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SNSによる観光PR、予防医療システムの横展開、ものづくり×DX……地域で挑戦中の若手起業家3人が事業を語る!〜ローカルリーダーズミーティング2022レポート(3)〜

2022.12.16 

 

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2022年10月8日、北海道厚真町(あつまちょう)で「ローカルリーダーズミーティング2022〜革新的ローカルインダストリー創造への挑戦〜」が開催されました。主催はローカルベンチャー協議会(事務局NPO法人エティック)。地域資源を活用したビジネスの担い手(ローカルベンチャー)育成や企業と協働で産業創出に取り組む自治体を中心に構成され、その活動を通じて、これまで多くの起業家や新規事業が生まれています。

 

今回のイベントには、全国各地のローカルベンチャー協議会に参加している自治体や中間支援組織、地方での新規事業を考える首都圏大手企業等、約100名が集い、コレクティブ・インパクトによる新しい産業づくりに向けて活発な議論が交わされました。

 

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この記事では、前回に続き「U-30起業家ピッチ」の登壇者3名の活動をご紹介します。地方を挑戦の現場とするU30世代が、10年先を見据えて取り組んでいる事業とはどのようなものなのでしょうか?

 

マイクロインフルエンサーの力で地域の魅力を発信!

 

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西岡貴史(にしおか・たかし)さん/株式会社たびふぁん 代表取締役

1999年生まれ。専修大学商学部会計学科卒業。温泉ソムリエ、国内旅行業務取扱管理者。大学在学中に企業向けリゾートワーケーションサービスを提供するスタートアップの立ち上げに参画し、商品戦略から旅行業責任者まで歴任。大手旅行会社グループの内定を経て在学中に株式会社たびふぁん創業。趣味は国内旅行と温泉巡りで、100軒以上の宿に宿泊をする。ローカルベンチャーラボ Change Makers U-35特別枠採択。

 

旅行好きが高じて、ワーケーションのスタートアップの立ち上げにも参画していた西岡貴史さんが、大学在学中に設立したのが「株式会社たびふぁん」です。温泉を愛するあまり、温泉ソムリエの資格をもち、温泉学会にも入っているという西岡さん。旅行を始めた当初は有名な観光地ばかりを訪れていたと言います。

 

「僕の旅行観が変わったのは、東北への一人旅がきっかけです。全く聞いたことがなかったけど、行ってみたら魅了されてしまうような場所がたくさんありました。有名ではないけれどポテンシャルのある観光地が全国各地にまだまだ眠っているはず。たびふぁん創業の根底にはそんな思いがあります」

 

たびふぁんでは、宿泊施設や地方自治体向けに、SNSを活用したマイクロインフルエンサーによる観光PRサービスを提供しています。ピッチでは、岡山県新庄村の事例を紹介していただきました。

 

インフルエンサー

インフルエンサーによる投稿例

 

新庄村では、関西圏の若者を対象として、自然を活かしたデジタルデトックスをテーマにモニターツアーを実施しました。マイクロインフルエンサーとして、インスタグラムで3万人以上のフォロワーをもつフォトグラファーを招待し、がいせん桜通りの写真を投稿してもらったところ、約3,700件の「いいね ! 」を獲得しました。

 

同じくマイクロインフルエンサーとして招待した動画クリエイターが投稿した15秒の動画は、投稿日から2週間で52万回再生を記録し、約5万件の「いいね ! 」がついています。新庄村のモニターツアーにおいて、たびふぁんが仕掛けたSNS投稿に対する合計いいね数は30万を超え、300件以上のコメントが寄せられました。

 

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「これだけコメントをもらえているということは、共感性が高いことの表れですし、それによって地域外の多くの人に見てもらえています。旅こそ地域に訪れる最初のきっかけです。まずは心をつかむビジュアルで『行ってみたい』と思ってもらい、まだ発見されていない地域に、旅を通じて人を呼び込みたいと思っています。

 

