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【前編】「企業の未来をリードする起業家型人材は、震災復興の現場からうまれる」 損保ジャパン・日本興亜損保「東日本大震災復興支援 社員派遣プログラム 最終報告会」レポート

2014.01.30 316view 

震災から3年が経過しようとしている中で、支援に必要とされるものが大きく変わってきている被災地。インフラの復旧が急務だった時期を過ぎて、新しい雇用を作ろうという動きがみられる中、ビジネスの力がより必要とされています。そんな中で、企業の力を活かしてできる支援活動とは何なのでしょうか。そのヒントを、損保ジャパン・日本興亜損保が実施した「東日本大震災復興支援 社員派遣プログラム」の最終報告会を通して、考えてみたいと思います。 IIHOE川北秀人さんとETIC.宮城

写真:IIHOE川北秀人さん(右)とETIC.宮城治男

損保ジャパン・日本興亜損保が実施する「社員派遣プログラム」とは

「東日本大震災復興支援 社員派遣プログラム」は、被災地の復興に取り組むNPO・団体へ、社員を業務として派遣する取り組みです。複数名の社員がチームを組み、2週間現地へと派遣されます。それを4-5チームがリレーし、約3か月間、派遣先とともに復興に取り組むことになります。ETIC.は「みちのく復興事業パートナーズ(※)」の取り組みの一環として、プログラムのコーディネートをサポートしました。

このプログラムは2年にわたって実施されており、2012年には、宮城県石巻市で訪問介護活動を展開している「全国訪問ボランティアナースの会キャンナス 被災者支援チーム東北 」へ社員を派遣。2013年に第2弾として実施したのが、福島県の南相馬市で子どもたち向けの体験学習プログラム「グリーンアカデミー」を運営する「南相馬ソーラー・アグリパーク」への社員派遣です。同団体は、本物の太陽光発電所での巡視点検や発電研究などの体験学習を通して、子どもたちの考える力と行動する力を育んでいく事業を行っています。

今年は9名の社員が、この社員派遣プログラムに参加しました。今回は、社員派遣プログラムを実施した損保ジャパン・日本興亜損保、そしてプログラムを受け入れた南相馬ソーラー・アグリパーク、 ETIC.の社会起業家支援の立ち上げ時からご協力いただいており、損保ジャパンのCSR取り組みにも造詣が深いIIHOEの川北秀人さんの3つの視点から、プログラムの成果や意義をひもといてみたいと思います。

みちのく復興事業パートナーズは、企業・ビジネスパーソンが、被災地で復興を目指して活動するリーダーと協働して課題に取り組むプラットフォームです。2012年3月に開始し、現在、味の素株式会社、花王株式会社、株式会社損害保険ジャパン、株式会社電通、株式会社東芝、株式会社ベネッセホールディングスの6社が参画しています。(2014年1月時点)

社員の声からボトムアップでうまれた、新しい被災地支援の仕組み

今回の最終報告会では、まずプログラムの企画運営を担ったCSR部 リーダーの酒井香世子さんからのお話がありました。 プログラムについて説明するCSR部リーダー・酒井さん

写真:プログラムについて説明するCSR部リーダー・酒井さん

CSR部リーダー・酒井香世子さん:震災後の保険金支払いのため、またボランティアとして、多くの社員が被災地に赴きました。社員の多くが被災地に特別な思い入れをもっており、震災からしばらくたった後も、「会社として何かもっと被災地に貢献できる制度ができないか」という多くの声が私たちCSR部員のもとに寄せられました。

私たちは、社員の声を受けて考えました。当社の最大の資源は、社員です。社員のスキルや会社に蓄積されたノウハウを活用して、もっと持続的に、そして深く被災地に貢献することができないだろうか。それがこのプログラムをつくった背景にある私たちの思いです。そうして、休暇を用いたボランティアではなく出張扱いで、日常業務で培ったビジネススキルを活用して復興に取り組むプログラムを作りました。

2回目となる今回の派遣で、工夫を加えた点は、Facebookを活用し、「サポート・コミュニティ・グループ」を立ち上げたことです。派遣中の社員が、日々の出来事やサポートが必要なことをつぶやき、それをみちのく復興事業パートナーズの連携企業・NPOのメンバーや、昨年の派遣メンバーとも共有し、様々なアドバイスをいただきながら進めていきました。

