皆さんは「福祉の仕事」と聞いた時、
就労移行支援事業所「働くしあわせJINEN-DO」は、もしかしたら、皆さんのイメージとは少し違うかもしれません。現場主導で日々の業務を判断、実行していくため、スタッフの方々がとてもスピード感ある働き方をされています。ティール組織(*)、と呼ばれるマネージメント方法を取り入れている、珍しい就労移行支援事業所です。
*「ティール組織」とは、意思決定に関する権限を経営者や管理者から従業員に譲渡する、自律的な組織のこと。メンバーの生きがいをサポートしあったり、組織の存在目的を探求したりと、従来の組織とは大きく異なる組織構造や文化を持つ新たな組織モデルです。(詳細は、こちらの書籍をご参照ください)
この度、どのような働き方をしているのか、現場スタッフの方にインタビューさせて頂きました。
1軒家をリフォーム。アットホームな雰囲気の職場
一般社団法人働くしあわせプロジェクトは、精神・発達障がいの方がセルフケアで安定就労を実現する就労移行支援事業所「働くしあわせJINEN-DO」を運営しています。事業所兼オフィスは、小田急線柿生駅から徒歩7分。坂をのぼると、住宅街の一角に平屋建ての一軒家が見えてきます。木を使った温かみのある事業所です。
事業所の中に入ると、キッチンや和室があります。そして、部屋の窓からは素敵な庭が見えます。
今回お話を聞かせてくださったのは、JINEN-DOで利用者の支援員として働いている内田さん。利用者支援、プログラム運営、実習先への挨拶・同行などの仕事をされています。
プログラムを運営しながら、プログラムを変えていく
内田さんが「働くしあわせJINEN-DO」に参画したのは、およそ2年前のこと。前職では、広告会社の営業をしていました。
「3年間広告の営業で働いていたのですが、その中ですごく働くこと自体に疑問をもっていました。転職活動をしている中で代表の石田が『働くことは生きることだから、働く幸せは生きる幸せ』という話をしていて、それがひっかかったんです。ここだ!と思って転職しました」
障害者支援をやりたい、というよりも、団体のミッションに惹かれて入社した内田さん。福祉の世界に初めて飛び込んだわけですが、どのようなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?内田さんの今現在の1日のスケジュールを教えていただきました。
「働くしあわせJINEN-DO」では、平日9:30~15:30まで、毎日利用者さんが通所し、様々なプログラムを受講しています。清掃などの作業やコミュニケーションのワーク、体力づくりのピラティスなど、プログラムは約30種類。 自己理解を深め、必要なセルフケアを身につけ自分に合った働き方や職場環境を見極めていくためのプログラムを提供しています。(詳しくはこちらからご参照ください。)
プログラムは日によって決まっており、毎月、下記のような月間スケジュール表が利用者さんに配布されています。
「プログラムのスケジュールは決まっているのですが、具体的な進め方や関わり方は、利用者さんの状態をみて臨機応変に対応しています。例えば、事前に『この人にプログラムのリーダーをお願いしよう』と考えていても、その人の調子が悪いとプログラムは想定通りには進みません。利用者さんと話す中で『なんか今日変だぞ』と感じると、スタッフ同士で、どうプログラムの進め方を変えて回せばいいかを相談し、かなりスピーディーに判断、対応していきます」
1日の中で何度もそうした相談や判断を繰り返している、と内田さんは言います。1日のスケジュール表を見ると、利用者さんからの状態報告とスタッフの打ち合わせが交互に入り込んでいます。短時間で、どのようにスタッフ間で情報交換をしているのか聞いてみると、次のような答えが返ってきました。
「抱いた違和感やプログラムの変更点などは、Slackや口頭で共有します。運営担当でないプログラムの時など、手のあいた時にスタッフはプログラムの様子をバンバンPCに打ち込みます。」
Slackとは、仕事の場でよく使われているチャットツールです。スマートフォンでもSlackが使えるのですが、基本的にパソコンのSlackを使っているとのこと。スタッフはプログラム運営や利用者支援の役割だけでなく、利用者さんに対して、仕事をする人の見本になる必要もあります。時間を守る、勤務中にスマートフォンを触らない、など勤務姿勢にも気を配っているそうです。退社するのは、17:30頃。
「前職では、終電で帰ることもあったので、17:30で帰るって余裕だなと思ってたんですよね。でも、今の方が頭をフル回転させるので、脳の疲労度が違うなぁと思っています」
話を聞いて思わず、「バスケットボールみたいな仕事のやり方ですね」と言うと「そうなんです」と内田さん。利用者さんとしっかり目を見て話をしながら、頭の片隅では、客観的に利用者さんを観察。その様子から感じた事を、まるでノールックパスでも回すように、Slackでスタッフに伝えます。プログラムを運営しながら、プログラムを変えていく、という徹底した現場主導のやり方で、判断に迷っている時間はあまりありません。
現場主導を支える、チームの信頼関係を築く仕組み
判断に迷う時間もありませんが、仲間と意見割れしている暇はもっとありません。お互いを信頼し合わなければ、なかなか臨機応変な対応をしていくのは難しいものですが、「働くしあわせJINEN-DO」は、どのように、チームの信頼関係を築いているのでしょうか?
