「なんだか、お見合いみたいですね」
株式会社森未来(しんみらい)の採用活動を聞いて、思わず笑みがこぼれました。コロナ禍前、採用ステップの最後は会社メンバーとの飲み会だったそう。
「仕事中ではない、リラックスしたメンバーの様子も見てもらった上で 『大丈夫ですか、こんなんで』って聞いてます。『大丈夫です』って言ってくれれば、その後のズレも少ないかな」
採用面接の場は、求職者側も求人側も、自分をよく見せようとしてしまいがち。でも、森未来さんに採用のお話を聞くと、繰り返し出てくる言葉は「ウソをつかない」でした。
昨年末、DRIVEキャリアを通じてデザイナーの我妻 美幸さん(31)を採用した株式会社森未来代表取締役の浅野純平さん(39)に、採用活動の様子をうかがいました。
※DRIVEキャリアでは、人材採用にお困りの社会的企業をサポートしています。
記事を修正して10日後に応募あり。働き方の記載が鍵
――DRIVEキャリアには9月から掲載していただいたんですが、なかなか応募がこなくて・・・。我妻さんが応募してこられたのは、契約が終了する直前でしたよね?
はい。エンジニアとかデザイナー職とかって採用難しいと思うんですけど、「応募がくればラッキー」な感じで掲載しました。
――その「ラッキー」が起きてよかったです。秘訣は何だったんでしょう?
応募がこないことをDRIVEキャリア事務局に相談して、記事を変更しました。変更点は2つで、リモート勤務可能と追記することと、タイトルの冒頭に【委託OK】を入れること。
――弊社スタッフの腰塚が対応した件ですね。変更の背景を聞いてもいいですか?
『リモートワークできるところで働きたい』ニーズが高まっているので、リモート勤務ができるのであれば、それを記事の中に入れた方がいい」とアドバイスをもらいました。
あとは、しっかり業務にコミットしてほしいから「正社員」で募集していたんですけど、「デザイナーだと仕事内容的にもフリーランスの方が多く、委託でもコミット高く参画してくれる方多いですよ」と聞いて、委託にもターゲットを広げました。
11月19日に記事を変更して、12月1日に我妻から応募があったので、腰塚さんのおかげですね。
――それは、よかったです!
社会問題に関心ある人からの応募が多い
――そもそもなんですが、DRIVEキャリアを使おうと思ったのはなぜですか?
以前も1回使っていたんですけど、応募してくる求職者のマッチング精度が高い。社会問題に関心がある人が多く、私たちの欲しい層にマッチしている。たくさん応募があるわけではないですが、しっかり関心を持ってくれている応募者が多いと感じています。
――面白いですね。なぜそのような応募者の方が多いのでしょうか?記事を書く上で気を付けていることって何ですか?
なるべく本当のことを書こうと思ってますね。私が、どういう社会を実現したいのかっていう。結構、熱量多めに書いています。関心が、環境問題に寄っているので、「社会課題にまったく関心がない」「社会を熱く語る人、無理」っていう人は応募してこないと思います。
――本当のこと・・・ですか。逆にウソを書くことってありますか?見栄をはって良いこと書くとか、そういうことですか?
そうですね。ミッションやビジョンってどこの会社もあると思うんですけど、うちはかなり重視しているんですよね。標語的においているだけじゃなくて、「マジで実現しようと思ってます」っていうのを伝えています。応募する上で、ビジョン・ミッションに共感していることは大前提。結構強めに出してます。
――「うわべだけのビジョン・ミッションじゃないよ」というのをしっかり伝えるということですね。我妻さんは、どうでしたか?伝わっている実感はありましたか?
ビジョン・ミッションにマッチしているな、というのは思いましたね。そこがマッチしていれば、あとの問題はスキルですが、ポートフォリオを見ても全然大丈夫そうだな、と。
ミッション・ビジョンは、全社員が覚えられるものを
――2019年のときにもDRIVEキャリアを使っていただいていたと思うのですが、その時とミッション、ビジョンが変わっています。これはなぜですか?
