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「NPO・ソーシャルビジネスと関わる機会を提供することで、次の社会起業家を育てる」インドのアショカ・フェロー、ラフール・ナインワルさんインタビュー

2014.01.09 209view 

先日、インドの社会起業家、ラフール・ナインワル(Rahul Nainwal)さんと意見交換する機会をいただきました。ラフールさんは、インド最大のボランティア・コーディネート組織、iVolunteerの創設者であり、経済格差が拡大するインドにおいて、新たな社会創造に取り組むリーダーの育成を目的として様々な活動を展開しています。

これらの実績が認められ、ラフールさんは世界で最も活躍する社会起業家の一人として、アショカ・フェローに選出されています。現在、世界中で3,000人を超えるアショカ・フェローが活躍していますが、そのうち400人がインドを拠点に活動する社会起業家となっており、インドにおけるソーシャルビジネスの活発さがうかがえます。(アショカ・フェローの詳細はこちら:アショカ・ジャパン)

次々と社会起業家が現れるインドのソーシャルビジネス生態系において、ラフールさんが果たしている役割とは何か。また、彼ら社会起業家はどのような想いを持って日々仕事に向き合っているのか。ラフールさんの言葉を通して、お伝えしたいと思います。

インドのアショカフェロー、ラフール・ナインワルさん

ワークショップでのラフール・ナインワルさん:加藤徹生さん提供

石川:ラフールさんは、なぜiVolunteerをはじめようと思ったのですか?

ラフール:まず、iVolunteerを始めた背景にある私の問題意識からお話します。インド経済が力強く成長していく裏側では、経済格差の拡大が大きな問題となっています。経済成長の恩恵を受ける豊かな層とそうでない層が、はっきりと分かれているのです。普段の生活において両者が互いに関わることはほとんどありません。また、1985年以降に生まれた人たちの中には、物質的な不足を全く経験したことがない層も相当数いるので、お互いに理解できないし、そもそも想像することもないくらい、その距離は広がっています。

石川:日本でも格差拡大が問題になっていますが、比較にならないほどの差があるのでしょうね。

ラフール:インドでは、人々が属するコミュニティの間に、それもう、ものすごいギャップがあります。私は、このギャップを埋めるために何が出来るかと考え続けたのです。結果として私が行き着いた答えは、「両者が交わる場をつくる」というものでした。そこでまずは、若手ビジネスパーソンなどの人材を、サポートが必要な地域にボランティアとして送り出して、彼等のスキルをもって社会貢献してもらう仕組みをつくったのです。

インドのアショカフェロー、ラフール・ナインワルさん

ETIC.オフィスでのディスカッション風景

石川:日本でも、若くしてNPO・NGOの現場に関わることになった人が、その後そのまま、あるいは就職してスキルを獲得した後に、再び現場に戻ってくることがあります。こうした体験が、貴重な人材輩出の機会となっていると思います。

ラフール:iVolunteerでも、同じようなことが起こっています。私は、「人は、自分にとって未知の世界でも、足を踏み入れて人々と関わることによって、共感を育むことができる」と信じています。いったん出会った人たちに対する共感がうまれると、日々の生活の中でさえ、そういった社会課題や格差について、意識的になります。私たちが取り組んでいるのは、経済的なギャップを減らすだけでなく、心理的なギャップや、相互理解のギャップを埋めていくことなのです。

石川:同感です。そういった活動を進めていく中で、社会課題や非営利セクターに関心を持つ人々、あるいは社会起業家予備軍は増えていると思いますか。インドの若者は、どのようなキャリア観を持っているのでしょう。

ラフール:インドの経済は急速な勢いで成長していますので、多くの人はその恩恵にあずかろうと、企業セクターを選びます。医療やIT、ビジネスを学んで高い給与を得られる職業につき、なるべく早く出世する、ということが主流だと思います。敢えて非営利セクターで働こうという人は、決して多くはありません。

石川:だからこそ、iVolunteerのような仕組みが必要になるのですね。

ラフール:幸い、私のまわりでは、こういった活動に参加する若者が増えてきています。私は、企業に数年勤めた後にiVolunteerを起業したのですが、その時もひとりではなく、ビジネスセクターから飛び出してきた若者数人で始めたのです。大切なのは、インドのエリート層を、ソーシャルビジネスに巻き込んでいくことです。「こういった生き方もあるのだ」ということを、さらに次の世代にも伝えていきたいですね。

石川:日本の若手ビジネスプロフェッショナルにインタビューすることが多いのですが、大差ない新製品によるシェアの細かい奪い合いや、既にそれなりに豊かな企業をさらに富ませることよりも、「自分が素晴らしいと心から思えるサービスを提供して、世の中によい影響を与えたい」と思い始めているように思います。

ラフール:そうありたいですね。だって、「社会課題に取り組む」ということはそれらより遥かにチャレンジングで、難しいことなのですから。だから、僕はもっとたくさんの人々を、この活動に巻き込んでいきたい。ボランティア体験を通して、このセクターに関わる人を増やしていきたいのです。私がひとりで取り組んでいても、1年がんばって、1年分の効果しかでませんが、500人を巻き込むことができれば、それは500倍の力になります。それに、多くの人たちは、私よりずっと優秀ですから。笑 このことを考えると、私はわくわくしてきます。だから、この活動をしているんです。

石川:ラフールさん、アポイント満載でお忙しい中、お時間いただきありがとうございました。

協力:WiA - World in Asia - 最高経営責任者 加藤徹生さん

この記事を書いたユーザー

石川 孔明

石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

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