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#経営・組織論

聴くチカラが個人やチームを変え、外側に起きる現実をつくりだす?!Being(ありかた)にフォーカスする研修で何がどう変わるのか。

2021.03.25 

さまざまな変化をもたらした新型コロナウイルス。なかでも働き方は大きく変わった。リモートが前提では「先輩の背中をみて学ぶ」ことは難しく、業務プロセスの可視化や作業の細分化、サービスの見える化も避けられなくなった。チームビルディングの難易度はあがり、プロジェクト管理は個人の力、セルフマネジメントにも大きく委ねられている。

 

そんな中で組織開発やコーチングを学ぶ研修が盛況らしい。副業として取り組みやすいという側面もあるようだが、これまで見落としがちだった「個人の意欲やモチベーション」「組織内の関係性やコミュニケーション」など、目に見えない課題にフォーカスをあてる企業や組織が増えてきたということか。とりわけBeing(個人の心のありよう)を取り扱うプログラムは、コロナを機に格段に増えたようにおもう。 

スタッフ全員が「聴く」スキルを身につけ、自己解決する組織に。

コロナ以前から、私たちNPO法人ETIC.(エティック)も組織規模の拡大によってマネジメントに長年課題を抱えていた(いまもなお模索中だが)。大きなターニングポイントとなった2011年、東日本大震災が起きた年は予算規模が前年までの5倍に増え、ガバナンスやコンプライアンスなどを整備、社内ルールや意思決定の仕組みを整えた。大規模な助成金や寄付を原資とした活動が増えたこともあり、社会的な期待や要望に応えられる組織をつくるためだ。一方でそうしたやり方に働きづらさや締め付けを感じる人もいた。

 

チームづくりや採用面も含め、自分たちの裁量と責任でプロジェクトを動かせるようになることを目指した時期もあった。ただし給与は団体で規定したテーブルに則っており「自由」と「責任」は完全にはセットにはならなかった。希望をもってジョインしたものの「想像していた組織ではなかった。」と不本意ながら退職する社員もいた。事務局長の鈴木敦子は「何年経営しても、組織の問題は永遠に渦中だ。」と、日頃から漏らしていた。

 

社会状況の変化の速さに対応しつつも、スタッフたちが疲弊することなくイキイキと働きつづけられる組織にしていくために、全スタッフで『ティール組織』の読書会を開き、あたらしい組織のありかたを模索した。

 

組織のホールネス(全体性)を大事にしながら自分たちにあった組織構造、仕組みを整えていく。言葉でいうほど簡単なことではないが、全スタッフがコーチングの研修を受講し「聴くチカラ」を身につけたことで、確実に前に進んでいる感覚が持てるようになった、と事務局長の鈴木はいう。

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鈴木さん:

最初、スタッフの数人がコーチング研修を受けに行って、ずいぶんとさま変わりしたのに驚いたんだよね。そんなに良いの?!って疑いながら自分も受けてみた。そしたら「いかに自分が聴けていないか」を思い知ったんです。他のみんなも同じ感想だった。

 

コーディネーターの基本は「人の話を聴くこと」なんだけど、ふだんの業務で起業家さんや学生に対してやっていることを、スタッフ同士ではやれていなかったのかも。合宿もやっていたし、会議も多い組織だけど、お互い深いレベルまで耳を傾けていなかったとおもう。「人の話を聴いているようで、じつは聴けていなかった。」と気付いたことも大きい。

 

スタッフ全員が「ちゃんと聴く」スキルを身につけてからは、自己解決力が進んで、トラブルはほとんどなくなってしまった。それまでは常にそこかしこで問題が起きていて、対応に追われて一日が終わる日々。メールを開けることすら嫌だったのだけど、それが事務局長のわたしの仕事と思い対応していました。ただ、この仕事、わたしのあとでやりたい人いるのかな?誰もやりたくない仕事なら、なくしたほうがいいのでは?と思っていたぐらいです。

 

今は、ほとんど自分のところにそのような問題はあがってくることなく、当事者同士で解決しています。皆で「聴く」研修を受けたあの日からムードががらっと変わりました。「聴く」ことのインパクトは相当に大きいから、これは全組織の人におすすめしたい。

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ここでエティックのスタッフが受講したのが、株式会社ウエイクアップが提供するCTIのコーチング研修だ。こうした背景もあり、エティックでは2019年頃から、株式会社ウエイクアップの協力を得て、NPOやソーシャルベンチャーを対象にした合同研修を不定期で開催している。

コロナ禍ということもあり、2021年はオンラインでの開催になってしまったが、そのおかげで地方で活動している人たちも参加しやすくなった。ここで、今年参加してくださった2人の社会起業家を紹介したい。

