TOP > ローカルベンチャー > 「地域で起業するコツを伝授」2泊3日の小村力開発塾、トビムシ牧大介さんらが西粟倉村で開講

#ローカルベンチャー

「地域で起業するコツを伝授」2泊3日の小村力開発塾、トビムシ牧大介さんらが西粟倉村で開講

2014.10.14 

実は、地域にはすごい可能性が眠っているのではないか―その可能性を検証していく「小村力研究所」。これを仕掛けるのは、林業ベンチャー経営による西粟倉村の活性化で知られる牧大介さんや、多地域への広がりを見せる「東北食べる通信」のデザインを担当している玉利康延さんら、地域から新しい仕事を生み出し続ける起業家たちです。 小村力開発塾 ・小村力研究所とは?

―研究とは仮説の構築とその検証を繰り返し重ねて行くことです。だから、小村力研究所は、小村力って実はすごいポテンシャルがあるんじゃないかっていう仮説を検証していく。検証っていうよりも、各地域で実証していきたいわけです。地域には、こんなにすごい可能性が眠っていたぞ!っていうことを、地域の人たちと一緒に悪戦苦闘、七転八倒しながら見つけだしていきたい。そういう研究所です。(小村力研究所WEBサイトより引用)

そんな小村力研究所が新しく、地域での起業に関心ある方々を対象とした合宿研修「小村力開発塾」を始めたそうです。なぜ今、西粟倉村で研修を始めたのか?どんな中身になっているのか?所長・牧大介さんにお話をうかがいました。 牧大介さん 石川:まず、「小村力開発塾」について教えていただけますか?

 

牧:この「小村力」という名前は、いとうせいこうさんに付けてもらいました。ここには、小さな地域の中でチャレンジが「束」になって生まれてくることで、地域の価値が上がっていく可能性がある、という想いが込められています。 これまで、「点」としてローカルベンチャーが生まれることはありました。

でも、重要なのはそこを起点に、連鎖反応のように次々と地域のベンチャーが生まれてくることだと思っています。僕自身、こういう考え方で、西粟倉村*で林業を中心としたローカルベンチャーの「束」を創ることに取り組んできました。

 

石川:地域が良くなっていくには、単独の企業ではなく、「群れ」が生まれることが大切だということですね。

 

牧:こういった考え方で地域づくりに取り組む人を増やそうと思い、立ち上げたのが「小村力研究所」です。そして昨年から、「小村力開発塾」という合宿研修を始めました。

*西粟倉村(にしあわくらそん)は、岡山県の北東の端、鳥取県都の県境にある人口約1,500人の村です。

 

石川:小村力研究所のWEBサイトに「地域鎮静化」というフレーズがありました。一般的には「活性化」と言われることが多いですが、あえて「鎮静化」と。どんな意味をこめられたのですか?

 

牧:これまで、「経済を拡大成長させ続ける」、「絶対に増収増益を維持する」という考え方でやってきて、世の中ちょっとおかしくなってしまいました。そもそも、地域というのは、人がそこで家族を持ったり、子育てをしたりしながら生きていくためにあります。だから、経済の活性化も大事だけれど、いずれどこかで鎮静化、つまり落ち着くことが大切だと思うのです。

とはいえ、経済が落ち込み、人口が流出してしまうという悪循環に陥っている地域が、そこから抜け出すには、かなりのエネルギーが必要です。このタイミングでは確かに「地域活性化」が必要です。この悪循環を断ち切るためのプロセスとして、地域活性化をとらえています。そこには、戦後の「経済成長を続けていこう」という流れとは一線を画しておきたい、という思いがあります。

 

石川:活性化は目的ではなく、手段であるということでしょうか。では次に、小村力開発塾の中身について教えていただけますか。

 

牧:おおまかに2泊3日を説明すると、初日のチーム作り、2日目の群れ作り、そして最終日のアクションプランづくり、となっています。初日は立ち上げチーム編成と、起業家自身のメンタルという、ローカルベンチャーの創業期における重要な課題について実践者とともに、深めていきます。 西粟倉村

