#ワークスタイル
DRIVE転職者ストーリーVol.7 未経験からコミュニティデザイナーへ。社会を変えたい人の伴走者であり、実践者でもあるコトハナの仕事とは(NPO法人Co.to.hana、丸毛幸太郎さん、田中佐也加さん)
2018.08.30
DRIVEを通じて、未来をつくる仕事と出会った人たちを追うインタビューシリーズ、「DRIVE転職者ストーリー」第7弾! 今回ご紹介するのは、NPO法人Co.to.hana(コトハナ)に2017年入社した丸毛幸太郎さん、田中佐也加さん。入社2年目にして、自社事業のプロジェクトリーダーをまかされているというおふたりから、現在の仕事について、目指す未来について語っていただきました。
(丸毛幸太郎さん(左)と田中佐也加さん)
2010年12月設立。大阪と東京を拠点に、デザイン、プロジェクト、デザイン研修を軸に展開。「デザインで社会を変える」をミッションに、グラフィックデザインから団体や企業のブランディング、空間設計、コミュニティデザイン、イベント企画提案など枠にとらわれないデザインの可能性を追求。さらに、行政や企業・NPOなどと協働で社会課題解決のための事業を運営、自社でも企画・運営することで、想いをカタチにしたい人に寄り添ったデザインを実践している。
珍しかった、「コミュニティデザイナー」の求人記事
─まず、これまでの経歴とコトハナに入社された動機について教えてください。
- 丸毛
- 僕は、教育大学の大学院終了後の3年間、学習論についての研究をしつつ、ファシリテーションや場づくりの実践に取り組んでいました。次のキャリアを考えて就職活動をしようと思った時に、もともと興味があった「コミュニティデザイナー」をネットで検索したら、DRIVEキャリアに掲載されていたNPO法人Co.to.hana(以下、コトハナ)の求人記事がヒットしたんです。コミュニティデザイナーの求人は当時ほぼなかったのですごく目を引きました(笑)。コトハナについて調べてみると、デザインワークのほかに、食や農をテーマにしたコミュニティ農園「北加賀屋みんなのうえん」や高校生がつくる「いしのまきカフェ「 」(かぎかっこ)」など多種多様なプロジェクトを運営していることがわかりました。デザイン出身ではないですが、大学院での経験が活かせるかもしれないと思って応募し、2017年1月、中途採用で入社しました。
- 田中
- 私は大学で心理学を学んだ後、2017年4月に入社しました。大学在学中、教育系のNPO法人で長期インターンをしていたことで、NPO法人で働きたいという思いが強くなっていました。それで新卒入社できるNPOを探していたところ、DRIVEキャリアでコトハナの求人記事にたどりつきました。私もデザインについては接点がなかったけれど、場づくりやファシリテーションは大学時代に経験していたこともあって、人が当たり前とする概念を広げたり、良いところを引き出すという意味では共通点があるのかもしれないと思い、応募しました。当初は事務・広報として入社しましたが、今年4月からコミュニティデザイナーとして働いています。
─田中さんは2年目にしてキャリアチェンジですね。何か理由があったのでしょうか。
- 田中
- 社内での話し合いでわたしのキャリアにとってプラスになるだろうと話が出て、最終的に自分で決めました。
─経験2年目で次のキャリアチェンジというのはなかなかないですよね。NPO法人やベンチャーならではだと言えるのではないでしょうか。やる気があって、タイミングさえあえば、どんどん新しいことにチャレンジできるという。
誰でも、やりたいことが実現できる社会をつくる
─現在の仕事内容について具体的に教えてください。
- 丸毛
- コトハナには、デザインの仕事と、プロジェクトの仕事があるのですが、僕らはプロジェクトの仕事に従事しています。プロジェクトの仕事にはそれぞれメインの担当者がついて、全体を管理しています。僕は今、2つの事業を担当していて、そのうちのひとつは、今年4月、兵庫県尼崎市でスタートした「TUMUGUBA(以下、ツムグバ)」という事業になります。これは、子ども向けの支援をしている団体さんの支援、つまり中間支援のようなものです。
- 丸毛
- これまでさまざまな団体の支援をするなかで、NPO同士の連携がうまくできていなかったり、NPOと行政の連携ができていなかったりすることで想いをカタチにできない状況をたくさん見てきました。そのため、自分たちがつなぎ役をすることで、コレクティブ(集合的)なアクションが実現できたらという構想が社内にずっとあって、それをカタチにしたのが「ツムグバ」です。レンタルスペースのような空間になっていて、さまざまな事業者さんが教室をやったり講座を開いたり、また事業者同士が交流したり、そんなことができる場になっています。
─すでに事業をされている団体に場を貸しつつ、活動のサポートもしているのですか。
- 丸毛
- はい。ワークショップで一緒に学びあったり、そこで生まれたアイデアを実際に事業として実施したり、今あるサービスをお互いの資源を使って改善していけるよう、サポートしています。
─協働推進といえば聞こえはいいですが、事業として成り立たせていくにはご苦労もあると思います、その辺りはいかがですか?