自分のBeingに立ち返ることで、苦手な状況での緊張が解けた。

富山県で活動するNPO法人えがおプロジェクト代表の出分玲子(でぶん・れいこ)さんは、学童保育施設を運営しながら、ひとり親家庭支援、DV被害者支援などをおこなっている。

コロナにより経済的な困窮状態に陥っているひとり親家庭も多く、DVや家庭内暴力も増えている。シングルマザーの現状はもちろん、えがおプロジェクトの活動がメディアで取り上げられることも増え、地域からの期待も高まっている。えがおプロジェクトに寄せられるSOSも格段に増えた。これに対応していくには、組織のキャパシティを増やしていくほか、県や市など行政との連携は避けられない状態になっている。

そんな出分さんも、CTIのコーチングを受けて助けられたと言う。

えがおプロジェクト公式ホームページの活動写真より

えがおプロジェクト公式ホームページの活動写真より

出分さん:

行政との連携は進めなきゃとおもいながら、これまではうまくいかないことも多くて、苦手な気持ちがありました。去年、キーパーソンの方にプレゼンをしなくてはいけないタイミングがあり、ずっと気持ちがそわそわ落ち着かず、気分も重くて…。そのことをコーチに相談したら「自分らしくいられるアイテムを思い浮かべて」というお題が出ました。ふっと湧いてきたイメージは“ピンクのふわふわ”。この”ピンクのふわふわ”を携えて、緊張する相手とのプレゼンに臨みました。これがすごく効果があったんです!

 

状況は何も変わっていないのに、”ピンクのふわふわ” を意識するだけで、落ち着いて対処ができる、自分のBeingに助けられた不思議な体験でした。コーチングってエネルギーが湧きますよね。このスキルを支援者が持てたら、自分が元気になるし、もっと活動の幅も広がるかもしれない。シングルマザーや子どもたちにも、ぜひ伝えていきたいと思っています。

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Beingが活動の起点になる起業家にこそ、必要な機会。

一般社団法人りぷらすの代表理事、橋本大吾(はしもと・だいご)さんは、3.11の東日本大震災の被災地支援をきっかけに東北に移住し、ゼロから組織を立ち上げた社会起業家。要介護認定率が全国でもワーストとなった宮城県で、介護からの卒業や予防、介護うつ・介護離職を防ぐための取り組みを、地元住民を巻き込みながら推進している。

橋本さんは、参加したCTIのコーチング研修についてこう語っている。

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橋本さん:

りぷらすのメンバーも多様になってきて、組織内のコミュニケーションをもっとよくできたらとおもって参加してみました。さっそくスタッフ面談のなかで、それぞれが持っているWill(願い)を聴いたりなど、変わりはじめている部分もありますが、なにより自分自身のために良い時間でした。

東北に移住して現場を回しながら、少しずつスタッフが増え組織になってきました。大げさかもしれないけど24時間365日、事業が頭から離れない。ずっとスタッフのことや目の前の仕事、そして子育てに没頭している状態でした。でも、研修に参加することで無理やりに離れてみた。

研修に参加してみて、自分を俯瞰してみることができましたし、「自分の人生にとても大事だけど、目の前のことに追われ、あんまり考えてこなかったな」という「気づき」も生まれました。自分のBeing(ありかた)をあらためて見つめる時間を持つことで、やりたかったことが自然と湧いてきました。

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橋本さん:

起業家は個人の原体験がきっかけで活動を始める方も多いと思います。そういう意味ではBeing(どうありたいか)は活動の原点で強く持っている方かと。だけど、いつの間にか目の前の仕事やスタッフのニーズに応えたりしていくうちに「今、やるべきこと」に覆われてしまう。

Must(なにをやるべきか)も考えることも大事だし、Doing(なにをやるか)も重要だけど、Being(どうありたいのか)の軸とつながっていることで、精神状態は安定するし、そのほうが、よりよい選択や意思決定ができるのではないかと感じます。

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今後もエティックでは、株式会社ウエイクアップと協力し、ソーシャルセクターを対象にした合同研修を企画していきます。ご興味あるかたは、NPO法人ETIC.の問合せページよりご連絡ください。>>https://www.etic.or.jp/contact/

 

 

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野田香織

野田香織

1974年兵庫県生まれ。短大卒業後、印刷会社でグラフィックデザインの仕事に携わり、不動産広告やCIなどを担当。2006年からマドレボニータに参画、人生賭けて挑みたいテーマを見つける。2009年にNPO法人ETIC.に参画。社会起業家のスタートアップ支援に携わり、求人メディア「DRIVEキャリア」の運営も担当。

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