本業のノウハウを活かしながら、被災地における事業推進に貢献

次に、実際に「社員派遣プログラム」に参加した社員からの発表がありました。コメントを抜粋して紹介します。 社員派遣チームのメンバー

写真:派遣先で着用していた揃いのTシャツを着て報告会に臨む派遣プログラムメンバー

関西総務部 総務課・大滝剛司さん:私が実施したのは、南相馬ソーラー・アグリパークが提供している体験学習の品質向上のための仕組みづくりです。例をあげると、「体験学習に参加した子どもたちの満足度がわからない」という意見が内部にありました。これに対して、損保ジャパン・日本興亜損保のコールセンター部門のノウハウを転用して、体験学習を進行するリーダーたちのビデオ撮影やコーチングを実施しました。成果としては、「どうすれば体験学習の質が向上するのか」を考えるきっかけづくりができたように思います。

火災新種専門サービスセンター部 海外旅行サービスセンター課・兼島恵さん:業務を進める中では、現地メンバーの信頼を得ることを大切にしていました。信頼を得ないと、私たちからの提案も机上の空論に終わってしまいます。とにかくメンバーの話を丁寧に聞くことを意識しました。

そして、プログラム参加による最大の収穫は、創業期の混沌としている状況下で、その状況に耐えつつ道筋を立てる力だと思います。現場はとても大変で、日常業務以上に、優先順位や限られた時間を考えながら問題解決を進めていく必要がありました。こういった経験をすることで、問題発見や、解決のスキルがかなり磨かれました。誰かがつくったものの上に乗るだけでなく、困難な状況下において、課題を発見し、解決していく力は、これからの時代に不可欠なスキルだと思います。 南相馬ソーラー・アグリパークの現地メンバー

写真:南相馬ソーラー・アグリパークの現地メンバー

千葉自動車営業部第四課・志場敬介さん:補助金申請書類の作成作業を通して、事業の存在意義や取り組む理由を、代表の半谷さんにじっくりと聞かせていただき、文字に落としました。こうして取り組みを可視化していくことにより、南相馬ソーラー・アグリパークで働くスタッフたちとの共有度が上がったのではないかと思います。体験学習をより効果あるワークショップに進化させていかなければ、という共通認識もうまれました。

プログラム期間中は自分の考えや意図に執着するのではなく、「現地の皆さんが何を求めているのか、何が必要なのか」ということを、とにかく考えて対応しました。南相馬ソーラー・アグリパークは実質4名ほどで運営されている組織で、人手が潤沢とはいえません。その中で、意思決定や優先順位付けの重要さ、事業立ち上げの切迫感といったものを、身を持って体験させていただきました。熱い志を持った起業家と直接お話をすることができたというのは、私の会社員人生の中で、本当にすごく貴重な経験となりました。

社員派遣を受け入れたことで、組織にチームワークがうまれた

報告会の会場には、約180名もの参加者が集まりました

写真:報告会の会場には、約180名もの参加者が集まりました

南相馬ソーラー・アグリパーク・現地スタッフのコメント:社会人の先輩と一緒に仕事をした50日間で、仕事に対する取り組み方を学びました。私たち現地スタッフは、ここ南相馬で働くことになってから、どのように仕事を進めていこうか悩み、不安に思いながら毎日仕事を進めていました。みなさんがきてくださったことで、優先順位の付け方や仕事の見つけ方など、具体的な仕事の進め方を身につけることができました。

■ 後編:IIHOE川北秀人さん、社員派遣先のリーダー・半谷栄寿さん(福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会・代表理事)のお話に続きます。

■ 関連記事 「なぜ今、企業がNPOのリーダーシップに注目するのか?」ジョンソン・エンド・ジョンソン日色社長とNPOリーダーの対話から

撮影・編集/田村真菜

1988年生まれ、国際基督教大学卒。12歳まで義務教育を受けずに育ち、芸能活動や野宿での日本一周を通して、社会をサバイブする術を子ども時代に習得。大学在学時は、ポータルサイトのニュース編集者を務める傍ら、日本ジャーナリスト教育センターの立ち上げに従事。311後にNPO法人ETIC.に参画し、震災復興事業の情報発信や事務局などを担当。趣味は、鹿の解体や狩猟と、霊性・シャーマニズムの探究および実践。

この記事を書いたユーザー

石川 孔明

石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

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