前編・中編とお伝えしてきた、向田麻衣さんが歩んだLalitpurの軌跡。なんと2016年11月1日に表参道に直営店をオープンされるということで、新たにお話をうかがいました。
新商品に直営店。新たなステージに入ったLalitpurの現在をお届けします!
時間の流れを味わう、in timeというギフトシリーズの開発
桐田: 新商品「Message Soap, in time」が生まれましたね。ソープの中にメッセージが隠されているなんて、すごくロマンチックです。この商品はどのような視点から生まれたのですか?
向田: もともと結婚式の引出物やプチギフトなどにLalitpurの商品を選んでくださる方が多かったので、贈り物としてきれいな箱に入ったギフトセットを作りたいとtakramの渡邉康太郎さんに相談したんです。そこから彼らが「贈り物」について掘り下げてくれました。「時の流れを感じる贈り物はどうかな。Lalitpurらしいんじゃない?」と提案してくれた事からスタートしました。
2週間からひと月程石けんを使っていただくと、中に込められたメッセージが出てきます。中には「いつもなかなか伝えられないけれど、ありがとうと思っているよ。」とか、「なにかあったらいつでも電話をしてね。私はいつもここにいます。」など、受け取った方のこころにそっと触れるようなメッセージが込められています。in timeは「時がくれば、次第に」という意味ですが、この親密なメッセージがでてくるまでの時間を、ゆっくりとたのしんでいただけたらと思っています。
桐田: 「時間の流れ」がLalitpurらしいというのは、手作りにこだわって、時間をかけて、丁寧に作っているということですか。
向田: そうですね。それに加えて、Lalitpurの商品に欠かせない自然の恵みは、どれも時間をかけて自然によって育まれているもの。例えば、バスソルトの岩塩は、3億5千年前の地殻変動によってヒマラヤ山脈の地層の中に閉じ込められた海水がゆっくりと結晶化してできあがったもの。自然の原料はそれ自体が時間をかけて育まれたものです。
大自然が雄大な時の流れの中で育んでくれたものを分けていただいているということですから、時の流れを感じさせる贈り物というのはLalitpurらしいと言えるかもしれません。
2016年11月、初の直営店が表参道に
桐田: 初の直営店を新しくオープンされるとのこと、おめでとうございます! 向田: ありがとうございます。
桐田: こういう場を作っていきたいといった思いはありますか。
向田: Lalitpurの商品の使い方はもちろん、ネパールの希少な高山植物や、さまざまな原料の効能やそれらが持つストーリーを丁寧にお伝えできる場所にしたいです。また、様々な分野の作り手の集いの場になって、ここを拠点に人の輪が広がっていったらうれしいです。
桐田: これまでのポップアップショップでもトークイベントなどを開催されていましたね。そうした場の魅力は、どんなところにあるのでしょうか。
向田: Lalitpurに関わってくださっている素敵な人たちを知っていただけたらと思っています。たとえば先日は、Lalitpurのロゴとパッケージをデザインしてくれたジュエリーブランド「SIRISIRI」のデザイナー、岡本菜穂さんをお招きして、彼女とネパールを旅したときのことや商品デザインの背景をお伝えする小さなサロンを開きました。
ヒマラヤの希少な高山植物・ジャタマンシーを作り続けるためのクラウドファンディング
桐田: 現在、クラウドファンディングにも取り組まれているとうかがいました。
向田: Lalitpurのすべてのソープに配合しているジャタマンシーという希少な高山植物があります。この高山植物を受注生産型で製造できるしくみを整えるためのクラウドファンディングです(詳細はこちら)。
桐田:ジャタマンシーは、なぜ貴重なのですか?
向田: 標高5000メートル級の山々に生息する野生の高山植物なんです。効能としては、精神を落ち着かせ、リラックスする、また、最近の研究では皮膚細胞の再生・修復を助けるなど、毎日のスキンケアにとりいれるにはぴったりの効能があります。今、欧米で需要が高まっていて、希少性もあるので、私たちも入手するのが難しくなってきています。
これからは生産者さんに前もって、製造量をお伝えし、原料を確保してもらい、商品を作り続けることができるような仕組みを整えてゆきたいと思っています。それができると、Lalitpurの商品を気に入ってくださっている方に安定的にお届けする事ができるようになります。
桐田: なるほど、それは一ファンとしてぜひ応援させてください。 今回のインタビューでは、新しいステージに入ったラリトプールを届けることができて、とても嬉しいです。ありがとうございました!
Lalitpur代表/向田麻衣
高校在学中にネパールを訪問し、女性の識字教育を行うNGOに参加。大学在学中は社会学者 小熊英二氏の研究室にて社会学を学ぶ。2008年8月よりトルコにて6ヶ月間のフィールドワークを行った後、2009年にCoffret Project(コフレ・プロジェクト)の活動を開始。 現在までに約5000点の化粧品をネパール、トルコ、インドネシア、フィリピンに届け、延べ1500人の女性達に化粧ワークショップを通じて女性が本来持っている自信や尊厳を取り戻すきっかけ作りを行う。 2010年からは活動の拠点をネパールに絞り、2012年は職業訓練を実施。2013年5月にネパール発のナチュラル化粧品ブランドLalitpur(ラリトプール)をスタートし、ネパールの人身売買被害者の女性の雇用創出と自尊心の回復に取り組んでいる。 エイボン女性年度賞受賞 ソトコト ロハスデザイン賞 ヒト部門 大賞受賞 第4回ユースリーダー賞 受賞 等
聞き手/DRIVEメディア編集部/桐田理恵
NPO法人ETIC. DRIVE編集部。1986年生まれ、茨城県育ち。大学時代は文芸の研究をしつつルワンダ人とのコミュニケーションを楽しみ、2011年より医学書専門出版社にて企画・編集職に就く。精神医学や在宅医療、緩和医療の書籍づくりを経て、2015年よりDRIVE編集部の担当としてNPO法人ETIC.に参画。
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