社内で今担当している事業やこれから取り組もうとしているプロジェクトに対し、社外の人の意見も聞いてみたい、より仲間を拡げていきたい、と思っている方も多いのではないでしょうか。
筆者が運営に関わるand Beyond カンパニーではBeyondミーティングという「意志ある挑戦を応援する」イベントを毎月開催しています。そこでは起業家の方だけでなく、会社の中で新規事業を担当される方や、プロジェクトを社の事業に繋げていきたいと画策される方の登壇も増えてきています。
Beyond Meetingに登壇し、社内のプロジェクトをリードしている方々に、Beyond Meetingに登壇しての感想や、事業に対する想いについて語っていただきました。熱量高くプロジェクトを進めるためのヒントがたくさん詰まったインタビュー記事をお届けします。
第一弾として、コンサルティング会社でNPO支援活動を担当し、ご自身が副理事長を務めるNPO法人と共同で、シリア難民にエンジニアの雇用創出支援のプロジェクトをリードする山澤さんにお話を伺いました。
山澤宗市氏/アビームコンサルティング株式会社
2019年に大学院で国際協力学修士号を取得後、アビームコンサルティング(株)に入社。 金融機関のシステム開発や、メーカーの基幹システム刷新のプロマネ等の経験を積んでいる。また、学生時代に立ち上げたNPO法人スタンドウィズシリアジャパンの副理事長を務めており、コンサル会社においては、自身のNPO支援のプロジェクトを通じた新規事業開発も経験。自身のミッションとして「今世紀最大の人道危機を生き抜く雇用機会に恵まれないシリア難民エンジニアが輝ける社会を作ること」として活動継続中。今後も、企業とNPOの連携を通じて、社会課題を持続可能な手段で解決するソーシャルビジネスを展開予定。
Beyondミーティングでの出会いが、プロジェクトを大きく変える
――山澤さんが現在取り組まれているプロジェクトについて教えてください。
トルコに逃れたシリア難民の方々に、エンジニアの雇用創出支援を行い、経済的自立をサポートする事業型の支援プロジェクトです。現在、約59万6千人ものシリア難民エンジニアが正規の仕事を得られていない状況にあります。そこで、日本企業のシステム開発案件をトルコにいるシリア難民エンジニアにアウトソースすることで、正規のエンジニア職雇用を増やすことを目標にした事業を立ち上げたんです。
元々僕が学生時代から運営に関わっているNPO法人Stand with Syria Japanではシリア紛争下の「人権」にスポットを当てた「寄付型」の支援を中心に行ってきましたが、今回は人権ではなく「難民の自立支援」の分野であり、また寄付型ではなく「事業型」にシフトし、2つの意味で新しい事業を作る試みをしています。現在は、勤務先であるアビームコンサルティング(以下アビーム)のNPO支援活動としてシリア難民支援が認められたので、NPO法人Stand with Syria Japanとアビームの共同でプロジェクトが進んでいます。
――Beyondミーティング登壇のごきっかけと、登壇後のプロジェクトの変化について教えてください。
アビームはBeyondミーティング(以下BM)の運営主体であるand Beyond カンパニーのメンバーなので、元々社内でBMの運営に関わっているメンバーがいました。社内でシリアに関する事業計画を発表したところ、その先輩からBMへの登壇を勧められたんです。BMでは、普段社内では出会えない異業種で働く方々とプロジェクトに関するブレストを通して、プロジェクト内容が大きく変化しました。元々のプロジェクトは、トルコに逃れたシリア難民にエンジニアの雇用創出をすることで彼らの自立を支援するという社会課題解決がテーマでした。
そこにあるベンチャー企業の方からのアドバイスが加わり、時差の関係から日本の夜間に仕事をしてもらうことによるメリットを活かすことによって、事業内容が大きくブラッシュアップされたんです。結果的にその方とは登壇後も一緒にプロジェクトを進めることになり、単にブレストだけでは終わらない、結果につながる出会いがあったのは大きな収穫でしたね。
最近は社内でこのような機会を設けているところも多いと思うんですが、アイデアを出すところで終わってしまったり、同じ業界、職種のメンバーだと、どうしてもアイデアが偏ってしまうのが課題ですよね。そのような課題に悩んでいる方にも、BMは本当にお勧めです。
――その後のプロジェクトの進捗はいかがでしょうか。苦労されている点があればそれも教えてください。
今はまだ本格的な雇用創出には至っていませんが、テストとして単発的に仕事を依頼する段階までは進んでいます。支援の形として、事業型というのは他にもたくさん事例がありますが、エンジニアという点は新しいと思います。そのため、システム面やセキュリティの問題や、そもそもシリア難民の脱出先であるトルコ政府の方針によってはエンジニアの稼働に支障が出る場合もあるので、そこは難しい部分ではありますね。
