働く「場」の未来を、あなたはどのように考えていますか?
新型コロナウイルスの影響もあり、働く場所やオフィスのあり方について考える機会が増えた方も多いと思います。そのような中、オフィスコストに悩んでいる企業やフレキシブルな利用が可能なオフィスを新たに構えたい企業向けの新サービスが、5月25日から提供開始されました。
その名は、「オフィス縮小サポートサービス」。
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000043247.html
手掛けるのは、『「場の発明」を通じて欲しい未来をつくる。』をミッションに、リノベーション住宅の流通プラットフォーム事業やシェアードワークプレイス事業を行なう、株式会社ツクルバ(以下、ツクルバ)。
今回はツクルバから、新サービス担当の小野ちれかさんと、アーキテクチャー室室長の立岩宏章さん、広報の高橋春香さんの3名(以下、敬称略)にオンライン取材しました。新サービス立ち上げの背景や今後の展望、ツクルバのみなさんが見据える働く「場」の未来などを語っていただきました。
「オフィス縮小サポートサービス」概要
本サービスは、オフィスコストにお悩みの企業様や、フレキシブルな利用が可能なオフィスを新たに構えたい企業様を中心とした、自社オフィス縮小や移転の企画設計・賃貸物件のご案内や仲介サポートをするサービスです。お問い合わせ内容に応じて、新規オフィスの企画設計のコンサルティングサポートや物件仲介、既存サービスのシェアードワークプレイス「co-ba ebisu(コーバエビス)」の個室、ベンチャー向けセットアップオフィス「HEYSHA(ヘイシャ)」のご案内をいたします。
また、今後はオフィスの縮小や移転などを検討する企業様にとって、効率的なオフィス探しが可能になる「オフィスマッチングプラットフォーム」の立ち上げを自治体協力のもと設立予定です。ご参加いただける不動産仲介会社様、ビルオーナー様を現在募集しております。今後も変化する社会に対応すべく、柔軟な思考と戦略を持ち、働く場づくりを通じて社会に貢献していきます。
《プレスリリースより抜粋》
「オフィス縮小」をポジティブに。オンラインが半分、もしくは主役となったオフィスを考えなければいけない。
――本日はよろしくお願いいたします。まずは「オフィス縮小サポートサービス」立ち上げの背景をお聞かせください。
小野:ベンチャーがオフィスを借りる時、色々なハードルがあります。たとえば、“オーナーの審査が厳しくて借りられない”、“入退去時の費用が重すぎる”、“そもそも不動産について相談先がわからない”など。またこのようなベンチャーあるあるの悩みを知ってもらった上で相談できる不動産屋さんが少ないというのも現状です。
弊社は2011年の創業当時から、「co-ba」というシェアードワークプレイスを通して、起業家への場の提供を行なってきたため、自然とベンチャー企業様から相談をいただける立場でした。以前からベンチャー企業のオフィスの確保が困難という課題があり、そのためにシェアオフィスをつくったり、ベンチャー向けの中小規模のオフィスの提供をしてきました。
そして現在、新型コロナウイルスの影響で、“すぐにでもオフィス移転をしてコストを削減しないと、あと何ヶ月生き延びられるかわからない”と危機感を持つ経営者もいらっしゃれば、“このタイミングをポジティブに捉え、より新しい働き方を実現しよう”と考える経営者もいらっしゃいます。その方々を支えるために我々が今できることを模索した結果、「オフィス縮小サポートサービス」を立ち上げました。
――立ち上げてから現在までの、手応えはいかがでしょうか?
小野:今回のサービスは、数十坪のオフィスを抱える企業様から数百坪や千坪ほどのオフィスを抱える大手企業様まで幅広く対象にしています。実際、相談をいただくのはベンチャー企業様が多いです。たとえばすでに、社員全員のリモートワークがうまくできた企業が、元々持っていたオフィスを解約して、co-baのシェアオフィスのフリー席を法人契約したという事例もあります。社員みんなで仕事をしたい時や、会議やイベントをしたい時に使用されるようです。
また、従来の長期で縛られる一般的なオフィスの契約は、そもそも柔軟に動くベンチャー企業様に合っていない場合があり、施した内装や家具をそのままに次のテナントに引き継ぐ動きがベンチャー企業様同士で活発になっています。居抜き物件の引継ぎは不動産面でのリスクも多いためトラブルが起きないようにサポートもしています。
――このサービスを運営する上で、どのようなことをお考えでしょうか?
