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#ローカルベンチャー

楽しく・稼げる農業で里山の暮らしを守りたい! 特大純なめこを生産する、たけちょう商店の挑戦

2022.09.29 

10月15日は「きのこの日」。今回は新潟県三条市の下田(しただ)地区で特大純なめこの生産・販売に取り組む、たけちょう商店の取り組みについてご紹介します。

 

プロフィール写真補正後

竹内俊哉(たけうち・しゅんや)さん

たけちょう商店代表/ローカルベンチャーラボ3期生

昼は会社員、夜はスナックのボーイをしながら、2019年に地域商社「たけちょう商店」として活動を開始。スナックの常連客だった方から新潟県三条市下田地区の里山と畑を借り受け、農業経験ゼロのところから土地を整備し、野菜の生産や販売に取り組み始める。ITやデザイン等様々な強みをもつ若手メンバーと共に「楽しく・稼げる農業」の実現を目指して事業を展開している。

市販品の5倍以上の特大なめこ!他にはない農産物だから自分の土俵で勝負できる

 

たけちょう商店の作るなめこは、自然の寒暖差を利用してじっくり育てた特大のなめこです。その大きさは、なんとスーパーで売っているなめこの5倍以上! 特に大きいものはエリンギサイズにまでなるそうです。一体どうやったらこれほど大きななめこを栽培することができるのでしょうか?

 

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「一口になめこと言っても、菌の種類や品種は何十種類もあります。元々大きく育つ種類を選んではいるのですが、特大に育つのは時間をかけて露地栽培をしているから。温度が一定に保たれている工場栽培と違って、露地栽培は寒暖差が大きいためストレスがかかり、より大きななめこに育つんです。

 

10月頃から収穫が始まり、それから雪が降り始めるまでの約1ヶ月半が純なめこのシーズンとなります。最盛期は11月前半頃ですね。暑すぎると菌が死んでしまいますし、気温が8度を下回ると生育が遅くなってしまう。スーパーで普通に売っているようななめこと比べると育成期間も長いですし、露地栽培なので1年の中でも限られた期間しか栽培できませんが、他ではなかなか手に入らないので高付加価値の農産物として販売できています」

 

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特大純なめこの栽培の様子

 

祖父との思い出が導いた、純なめこ栽培までの道のり

 

元々は会社員だった竹内さん。働き始めて3年程が経ち、「自分で仕事を作り、自分の仕事をしてみたい」という思いをもつようになり、視野を広げようと終業後に母親が経営するスナックでボーイとして働き始めます。そんな中スナックのお客さんから、下田地区で農業をやってみないかという話が持ち掛けられました。

 

「僕自身は農業の経験はなかったのですが、祖父が早期退職後に結構な広さの畑を扱っていたんです。それですんなりとお誘いを受けることになり、兼業農家生活がスタートしました。今思うと小さい頃は祖父に畑のある里山へしょっちゅう連れて行ってもらっていたので、その記憶が原体験になっていたんだと思います」

 

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幼少期の畑での写真。右が竹内さん

 

そこからクラウドファンディング等を活用し、約4,000坪の耕作放棄地や遊休農地を作物の育つ畑へと生まれ変わらせた竹内さん。数ある農作物の中でもなめこを選んだのには、何か理由があるのでしょうか?

 

「なめこに決めた理由は、祖父が原木栽培で作っていたからというのが大きいですね。僕達は菌床栽培なんですが、原木なめこ好きの消費者からも好評で、マーケットに手応えを感じています。今後もロット数を増やしていくつもりです。

 

実はコスト等を算出して何を作ろうかと考えると、祖父が取り扱っていた作物と重なることが多いんです。販売していたわけではないのに、高単価なものをたくさん栽培していたんですよね(笑)。祖父の畑は本当にきれいでしたし、20年経っても祖父が作っていた野菜の味は忘れられません。祖父の畑と里山での記憶が今の事業の根幹になっています」

ローカルベンチャーラボで学んだこと

 

竹内さんは、ETIC.が運営する地域に特化した6ヶ月間の起業家育成・事業構想プログラム・ローカルベンチャーラボ(以下ラボ)の卒業生でもあります。ラボではどのような学びがあったのでしょうか?

