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200人の高校生による「マイプロジェクト」始動!「全国高校生スタートアップ合宿 2015」レポート

2015.10.17 610view 

東京が多くの観光客でにぎわった先日のシルバーウィーク。朝7時半のまだ人もまばらな代々木公園で、大きなオレンジ色のスケッチブックを掲げて夢中になって語り合う100名もの高校生たちがいた。一人ひとりが堂々と表現し合うそのアイディアは、「マイプロジェクト」と呼ばれる自分発信のチャレンジプランだ。

代々木公園でのようす

全国200名の高校生たちが挑む「マイプロジェクト」

2012年、NPO法人カタリバによって、被災地の子どもたちの声をきっかけに始められた「マイプロジェクト」。「地元のために何かしたい」「好きなことの良さをたくさんの人に伝えたい」「この社会課題を解決したい」「友だちのために何かをしたい」。高校生たちが、そういった毎日の実感から生まれた “やりたいこと”を見つけて実行していくこの活動は、今年で3年目をむかえる。

マイプロジェクト発表のようす

今回東京に集った100名の高校生たちは、プロジェクトのはじまりである「全国高校生スタートアップ合宿」の参加者たちだ。東京・東北・九州の3地域を拠点に、200名を超える高校生たちがマイプロジェクトを作ることを目的に2泊3日で行われた合宿であり、最終日にはそれぞれが2日間をかけて磨き上げたプランの発表会が行われる。

留学中の原体験から日本一の観光都市で英語のフリーガイドを

「イングリッシュと京都をつなげて、プロジェクト名は『E-Kyoto』! ここには、“良い”京都をつくりたいという想いも入っています」

100人の参加者からみごと最優秀賞に選ばれたのは、京都府神戸女学院高等学校2年生の黒住真帆さん。スコットランド留学中に参加した第二言語を英語とする学生たちのサマーキャンプでの原体験から、『E-Kyoto』プロジェクトが生まれた。英語でのフリーガイドを中心に、京文化の魅力あふれる店舗と提携したガイドや、網の目のような京都の市バスの路線図を英語でわかりやすく表記し直すなど、想定される活動は多岐にわたる。

黒住さん

「『なんで日本人は英語が話せないの?』と聞かれたから、日本でもよく聞くように『島国だから』と答えたけれど、『うちもそうだよ』と返されてしまった。それから、本当はなんでなんだろうかと考えるうちに気づいたことは、日本は英語を使う機会がとても少ないということ。また、消極的だし自信がないという傾向もある。だから、実践力を養える場をつくりたいと思った」

そう語った黒住さんは、「自分が大好きな京都だからこそ、訪れた外国の人に最高にいい思い出をつくってもらいたい!」という想いと重ねて、高校生として学んできた英語を活かすことのできるこのプロジェクトを考えたのだという。

「まずは自分一人で、10月に清水寺あたりでボードを持って、1時間頑張ってみたい。ぶっちゃけ超怖いですけど、わたしがしたら誰かもはじめてくれるかもしれないから、やります!」

彼女の率直で心の底から気持ちを汲み出したような言葉は、会場にいる同じくマイプロジェクトを胸に抱えた高校生たちにどのように届いたのだろうか。すべての発表が終わり登壇者も席に戻った休憩時間、緊張からか少しうつむいた彼女のもとに途切れることなく訪れた友人たちの表情は、皆とても晴れやかだった。

学びのあり方が社会と繋がる若者を生み、未来をつくる

18歳選挙権が適応される公職選挙法の改正案の可決や、2020年度の主体性や思考力が重視される知識活用型入試への改革、東京オリンピックのヒューマンレガシーとして高校生のプロジェクト型学習が位置づけられるなど、ここ数年で急速なニーズの高まりを見せてきたアクティブラーニングやプロジェクト型学習。そのような社会背景のもと、カタリバは「学びのあり方を変容し能動的な社会参加者を増やす」というビジョンを今回のプロジェクトで掲げている。

「この15年間で、小学校・中学校の学習がとてもイノベーティブになってきています。けれども、ずっと変わらないのは高校。センター試験などの「大学入試」というものがゴールにあることで、有名大学に何人入学させられたのかが重要視されてしまう構造になっているのです」

カタリバ代表理事の今村久美さんはこう語ったあと、2020年をめがけた一連の改革によってこれからは「高校生が社会と繋がらなきゃいけない時代」になると続けた。

「マイプロジェクトを学習の一環としてすべての高校が行う社会になったら、まったく違う風景が日本社会をつくるのでは」。この大きな時代の流れのなかで、カタリバは「高校生と社会をつなぐ」事業を生み出し続ける。

大人も子どもも関係なく「私」からはじめるだけ

創業プランコンテストでも、ビジコンでもない。ワークショップでも終わらない。実際にアクションすることに価値を。そして、あくまで生徒自身がコミットすると決めたことへの自由と、「部活」「テスト」に追われる普通の高校生にとって、できる範囲で当事者性を持って小さくチャレンジすることを応援するのがマイプロジェクトなのだという。

「いま高校2年生で、来年には受験勉強。そのなかで高校生のうちにどこまでやれるか、自信はないです。でも、死ぬまでには絶対する。立つことだけなら受験勉強しながらできるし、今の生活と並行しながらできることをやっていこうと思っています」

受賞後の想いを、勇気を振り絞るような声で伝えた黒住さんに、メンターでマイプロジェクトという教育手法の生みの親である慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘准教授の井上英之さんは「くろちゃん、あせんなくていいから」と優しく語りかけた。

代々木公園にて

「今日午前中の朝、代々木公園で皆の姿が本当に美しかった。公園の森のなかで話している姿が、宝石箱みたいに見えて。ファイナルステージでの大人の審査員たちのコメントも、ぜんぜん手加減していなかったよ。何かをはじめるのに、大人も子どもも関係ない。『私』からはじめて何かをやってみるだけなんだ。

特別な何かは、毎日に潜んでいる。毎日の大切なことを、いかに心を込めて大切にしていけるのか。普通にあることのなかに耳をすませて、丁寧に何かを試してみる。そこから何かが変わっていくんだ」

日常が本番というプロジェクト

高校生たちが2日間真剣に考えたプロジェクトの本番は、これからの日常にある。自分の地元に帰って、来年の2月までに何かしらのチャレンジをして、失敗したり成功したり、悔しかったり嬉しかったりを経験する。

彼らが次に集うのは、来年の3月26日。「日本最大級の高校生アクションアワード」と表現される場で、いったいどんな輝かしい成長に出会うことができるのか。プロジェクト発表の場に居合わせただけでも、その溢れる素直なパワーに、こちらが励まされる思いだった。

慌ただしい日々に、つい日常にある大切なことをおろそかにしがちな毎日。半年後の彼らに恥じないよう、「丁寧に何かを試す」日々を私自身もはじめてみたいと思っている。

集合写真

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この記事を書いたユーザー

DRIVE編集部・桐田理恵

DRIVE編集部・桐田理恵

NPO法人ETIC. DRIVE編集部。1986年生まれ、茨城県育ち。大学時代は文芸の研究をしつつルワンダ人とのコミュニケーションを楽しみ、2011年より医学書専門出版社にて企画・編集職に就く。精神医学や在宅医療、緩和医療の書籍づくりを経て、2015年よりDRIVE編集部の担当としてNPO法人ETIC.に参画。

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