「毎月1回、月初会議があります。そこで、1ヶ月間、それぞれスタッフが何を学んで、来月どうしていくかというのを振り返るタイミングがあるんですね。そこで個々のスタッフの話を聞いていると、こういうことがあって調子が悪そうだったんだとか、そのときそんなことがあったんだとか、そうした普段の生活の中ではなかなかしないような込み入った話ができていることで、お互い信頼感が生まれているのかなと思います。」
また、“失敗を気づきのきっかけにする”文化があるからこそ現場主導で動ける、と内田さんは言います。
「何かうまくいかない時、『失敗』ではなく『気づきのきっかけ』だねと利用者の方に言います。それは、スタッフも同じです。うまくいかなかった原因について健全な振り返りはするけれど、妙な追求はしすぎない。じゃあ次どうする?というのを常に考えるようにします。
でも、一度利用者さんと信頼関係を失ってしまうと、取り戻すのは難しいです。生身の人間を相手にする仕事なので、そこはすごく慎重に扱っています。」
試行錯誤が許される大らかさと、細やかな配慮、双方が必要になる仕事なのだと感じました。
共育ち。利用者さんも育ち、スタッフも育つ仕事。
スタッフ間、利用者間共に、コミュニケーションがとても重要な仕事をされている内田さん。最後に、この仕事を通じて、内田さん自身のプライベートなコミュニケーションの変化についてお話を伺いました。
「色んなことを想像しながら人としゃべるようになりました。人と接する上で起こるもやもやとか違和感みたいなものに対して、距離をとってみられるようになったかなと。だから、今営業やったら、もうちょっと、いい仕事ができるんじゃないかな、と(笑)。コミュニケーションが、すごく豊かになった感じがありますね。こうして豊かになったのも、本当に利用者さんのおかげです。
JINEN-DOでは『共育ち』という言葉を使うんですけど、影響を受け合うことで利用者さんも育つし、私たちも育ててもらっています。『どうしてこういうことを言うのかな?』と背景を考え、利用者さんと対話する中で、謎が解けるように原因が解明されることがあるんですね。それによって相手が変わっていく時はとても喜ばしいです。人間を知るのが好きな人には、この職場はいいと思いますね」
福祉の現場ではありますが、営業や接客業など、他業種のビジネスで培ったスキルが活かされそうな職場だと感じました。ご興味を持たれた方、ご応募ご検討されてはいかがでしょうか?
<一般社団法人働くしあわせプロジェクト求人概要>
- 募集ポジション
障がい者就労支援員
- 雇用形態
正社員
- 給与
月額206,400円~262,400円※別途通勤手当(上限3万円/月)、扶養手当あり
- 勤務地
障がい者就労移行支援事業所「働くしあわせJINEN-DO」 〒215-0021 神奈川県川崎市麻生区上麻生5-10-11
- 応募資格
特になし
「一般社団法人働くしあわせプロジェクト」の募集要項の詳細はこちら!
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