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東京マラソンが起業のきっかけに。胸が大きな女性のためのブランドoverEを手掛ける和田真由子さん

2023.03.03 

3月8日は国際女性デー。1904年にニューヨークで女性の参政権を求めて行われたデモが起源となり、国連によって1975年に制定されたそうです。

 

今回は、胸の大きな女性のためのアパレルブランドoverE(オーバーイー)を手がける株式会社エスティームの和田真由子さんにお話を伺いました。

 

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和田真由子(わだ・まゆこ)さん

株式会社エスティーム・overE代表/TSG2016セミファイナリスト

1991年生まれ。山形県出身。政治家を目指し筑波大学に進学するも、よりダイレクトに社会に想いを届ける生き方として起業に関心を持つ。3年間、編集者兼ライターとして出版社に従事した後、会社設立。同時に胸が大きな女性に光を当てたアパレルブランド「overE」をリリースするとメディア・SNSで話題に。2018年より商業施設でのポップアップショップを連続開催する。東京都主催のビジネスコンテストTOKYO STARTUP GATEWAY2016セミファイナリスト。

WEBサイト https://overe-shop.com/

Twitter https://twitter.com/for_overe

日本人女性の4人に1人はEカップ以上。胸の大きな女性のファッションの悩みを解決するブランド「overE(オーバーイー)」

 

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overE WEBサイトTOPページ

 

トリンプ下着白書によると、2018年の時点で、バストサイズがEカップ以上の女性は26.8%。4人に1人がEカップ以上ということになります。

 

胸が大きい方には、市販の服ではサイズが合わず、気に入ったデザインの服が着られない、他人の視線が気になり猫背になってしまうなどの悩みを抱える方も多い一方で、「贅沢な悩み」と思われることもあり、声を上げにくいという状況もあります。

 

株式会社エスティームは、胸の大きな女性のためのアパレルブランドoverE(オーバーイー)の企画・製造・販売のほか、商品プロデュースやプロモーションを行っています。

 

overEの商品は、自社のオンラインショップを中心に全国の商業施設などでのポップアップで販売されています。2023年1月には、スーツメーカー株式会社コナカと業務提携を結び、共同開発したシャツとジャケットがコナカ、フタタ、SUIT SELECTの全国200店舗で発売中です。

 

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SUIT SELECT WEBサイトより

 

ビジネスアイデアを思い浮かべては脳内で遊んでいた大学生時代

 

和田さんは、大学生の頃から起業を意識して、ビジネスアイデアを書き留めてきました。

 

政治家だった祖父に憧れて政治家を志しますが、大学では人間関係に悩み、引きこもり生活となりました。その頃に読んだ本で起業家という生き方を知りました。

 

引きこもり、大学中退、発達障害など、様々なバックグラウンドがあっても自分らしく生きている起業家たちの存在を知り、関心はビジネスへ。

 

「私だったらどんなビジネスができるだろうか」と考え始めます。

 

身近な困り事とその解決方法を探し、ビジネスになるのか自問自答を繰り返しました。

和田さんのアイデアの思い巡らせ方は、マスクを例にするとこんな感じです。

 

「マスクの紐が細いと、耳の後ろが痛くなりますよね。幅の広い紐に変えたり、耳の後ろに当たる部分に柔らかいものをつけたり、というアイデアが浮かびます。でもマスクは商品単価が低いので、大量生産して全国流通できる企業に適したビジネスです。個人がやるなら、もっと付加価値をつけて単価の高い商品を開発しないと成り立たない。

だとしたら、私にできるビジネスは何だろう?こんなふうに脳内で遊んでいました。街を歩いても、目にしたものからアイデアが浮かぶと楽しくなります。そのアイデアをノートに書きました。大学時代に始めて、社会人になっても続けていました」

 

ビジネスアイデアを書きためたノートは、A4 100ページ綴りで3冊にもなったそうです。

 

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東京マラソンに出場。「ありがとう」の声援を受け、起業を決断

 