SNSをツールとして、交流人口や関係人口の入口となるような、現地ならではのディープな情報を伝え、旅を通じて地域活性化を行います! 」

 

たびふぁんのサービスについて詳しく知りたい方は、公式サイトをご覧ください。

大学を休学して北海道更別村へ ! 雲南発のコミュニティナース事業を横展開

 

猪村まゆ

猪村真由(いむら・まゆ)さん/Community Nurse Company株式会社 更別事業部現場統括

1999年生まれ。神奈川県出身、北海道更別村在住。 「医療と他分野を融合させた領域に価値を見出したい」という想いから、慶應義塾大学看護医療学部に進学。在学中は、病気をもつこどもたちを対象としたチャリティプログラムを院内・院外で多数実施。2022年4月よりCommunity Nurse Company株式会社に参画し、現在はCNC更別村事業部に所属している。「100歳までワクワク働けてしまう奇跡の農村」を目標に掲げ、地域の人の暮らしの身近な存在として「心と身体の健康と安心」の実現を目指す。

 

人口3,200人程の北海道更別村(さらべつむら)では、コミュニティナース事業の横展開が始まっています。コミュニティナースとは、病院ではなく公民館や行きつけの喫茶店等、地域の中の身近な場所で住民一人一人に寄り添い、健康な心と身体で楽しい毎日を送れるようサポートしてくれる存在です。職業や資格ではなく、新しい看護実践のあり方を指しています。

 

島根県雲南市で始まったこの取り組みを更別村で実践しているのは、23歳の猪村真由さんです。大学を休学し、自身もコミュニティナースとして活動しています。主に見守りが必要な人をケアする保健師や民生委員とは異なり、コミュニティナースの特徴は住民が元気なうちから積極的に関わることです。一緒に集会に参加したり畑仕事をしたりして信頼関係を築きながら、地域住民のみなさんとともに、日々の生きがいや喜びづくりを行うことで、病気の早期発見や健康維持につながることが期待されています。

 

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「医療に関心をもつようになったのは、小学生のときに友人を小児がんで亡くしたことがきっかけです。患者さんがもっている力を最大限に引き出したり、願っていることを一緒に叶えたりするお手伝いができたら……と看護師を志し、看護医療学部に進学しました。1人1人のワクワクが生きるエネルギーになる世界をつくりたい、という思いで活動しています。

 

大学で病院のボランティアを経験してみて気付いたのは、その人の生きる原動力や願いというのは、病院で接する中ではなかなか見えてこないということです。それぞれの生きるエネルギーの源泉をたどるには、暮らしの延長で関わりをもつことが必要不可欠だと感じました」

 

そんな猪村さんの思いにぴったりはまったのが、コミュニティナースの活動でした。2022年4月にCommunity Nurse Company株式会社(以下CNC)の社員となり、研修期間を経て2人の同僚と共に2022年5月に更別村に赴任。村のアパートに住み込み、来年3月まで現地で活動に取り組む予定です。

 

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更別村では、官民一体となって「更別村SUPER VILLAGE構想(デジタル田園都市国家構想)」が推進されており、CNCはその事業パートナーでもあります。コミュニティナースは、暮らしを支える様々なサービスを月額定額で一括提供する「更別型ベーシック・インフラサービス」の根幹にある事業として位置付けられています。

 

「コミュニティナースは、心地よいつき合いの中から予防医療を実践できる取り組みです。更別村では、ご自宅に伺って、その方がこれまでの人生で大事にしてきたこと等を聞き取りさせてもらうこともあります。『100歳になってもワクワク働けてしまう奇跡の農村』を目指して活動していきたいです」

 

コミュニティナースについてもっと詳しく知りたい方は、CNCの公式サイトをご覧ください。

流通業務のDX化でものづくりを支援 ! 1つでも多くの商流につなげたい

 

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岩本拓真(いわもと・たくま)さん/株式会社for Crafts 代表取締役

