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笑顔で健康リスクを予防!“健築”をテーマにしたまちづくりに挑戦する竹中工務店・西田恵さん

2021.04.13 

社内で今担当している事業やこれから取り組もうとしているプロジェクトに対し、社外の人の意見も聞いてみたい、より仲間を拡げていきたい、と思っている方も多いのではないでしょうか。

 

筆者が運営に関わるand Beyond カンパニーではBeyondミーティングという「意志ある挑戦を応援する」イベントを毎月開催しています。そこでは起業家の方だけでなく、会社の中で新規事業を担当される方や、プロジェクトを社の事業に繋げていきたいと画策される方の登壇も増えてきています。

 

Beyondミーティングに登壇し、社内のプロジェクトをリードしている方々に、登壇しての感想や、事業に対する想いについて語っていただきました。熱量高くプロジェクトを進めるためのヒントがたくさん詰まったインタビュー記事をお届けします。

 

第二弾として、竹中工務店で「健築」をテーマに、誰もがいきいきと生活できる場所をつくるために、「感情をデータ化」し、空間が人に与える影響を研究されている西田さんにお話を伺いました。

 

>>第一弾のインタビュー記事はこちら

コンサル×NPO支援でシリア難民にエンジニアの雇用創出を!“結果につながる”Beyondミーティングから得たものとは?

 

西田さんトリミング後3

西田恵氏/株式会社竹中工務店

2005年に大学院卒業後、新卒で㈱竹中工務店に入社。

自然換気や温熱環境など建物の環境設備、省エネルギーの研究開発や、建物の中の人の快適性・健康に関する研究開発業務に従事。2018年から社会人ドクターとして公衆衛生分野の博士課程に進学し、地域の建造環境や住人のつながりと高齢者の健康に関する研究を始める。健康な地域づくり、つながり作りの一つとして、「笑顔」を測り、増やすプロジェクトを雲南市とともにチャレンジ中。

Beyondミーティングで社外の方々からの応援に背中を押された

 

――西田さんが現在取り組まれているプロジェクトについて教えてください。

 

“健康建築(健築)”をテーマに、建物を建てるだけではなく、人の健康に配慮した建物作りに取り組んでいます。今後日本は人口減少により建物の需要も右肩下がりになるという予測を踏まえて新規ビジネスも検討していこうという状況の中で、健康な建物だけなく地域の健康づくりにも取り組むことを模索していました。

そんな中で、竹中工務店としてNPO法人ETIC.(エティック)のローカルベンチャーラボ(以下LVL)の取り組みに参加させていただくことになり、島根県雲南市の「雲南ソーシャルチャレンジバレー構想」に自治体のみなさんや他の参画企業の方々など様々なステークホルダーとともにチャレンジしています。将来的には建築だけではなく、まちづくりを通じて、地域の社会課題解決に貢献できればと考えています。

 

――Beyondミーティング登壇のごきっかけを教えてください。

 

健康な地域づくりの中で私たちが着目したのは、住人のみなさんの笑顔を増やして、健康リスクの低減に繋げるなど、感情をデータ化することによって様々な場面で役立てる仕組みでした。笑顔は、ストレス解消、免疫力アップ、脳の活性化など健康に良いことが知られています。本当の笑いでなくても、作り笑いをするだけでも健康に良いことも報告されており、笑顔の測定を日常的に行う機会を作って、笑顔になる頻度を増やすことが健康リスクの低減につながるということが背景にあります。

元々は上述のLVLの取り組みからスタートしたのですが、いざ提案してみるとLVLのメンターやファシリテーターの方から「ニーズはあるの?」「ビジネスとしてどう成り立つの?」などのストレートなフィードバックをいただいて。たしかにその段階ではあくまで研究として、文献などをベースにして作り上げた机上のストーリーだったので、具体的なニーズに関しては説得力が欠けていたところがあったんです。そこで、エティックの方からのご紹介もあり、社外の方々の生の声を伺える場所として、Beyondミーティングに参加しました。

 

――登壇されてみて、ご自身の中でどのような変化がありましたか。また、その後のプロジェクトの進捗はいかがでしょうか。

 

実際に登壇してみると、みなさん熱心にアドバイスと優しい応援の言葉をくださって、すごく勇気づけられましたし、この企画に自信を持つことができました。

また、高齢者の健康リスク予防だけでなく、例えば避難所の住人のモニタリング、美容、エンターテインメントなどでも活用できるというアドバイスから、収益化できる分野と高齢者向けのサービスの組み合わせでビジネスとして成立できるかもしれないという仮説もできました。

直接のビジネスパートナーと出会えたわけではないのですが、Beyondミーティングで登壇したことにより、ニーズがあるという確信をもつことができるようになり、プロジェクトが少しずつ前進してきました。一方、自社だけでは解決できないような課題も出てきたので、ここから社会実装へのハードルを乗り越えるべく奮闘中です。