 

「新潟県村上市でいろむすびの宿を経営されている、古林拓也さんのご紹介でラボに参加しました。古林さん自身もラボ2期生だったので、ラボに参加しつつ、古林さんに専属メンターのような形でラボの学びを深めてもらうといった半年間でした。

 

参加前は地域商社という言葉さえ知らなかったのですが、ラボに参加したことで視野がぐっと広がりました。株式会社四万十ドラマの畦地履正さんや、株式会社御祓川の森山奈美さんを始め、長年地域商社を経営されてきた方から地域の現場で直接学べたことは相当大きかったです。

 

『この地域の足元にある価値は何か?』といった、これまで疑問にすら思っていなかったことを問題提起してもらえましたし、ゼミでは『何をやりたいのか』をひたすら問われ続けました。最初は知識不足から出せる言葉も少なかったんですけど、問いがあったからこそ越えなきゃいけない壁を具現化できたし、それが言語化の力になったと思っています。

 

『何をやりたいのか』に答えられる自分になってきたことで、事業を進めていく上での考え方や覚悟を決めることができました」

 

たけちょう商店では、竹内さん以外のメンバーにも次々とラボに参加してもらっているそうです。

 

「自分がメンターをやれたらいいんでしょうけど、そういうのが苦手なもので……(笑)。ラボに参加したメンバーとは、共通言語が増えて話が通じやすくなりました。『自分達にとっても地域にとっても価値があると思える事業をやって、お互いにとっていい関係作りができたらいいよね』といった話が自然とできています。

 

畦地さんのところで3年間修行させてもらったメンバーも、もうすぐ帰ってくる予定です。自分と同じ世界観を共有しているメンバーが右腕として活躍してくれるのは、安心感がありますね」

消えゆく里山での暮らしを次世代へとつなげたい

 

そんなたけちょう商店のメンバーが現在挑戦しているのが、「シタダバトンプロジェクト」です。下田地区の里山での暮らしを受け継ぎ、次の世代へつないでいくことをめざすこのプロジェクトは、どういった背景で始まったのでしょうか?

 

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地元の人とひこぜん作りを楽しむ竹内さん

 

「実際に下田で農業を始めてみると、高齢や体の不調を理由に農業をやめるという農家さんが身近にも多くいらっしゃいました。来年は農業を続けられるかわからないという方が今後もバタバタ出てきますし、今がまさに待ったなしの状態です。そうして廃業する方が増える一方で、就農するとなると自分が社長になって稼がないといけないし、地域に愛着がないと入っていこうとは思えないので、新規参入のハードルは非常に高い。

 

そこで、僕達が下田で農業を始める理由になれればいいなと思ったんです。機械を導入してコストや手間をカットしながら、お祭のように農作業を楽しめる仕組みを作っていきたいと考えています。下田で新規就農したいという方には、薄利多売の従来型の農業ではなく、少ない収穫量でも高利益にできるようなビジネスモデルやロゴ、僕達が開拓した販路も共有しますので、地域全体で『下田ブランド』を創り上げていきたいです。

 

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何年かかるかはわかりませんが、下田から1億円プレイヤー農家を輩出する仕組みを作るための第一歩が『シタダバトンプロジェクト』です。YouTubeを始めとしたSNSでの積極的な発信や、地元企業へのスポンサー依頼等、スピード感をもって事業を進めていくために、外部との連携にも力を入れています」

 

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インタビュー中の竹内さん

 

たけちょう商店には、竹内さんが醸し出す楽しそうな雰囲気に惹かれて、デザインやIT等、農業以外の強みをもった若手メンバーが次々と集まってきています。下田地区から提案される、「楽しく・稼げる」これからの農業のあり方に、引き続き注目していきたいと思います。

 

※「シタダバトンプロジェクト」は、2022年9月30日(金)までクラウドファンディングを実施中です。詳細はこちらをご覧ください。

https://readyfor.jp/projects/baton

 

 「ローカルベンチャーラボ」のフェイスブックページでは、記事でご紹介したような地域で新しい仕事をつくっているメンバーのチャレンジを日々お届けしています。気になった方は、ぜひチェックしてみてください。

 

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ローカルベンチャーラボ起業農業
この記事を書いたユーザー
茨木いずみ

茨木いずみ

宮崎県高千穂町出身。中高は熊本市内。一橋大学社会学部卒。在学中にパリ政治学院へ交換留学(1年間)。卒業後は株式会社ベネッセコーポレーションに入社し、DM営業に従事。 その後岩手県釜石市で復興支援員(釜援隊)として、まちづくり会社の設立や、組織マネジメント、高校生とのラジオ番組づくり、馬文化再生プロジェクト等に携わる(2013年~2015年)。2015年3月にNPO法人グローカルアカデミーを設立。事務局長を務める。2021年3月、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。

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