「All inclusive(オール・インクルーシブ)」という新たな価値観を掲げ、「できる限り誰もが好きなファッションを楽しめる社会」を作ろうとするチャレンジが産声を上げています──
All inclusive(オール・インクルーシブ)。
直訳すれば、すべてを含んでいる、という意味ですが、私たちはこれを「すべてを受け入れる」という言葉として、これから始めていく新しいビジネスのすべての合言葉にしたいと考えています。
《クラウドファンディングページより抜粋》
仕掛けるのは、2020年9月15日、国際民主主義の日に設立された「SOLIT,Inc.」(ソリット)。
「All inclusiveな経済圏」を実現することを野望に掲げ、最初に選んだ分野は「ファッション」。現在クラウドファンディングに挑戦中(12月25日(金)午後11:00まで)で、「誰でも、そして特徴的な体型の方も着脱しやすく、部位ごとに好きなサイズや丈を選ぶことができるセミパーソナライズのファッションを開発」しています。
SOLITには現在、医者・作業療法士・理学療法士・鍼灸師・介護士・デザイナー・生産管理・マーケターなど、多業種多職種のプロボノが集結。各分野のプロフェッショナルが、お互いの共通言語を探るところから、日々チャレンジを続けています。
本記事では、そんな多様なSOLITメンバーの中から7名を取材。多業種多職種メンバーで仕事をすることの面白さや自身の気づきや変化などを伺いました。
1. YURIKAさん(作業療法士)
YURIKAさん(作業療法士)
SOLITの専門家チームの一員。武蔵ヶ丘病院(熊本市)に勤める、作業療法士。この道10年。日々、障害を持つ方々などのリハビリをサポート。
──SOLITに参画した理由をお聞かせください。
YURIKA : 病院に勤務し、洋服に困っている人をたくさん見てきました。私は今まで若い子を担当することが多く、脳出血や交通事故など病院にやってくる理由は様々です。みんなお洒落をしたい年代なのに、様々な身体的特徴によって、好きな服を着れない状況がありました。その当時の解決策は「自分たちで、切ったり、縫ったり」という感じでした。
その課題意識を持っている中、SOLITのお話を聞き、自分も行動したいということで参画しました。最終的な決め手は、SOLIT代表の美咲さんが私と同い年だったということかもしれません(笑)
──多業種多職種のメンバーで仕事をする中で、どんな面白さがありますか?
YURIKA : 病院の中では「多職種連携は当たり前に存在すること」なのですが、異業種の方々とここまで深く関わるのは新たな経験です。人体のことを専門的には知らないメンバーと一緒に仕事を進めていくことが初めてなので興味深いです。また普段病院に勤務していると使わない言葉が、SOLITメンバー同士の会話で登場し、分からない場合もあるのですが、それもまた一つの学びで、異業種の良い点です。
──SOLITに関わって、ご自身の中にどんな変化や気づきが生まれましたか?
YURIKA : 元々プラス思考なのですが、SOLITに関わって、さらにプラス思考になりました。「できないことはないな」と。多様なメンバーがいて、言えばなんとかなるんです、SOLITでは。
2. MITSUOさん(生産管理)
MITSUOさん(生産管理)
千葉大学工学部デザイン工学科卒。文化服装学院二部服装科卒。OEMでのアパレル営業・生産経験を経て、アパレルSPA企業で生産MDの職務に従事。
──SOLITに参画した理由をお聞かせください。
MITSUO : 本業がそもそもアパレルということもあり、そこでできないこと──企業利益やブランド利益を優先するとどうしても選択できないことの実現に悩みがありました。その個人理念と近しい指針がSOLITには存在していると感じました。本業で個人としての優先したいことができない分、SOLITで実現していきたいと思い、お声掛けをいただいてからすぐに参画を決めました。
──多業種多職種のメンバーで仕事をする中で、どんな面白さがありますか?
MITSUO : 広い範囲で、今までと違う目線でものが見れるようになりました。本業で服を作っていて、自分たちが当たり前のように考えていたことが、「一般の方々にとっては当たり前ではない」ことを感じました。「服だけを作ってきた人にはない視点」でSOLITメンバーからフィードバックをもらい、「自分が当たり前だと思ってきた考えが覆されていく」のが面白いです。
──SOLITに関わって、ご自身の中にどんな変化や気づきが生まれましたか?