立岩:我々は「オフィス縮小」をポジティブに捉えています。今回の新型コロナウイルスの影響で、なかば強制的に在宅ワークが始まりましたが、その一方でこれまでオフィスで習慣化された事に対し、“これって本当に必要なのか?”と考え直すいい機会になったと考えています。
我々はこれまでは実空間をつくって提供し、さらに追加提案としてオンラインのソリューションを提案してきましたが、今後はオンラインが半分、もしくは主役となったオフィスを考えなければいけないと思っています。
「オフィス縮小サポートサービス」の概要
スタートアップ企業における人員確保や資金調達などの悩みに寄り添い、ツクルバの豊富なオフィス仲介の経験・知見をもとに、移転先の物件の提案から賃貸条件の交渉、契約の手続きまでをサポートしてくれる
ベンチャー向けセットアップオフィス「HEYSHA」(渋谷・恵比寿・北参道に拠点のある、ツクルバが運営するベンチャー向けの賃貸オフィスで、30〜60坪ほどの広さで検討している企業に最適とのこと)
「働く」と「暮らす」を実現する個室完備の「co-ba ebisu」(「働き方解放区」をコンセプトとした、所属や職種、雇用形態の垣根を超えた新しい働き方を実現するためのワークプレイス)
困っているベンチャーのオフィス移転をみんなでサポートしたい。
――プレスリリースに、「オフィスマッチングプラットフォーム」を自治体協力のもと設立予定という記載もありましたが、詳細をお聞かせください。
小野:ベンチャーがオフィス探しをする際、不動産仲介会社の各社が持っている情報が異なり、探し手にとって時間と手間がかかる非効率な構造になっています。各社それぞれ情報開示できればいいのですが、やはり情報が財産というところもあり、横の連携がうまくできていない状況でした。ただこの新型コロナウイルスの影響もあり、だんだん横の繋がりができ始めようとしている流れにあります。
このタイミングで我々として、各社が持っている情報を一元管理して、ベンチャーがオフィス探しをしたい時に、求める情報を持っている仲介会社と効率良くマッチングできるプラットフォームを立ち上げたいと考えています。
ベンチャーがたくさんオフィスを構えているエリアの自治体から、ベンチャー支援という目的のもと民間と組んでなにかやれないかと元々相談をいただいておりました。今回のこの仕組みを成り立たせるためには、複数の仲介会社や物件オーナーの協力も必要で、その関係者の巻き込みについて自治体にも協力をお願いしています。
――今後の展望もお聞かせください。
小野:弊社もオフィス仲介をやることがあるのですが、大前提として、ベンチャーの気持ちをわかっているオフィス仲介同士でタッグを組んで、困っているベンチャー企業様のオフィス移転をみんなでサポートするプラットフォームをつくりたいという想いがあります。
みんなでサポートする仕組みができてくると、今度は、“ベンチャーにも自分のオフィスを使ってもらいたい”、“ベンチャーを応援するので賃貸条件を優遇します”といったように、物件オーナーの協力も得られるようになり、入居可能な物件の選択肢も増えていくと考えています。結果、ベンチャーがビジネスを育みやすい環境整備や、ベンチャーエコシステムの形成に貢献することも目指しています。
サードプレイスの定義が変わっていく未来。ツクルバが実践する社内コミュニケーション施策とは?
――働く「場」の未来を、どのようにお考えでしょうか?
