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次の100年のために、100人の社会起業家が集合~アメリカン・エキスプレス 日本100周年記念セミナー&ギャザリング

2017.12.26 

1917年に横浜に日本事務所を開設したアメリカン・エキスプレス(以下”AMEX”)。今では誰もが知るクレジットカード事業を中心に、様々なサービスを提供するAMEX社。その100周年という記念すべき節目のイベントとして、

”Social Entrepreneur Gathering Collective Action for the Next 100 years”

(主催:特定非営利活動法人ETIC. 協賛:アメリカン・エキスプレス財団)

が開催されました。 

社会課題解決に挑んでいる100人を超える起業家やリーダーたちが招待され、海外からのゲストを交えたセミナー、セッション、分科会、そして夜のレセプションまで、様々な発信とネットワーキングが生まれたこのイベントについて、ダイジェストでレポートします。 また当日の様子をまとめた動画も以下に。ぜひ御覧ください。

オープニング:「100年前の自分たちの原点を見直す。そして次の100年を考える」

 

ETIC.宮城の開会挨拶に続き、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル日本社長、清原正治氏からのオープニングスピーチで会はスタートします。

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル日本社長 清原正治氏

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル日本社長 清原正治氏

1917年に横浜に日本事務所を開設したアメリカン・エキスプレス(以下”AMEX”)。今では誰もが知るクレジットカード事業を中心に、様々なサービスを提供するAMEX社。日本で100年となる節目に大きなイベントということで、何をテーマに、どんな内容しようか、いろいろな案があったそうです。そして決まったのが、

 

「100年前の自分たちの原点を見直す。そして次の100年を考える」

 

というテーマ。

100年前といえば、戦争の記憶や予感が日本と世界を覆っていた時代です。そんな空気の中、日本に拠点をつくってお互いを知り、交流しながら国際社会に貢献していこう、とスタートしたのが1917年、原点だったと清原氏はお話しをはじめました。そして会場に集まった社会起業家に向け、

「皆さん社会起業家と、私たち私企業は、原点は同じである。よりみんなが幸福になれる社会を目指してやってきたこと。それを再確認したい」とメッセージをなげかけます。

これまでの100年は、組織という箱が社会にとって重要だったこと。しかしこれからは、ソーシャルネットワークもクラウドファンディングもある、個人一人ひとりが直接社会に対して貢献できるインフラがある、そういう時代。ビジネスもその方向に変化していくのだ、と清原氏は強く語り続けます。そのためには、点を面に、面を立体にしていく、ネットワーキングと発信力が必要であること。それぞれの活動が社会的な影響力をもつためには、「その活動がありふれたものになることが必要です。社会起業家の皆さんの事業の力と発信力を通して、社会に大きな影響を与えていき、それがあたりまえのものになる、そんな新たな100年をつくっていただきたい」。この力強い言葉からイベントはスタートしました。

セッション 1: コレクティブ・インパクトによる社会変革の可能性

<基調講演>

・フィリップ・サイオン氏 (米国 FSG , マネージング・ディレクター)

<事例紹介>

・高 亜希 (一般社団法人 Collective for Children 共同代表/認定 NPO 法人ノーベル 代表理事)

・本木 恵介 (NPO 法人かものはしプロジェクト 共同代表)

・矢田 明子 (コミュニティナースカンパニー株式会社 代表/NPO 法人おっちラボ 代表理事)

<ゲストコメンテーター>

・須藤 靖洋 (アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 法人事業部門 ジェネラル・マネージャー副社長)


 

最初のセッションのテーマはコレクティブ・インパクト。行政、企業、NPO、財団など異なるセクターの様々な主体が、共通のゴールを掲げ、お互いの強みを出し合いながら社会課題の解決を目指す。そのための手法として、米国 FSG 社(*)が提唱した「コレクティブ・インパクト」と呼ばれるアプローチが世界で、そして日本でも期待を集めています。FSG社マネージング・ディレクターである フィリップ・サイオン氏の基調スピーチと、国内外での様々な実践事例の共有、全体でのディスカッションで構成されたセッションがスタート。