MITSUO : ファッション業界の中で、次の世代に自信を持ってバトンを渡すために、「この業界をどのようにリフレッシュしていこうか?」という問いに対する一つの方向性が、SOLITの中にはあります。SOLITで救える人はまだごく一部で、今後どのように拡大していくのかは課題ですが、「自分の中で大事にしたいことが日々変化し、広がっていく」ことを、SOLITに関わって実感し、その変化を楽しんでいます。
3. YUKIKOさん(鍼灸師・プロジェクトマネージャー)
YUKIKOさん(鍼灸師・プロジェクトマネージャー)
──SOLITに参画した理由をお聞かせください。
YUKIKO : 毎日自分が着る洋服を買いに行く時、「この服を作る上で、搾取されている人や傷ついている存在はいないのかな」と考えることがあります。ただ、考えすぎると買い物ができなくなってしまいます。「考えすぎると生活できなくなっちゃうから、見てみないふりをする」というのを自分は重ねてきて、もういい加減それは嫌だなと感じていました。
SOLITに参画することで、「自分が心地よい選択肢や人に伝えられる選択肢を一つ持てたら良いな」と思いました。SOLITが作りたい未来が私の思い描く未来と一致した時に、参画しようと決めました。
──多業種多職種のメンバーで仕事をする中で、どんな面白さがありますか?
YUKIKO : 現在フリーランスで、組織の中で働いていたのは4〜5年前の話です。組織に所属するのは、過去に3ヶ月以上続いたことがなく、多業種多職種というより、そもそも同業とも一緒に働いたことがあまりないような状態で、初めてのことだらけでした。「チームってこうやって仕事をするんだ」と日々発見があり、ただただ面白いです。
──SOLITに関わって、ご自身の中にどんな変化や気づきが生まれましたか?
YUKIKO : 本業が臨床なので、患者さんが常に目の前にいます。その場で施術して、「良くなったか、良くならなかったか」それがすべて、という仕事しかほとんど経験がありませんでした。
しかしSOLITは「目の前に受け取る人がいないものを作る仕事」で、どんな感じになるのかまったく想像ができませんでした。SOLITで仕事を進めていく中で、「目の前にいないからこそ、どこまでも想像できる」ことを実感できました。色々な仕事に対する考え方や感じ方が変化しました。
4. SHINICHIさん(マーケター)
SHINICHIさん(マーケター)
大学卒業後、広告コミュニケーション関連企業にて、プランニングおよびディレクションを実施。本業の傍ら、社会が抱える様々な問題にコンセプトデザインやプロトタイプ開発で解決へと導く、一般社団法人PLAYERSの理事を務める。SOLITではマーケターとして、ブランド開発やコミュニケーションデザインを担当。日本PRアワードグランプリ など受賞。
──SOLITに参画した理由をお聞かせください。
SHINICHI : 本業は支援業がメインなので、「自分たちが主体となって手を動かしながら、プロダクトリリースまで持っていく」ということをしてみたかったからです。また「トライアンドエラーを重ねて、スピード感もって改善しながらローンチできる楽しさ」がありそうで、それも実感したかったからです。もちろん、SOLIT代表の美咲さんと一緒に何かやれたら楽しそう、という気持ちが一番です。
──多業種多職種のメンバーで仕事をする中で、どんな面白さがありますか?
SHINICHI : 仕事柄、異業種の人と仕事することは多いですが、「専門領域において、どのような伝え方をするとメンバーに考えが伝わるのか」を日々考える必要があり、自分自身の良いトレーニングにもなっています。また、本業同様ではありますが、ブランドとして正しい方向に導くために、「自らのディレクションに自信と責任感を持ってやらなければならない」と常に思うことが多いので、その点も良いトレーニングになっています。
※SHINICHIさんは、文面でご回答いただきました《ライターが一部加筆修正》。
さまざまな価値観や多様な特徴のある仲間と共に──
以上、前編として4名のSOLITメンバーを紹介しました。All inclusive(オール・インクルーシブ)──「すべてを受け入れる」という合言葉のもとに集ったみなさんは、本当に様々なバックグラウンドをお持ちでした。お互いを受け入れ、さらに自分自身の学びにも昇華させ、それぞれが自然体で楽しんでいる姿が、とても印象的でした。
後編には、「デザイナー・介護士」「プロジェクトマネージャー」「プロデューサー・SOLIT,Inc.代表」の3名が登場。引き続き、お楽しみください!
【後編】
だれも取り残さない、どれも取りこぼさない―多業種多職種のプロボノたちと目指す「All inclusiveな経済圏」
◆
さて、SOLITが挑戦中のクラウドファンディング、その締切は12月25日(金)午後11:00までです。
私たちは今回のクラウドファンディングを、資金のお力添えだけでなく、「All inclusive経済圏の実現」を共に目指す仲間も募るチャレンジだと考えています。私たちだけでは、そんな世界の実現には程遠い。多くの企業・省庁・団体やメディアの皆さん、そしてさまざまな価値観の一人一人の声と想いが必要です。
さまざまな価値観や多様な特徴のある仲間と共に「これからのAll inclusive」を考え、共に問い続ける仲間となっていただけたら嬉しいです。ぜひ皆さんのお力添えをお願いできれば幸いです。
と、「クラウドファンディングに込めた願い」もサイトでは語られています。ぜひチェックしてみてください!
All inclusive?問いかけつづける、新ブランド始動。
※本記事の掲載情報は、2020年12月現在のものです。
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