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キーワードは「探索」と「自分軸」。迷いのなかで納得解を見つける方法ーNPOエグゼクティブコーチングの体験談よりー

2021.08.06 

Internship experience as work career practice learning tiny person concept

 

新型コロナの影響の長期化、各地での災害の発生、子どもの貧困問題など、日本の社会課題は深刻かつ複雑になりつつあります。ソーシャルセクターで働く人たちは、常に変化する課題に対峙し、活動を進化し続けなければなりません。その時に重要なのが「不安や恐れ」からではなく、ビジョンや心から湧き上がる思いに基づいて行動を進めていくこと。そのためにも、リーダー自身が「心を整えておくこと」が大切なのです。

 

当メディアを運営するNPO法人ETIC(エティック)は、株式会社ウエイクアップと連携し、NPO団体の経営者や役員を対象に「コーアクティブ・コーチング®」*を3か月間無料で提供しました(2020年5月~)。

*自己の深層にある想いを探ることで、課題に対して「自分で切り拓く」力をつけられるようになるプログラム。

 

今回は、カタリバの加賀大資さん(ディレクター)とクロスフィールズの小沼大地さん(代表理事)に実際の体験談を聞きました。どのような変化があったのか、印象に残ったセッションとは――お二人の具体的なエピソードも合わせてご紹介します。

 

なお、2021年も、NPO団体の役員や経営者を対象に「無料エグゼクティブコーチング」を実施する予定ですのでご興味ある方はぜひ下記をご覧ください。

>>>応募についてはこちらから

 

自分のあり方を認識し、身体と思考をつなげ進むためのエネルギー源を見つける

 

スクリーンショット (1794)

 

――NPO法人クロスフィールズの共同創業者であり、代表理事を10年務めている小沼さんですが、コーチングとの歴史は長いとお聞きしました。

 

実は、エティックさんのプログラムを受ける前からウエイクアップ社のコーチングを利用しています。3年ほど前、組織内で人間関係上のクラッシュを経験し、いかんともしがたい状況に陥っていました。

 

その時出会ったコーチには今もお世話になっています。当時、そのコーチから「一番パワーが出たとき」について掘り下げられました。そして、学生時代の部活の話になり、実は公式戦の最終試合で「アップ(準備運動)」を仲間としていたときが、最もパワーを出していた瞬間だったとわかりました。

 

悩んでいたメンバーとの関係でしたが、対話の前に「アップ」のときの動作を実践したところ、それまでとは違ったものに。まさに、身体性と仕事とがつながった体験でした。それまでは“怪しい”と思っていましたが、コーチングへの見方が一気に変わりました。

 

その後も、通常運転ではうまく事態が回らないときは、コーチングを受けるようにしています。これまでの3年間で、3人のコーチにお世話になっています。昨年はコロナの影響があって、エティックさんの無料プログラムを受けました。

 

――小沼さんを支えてきたコーチングですが、これまで受けてみてどんな変化をもたらしましたか。

 

コーチングは、自分にとっては定期的な健康診断のようなもの。普段とは違う視点で自分を見つめて「今のありかた」を認識する機会になっています。コーチは自身の鏡のような存在なので、自分の姿が「あらわ」になり、時に見たくない、重すぎると感じることもあるほどです。

 

コーチングは、変化をもたらすというよりも、自分では気が付かないことを発見して、新しい行動につなげる過程だと思います。例えば、あるコーチングでは、自分が左脳だけで考える癖を認識しました。相手の言葉を口で受け取って返すだけでは、伝わりきらないことがあると気づき、腹や胸で受け取って自分もそこから話そうと意識するように。今でも、大事な厳しめの話を組織のメンバーとするときは、ジャンプの動作をして、身体感覚として重心が下にいくよう意識しています。

 

また、自分が感じる変化としては、メンバ―と深い対話ができるようになったことでしょうか。対話の質が上がったというか。恥ずかしながら、昔は「大地さんと話すと課題は解決されるけど、モヤモヤした感じが残る」と言われることが多かったです。ただ、それも少しずつ減ってきたように感じています。

 

――組織内で深いコミュニケーションをされているのですね。これまでセッションで印象に残るものは?