ビジネスアイデアを考えながら会社員として働いていた和田さんに転機が訪れます。2015年2月、出版社に入社して2年目。会社の人の話を聞いて、なんとなく応募した東京マラソンに当選。初めてフルマラソンを走りました。

 

沿道からの声援を受けて走り続けていると、失っていた自己肯定感が高まってきたと和田さんは話します。

 

「30キロを超えてあと10キロという時、ボランティアの方や応援してくださる方への感謝の気持ちが溢れてきました。チョコレートと水の差し入れをもらって、お礼を言って受け取ると、その方も『ありがとう!』と言ってくださって、感動しました。

頑張る姿を見せることは、他の誰かにも貢献できるのかもしれない。私は、今感じている感謝の気持ちを、他の誰かに還元できる人になりたい。“そうだ、起業しよう!”と、完走した時には起業することを決めていました」

 

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東京マラソン時に和田さんが撮影された写真

 

働きながら起業セミナーに通い、ビジネスプランを磨く

 

翌月から、和田さんは行政主催の起業セミナーに通い始めます。「overE」の原点が生まれたのはこの頃です。カリキュラムの中で、複数のビジネスアイデアを持ち寄り、絞り込んでいく過程でした。

 

きっかけは和田さん自身の体験でした。下着メーカーが開発した「胸を小さく見せるブラ」を着けると、今までずっと悩んでいた「太って見える」という悩みが改善されました。気持ちが重かった洋服選びが、ポジティブなものに変わりました。この体験から「この悩みは、洋服の仕立てでも解決できるかもしれない」と考えました。

 

当時は、D2C(※1)型のサービスや、アパレル業界への個人ブランドの参入が始まった時期でもあり、この追い風に乗ろうと思いました。まさに、和田さん自身がやる意味があり、挑戦できる社会背景もあり、面白いと思えるビジネスアイデアでした。

 

事業を決めた和田さんは、起業資金を貯めようと転職しますが、不動産投資営業のテレホンアポインターの仕事は合わず、25日間で適応障害を発症し退職。再びの引きこもり生活の中で、改めて「もう起業するしかない。今、事業をつくり始めないと」と決意を固めて動き出します。

 

商談をしては寝込み、電話を1本かけるのに3日間かかった時もありました。ゆっくり確実に一歩ずつ、ブランドを立ち上げるための歩みを進めます。

 

「起業には2パターンあって、しっかり準備して始める方と、状況に追い詰められて始める方がいると思います。私は、後者でした。適応障害になって、これからまた再就職先を見つけるくらいなら、もう起業する。と思ったんです。その時の私にとっては、再就職の選択肢より起業のほうが簡単かもしれないと思ったんです」

ビジコンに出場しながら法人登記し、ネットショップ開設のスピード創業

 

そんな時に、東京都主催のビジネスプランコンテストTOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)を知ります。

 

以前通った起業セミナーの主催者からのメールがきっかけでした。運営するエティックの存在を知っていた友人にも背中を押されました。体調がすぐれないなかで、なんとかエントリーの書類を書き上げ応募しました。

 

「寝込みながら起業準備している私には、400字だけでエントリーできるのがありがたかった」と和田さんは当時を振り返ります。そして、TSGの半年間のプログラムの最中である2016年8月、株式会社エスティームを登記します。

 

登記と同時に、クラウドファンディングも行い、同じ悩みをもつ女性たちにメッセージを届けながら第1号の商品となるシャツを完成させ、10月にはオンラインショップもオープンさせました。

 

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従来品とoverEのシャツの比較

 

TSG2016も終盤となり、和田さんはセミファイナリストに選出されます。決勝大会後の打ち上げで同期と仲良くなれたことが、自身にとって大きな意味があったと振り返ります。

 

「TSGの期間中は、事業が忙しかったことと、人見知りだったこともあり、同期との交流はできませんでしたが、この場ではお酒の力を借りてたくさんの方と話すことができました。起業している方も何人もいて、創業期の事業計画や、お金、次に何をするかなど、何でも開示できる親友が2人もできました。

 