*FSG社:米ハーバード大学のマイケル・ポーター氏とマーク・クラマー氏が共同設立した、社会変革を志向するリーダーや組織を対象とした非営利の戦略コンサルティングファーム。2011 年にコレクティブ・インパクト(Collective Impact)の概念を提唱し、世界中で取り組みを推進していることでも知られている。

https://www.fsg.org/

FSG社 フィリップ・サイオン氏

 

まずフィリップさんはひとつの動画を会場の起業家たちに示しました。

https://www.youtube.com/watch?v=2vqYVGvaWQQ

ムクドリの群れが大きな全体としてうねるように動いています。この驚くべき調和のある全体の動きは、それぞれのムクドリたちがたった3つのルール(最小限の距離を置くこと、同じスピードで飛ぶこと、中心に向かって飛び続けること)に従って飛んでいることによって創出されているのだそうです。この映像を見せながら、

「コレクティブ・インパクトも、いくつかのルールに沿ってそれぞれのアクターが動くことで、大きなインパクトを起こせるのです」とフィリップ氏は続けます。そのルールというのは以下の5つ。

 

1-共通のアジェンダ:課題解決に取り組むプレイヤーが変革に向けたビジョンを共有していること

2-共有された評価システム:収集されたデータとその評価システム

3-互いに強化しあうアクティビティ:プレイヤーそれぞれの強みを活かした相互補完

4-継続的なコミュニケーション:互いの信頼に基づくオープンなコミュニケーション

5-取り組みを支える組織:バックエンドを支える事務局

 

5つの要素について語るフィリップ・サイオン氏

5つの要素について語るフィリップ・サイオン氏

社会の課題というのは複雑(Complex)だ、とフィリップさんは言います。手順通りにやれば解決するという単純な課題でもなく、ロケットを月に送るようなお金も技術があれば解決できる問題でもない。社会課題の解決にはマニュアルもなく、前例もない、多くの人・組織が関係し続けている複雑さがあります。コレクティブ・インパクトのアプローチは、こうした複雑な社会課題に対応するときにこそ力を発揮する。例として、FSGでフィリップさんたちが取り組んだNYの少年犯罪の撲滅という課題では、警察だけでなく、国レベルの行政、州レベルの行政、市、裁判所、民間企業、資金提供をする財団、そして様々な非営利組織といった極めて多様なセクター・プレイヤーが解決に向けて取り組んでいましたが、個々のプレイヤーの個別の動きではなかなかうまくいきませんでした。コレクティブ・インパクトのアプローチは、そうした力を集めて一つの共通のアジェンダのもと解決に向かい、大きな成果をあげることができた、とフィリップ氏。


 

そして日本におけるコレクティブ・インパクトアプローチを実践するプレイヤーの発表が続きます。

 

・一般社団法人Collective For Children 共同代表 亜希

最初は一般社団法人Collective For Children(通称コレチル)の高さん。2016年12月に設立したコレチルは、関西圏で子ども・若者支援を続けてきた複数のNPO団体が連携して立ち上がった団体です。「すべての子どもたちが生まれてから社会に出るまで“当たり前に”地域で暮らせる社会」をビジョンにして、貧困状態にある子ども(0~20歳)を対象に、バウチャークーポンの提供・相談支援・コレクティブインパクトの創出・研究の4つを事業として活動しています。

 

高 亜希 氏

高 亜希 氏

設立のきっかけになったのは、18歳のある少女との出会いだったと高さんは言います。小学生で親が離婚をし、母子家庭になった彼女は、お母さんが昼夜のダブルワークという環境のため祖母に育てられました。不登校になり、中学で勉強についていけなくなり、通信制高校へあらためて入学したものの、はじめての友だちが退学したので自分も中退。お金のために夜の街で稼ぐようになり、20歳の男性と付き合い妊娠が発覚する、そんなヒストリーを背負っていました。子どもの成長のステージによって課題が変化しています。家庭環境、学習、生活、そして子育てと、必要な支援が刻々と変化しているのです。行政の縦割り視点だけではカバーできず、しかしNPOなど民間でも、個々の課題を点でしか支援できないという”複雑”な課題。コレチルを立ち上げたのはこういう問題意識からでした。