 

竹中工務店の「健築」に関するHPはこちら

 

イメージ画

雲南市企業チャレンジのイメージ図

 

多様性を受け入れて、誰もが暮らしやすい世の中にしたい

 

――長く建設業界にいらっしゃる中で、高齢者向けの課題に着目したごきっかけは何だったのでしょうか。

 

高齢者に優しい町はみんなに優しい町ということで、高齢者に優しい町づくりが世界中で進められている背景もあり、高齢者が健康に生活する環境づくりに着目していました。また、みんなに優しい町という観点で言うと、私の子どもに生まれつき障害があることも一つのきっかけです。

障害を持っている人の生活は、生まれてみて初めて知ることばかりで、最初はどうしていいかわからなくて。当事者になってみなければわからない、でも自分もいつか近い将来に直面するかもしれない課題って世の中にはたくさんあると思ったんです。そこに対して当事者になる前からみんなが知って、考えることによって、誰もが暮らしやすい世の中になるのではないかと。

障害や高齢化に限らず、いろんな人が周りにいることを知って、もっと多様性が受け入れられる社会になることが、健康な地域づくりにつながるのかなと思っています。

 

――社内でのプロジェクトへの反応はいかがですか。

 

会社からは事業性を求められるので、ビジネスモデルの成立は課題ですね。でも、社会的な意義は伝わっていると思いますし、少しずつですが社内からの問い合わせも増えてきました。笑顔と健康の関連性は既往の研究で広く知られているのですが、私たちが開発したツールからも笑顔と健康の傾向が少し見えてきましたので、様々な場面で活用いただけるよう、今後社内への情報発信をしていきたいと思っています。

 

感情をデータ分析

実際に感情をデータ化し分析している様子

 

雲南市での笑顔計画に関する論文はこちら

The Smiles of Older People through Recreational Activities: Relationship between Smiles and Joy

 

Beyondミーティングは温かく純粋な情熱溢れる場所

 

――社会課題解決に取り組む中で、西田さんが課題に思う点はどのような部分ですか。

 

長く会社員として会社勤めをしていると、社会課題解決に全てを捧げて振り切る決断をするのはハードルが高いとは感じますね。でも、コロナ禍で在宅ワークをする人も増え、働き方も多様化してきているので、そういった意味ではチャレンジしやすい世の中になってきているとも言えるかもしれないですね。

例えば、一週間のうち1日は自分が興味のある社会課題解決の活動にあてるとか、社内で社会貢献性の高い事業にチャレンジしてみるとか。私自身、笑顔で健康リスク予防するというプロジェクトには会社に所属しているからこそチャレンジできるので、そこはありがたいですね。

 

――Beyondミーティングの参加を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

 

私自身も登壇の際は緊張して、一緒に参加した同僚とどっちが発表するのか押し付け合いをしてました(笑)。でもいざ参加してみたら、みなさんご自身に何の見返りもないのに、すごく親身になってくださって。通常の業務には明確なゴールがあるものが多いと思うのですが、社会課題解決プロジェクトって自分たちでゴールを作っていくので道のりが見えなくてモチベーションを維持するのが難しい部分もあると思います。そんな時に、純粋な情熱をもった同志に出会えるのは励みになりますよね。

やってみたら絶対に楽しいので、ぜひバンジージャンプを飛んでみる気分でチャレンジしてみていただきたいです。BMは温かい場所ですから、きっとバンジージャンプほどの覚悟はいらないので(笑)。

 

ミーティング

Beyondミーティングの様子

 

Beyondミーティングは毎月行っており、どなたでもご参加いただけます。開催状況はこちらよりご確認ください。

https://bm.andbeyondcompany.com/event/

 

登壇への関心がある方はこちらよりお問い合わせください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfETVATqbsNQ0-CNsYySOyoop5wMRwt_hpm9ulPsS7npCoe1g/viewform

 

 

【Beyondミーティングに関する記事】

>> 個人の意志ある挑戦を、全力で応援する文化が生まれる場〜Beyondミーティング#23開催レポート

>> 「社会を変えるプロジェクトを、コレクティブに仕掛ける」。Social Impact for 2020 and Beyond マンスリーギャザリングレポート(前編)

 

この記事を書いたユーザー

小池碧

ETIC.育休中ママインターン。2009年に大学卒業後、新卒でネット広告代理店に入社。グローバル事業の立ち上げ、経理、税務、労務、システム導入など幅広いコーポレート業務に従事。2017年に経済情報サービス関連企業に転職し、海外向けセールスオペレーションやビジネススキーム構築を担当。育休期間を利用し、ETIC.にてインターン中。1歳男の子のママ。