- 丸毛
- 立ち上げの時は時間をかけて丁寧に進めましたね。たとえば、昨年は半年くらいかけて事業計画を立てていきました。その際、尼崎市内のいろいろなプレイヤーの方や地域の方に会いに行きヒアリングをしたりしながら、事業のコンセプトづくりから設計、具体的にどんなプログラムをつくるか、どんなウェブサイトにするのかなどを決めて、オープンにいたりました。尼崎市にはまだコトハナの拠点もなかったので、地域の方から見れば、いったい何者なのかわかりませんから。
─信頼関係を丁寧につくられていったことに事業の可能性を感じます。ところで、このツムグバにしても高校生のカフェにしても、教育的な価値に重きを置いている感じがしますが、コトハナは教育に対する思いが強いのでしょうか。
- 丸毛
- 教育や福祉など、特定のテーマに思い入れがあるのではなく、コトハナの事業に共通しているのは、誰にとっても、自分に居場所ができて、仲間が増えて、やりたいことが実現できる社会づくりなんです。最終的に目指しているのは、誰もが身の回りの困りごとや課題を自分の力で解決していける社会。僕らはソーシャルデザイナーという表現をしていますが、まずは僕たちがその実践者になることが大事だと思っています。コトハナの仕事全体に共通していることなのかな。
(コトハナのWEBサイトにある代表メッセージ。組織の意思がストレートに伝わる)
─たとえば、そこに住んでいる人たちの居場所ができて、やりたいことができるようになるためのスキルを身に付けたり、リソースを提供したり、人と出会える場のデザインをする。それがミッションなのですね。お話を伺っていると、丸毛さんの持っている資質そのもの。才能を大爆発させているように感じます(笑)。
- 丸毛
- そうなるように火種をつけまくっているところです(笑)。難しいことはたくさんありますが、まずここから新しいプロジェクトやサービスが生まれれば、ひとつ目標は達成するかなと思っています。そのプロセス自体を試行錯誤しながら作って、それがある程度できればほかの地域でも同じような展開ができます。そして、同じようなことで困っている方、一団体だけでは支援の限界を感じている方々がどうつながっていくのか、プロセスの中でどういうことが大事なのかなど、我々がしっかりと実践値をあげていく。
小さな困りごとで助けてほしい人と、助けたい人をつなぐ
- 田中
- 今は、大阪の浪速区で「ひとしごと館」という会員制の場の担当をしています。こちらは、地域の中でちょっとした困りごとをもっている人と、定年退職や引越し、結婚などを機に仕事を辞め、社会での活躍のタイミングを見失った方をつなげて、問題を解決したり、自分のやりたいことをやれる場をつくったりしている拠点になります。たとえば、包丁とぎやアロマハンドケアなど自分の得意なことを活かして、わたしたちもサポートしながらチームをつくり、地域に展開していくように後押ししています。
- 田中
- もともと区の委託事業でもあったのですが、この4月に自社運営へ切り替わったところで、自走できるビジネスモデルを確立させることが課題になっています。また、アルバイトも含めてスタッフがいるので、そのマネージメントもまかされています。
─今までと比べて、仕事の質や責任感などその範囲がすごく広がっていると思います。大変な時期だとも思いますが、おもしろいと感じることはありますか。
- 田中
- 毎日おもしろいのですが、たとえば、会員さんから少しずつ「こういうことがやってみたい」という声があがってきたり、スタッフが必要性を感じて、地道に取り組んできたことが形になったりした時は特におもしろいと感じますね。
- 丸毛
- 僕も楽しいです。NPO法人はお金という価値を一番に期待するところではないかもしれませんが、自分で決めることの回数が圧倒的に増えるので、それが自由だったり楽しさだったりにつながるのだと思います。
NPOで必要なのは、自分自身をコントロールする力
─なるほど。では、そういった考え方になるために、またNPOに就職するために必要な経験や心構えなどはあるのでしょうか。
- 丸毛
- これは一般の会社で働くときも言えることかもしれませんが、働くときに「どうしてここで働きたいのか?」と、自分の想いを持っていることが必要だと思います。ただ「お金を稼ぐだけ」とか「学びにきた」という感じではなかなか続かない。特にコトハナのように若い会社であれば、一から全部教えてもらえるわけではなく、一緒に事業をつくっていくつもりでいることが必要なんじゃないかと思います。また、僕のような中途採用の場合は、その団体に対して確実に貢献できると思えるものがないと難しいと思います。
- 田中
- 自律や自己管理。まずはスケジュールの管理からでも、自分自身で物事をコントロールしていく意識をもつことでしょうか。コトハナだと自分が本当に関心あるテーマに沿って活動することが可能な職場だと思っているので、自分の意思もしっかり発信することも大切なことだと思います。
─最後に、夢をお聞かせください。
- 丸毛
- ツムグバの影響が大きいのですが、当たり前のように、いろいろな大人や子どもに出会える日常をつくっていけたらと思います。子どもの頃から、僕は大人との出会いに恵まれていたと改めて感じることがあるので、いろいろな出会いに満ちた町や場をつくることに関われたらいいなと思います。
- 田中
- 最近、中間支援のしくみに関心があります。それを通じて何をやりたいかという話になると、たぶん「家族」みたいなところがわたしの大きなテーマで。今の単一的な「家族」の概念をもう少し広げていきたいという思いがあります。声なき声ではないけれど、そうしたなかなか届かない・拾えない声にも耳を傾けながら「家族」のようなつながりを広げていけたらと思ってます。
─おふたりとも、お忙しいながらも充実した時間を過ごされていることが伝わってきました。ありがとうございました。
*
現在、DRIVEキャリアではNPO法人Co.to.hanaのスタッフを募集しています。コミュニティデザイナーのほか、事務局や広報など幅広く募集中! 興味のある方、ぜひチャレンジしてみてください。
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