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報酬は「魚払い」!?―新しい副業のカタチ「GYO-SOMON!」に迫る!

2020.10.20 

この記事のアイキャッチ画像( 宮城県仙台市から石巻市をむすぶJR仙石線の車窓から)

宮城県仙台市から石巻市をむすぶJR仙石線の車窓から《撮影:Aさん》

 

「魚払い」と聞いて、どんなイメージがわきますか?

 

働き方が多様になる中、注目を集める「副業」。

 

今回お伝えするのは、その報酬がお金ではなく、なんと「魚」なんです!

 

 

さて本記事にこれから登場する、都内のITベンチャーに勤務するAさん(匿名・東京在住・40歳)は、2019年11月〜2020年3月末ごろまで、魚払いという新しい副業のカタチに挑戦。

 

取材を進める中で、「魚払いは、自分にとってピッタリだった」と語ります。

 

また副業先は、宮城県石巻市にある水産加工会社で、基本的に東京から遠隔で働いていました。

 

 

そして、そんな新しい副業のカタチを仕掛けているのが、「GYO-SOMON!(ギョソモン)」というプログラム。特定非営利活動法人ETIC.(エティック)と一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンが2019年からはじめました。

 

内容は、「水産事業者の事業支援を目的に、副業人材と水産事業者をマッチングする」というもので、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンの本部が、水産都市として栄える「宮城県石巻市」に位置していることもあり、副業先は「石巻近郊の企業や団体」です。

 

 

今回は、GYO-SOMON!経験者のAさんと、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンの担当者・松本さんにインタビューを実施。近い将来、読者のみなさんの中にも、魚払いで副業にチャレンジする方が現れるかもしれません!

 

GYO-SOMON!のWEBイメージ画像

GYO-SOMON!とは?

 

■概要:

水産事業者の事業支援を目的に、副業人材と水産事業者をマッチングするプログラム。三陸を中心とした企業・団体の、水産業の変革を担う若手経営者と共に、事業課題の解決を担う副業人材を募集。好事例をつくりながら、全国の水産業の副業プロジェクトの立ち上げ支援や既存のプロジェクトのマッチング支援を展開していく予定。

 

■特徴:

①報酬はまさかの魚払い

②水産業の未来を支える仕事に特化

③勤務スタイルは柔軟に

 

■WEB:

https://yosomon.jp/gyosomon

 

■運営:

NPO法人ETIC.(エティック) / 一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン

 

■フィッシャーマン・ジャパンについて:

漁業のイメージをカッコよくて、稼げて、革新的な「新3K」に変え、次世代へと続く未来の水産業の形を提案していく若手漁師集団。2024年までに三陸に多様な能力をもつ新しい職種「フィッシャーマン」を1000人増やすというビジョンを掲げ、新しい働き方の提案や業種を超えた関わりによって水産業に変革を起こすことを目指しています。

 

GYO-SOMON!に挑戦した、3つの理由

 

──本日はよろしくお願いします。はじめにGYO-SOMON!を知ったきっかけやエントリーした動機をお聞かせください。

 

Aさん 元々「Facebook広告」で知りました。興味があればクリックするタイプで、GYO-SOMON!の広告についても、自分のタイムラインに流れてきてチェックしました。

 

すぐに興味を持ち、エントリーした動機としては、「①東日本大震災への思い」「②同級生からの影響」「③自分のスキル(Webマーケティング)が活かせること」の3つが挙げられます。

 

──東日本大震災への思いについて詳しくお聞かせください。

 

Aさん 東日本大震災が起こった2011年当時、私は30歳を超えた頃で、社会人7年目でした。当時は関西に住んでいて、被害状況を伝えるテレビ報道を見て、「自分も何か手助けできることはないか」という気持ちがありました。一方で、仕事で成果がまだ出ていなかった当時、目の前の仕事で成果を出すことに精一杯でした。

 

しかし、昨年2019年、GYO-SOMON!を知った時、前よりは精神的にも経済的にも余裕がある状態で、副業先も被災地の石巻ということで、「世のため、人のためになりたいという自分の気持ちを、行動にする絶好のタイミング」だと思いました。

 

──同級生からの影響についてもお話をお願いします。

 

Aさん 高校時代の同級生で、尊敬する友人がいます。

 

というのも彼は、国立大学の医学部を卒業し、医者として都内の病院で働いていた状況から、震災時の災害医療ボランティアを機に、身一つで地域の訪問医療を始めました。病院に勤め続ければ食うに困らないですし、大半の人は“続ける選択”をすると思うのですが、そうしなかったのです。

 

同窓会などで会った際に、そんな彼の話を直接聞くたびに、「彼に比べたら自分なんかは、まだまだだな。何か自分なりにできることはないかな」と思っていました。彼の影響も自分の中では大きかったですね。

 

──WEBマーケティングのスキルのお話もよろしいでしょうか?