 

コーチのタイプによって、自分の中での位置づけが違います。精神的に追いつめられてしまい緊急的に話を聞いてほしいコーチと、長期的にじっくり話したいコーチと。

 

緊急的な話をするコーチからは「呼吸」を意識するよう言われたことが印象的でした。例えば、コロナの時。事業の停止、子どもたちの一斉休校など、あらゆるものが一気に変わり将来への恐れや不安に襲われました。話をしても常に興奮しがち。その時、何度も「呼吸」を意識するように言われました。そして「何に恐れを感じているのか?」と問うていただきました。そうしてみると、実は事業上の不安はそこまで大きくなく、むしろ本当に恐れていることの正体は「無理をして自分が心身の健康を損なってしまうこと」であるとわかり、それまでの不安が一気に解消されました。

 

長期的なコーチングでは40代の自分がどうありたいかを話しています。意識的に「自分のことを考える」時間を作りたいという思いで、エティックさんの無料プログラム後も、同じコーチからコーチングを受け続けています。

 

セッションを通じて、20代、30代のような「上昇志向」ではなく、40代はより深く広く「探索志向」でありたいと思うようになってきました。全く事業とは関係がない少年野球のコーチやPTAの活動もはじめました。仕事では見えなかった新しい自分を発見して、さらにそれを事業に活かすーーこうした循環を40代では実現していきたいと思っています。

 

――ソーシャルセクターのどんな人に勧めたいでしょうか。

 

コーチングは、創業時のまっしぐらに走っているときはそんなに必要ではないかもしれません。ただ、創業して数年経ち「あれ?」と何か違和感があるときが受けるタイミングではないでしょうか。また、周りからみて当人が自分を追い込み過ぎているなと思ったら、コーチングを勧めると良いと思います。

 

ソーシャルセクターで働く人は、「他者への貢献」をエネルギーにし、一方で自分をなおざりにしすぎてバーンアウトを招くことが多いと思います。自己犠牲だけでは自分の心身の健康を損なってしまいますし、そうした経営者には、周りのスタッフや組織全体にも痛みのエネルギーを広げてしまう危険性があると思います。やはり、まずは自分が良い状態でいることが、すべての活動の基本だと思うのです。

 

コーチングを受けることで、自分自身の「状態」に気づき、バーンアウトも防げます。さらに、自分が周りにどんな影響を与えているかにも気が付けるのでおすすめです。

 

――最後にメッセージを!

 

残念ながら、社会課題がすべてなくなることはありません。課題を消し去ることは非常に難しい。ソーシャルセクターの経営者としては、「社会課題解決」への強い想いだけではなく、「消し去れない」という事実を抱えつつ、自分を許していく姿勢も大切だと思います。コーチングを通じて、自分のあり方に気づきながら、自分も痛むことがあると「許して」前に進んでいくとよいのではと、一人のソーシャルセクターの経営者として思っています。

 

――ありがとうございます。

次にご紹介するのは、カタリバの加賀さんの経験談です。

迷っても軸があれば前に進める。新たに悩んでもまた軸を見つければ解消されるというプロセスを理解

 

かがさん2

 

――現在、どのような立場で、どんな仕事をしているか教えてください。

 

現在は、カタリバのディレクターとして東京での事業全体を統括する立場です。2011年の東日本大震災の時、大槌町でボランティアとして携わったのち、カタリバには入職しました。それまで、教員として東京で働いてきており「子どもの貧困」には関心がありました。今は、子どもの貧困を広く「生まれ育つ環境に不利・困難がある子ども」と捉えて活動しています。

 

――長く子どもの支援を続けてこらた中で、どうしてコーチングを受けようと思ったのでしょうか。

 

実は、最初は当法人の代表に話があったのですが、代表がメンバーに薦めてくれ、興味を持ちました。

コーチングを受ける前は、イメージがわかず、半信半疑。自分とは縁遠いものと思っていました。ただ、やってみないことには「合う合わない」はわからないと思い飛び込みました。また、コロナの影響でプロジェクトや自分の頭の中に何か行き詰りを感じていた時期。立ち止まって考えたいタイミングでもありました。

 

――実際のコーチングではどのようなことをしましたか。

 

当初のイメージは、自分ひとりでは解決できないことを一緒に考えるーー何か精神世界的な取り組みだと思っていました。しかし、実際は自分で答えが出せないところをコーチに導いてもらうというもの。最初は、コーチの「問い」に対し、意図を推測して求められる回答をしていましたが、何度も答えていくうちに、立場や所属を超えて「自分」の中の想い(答え)が出てくるようになりました。

 

例えば、2週間に1度のセッションの中で、仕事について、いろんな角度から質問を受けます。「どんな子どもたちにかかわりたいの」「教育の何をやりたいか」「どういう状態になっていたらよいのか」などの質問を受けて、感情が起伏したり、事業でのやりがいを話したり、答えることで自分の想いが徐々に見えてくるようになりました。