 

NPO 法人かものはしプロジェクト 共同代表 本木 恵介

かものはしプロジェクトのミッションは、「子どもが売られない世界をつくる」。インドの子どもたちを巻き込んだ違法な性産業の現場に、警察とともに踏み込むという衝撃的な映像をバックに、そこで取り組んだコレクティブなアプローチについて本木さんは話してくださいました。国・州・村と分かれている行政、権利を守る弁護士と法を守る裁判官、課題解決しようと海外から乗りこんでいるNGO、そして地域のコミュニティ。多数のプレイヤーがいる現場。

しかし「エコシステムとしての生産性が低い」という表現で本木さんはその現場の課題を指摘します。かものはしプロジェクトは、この「エコシステムへの投資」、具体的には関係するプレイヤーを集めての会議とワークショップを主に行うことで、課題解決にアプローチしました。

当初はこの状況の解決を「パズルを解くこと」だと思っていた本木さん。しかし次第にこれはパズルではなく、「発酵」のプロセスに関わっているようなものなのではないか、と感じたそうです。人も組織も課題も、パズルを解くように単純には進まないこと。時間をかける中でだんだんと、まるで味噌や酒が発酵していくように。社会課題の解決においても、コレクティブなインパクトが少しづつ相互に影響を与え合いながら生まれてくる、そんな感覚を持っているという興味深い発表でした。

 

 

本木 恵介 氏

本木 恵介 氏

・コミュニティナースカンパニー株式会社 代表/NPO 法人おっちラボ 代表理事 矢田 明子

島根県雲南市で、医療、保健、福祉を軸にした若者の創業支援に取り組んでいる矢田さん。この活動のきっかけになったのは、数年前に亡くなったお父様の「できれば元気でいたかった」という言葉だったそうです。街のなかのいろいろな分野のたくさんの人が、地域の健康予防と医療の活動に携われたら、というビジョンを掲げ、病院、行政、外部の民間ヘルスケア企業、そして住民を巻き込んだ、地域一体の活動を行っています。

お医者さんと話し、役場と話し、「できれば病院から帰りたい人はできるだけ返したい」という志を同じくする看護師とチームをつくり、これまでに180人の患者さんを自宅に戻ってもらえた。地域の医療や福祉が「雲南に元気な人が増えたらいいね」というビジョン、つまり共通アジェンダをいつも共有することを心がけているという矢田さん。都市圏とは違う、地域におけるコレクティブなアプローチに、会場からも多くの関心と共感が集まっていました。

矢田 明子 氏

矢田 明子 氏

セッション進行役のETIC.山内は、「真ん中に当事者が居て、その課題を解決するエコシステムを周辺に構築できるかが大事」であること。そしてETIC.のローカルベンチャーラボなど、地域との関わりなどの例をあげながら、行政や企業がいまそこに関心を持ちはじめている、というコメントで締めくくりました。

(*ディスカッションの内容については別稿レポートにてご紹介します)

パネルディスカッションと会場の様子

パネルディスカッションと会場の様子

 

セッション2:テクノロジーの進化とソーシャルイノベーション

 

ネットワーキング・ランチの時間を挟んで午後は”テクノロジー”と社会変革をテーマに会は進みます。

 

<ゲストスピーカー/事例紹介>

・尾原 和啓 氏(執筆・IT 批評家、Professional Connector)

・溝口 勇児 氏(株式会社FiNC 代表取締役社長CEO )

・中村 俊裕 氏(NPO 法人コペルニク 共同創設者 兼 CEO)

・樋渡 啓祐 氏(一般社団法人全国空き家バンク推進機構代表/前・武雄市長)

・若林 恵 氏(『WIRED』日本版 編集長)

<ゲストコメンテーター>

・友松 重之 氏(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 個人事業部門デジタルマーケティング 副社長)

 