 

Aさん 現在は都内のITベンチャーで働いていますが、前職は通信販売の会社で、WEBマーケティングを担当していました。GYO-SOMON!で募集されていたプロジェクトの中に、「EC販売サポーター募集」というものがあり、まさにそのスキルや経験が活かせるのではと思いました。

 

そして実際、そのプロジェクトに参画して、スキルや経験を活かすことができました。受け入れ側から、「地方にWEBマーケティングができる人材が不足していて、とてもありがたかった」というありがたい言葉もいただくことができました。

 

プロジェクトの画像

Aさんが副業として参画した「EC販売サポーター募集」のプロジェクトページより抜粋

 

生産者から直接届く、美味しい「魚払い」

 

──GYO-SOMON!は「魚払い」というのがユニークですが、どのように捉えていらっしゃいましたか?

 

Aさん 前提にある想いとして、先ほどもお話したように、「GYO-SOMON!を通じて、被災地である宮城県石巻市の方々の手助けがしたい」というものがありました。

 

ですので、「お手伝いしに行く(という感覚で参画する)のに、ギャラ(お金)をいただく」ということが、どうしても自分の中で腑に落ちませんでした。

 

その落とし所として、「地元の水産加工会社のお手伝いをして、地元でとれた魚をいただく」ということが、自分にとってピッタリでした。

 

また当然、プロジェクトを進める上で商品──マーケティングするもの──についても知らないといけませんので、そういう観点からも「魚払い」はピッタリでした。

 

そして何より、生産者の方から直接いただけるということで、どれも純粋に美味しかったです!

 

【魚払いでAさんに届いたもの】カキフライ《撮影:Aさん》

【魚払いでAさんに届いたもの】カキフライ《撮影:Aさん》

 

【魚払いでAさんに届いたもの】カンカン焼き《撮影:Aさん》

【魚払いでAさんに届いたもの】カンカン焼き《撮影:Aさん》

 

【魚払いでAさんに届いたもの】カンカン焼きの牡蠣《撮影:Aさん》

【魚払いでAさんに届いたもの】カンカン焼きの牡蠣《撮影:Aさん》

 

──地方の事業者と一緒に仕事をしてみていかがでしたか?

 

Aさん 石巻の経営者の方々とお話する中で、「地元で働いている人々や地元自体に対して、貢献していかないといけない」という考えをみなさんお持ちで、「会社が石巻に存在することの意義」を意識されていたのが印象的でした。

 

また石巻で、「損得勘定ではなく、想いで働く」情熱的な方々と多く出会いました。そんな環境に嬉しさとともに羨ましさも感じました。

 

Aさんの副業先である「株式会社石巻フーズ」の会社外観《撮影:Aさん》

Aさんの副業先である「株式会社石巻フーズ」の会社外観《撮影:Aさん》

 

石巻フーズの商品例《撮影:Aさん》

石巻フーズの商品例《撮影:Aさん》

 

経験して感じた、GYO-SOMON!の特長3つ

 

──参画してみて感じた、GYO-SOMON!の特長をお聞かせください。

 

Aさん お伝えしたい特長はたくさんあるのですが(笑)、その中から3つお話します。

 

 

一つ目は、「都市部で働きながら、地方の役に立ちたい人にオススメ」ということです。

 

僕もその一人でしたが、地方への移住・定住は難しくても一部のリソースを使って遠隔で参画できます。ひと昔前であれば、「1社に対して、100%のリソース」を使っていました。しかしこれからは、「自分のリソースをいくつかに分けて複数のやりたい事に関わる、そんな自分らしい働き方が実現できる社会」が待っていると思います。

 

その先駆けとして、「副業に興味を持っているが一歩踏み出せていない人」にぜひGYO-SOMON!を活用して欲しいです。

 

 

二つ目は、「プロジェクトで関わった地域のことが、好きになる」ということです。

 

僕の場合、石巻のことがとにかく好きになりました。GYO-SOMON!参画中、基本的にはリモートでしたが、現地に訪れる機会が2回ありました。実際に行ってみることで、「都会では中々感じることのない、人のあたたかみ」を感じますし、プロジェクトの一環として訪問した分、「旅行などでは体験できないような、地域との深い関わり」ができました。