他の同期にも開発中のプロダクトの話を聞いたり、サービスを体験させてもらうことで励まされました。1年くらいは月1回以上同期と会っていましたね。

 

起業してよかったと思えているのは、TSGでの出会いが大きいです。会うたびにポジティブな気持ちになれる環境が良くて、私も起業家として生きていこうと思える。人間関係への苦手意識もなくなりました。TSGは心の支えであり、事業の支えでもありました」

 

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TSG2016 THE FINALの様子

 

起業家から経営者へ。アパレルの既成概念にとらわれない新規事業を。海外展開やメンズ事業も

 

それから6年。

登記から7年目を迎えた今、和田さんはどんなことを考えているのでしょうか。

 

「登記して5年目くらいから、私自身が変わったような気がします。まるで中学生くらいの本来の自分に戻ったような感覚です。自然に自己主張ができるというか。それまでは、人の目を気にしたり、無駄に謙遜してしまったり、嫌われないように生きていた気がします。経営者としての自信がついてきたのかもしれません」

 

事業成長、売上増、黒字化への転換の中で、スタッフの離職など数々のハードな状況を乗り越えてきました。7年目の2023年は次のフェーズに会社を持ち上げたいと意気込んでいます。

 

「メンバーの皆さんには、本当に感謝しています。今後は、より皆さんの生活やキャリアにとってプラスになるよう一緒に考えていける企業に成長させていきます。また、overEを経て培ってきた技術、ノウハウを生かし、プロデュース業やプロモーション業も更に事業拡大していきたいと思います。

海外展開やメンズ事業など、アパレルの既成概念にとらわれない新しいチャレンジをしていきたいと考えています。同時に、overEというブランドも、引き続きお客様と一緒に創り、育てるブランドという本質を大事にして、ブランドとして成長させていく努力も続けていきます」

 

株式会社コナカ 代表取締役社長CEO 湖中氏と和田さん

株式会社コナカ 代表取締役社長CEO 湖中氏と和田さん

 

起業だけでなく、現状にもやもやしている方にもおすすめしたい

 

最後に、次回のTSGへのエントリーを考えている方へのメッセージをいただきました。

 

「私も、普通の会社員からのスタートでした。起業に必要な覚悟も、ビジネスについても、カリキュラムの中で学ばせていただきました。

TSGは、今は起業を目指していなくても、自分を変えたいと思っている方にとっても、自分や社会と向き合う素晴らしい機会になると思います。現状にもやもやしている方、自分自身の中に課題を感じている方も、ぜひ400字でチャレンジしてほしいと思います」

 

(※1)Direct to Consumerの略。仲介業者や店舗を通さず、ECサイト等から直接顧客に販売する手法)

 

<事務局より一言>

毎年、メンタリングデーにもご参加いただき、TSGの参加者に前向きな声をかけてくださるのがとても印象的です。インタビューの日は、ポップアップ出張から帰ってすぐに対応してくださいました。和田さんはよくTSGのカリキュラムにメンターとして参加してくださるのですが、いつもご自身の事業の中で「お客様と一緒に創り、育てるブランド」をすごく大事にされているを感じます。今回のインタビューでも改めてその思いを強く感じました。今後も海外展開やメンズ事業を構想中とのことなので、新しいチャレンジ楽しみにしています!

 

***

 

●東京都主催・400文字から世界を変えるスタートアップコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2022」

https://tokyo-startup.jp/

 

 

 

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この記事を書いたユーザー
木村静

木村静

DRIVEメディア編集長。NPO法人ETIC.事業本部 広報 兼 ローカルイノベーション事業部 シニアコーディネーター。 北海道出身。札幌のまちづくりNPOに勤務し、コミュニティラジオ放送、地域情報の取材・執筆等を経て、2008年に上京しフリーランスに。アナウンス・司会、ライター、カメラマン、映像制作、講師、リサーチ、イベントのディレクション業などを事業領域に活動。 2015年〜NPO法人ETIC.に参画。 趣味は、歴史、映画、美術、ガーデニング、読書。

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