株式会社DIVE INTO CODEと協業しトルコに逃れたシリア難民エンジニアの雇用創出のための プログラミングスクールの提供を実現
シリア国内の人道支援
コンサルとしてのスキルをNPO支援に活かしたい
――学生時代からNPOの活動をされてきた中で、コンサル業界に就職されたのはなぜですか。
卒業後もそのままNPO法人(Stand with Syria Japan)の仕事1本でいこうか悩みましたが、社会人としてもっと色々なスキルを身に付けてより良い支援ができるようになりたかったので、近年NPO支援活動に注力しているコンサル業界に就職することにしました。
元々、平日は通常コンサル業務に従事し、仕事終わりや休日にNPO法人の仕事をする両立スタイルだったのですが、今はプロボノとして社内でもアビームのNPO支援活動の仕事にコミットさせていただいているので、NPO法人の仕事と会社としての事業が重なって共創する形に働き方も変化してきました。
今後はプロジェクトマネジメントのスキルも必要になってくると思うので、社内の別プロジェクトにジョインして、そこで勉強することも考えています。社内の経験豊富なコンサルタントのみなさんからのアドバイスもとても参考になるので、本当にありがたいです。なにより、就職しなければBMに参加して人脈を広げられることもなかったと思うので、やはり就職してみて良かったと思っています。
――アビーム社内でのプロジェクトへの反応はいかがですか。
会社からは、コンサルのNPO支援として実際に雇用が創出されてNPOとして収益を上げるという事例を作ることを求められているので、まずはそこを目指しています。社会貢献ではあるんですが、アビームがこだわっている点として、「本気のCSR」というような言い方をすることもあります。社内リソース、社内の知識も人もフル活用して、コンサルならではの支援の形を作っていきたいですね。休日に仲の良い同期とシリア難民支援の新規事業を考える合宿をして、エンジニアの雇用創出以外にも何かできないか考えることもあります。
NPO法人オフィスにて、プロボノの方をお招きしたボランティアメンバーとの集まり
パッションで周囲を巻き込んでいく
――何度もプロジェクトを練り直したり、社内外でのプレゼンにチャレンジしたりと本当にエネルギッシュに活動されていますが、その原動力はなんでしょうか。
ずっと根底にある、「シリアのために何かしたい!」という強い想いですね。もちろん大変なこともたくさんありますが、全く辛いとは思わないですし、むしろ楽しいです。なので、今後もシリア難民支援のプロジェクト以外をやるつもりはないです。おそらく周りからも、こいつはシリア以外興味ないなって思われてると思います(笑)。
社内で説明する際も、まずは事業に対するパッションとやりたい理由を全面に出してますね。あとはやはり会社としての意義も重要だと思うので、収益性、人材育成、社会貢献性、採用の魅力として社会貢献性を打ち出せるというのも伝えるようにしています。まずは想いから始まる方が、結果的には事業としても形になっていくんじゃないかと思っています。
――Beyondミーティングの参加を迷われている方に向けて、メッセージをお願いします。
BMはその場でアイデアを出して終わりではなく、そこから実際にプロジェクトが大きく変わるという結果に結びついているのを肌で感じています。興味がある方は、まず実際に参加してみるのが一番だと思います。まずは走ってみないとわからないですから。もし走り出すのが難しいと感じるのであれば、自分が本当にやりたいことが何なのかを考えてみるところからスタートするのかもしれませんね。何よりも強い想い(パッション)を持つことが、一番大事なんだと思います。
エンジニアプロジェクトのオンライン打ち合わせ
山澤さんが副理事長を務めるNPO法人 Stand with Syria Japanでは現在、クラウドファンディングに挑戦中です。期間は2021/1/31まで。
山澤さんの思いに共感した方はぜひこちらもご一読ください。
>> 2021年もシリアで生きる人々へ支援を!シリア危機の中、新型コロナウイルスも共に乗り越えていく継続支援を行いたい!
【beyondミーティングに関する記事】
>> 個人の意志ある挑戦を、全力で応援する文化が生まれる場〜Beyondミーティング#23開催レポート
>>「社会を変えるプロジェクトを、コレクティブに仕掛ける」。Social Impact for 2020 and Beyond マンスリーギャザリングレポート(前編)
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