 

まさに「自分の人生の、第二・第三の故郷(ふるさと)になった」という感覚です。

 

 

三つ目は、「普段の自分の仕事では見聞きできないことを経験できる」ということです。

 

これは個人差があると思いますが、僕は小学校などで行った「社会見学」が好きなタイプでして、「普段あまり表に出てくることがなく、その仕事に携わっている人しか体験することができない現場や工場」などを見るのが好きです。

 

GYO-SOMON!を通じて、水産加工会社の現場(実際の工場)を体験できて嬉しかったです。

 

──そんなGYO-SOMON!を経て、ご自身の今後のキャリアをどのように描いていらっしゃいますか?

 

Aさん 仕事で身につけたスキルや経験を、目先のことだけではなく、「未来の日本のため」「世のため」「人のため」に活用していく働き方に、少しづつシフトしていけるといいですね。

 

その一環として、地方と関わり続けることも大事にしていきたいです。

 

GYO-SOMON!は、その一歩目として、「自分の人生において、とても貴重な体験」となりました。

 

【番外編】GYO-SOMON!事務局インタビュー

 

以上、GYO-SOMON!経験者のお話でした。

 

新しい副業のカタチに迫る中で、「働き方」「地方との関わり方」「報酬」「生き方」など、様々な兆しやヒントを感じていただけたのではないでしょうか?

 

 

ここからは【番外編】と題して、GYO-SOMON!の運営メンバーにお話を伺いました。

 

一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンの松本さん(以下敬称略)に登場いただきます。GYO-SOMON!に込めている想いや、今後の募集についてもお話いただきました。

 

 

──GYO-SOMON!で出会ったAさんについて、どんな印象をお持ちでしたか?

 

松本 そもそも地方にWEB系のマーケティングができる人材が本当に不足しており、専門知識・スキル、経験をお持ちのAさんが、石巻に関わってくださること自体とてもありがたかったです。また初対面の方ともフランクに話してくださり、コミュニケーションスキルが高く、安心しました。

 

「こういう方が活躍できる機会を、さらに生み出していきたい」とあらためて強く思うようにもなりました。

 

──GYO-SOMON!を運営する上で大切にしていることや、想いなどをお聞かせください。

 

松本 魚払いの観点でいうと、「地域でしか手に入らないもの」「ここでしかとれないもの」ということが大切な価値だったりします。貨幣に交換する手間を省略して、ダイレクトに生産者から魚を届けるというプロセスも含め、「お金ではない価値」を大事にしています。

 

魚が実際に手元に届くと、「魚、届きました!」と喜んで連絡くださる方もいました。もし報酬がお金だった場合、「お金、届きました!」って、そんなやりとり発生しませんよね(笑)

 

魚払いをきっかけに、「都市部と地方とのコミュニケーション」も生み出し続けていきたいです。

 

──これから第二期の募集がスタートすると伺いました。読者のみなさんへメッセージをお願いします。

 

松本 今年2020年、GYO-SOMON!の「第2期」として新たに募集を開始します(*)。

 

(*)Aさんもチャレンジした2019年のGYO-SOMON!は第1期でした。

 

マーケティング、EC、食品加工経験者などのプロ人材の副業募集に加え、今回は「クリエーター見習い」、魚好きにはたまらない「美味しさを拡げるアンバサダー」募集など、バリエーション豊かなプロジェクトを予定しております。

 

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みなさんと一緒にお仕事できることを楽しみにしております!

 

※本記事の掲載情報は、2020年10月現在のものです。

 

一般社団法人フィッシャーマンジャパン事務局次長・ヤフー株式会社社会貢献事業本部CSR推進室東北共創/松本 裕也さん

2009年ヤフー株式会社に入社。3年間広告営業として従事。その後学生時代からNPOの活動に関わっている経験を活かし社会貢献系サービスの担当者となる。2014年から石巻で復興支援を行う部署への異動に伴い、家族とともに石巻に転勤。ヤフーが立ち上げからサポートしている「フィッシャーマン・ジャパン」の活動に携わり、水産業の変革に向けた取り組みを行っている。

この記事を書いたユーザー
保田亮太(Ryota Yasuda)

保田亮太(Ryota Yasuda)

NPO法人ETIC.ライター / 芸術家 / DJ。「自分の好きなことをやり続ける人があふれる世界をつくること」を使命に、「多趣味多才」をモットーに生きている。2015年よりETIC.参画。 Twitter: https://twitter.com/RyotaYasudaPeco

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