページはこちら!

2020年度 「みてね基金」第二期 「ステップアップ助成」募集ページはこちら!

 

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たかなし まき

愛媛県生まれ。松山東雲短期大学英文科を卒業後、企業勤務を経て上京。業界紙記者、海外ガイドブック編集、美容誌編集を経てフリーランスへ。子育て、働く女性をテーマに企画・取材・執筆する中、2011年、東日本大震災後に参画した「東京里帰りプロジェクト」広報チームをきっかけにNPO法人ETIC.の仕事に携わるように。現在はDRIVEキャリア事務局、DRIVE編集部を通して、社会をよりよくするために活動する方々をかげながら応援しつつフリーライターとしても活動中。いろいろな人と関わりながら新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。