1999年2月生まれ。関西学院大学商学部マーケティング専攻卒業。在学中より農業研修、青果卸、食品商社にて国内ブランドの海外展開支援に関わる。ものづくりをする人を支援したいという想いから、大学卒業後に株式会社for Craftsを創業。英米パラグアイに農業留学経験あり。

 

「クラフトマンシップで持続可能な産業をつくる」をビジョンに掲げる「株式会社for Crafts」の代表取締役を務めるのは、岩本拓真さんです。for Craftsでは、流通業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しています。岩本さんは大学在学中から農業の生産や流通の現場に数多く関わってきました。そんな中で見えてきたのが、いいものを作る生産者が必ずしも評価されているわけではないという現状でした。

 

「生産者が思いを込めて作っているものがなかなか出回らないという状況に疑問を感じました。なんとか生産者に適切な価値を還元できないかという思いで関わるようになったのが、商社での食品の輸出支援です。ですが、いくつかの案件に携わる中で、僕個人が優秀な商社マンになったとしても、そのインパクトは局所的なものでしかないのではと感じるようになりました。

 

より大きなインパクトを出すためには、商流をつくる側を支援した方が効果的なのではないかと思い開発しているのが、商品情報管理ソフト『quote』です」

 

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quoteは商品情報をまとめて管理し、規模の大きい企業間取引を効率的に行えるようサポートするサービスです。国内取引だけでなく、海外への輸出にも対応しています。商品情報を登録するだけで、カタログや、食品規格書(スペックシート)等、商談に必要な様々な書類を簡単に出力できます。さらに、入力した情報を販売店舗等の取引先と共有できるほか、ゆくゆくはECとの機能連携を考えています。

 

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「quoteは特に地域商社に活用してもらいたいという思いで開発しました。流通側のバックオフィス業務を改善することで、結果として、今まで出回っていなかった地域の特産物にスポットライトを当てられるようになればと思っています。

 

長野のりんご、エチオピアのコーヒー等、今は産地としてよく知られている地域も、最初は地道に販売先を開拓していくところからはじまったはずです。quoteを通じて、ものづくりをする人が持続的に経済活動を営んでいける世界を実現し、日本だけでなく世界中の産地で文化や雇用をつくっていきたいと考えています。ひとつでも多くの取引をメーカー・生産者の方につなげていきたいです」

 

サービスについて詳しく知りたい方は、こちらのサイトをご覧ください。

 

***

 

今回のピッチは、次世代を担う若手起業家をローカルベンチャー協議会全体で応援していこうと設けられました。ピッチ登壇者の多くは協議会事務局のエティックが運営するローカルベンチャーラボのプログラムOBOGでもあります。彼らの事業が加速することで、ローカルへと向かう人やお金の流れも、より大きなものとなりそうです。

 

ローカルベンチャー協議会では、引き続き地方で挑戦する若手起業家を後押しするプログラムを実施していきますので、ご注目ください!

 

ピッチの様子は動画でもご覧いただけます。

 

参考

▷ローカルリーダーズミーティング2022開催概要

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000139.000012113.html

▷ローカルベンチャー協議会

https://initiative.localventures.jp/

▷ローカルベンチャーラボ

https://localventures.jp/localventurelab

 

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>> ローカルリーダーズミーティング2022レポート

この記事を書いたユーザー
茨木いずみ

茨木いずみ

宮崎県高千穂町出身。中高は熊本市内。一橋大学社会学部卒。在学中にパリ政治学院へ交換留学(1年間)。卒業後は株式会社ベネッセコーポレーションに入社し、DM営業に従事。 その後岩手県釜石市で復興支援員(釜援隊)として、まちづくり会社の設立や、組織マネジメント、高校生とのラジオ番組づくり、馬文化再生プロジェクト等に携わる(2013年~2015年)。2015年3月にNPO法人グローカルアカデミーを設立。事務局長を務める。2021年3月、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。

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