立岩:メタファーとして「金継ぎ」という言葉を使っています。壊れてしまったものを元通りにするのではなく、見方を変えて新たな価値を与えるといったニュアンスです。身の回りで起こっている事はネガティブな課題に対するソリューションとしてのみならず、新しい事をはじめるのに絶好の機会であるというスタンスでやっていきたいです。
あと、自宅でもオフィスでもなく非公式なコミュニティの場としての「サードプレイス」という言葉があります。特定の目的や信条がなく、気の合う仲間たちと過ごすための場という意味が含まれています。
住まうと働くとを、これまではオン・オフという形で分けていたと思いますが、今後はWFH(*)の普及によりその境界線が曖昧になっていくと考えています。住空間で仕事する事が当たり前になるという事は、サードプレイスの定義も変わるでしょう。我々は提案の対象をオフィスだけに留めず、「同時に何が変わるか」という視野をもって未来の働く「場」を考えていきたいです。
(*)「Work From Home」の略で、在宅勤務を意味します。
――働く「場」が変化していく中で、ツクルバでは現在どのような社内コミュニケーション施策を行なっていらっしゃいますか?
高橋:コロナ禍により、社内のリモートワーク化も進んでいます。その中でオンラインでの社内コミュニケーション施策を2つほど実践しています。
1つ目は「オンライン発明酒場」と題した社内イベントです。ラフなテーマから、プロジェクトの振り返りなど幅広い「雑談」をメインとした、オンラインコミュニケーションの場です。2つ目は、1日のリズムづくりとコミュニケーションの機会創出のため、「モーニングラジオ」という社内ラジオを始業前の15分で毎日放送しています。コミュニティーチーム主導で、社内メンバーを日替わりで紹介をしてコミュニケーションのきっかけづくりをしたり、弊社のニュースリリースをもとに深掘りをして社内の理解を深めています。
このように、今後もオフィスに集まる機会は少なくなると思いますので、このようなオンラインの「場」を活用しながら社内コミュニケーションを活性化させる仕組みを実行していく予定です。
ツクルバ集合写真(現在121名が在籍)
新しいことにチャレンジする人たちと世の中を変えていきたい。
――最後に、読者の方々へのメッセージをお願いいたします。
高橋:『「場の発明」を通じて欲しい未来をつくる。』をミッションに、“働く”と“住む”の2軸の事業で行ない、時代に即したサービスをツクルバでは提供しています。今後も変わらないところは変わらず、時代に求められているサービスを展開していきながら、やがては文化になる企業を目指していきたいと思っています。
立岩:重複しますが、現状はポジティブに捉えられるという事を強く伝えたいです。我々に相談していただければ色々な答えを持っています。課題を抱えている方がいらっしゃいましたら、いつでもご相談ください。
小野:ツクルバで不動産事業の企画開発を担当している者として、新しい時代の始まりのところに立っていると思います。我々としては昔から変わらず今も、新しいことにチャレンジする人たちをサポートしたり、一緒に組むことで、より良い社会や未来に向けた活動を続け、世の中を変えていきたいです。
――ありがとうございました。引き続き、心から応援しております!
【参考資料】
株式会社ツクルバ
「オフィス縮小サポートサービス」のプレスリリース
https://tsukuruba.com/press/post-2275
※本記事の掲載情報は、取材を実施した2020年06月現在のものです。
株式会社ツクルバ アセットディベロップメント部/小野ちれかさん
国内外の不動産運用、投資家営業の経験を経て2016年5月にツクルバに入社。現在アセットディベロップメント部所属。不動産事業の企画開発、ワークプレイス領域でのベンチャー・スタートアップ支援(ベンチャー・スタートアップ向け施設の企画、プロジェクトマネジメント、運営、オフィス仲介等)を担当。
株式会社ツクルバ architecture室 室長/立岩宏章さん
設計事務所にて主に外資系金融機関のオフィス設計と、オフィス空間における調査・研究業務に従事。2016年6月よりツクルバに入社。主にワークプレイス領域の設計・デザイン及びプロジェクトマネジメントとデザインコンサルティングを担当。2018年2月よりtsukuruba studios architecture室 室長。
株式会社ツクルバ 広報/高橋春香さん
化粧品・サプリメントメーカーにて、広報・マーケティング・コミュニティマネージャーを経験し、2019年2月にツクルバに入社。ツクルバの広報活動全般を担当。
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