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「自分が取り組むべき課題に100%向き合っていこうと決めた」クロスフィールズ創業ストーリー(2)松島由佳さん

2014.07.31 448view 

NPO法人クロスフィールズ共同創業者・副代表の松島由佳さんへのインタビュー前編「中学生の頃から胸に秘めていた想い」に続き、後編をお送りします。

インタビューに答えるクロスフィールズ共同創業者・副代表の松島由佳さん

写真:インタビューに答えるクロスフィールズ共同創業者・副代表の松島由佳さん

心を揺さぶる体験には、人生を変える力がある

石川:中学生の頃にカンボジアで感じたことは、その後にどうつながっていきましたか。

松島:その後大学に入ってから出会ったのが、かものはしプロジェクト*1。当時かものはしは、日本で展開しているIT事業の収益を元手に、カンボジアの「子どもが売られる問題」を減らすプロジェクトを展開していました。プロフェッショナルに社会課題解決に取り組む彼らの姿をみて、「これはすごい!」と思って、すぐに参加することにしました。

*1:認定NPO法人かものはしプロジェクトは、主にカンボジアやインドにおいて、強制的に子どもが売られてしまう問題を防止する活動を進めるNPOです。

かものはしでスタディツアー立ち上げに奮闘し、学生らと現地に赴く松島さん

写真:かものはしでスタディツアー立ち上げに奮闘し、学生らと現地に赴く松島さん(探してみてください)。実は、当時もNPOに対する認知はあまりなく、大学の友人にはNPOでの活動は話せずにいたそうです。

石川:どんなことに取り組んだのですか?

松島:かものはしでは、カンボジアのスタディツアーの立ち上げを担当しました。スタディツアーを実施することで、より多くの方にカンボジアの状況を伝えながら、かものはしの活動資金に繋げようという事業です。

かものはしもまだ設立から数年だったので、「参加者を集められなかったら、かものはしは続けられないよ!」と言われて。それを真に受けた私は、全国の国際協力関係のゼミの先生に手紙を書いて学生にこのツアーを紹介してもらったり、都内中の大学のボランティアセンターを片っ端から回ってチラシをおいたり、とにかく効果がありそうなことは何でもやりました。

石川:僕も大学生の時、かものはしの現地ツアーの告知を見たことがあります。松島さんが担当されていたんですね。

松島:そうなんです。そして、ここからクロスフィールズにつながってくるのですが、スタディツアーがきっかけとなって進路を変える人がたくさん出てきたんです。大学院に進学するはずだった人が「早くこういった現場で仕事がしたい!」と言って国際協力分野の仕事に就いたり、生物を専攻していた人が「本当にやりたかったのは人に関わる医療だ」と、看護学部に入りなおしたり。

そんな彼らの姿をみて、私は「心を揺さぶる体験には、人生を変える力がある」と思ったんです。現地に入り込むことで得られる強烈な体験は、それぞれの人が本来もっている「自分はこうありたい」という想いを後押しする。それって、すごいことだなって。

本業の傍らで取り組んだプロボノの手応え

石川:松島さんは、大学卒業後コンサルティングファームに就職されていますが、ビジネスの可能性を感じたのも、この頃だったのでしょうか。

松島:そうですね、大学卒業後にBCG(ボストン コンサルティング グループ)に就職したのも、かものはしでの経験があったからだと思います。かものはしでは、プロボノのコンサルタントが経営課題の相談や戦略立案をサポートしていて、彼らの仕事ぶりをみて「コンサルタントの仕事の進め方ってすごい!」って感動したんです。NPOの経営には必要な力だと思いました。

石川:それでコンサルティングファームを目指すことになったんですね。

松島:そうです。そういえば、小沼と出会ったのも、あるコンサルティングファームのグループ面接でした。

石川:そうなんですか??それは、運命的な出会いでしたね。ぜひそのお話も。

松島:グループ面接でお互いカンボジアとシリアの話をしていて、「なんだか同じようなことを話している人がいるな」と思ってたんです。それでお互い話すようになって、その後に小沼が主宰していたコンパスポイントという勉強会に私を誘ってくれたんです。それから、色々一緒に活動することになって。

石川:なるほど。コンパスポイントについて、お聞きしてもよろしいですか。

松島:コンパスポイントは、小沼が大学の部活の仲間と始めた勉強会です。詳しくは小沼から聞いていただければと思いますが、若手社会人の情熱を絶やさないようにと、社会起業家などのゲストを呼んでの勉強会や、そこから派生した様々なプロジェクトを実施していました。

石川:コンサルタントとして働きながら、コンパスポイントにも参加されていたんですね。

松島:そうですね。コンサルタントの仕事もとても楽しかったのですが、やはり学生時代の想いが忘れられず、NPOの活動に関わりたくなってしまって。ちょうどその時、コンパスポイントで取り組むことになったのが、TABLE FOR TWO*2のプロジェクトでした。TABLE FOR TWOの小暮さんを招いた勉強会で議論が盛り上がって、「それいいね、やろうよ」と立ち上がった新規事業です。

*2: 認定NPO法人TABLE FOR TWO Internationalは、先進国の私達と開発途上国の子どもたちが食事を分かち合うというコンセプトの下、世界の食料問題の解決に取り組む日本発の非営利法人です。社員食堂や店舗でTFTヘルシーメニューを購入すると、代金の内20円が寄付となり、飢えに苦しむ世界の子どもに給食1食分をプレゼントできます。

石川:どんな活動だったんですか?