ゲストスピーカーの皆さんのショートプレゼンテーションがスタート。

”プロフェッショナルコネクター”の肩書をもつ尾原さんは、ご自身のインドネシア・バリと日本の二地域での生活と仕事のお話から。

尾原 和啓 氏

尾原 和啓 氏

テクノロジーによって「バリに居ても世界におせっかいできる」ようになったこと。そしてYoutubeなどの動画やVRなどは、他の人の気持ちや世界観を「自分事にしやすいフレームワーク」になっているという指摘。テクノロジーによって「時間と距離を超え」て、遠くにいる人たちやそこで起こる出来事と「ご縁を合わせて」協働して課題解決に取り組むというのがコレクティブ・インパクトではないか、というプレゼンテーションでした。

 

続いて主にスマートフォンによる予防ヘルスケア事業に取り組んでいる株式会社FINCの溝口さんから、テクノロジーによる機会提供の拡大について。トレーナーとしてたくさんのスポーツパーソンのカラダのケアに取り組んできた溝口さんは、ある時「人と人の体面で提供できることには限界がある」と気づきます。しかしスマートフォンのアプリや動画を使うことによって、「時間と場所の制約、属人的だった制約を超えて、パーソナルなコーチができる」ようになった、というお話です。

 

プロフェッショナルトレーナーでもある溝口氏による即興の体操の時間も

プロフェッショナルトレーナーでもある溝口氏による即興の体操の時間も

そして途上国にテクノロジーを届け、そこに住み働く人たちの生活の向上と自立支援を事業としているコペルニクの中村さんのプレゼンテーション。

テクノロジーは社会変革にどう影響をもたらすか? たとえば途上国の女性に何かを売ってもらうことで自立への道筋をつくる、という事業の場合、単純に「バイクを持っている人は持っていない人の2倍売る」ことができる。カシューナッツの収穫と販売では、実を割って納品するのと、殻つきのまま納品するのとでは、買取価格が違う。ならば女性でも簡単に殻を割れる機械を提供する。テクノロジーと社会変革の関係について、わかりやすい具体例を通してお話をしてくださいました。

中村俊裕氏

中村俊裕氏

 

地域活性の現場で、テクノロジーをどう取り入れていったかというお話をしてくださったのは、元武雄市長樋渡さん。武雄市での、全国的に有名になった図書館や市民病院の取り組みについてのお話です。図書館では、子どもたちがデジタル端末にタッチできるように低くしたことについて、「テクノロジーは子どもたちにもっと身近に触れさせることが大事」という指摘をくださいました。

 

樋渡 啓祐 氏

樋渡 啓祐 氏

最後は日本を代表するテクノロジー関連メディアであるWIRED誌編集長の若林恵さんから。テクノロジーは自由や機会を拡大するが、一方でその逆のエフェクトもあるのではないか、という重要な指摘です。テクノロジースタートアップの世界的な祭典である、アメリカのSXSW。今年のSXSWは、単なるスタートアップのお祭りではなく、テクノロジーの危険性やネガティブな面がクローズアップされ、議論されていたのだそうです。ロボットがこれまでの雇用を奪い、AIが人間を超えた働きをしてしまう可能性についても、ソーシャルセクターが考えなくてはいけない課題なのだとあらためて気付かされました。

若林 恵 氏

若林 恵 氏

「これからの100年に向けたアクションや協働」をテーマにした議論テーマ別ラウンドテーブル

 

次の時間は、「これからの100年に向けたアクションや協働」を軸に、それぞれの参加者が関心、関係するテーマ別のラウンドテーブル。以下のようなアジェンダでテーブル毎に活発な議論が展開されていました。

・ 甚大な災害時も在宅療養者が安心して暮らせる社会づくり

・ 児童労働や人身取引を世界からなくす

・ 社会的投資でインパクト指向のお金の流れをどう作っていくか

・ 空き家や廃校を有効活用した地域の再生

・ 地域の課題解決に地域の”志金”を生かす「お金の地産地消」

・ 子どもの虐待や貧困はビッグデータ x AIで解決できるか?

・ ソーシャル x ビジネス x パブリック:社会に変化を起こすため、セクターの枠を越えて活躍できる人材を輩出するには?

・ 「AI時代の次世代教育」について

・ 地域の中小企業の育成力と人材採用力をどう高めるか

・ テクノロジーを活用したソーシャルインクルージョン ~全ての人が共生する社会のために、テクノロジーでできること~

・ ソーシャルセクターのテクノロジー活用をどう推進するか?

