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NPOならではの仕事「事務局長」の役割とは!? 認定NPO法人フローレンス事務局長・宮崎真理子さんインタビュー(2)

2014.07.13 

フローレンスへの転職の経緯についてうかがった「"NPOで働く"を考える 認定NPO法人フローレンス事務局長・宮崎真理子さんインタビュー(1)」に続いて、フローレンス事務局長、宮崎真理子さんへのインタビューをお送りします。

筆者が宮崎さんに「NPOの人材戦略というテーマでお話を伺いたい」と最初にお伝えした際、「NPOといっても、そんなに違いはないと思っているから、その期待には応えられないかも」というお返事をいただきました。

NPOという法人形態であっても、活動の持続性を担保し、より社会へのインパクトを大きくしていくために、事業収入型のNPOが増えています。すると、NPOであっても、一般的な営利企業と求められる人材像は同じなのかもしれません。

では、「事務局長」という、NPOに特有なポジションはどうなのでしょうか。宮崎さんと、NPO法人ETIC.事務局長・鈴木敦子さんのお2人に「事務局長」という役割についてうかがいました。

 

「事務局長」の仕事について知りたい方はこちらの記事もぜひ!

>> 「事務局長」ってどんな仕事?NPOの事務局長の役割や求められるスキルがわかる記事まとめ

インタビューの様子

インタビューに応じる認定NPO法人フローレンス事務局長・宮崎さん

何も情報がないから、自分でつくる

梅村:正直なところ、「事務局長」って、外から見ると何をしているのか全然分かりません。宮崎さんが事務局長として組織に求められている役割は何だと思われますか?

宮崎:ではまず、事務局長就任の経緯から。ある日、駒さん(フローレンス代表理事の駒崎弘樹さん)との打ち合わせが終わって喫茶店から出た時に、突然「今年度から事務局長を設置すること、知ってますよね?やってくれませんか?」って言われて。

「そんな簡単に言う!?」と思ったんだけど、引き受けました(笑) なので、私自身事務局長というものがどういうものか全くわかりませんでした。何も情報がなかったから、これは自分で作っていかなくては、と。

事務局長としての心得

宮崎:それで「事務局長心得」なるものを作ってですね。

梅村:ぜひ見せてください! インタビューの様子

作成した「事務局長心得」を読み上げる宮崎さん

宮崎:1つめは「安定した事業運営 予算管理のプロフェッショナルであること」。事務局長は、組織の根幹を支えるバックオフィス的な役割を担う必要があります。

2つめは「働きがいのある組織作り 人の成長のサポートのプロフェッショナルであること」人材戦略的なところですね。これはNPOの特徴だと思いますが、サービスの質イコールそこで働いている人の質だから、とても大切です。

3つめは「マネージャーの伴走者であること」。駒さんには「えっ?経営者の伴走者じゃないの?」と驚かれたけど。(笑)マネージャーたちに権限委譲して活躍してもらうことが大切だと考えています。

最後に「フローレンス価値観の伝道師であること」。フローレンスでは「フローレンスway」*という行動指針を定めていて、それを最も体現する存在でありたいなあ、と。

梅村:なるほど。鈴木さんはどういったことを意識されていますか?

鈴木:私は、大学卒業してからずっとETIC.の立ち上げをベンチャー的にやってきました。先ほどの宮崎さんの話に、「とりあえずやってみる」とありましたが、私もすぐ前のめりになってしまう傾向があります。でも、前のめりになりすぎてもダメなんですよね。

梅村:それは、事務局長としてということですか?

鈴木:そうそう。できるだけ前のめりになりつつも、常に最大限のリスクを想定しなくては、とは思っていて、だからパソコンのデスクトップに「その最大のリスクは!?」って貼ってあります。(笑)

あとは「愛語回天」っていう禅の教えを大切にしています。「優しい言葉は世の中を変える」っていう意味なんですが、どんなにイライラすることに出会っても、「優しさ、思いやり」って唱える。事務局長は、実は社内外のトラブル時の社内外調整などは大切な業務なので。そのような心構えで、仕事を推進すれば結果として、色んなリスクも回避できると思っています。

宮崎:それ、すごい大事だと思います。私が意識しているのは「個人の声は全体の声」ということ。例えばチームでもめ事が起こって、誰かが不満を言ったとします。でもそれは、その人個人の問題ではなく、チーム・システム全体の問題、そこでの歪みが表出したものであることが多いんです。 インタビューの様子

宮崎さんが意識している「個人の声は全体の声」

そして、そのチームの中には自分も含まれているので、そのことを意識する必要があります。問題が起こると、つい個人に責任を押し付けたくなりますが、自分も含めたチーム全体の問題であることを常に意識していますね。

*フローレンスwayとは、フローレンスが掲げる行動指針のこと。今年度、約10年ぶりにリニューアル。詳細は次回記事。

"フローレンスway"から見る事業型NPOが求める人材像 認定NPO法人フローレンス事務局長・宮崎真理子さんインタビュー(3)に続きます。

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梅村 尚吾

1992年生まれ、東京大学文学部英語英米文学科3年。学生インターン。大学受験中にマザーハウスのドキュメンタリー番組で「ソーシャルベンチャー」という概念に出会い、その道を志すように。大学1,2年次はアフリカ渡航などを経験。3年次を休学し、認定NPO法人フローレンスで1年間のインターン。ソーシャルセクターにおけるIT技術活用のインパクトの大きさに可能性を感じ、現在キャリアを模索中。生涯スポーツである水泳のため、スポーツジムに通うのが日課。