これ、いつぐらいかな・・・私が考えたんですけど、意味は変わってないんですよ。前は「林業を持続可能な産業にする」っていうミッションだったんですけど、やっぱり社員に浸透しやすい方がいいなと思って。シンプルにしようと。以前のものは、私しか言えなかったんで。
ビジョンの「All Wood Platform」は、英語の文法的にあっているかは分からないんですけど、イメージは湧きますよね。「すべての木材のプラットフォームをつくろう」と。社員でもアルバイトでもインターンでも語れるような、シンプルなものにしようと思って変えました。
――変えたことで、どんな影響がありましたか?
社員に浸透してくれてるんじゃないですか。我妻を見ても、応募者に伝わりやすくなったんじゃないかと思います。
採用で見るのは、「素直さ」「意思決定できるか」
――採用で大事にしていることって何ですか?
「ミッション・ビジョン・人柄」ですね。その次にスキルですかね。人柄は相当注意しますね。うち、やっぱ人数少ないんで。相性が良くない人が入ってきちゃったら、メンバーのバランスが悪くなる。ちょっとスキルが少なくても、みんなで助け合ってやっていける人であればいいんじゃないかなって。
――「優しい」とか「意思が強い」とか、人柄にもいろいろあると思いますが、どういう観点でみているんですか?
私の場合は、素直かどうかですね。例えば、良くないことも素直に言えるかどうか。ウソをつかないってことですね。新卒やインターンの方には、就活の状況を聞いてます。ちゃんと「就活、苦労してるんですよー」とか、「やりたいこと分かんないです」とか、あたりまえのことを素直に言えるかどうかは見てますね。あと、自分で決められる方ですね、うん。意思決定ができる。けっこう、意思決定をまわりにゆだねる人って多くて。
――意思決定を自分でできる人かどうかっていうのは、過去の経験を聞いていく上で見極めるのですか?
「内定出したら来ていただけますか?」って聞いて、自分で意思決定できるかを見ています。就職活動ってとても重要な事なので、自分でしか決められないと思うんですよね。意思決定するにあたって情報が足りなければ、質問してほしい。仮に他社と迷っているのであれば、それを素直に言っていただける方がいいですね。
特に、インターンは絶対に最後の意思決定は自分でしてもらうようにしてるんですよ。「やりたいです」っていってもらったあとに、「一回よく考えてもらって、本気でやりたいんだったら、もう一回連絡ください」って言う。そこを前はやってなかったんで、内定一度出してから、「やっぱり他のところに行きます」っていうのが多かったんですよね。
――我妻さんは、オンライン面談のあとに「ピッチイベントに呼ばれた」と言っていました。
はい。我妻はどうしても採用したかったので、「ちゃんとした会社なんだよ」ということを客観的に伝えられるかと思って。求職者からすると、うちは得体の知れない会社。ピッチイベントに登壇する姿を見てもらうことで、信頼度を上げようと思ってお呼びしました。そしたらなんと受賞もできたので良かったです。(参照)なんか言ってました、我妻?
第1回ANOBAKAカンファレンスで「事業の魅力度No.1」賞を受賞
――「知らない単語が飛び交っていて、衝撃でした」って言ってました(笑)。
(笑)。スタートアップの世界を知らなかったんで、「こういう世界を知るのも良い経験でしょ?」という意味合いもありました。あと、マッチングもありますね。「こういう世界にくるんですけど、大丈夫ですか?」って。
――なるほど。求職者側は「選ばれる」側と考えがちですが、実は求職者側も「選ぶ」ことが大事だし、その意思や選ぶ力を問われている気がしました。今後の募集の予定はありますか?
全職種募集中ですね。資金調達中なんで、それが終われば、もっとアクセル踏んで人集めたいと思っています。その時は、またよろしくお願いします。
――ぜひぜひ!今日はありがとうございました。
採用された我妻さんがデザイナーとしてかかわったサイト、eTREEが2021年5月17日にリニューアルオープンしています。こちらからぜひご覧ください。我妻さんへの取材記事はこちら。
>>転職の軸はどうつくる?20代後半からの仕事の幅の広げ方【未来をつくる仕事への転職者インタビュー森未来・我妻さん】
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