・ 2020に向けて、社会課題解決活動を、かっこよく、楽しく、継続していく方法

・ ICO(仮想通貨による上場) x 社会起業家の資金調達の可能性について

 

議論の詳細については、参加した皆さんによる今後のコレクティブな活動で表現されることを期待しつつ、会場の雰囲気を写真でお伝えします。

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”コレクティブ・アクション・セッション”

 

そして最後のプログラムは、”コレクティブ・アクション・セッション”と題し、3人のゲストからのメッセージと、ラウンドテーブルでの議論を踏まえた会場全体での共有と質疑の時間。

 

昨年までスイスの国際オリンピック委員会(IOC)にて、帰国後は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会でPR担当として活躍されている河村裕美さんのお話は、「オリンピックが社会変革とどう関わるのか?」について。日本ではまだあまり認識されていませんが、河村さんは「オリンピックってなんだろう? と考えた時、世界最大のスポーツゲームではあるが、同時に都市や国に社会変革をもたらすものだ、という実感がある」とおっしゃいます。

河村裕美さん

河村裕美さん

 

IOCというオリンピックを作っている現場での経験を踏まえつつ、「ハードレガシーからソフトレガシーへの流れが確実に来ている」。スタジアムや施設などのハード整備は、先進国での開催が多い昨今のオリンピックではそれほど重視されておらず、むしろ社会を変革していく制度や仕組みなどのソフトを作って残していく(=レガシー)ことを真剣に考えているのです。2020年は日本においてそれが最も活性化する時。「この機会を通して価値観を変えていく社会貢献をしたいと思っている」と力強く宣言されていました。

 

続いては石川治江さん。現在の介護保険制度の元になる仕組みを自らの活動を通して作ってきた、社会起業家の大先輩。そして会場に集まっている多くのプレイヤーたちへの厳しくもあたたかい指導と支援を続けてこられた方でもあります。

 

社会起業家たちの”母”、石川治江さん

社会起業家たちの”母”、石川治江さん

進行役のETIC.宮城は、自分たちの「母のような」存在であると紹介しましたが、そんな石川さんからのコメントはごくシンプルなものでした。

「しつこくやる、ということができるかどうか」。

それはすなわち自分との戦いであると、石川さんはおっしゃいます。そしてそのための自分のルールを持つことも大事なのだと続けられました。「わたしの場合はAかBか選択肢があったとき、しんどいほうを選ぶ」というルールを石川さんは持っているそうです。会場に静かにこの言葉が響いて、多くの人がそれを心に受け止めていたようです。

 

そして午前中のコレクティブ・インパクトのセッションでレクチャーをしたフィリップさんからは、「私たちが取り組むことは、コレクティブ・インパクトにしても、テクノロジーを使ったアプローチにしても、まず人々のニーズに焦点を置かなくてはいけない」、というコメント。そして、「テーブルについていない人の声」をどう取り入れるかが大切であるということも強調されました。石川さんの「しつこさ」の話しを受けて、「しつこく、あきらめず、実行し、挑戦してみてください」。

フィリップ・サイオン氏

フィリップ・サイオン氏

 

充実した1日のイベントの終盤を迎え、会場に集まった社会起業家からも、ラウンドテーブルでの議論の共有や感想が飛び交います。新しいアイディアや気付き、そして新しい繋がり。冒頭でAMEX清原氏が仰っていた、「次の100年を考える」ための新しい一歩が確かに刻まれたような会場の雰囲気を感じます。そして石川治江さんからの、力強くあたたかい言葉を最後に、イベントは終了しました。

 

「これから皆さんにとっても、社会にとってもいろいろな波、山が起こってくるでしょう。その時に必要なのは仲間なんです。わたしも30年やってこれたのは、仲間がいたから。ここに今日集まった人は仲間と考えればいいんです。必要な時は「助けて」と言えばいい。わたしも「助けて」と言います。これからも皆さんと元気よくやっていきたいと思います。」

 

 

 

 

 

 

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