写真:西粟倉村では、村役場と森林組合が連携をとりながら林業を進めてきたそうです。

2日目は、西粟倉村のフィールドワークがメインです。西粟倉村では、「木薫(もっくん)」というローカルベンチャーが鍵となって、次々に地域に企業がうまれました。そういった企業を合わせると、今では7億円ほどの売上があり、経済や雇用という意味において、地域で一定の影響力があるといえます。

ここで重要なのは、「木薫」の創業により、後に続こうという流れが地域にうまれたことです。そこには、色んな人が関わり、本当に色んなことがありました。でも、設立前後に本当に起こった話というのは、決して外には出ないんですね。

メディアに取り上げられると、どうしてもきれいに整ったストーリーになりがちです。それに、僕自身も取材を受けていて、「これはちょっと話せないな」と思うことがたくさんあります。 とはいえ、よく語られるストーリーとは別のところに真実があるのだとしたら、そのことをしっかりと伝えていかなければなりません。ですから、現状の西粟倉を現場で体感していただいて、その上で夜にお酒を飲みながら、木薫の社長や役場のキーパーソンとオフレコトークを繰り広げます。そうして、地域で何かをやりぬくためには何が必要なのか、その真実に迫っていきたいと思っています。

 

石川:それは、これから地域で何事か挑もうという人にとって、ものすごく貴重な経験になるでしょうね。

 

牧:今回は講師で来ていただく方々にも、同じようにぶっちゃけてもらうようお願いしています。ですので、今回のプログラムでは紙の資料は一切配布しません。本気の人たちが集まる場だからこそ、その場限りで出でてくる対話に、価値を起きたいと思っているからです。

そういったプロセスを経て、最終日には、参加者のうち代表者のケースを取り上げながら、具体的なアクションプランをみんなでつくります。こうして、2泊3日という限られた時間の中で、ローカルベンチャーを生み出す上で大切なことを伝えつつ、具体的な行動を導く場にしたいと思っています。 飲み会の様子

写真:深夜まで飲みながら、たっぷり話し込む時間を準備しているそうです。

石川:牧さんは、この取り組みを通して、どんな人を輩出していきたいと思っているのですか。

 

牧:地域経済にインパクトを与えるようなローカルベンチャー、具体的には売上が一億円を超える企業を創って、地域の牽引役になれる人材を輩出したいと思っています。 ただ、そういう起業家たちだけでなく、彼らを支援する仕組みをつくりたい、あるいは右腕として働きたい、という人たちも輩出していきたい。ローカルベンチャーが生まれるには、起点となる人と、それを支える人たちがチームになることが重要ですから、そういったチームメンバー候補にも来ていただきたいですね。

共通して言えるのは、何かビジネスを成功させたい、というだけでなくて、自分のチャレンジから地域を変えていきたい、地域に眠っている可能性を掘り起こしたい、という想いですね。そういった人たちと場を創っていきたいと思います。

 

石川:西粟倉の真髄を体感する、充実したプログラムになりそうですね。お話ありがとうございました。 小村力開発塾

詳細・エントリーはこちらから

●10/17(金)に、渋谷で事前説明会を開催します!

●概要

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

日時:2014/10/17(金)19:00~20:30(18:45開場)

会場:ETIC.セミナールーム(東京都渋谷区神南1-5-7 APPLE OHMIビル5階)

参加費:無料

●申込み:下記のフォーマットにご記入のうえ、指定のアドレスまでお送りください。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・送信先:com-innovators@etic.or.jp (担当:長谷川)

・件名:小村力開発塾2014事前説明イベント参加申し込み

・本文:下記をご記入ください。

1)お名前 2)ご所属 3)ご連絡先(連絡がつきやすいメールアドレス、電話番号) 4)事前説明イベントをどちらでお知りになりましたか

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

関連記事

持続可能な地域のための「ローカルベンチャー」の作り方 西粟倉・森の学校 牧大介さん

「起業することは、割に合わない生き方だけれど」西粟倉・森の学校 牧大介さん

この記事を書いたユーザー
アバター画像

石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

Events!DRIVEオススメのイベント情報

イベント

東京都/国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟

2025/03/02(日)

イベント

オンライン/オンライン

2024/12/18(水)

イベント

東京都/築地本願寺 講堂

2024/12/04(水)