松島:コンパスポイントのメンバーで、寄付つきのお弁当箱をつくるというプロジェクトだったのですが、企画立案からはじめ、製品開発や販売先の開拓を行い、最後にはLOFTでお弁当箱を販売するところまでやりました。

TABLE FOR TWOのプロジェクトに取り組むコンパスポイントのメンバー

TABLE FOR TWOのプロジェクトに取り組むコンパスポイントのメンバー

石川:どんな学びがありましたか?

松島:ビジネススキルが本当にNPOの活動の役に立つということを、身を持って体感しました。仕事を通して学んだ組織づくりやプロジェクトマネジメントをフル活用して、プロジェクトを進めていくことへの手応えがありましたね。また、ビジネスパーソンにとって、プロボノは、仕事のやりがいを再確認するよい機会になるということも分かりました。プロボノのように、社会に対する価値や目的を強く意識しながら働くことはとてもやりがいがあるし、そのような姿勢で改めて本業も捉えられ、本業にも良い影響を与えるんだと。

プロボノか、それとも別の道を歩むのか

石川:少しずつクロスフィールズに近づいていくようですが、そこから創業にはどうつながっていったんですか?

松島:TABLE FOR TWOのプロジェクトが終わったあたりで、ちょっとモヤモヤした期間があったんです。「色々やってみたけれど、これから自分はどういうキャリアを歩んでいきたいんだろう」と思い悩んで。私は平日の昼間はコンサルティングファームで働きながら、プロボノとして社会貢献活動を支援していくのか、それとも別の道を歩むのか。そのことについてじっくり考えたくて、夏休みを使ってカンボジアに行くことにしました。

石川:カンボジアにすごく縁がありますね。

松島:この時は、かものはしプロジェクトの共同代表の青木さんや本木さんを訪ねて行きました。父の病院で働いている友人にも再会したし、自分とあまり歳が変わらない日本人女性の起業家にも出会いました。彼女は、日本の有名企業の内定を蹴って、現地の人たちとプロダクトを作る事業を創業したばかりでした。

カンボジアで出会った同年代の起業家と松島さん

写真:カンボジアで出会った同年代の起業家と松島さん(右端)

石川:話を聞くだけで背中を押されそうな人たちですね。

松島:今思い返すと、自分の100%をフルに使って課題解決に取り組んでいる人に、あらためて会ってみたかったんだと思います。”人生をかけて社会課題に取り組む仕事をしている人”ってどんな人だったっけ。私はその人たちみたいに生きる覚悟があるのかな。TABLE FOR TWOのプロジェクトが終わった後の私は、カンボジアへの旅を通じて、そのことを確かめに行きたかったのかもしれません。

石川:結果は、どうでしたか。

松島:観光には全く行かず、毎日人にあって話をしたり、シェムリアップのカフェにこもって、本を読んだりノートに自分の想いを書き出したりしながら考えました。当時から、私の関心は「どうしたらNPOにもっとリソースが集まって、課題解決が進んでいくか?」というところにありました。だから、コーズマーケティング支援とか、NPOへの転職支援とか、今に繋がるような、企業からNPOへの出向支援とか。とにかく色んな事業アイデアを書き出しました。どうしたら波及効果が最大になるのか、どこが社会を変えるレバーなのかを考えながら。

その時に、私は自分が取り組みたい課題に100%向き合っていこうと決めました。事業モデルはまだはっきりした形になってはいませんでしたが、「自分がどう生きていくか」という覚悟を決めたのは、その時でしたね。

カンボジア訪問時に松島さんが通ったカフェにて

写真:カンボジア訪問時に松島さんが通ったカフェにて。 名著ブルー・セーターとキウイシェイク。 (奥の灰皿は他人のものだそうです)

創業支援プログラムに採択され、起業を決意

石川:その時から、松島さんは起業に向けて動き出したんですか。

松島:帰国後コンパスポイントの仲間と集まって、「プロボノもいいけど、二足のわらじじゃなくて、100%現場に入りこむにはどうしたらいいか」、「ビジネスからNPOへの転職が片道切符と言われない社会をつくるには、どうしたらいいだろう」と話し合いながら、ビジョンや事業モデルを書き出しました。

ちょうどその頃、2010年の秋ごろだったと思いますが、ETIC.*3(リンク:http://www.etic.or.jp/)が新しいソーシャルビジネスの創業支援を始めたという話を聞いて、プログラムの説明会に参加したんです。そこで担当の方に「まだまだアイデア段階なんですが、それでも応募できますか」と聞いたところ、「もちろんです」と言って頂いて。

*3:NPO法人ETIC.(エティック)は、次代を担う起業家型リーダーの輩出を通じて社会のイノベーションに貢献することを目指し、社会起業家の創業支援や長期実践型のインターンシップに取り組むNPOです。本サイトDRIVEを運営。

石川:そのイベント、僕も参加していました。松島さんもその場にいらっしゃったんですね。

松島:そうなんです、それでダメ元で応募してみようと小沼を含むコンパスポイントの仲間たちと相談して、本格的に事業プランを練り始めました。そして苦労の末、応募したプランが無事に採択されて。それで、コンサルティングファームを辞めて起業することを決めたんです。

石川:ついに、クロスフィールズが動き出したんですね。お話に小沼さんが登場したところで、小沼さんにもお話をうかがってみたいと思います。

>>「ビジネスとNPOの接点には、ものすごい可能性があった」小沼大地さんインタビューに続きます。

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この記事を書いたユーザー

石川 孔明

石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

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