 

――コーチングを受けた後に事業推進や仕事への影響は何がありましたか。

 

コーチングで投げかけられる問いは、自問していたはずですが、言語化するとやはり意識に違いが出てきます。

 

コーチングでは何度も「なんで、この仕事をしているのか、教育の何に興味があるのか」という自分への想いに向き合いました。そして、働き始めたころは「やりたいこと」だったのが、今では「やらなければならないこと」に変化していたことに気づきました。

どこか自分がやらねばという使命感でプロジェクトを「処理」するようになっていた。自分がやりたいと思う軸(理由)を見失っていたのです。

 

コーチングを受けた後は、事業を進める上で何か迷いがあっても、自分の軸が見つかったのでそこに立ち戻るようにしています。少しは迷いが減った気がします。

 

子どもの貧困に携わっていると、課題の深さにどこまで自分がやれるのか、覚悟はあるのか、と常に不安で。一方で、自分は事業責任者として、やらなければならないという想いもあり、ジレンマを感じます。これからも、事業を進める上で、きっと新しい迷いも生まれるでしょう。しかし、コーチングを通じて、拠り所となる軸があれば、乗り越えられることを体感しました。さらに、今の軸が違うと思えば、また新たな軸を探せばよいと捉えられるようになりました。

 

「軸」は見つけられるんだという認識ができたので、迷いや不安にぶつかることの怖さが少し減ったと思います。

 

――コーチングはどのような人が受けるとよいでしょうか。

 

特に、ソーシャルセクターで働く人たちにとっては、意味のあるものだと思います。

 

ソーシャルセクターで働く人は、「支援される側」との状況を比較して、「支援する側」の自分の“しんどさ”なんてまだまだと思ってしまう傾向にあると思います。自分のジレンマや迷いなど、口にすることができない。

 

さらに、苦しさを見せず支援するメンバーを傍らでみると、余計に自分がしんどいという状態に罪悪感をもってしまうーー気が付けば自分のしんどさを心の奥底に閉じ込めて、いつしか自分も気が付かないようになる可能性があります。

 

ソーシャルセクターで仕事をしたり、組織が大きくなったりすると、メンバーのため、社会の課題のため、とだんだん自分をなおざりにしがちです。しかし、本来、取り組みは自分のためにやるのが一番大事。原点に立ち返ることができるコーチングは大事だと思います。

 

――最後にメッセージを!

 

コーチングを受けて、新規事業にチャレンジしたり、迷いがあっても軸に立ち戻ったりと、小さな変化は感じています。そしてこれからはもっと変化を感じると期待しています。

無料プログラムが終わった今も、コーチングを個人的に継続しています。その都度、自分と向き合うことで、ジレンマがあっても、しなやかに対応できると思っています。貴重な経験だったと感じています。

 

――ありがとうございました。この経験を活かして、これからも複雑化する社会課題への取り組みをますます高めていってほしいです。

コーチングにご興味を持たれた方へ

 

本年も引き続きNPO団体の役員や経営者を対象に「無料エグゼクティブコーチング」を実施する予定です。自分の力を最大化したい方、活動の中で何か課題を抱え打開したい方など、ぜひご応募ください。

>>>募集はこちらから

 

参考情報:

ウエイクアップ社とは https://wakeup-group.com/

CTIジャパンのコーチングコース https://www.thecoaches.co.jp/coaching/index.html

 

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>> 非営利団体の組織開発をレポート! NPO法人フローレンスの「コーチング」研修体験談から

>> 聴くチカラが個人やチームを変え、外側に起きる現実をつくりだす?!Being(ありかた)にフォーカスする研修で何がどう変わるのか。

(一般社団法人りぷらす 橋本大吾さん、NPO法人えがおプロジェクト 出分さん、ETIC.鈴木敦子のインタビューより)

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望月愛子

望月愛子

フリーライター。 アラフォーでフリーランスライター&オンラインコンサルに転身。夫のアジア駐在に同行、出産、海外育児を経験し7年のブランクを経るも、滞在中の活動経験から帰国後はスタートアップや小規模企業向けにライティングコンテンツや企画支援サポートを提供中。ライティングでは相手の本音を引き出すインタビューを得意とする。学生時代から現在に至るまでアジア地域で生活するという貴重な機会に恵まれる。将来、日本とアジアをつなぐ活動を実現するのが目標。 タマサート大学短期留学、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修了。

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