日本でミュージカルといえば、「劇団四季」「宝塚」等の有名な劇団がありますが、音楽とダンスを交えた全身全霊での演劇を通じて、心揺さぶられる非日常体験を味わったことがある人も多いのではないでしょうか。
多額の初期投資が必要になるミュージカル公演のビジネスモデルを改善し、もっとミュージカルを身近に感じてもらうためのDX化に挑戦されている水島由季菜さんにお話を伺いました。
この記事は、現在エントリー受付中の東京都主催・400字からエントリーできるブラッシュアップ型ビジネスプランコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY(以下、TSG)」出身の起業家を紹介するWEBサイト「TSG STORIES」からの転載です。エティックは、TOKYO STARTUP GATEWAYの運営事務局をしています。
水島 由季菜(みずしま・ゆきな)さん
株式会社Protopia 代表取締役/TOKYO STARTUP GATEWAY2020ファイナリスト
日本のミュージカル市場に関する記事やミュージカル役者を対象にした自主アンケート調査結果を発表し話題を呼ぶ。関わるすべての人がハッピーでいられるミュージカルの健全なビジネスモデルを模索する中でTSG2020に参加し、ミュージカルの新しいビジネスアイデアでファイナリストに選ばれる。プロデューサー兼脚本家としてオリジナルミュージカルの制作と興行をしている。
ミュージカルをみんなのものに
ー自己紹介をお願いします。
株式会社Protopia(プロトピア) 代表取締役の水島由季菜です。2011年宝塚雪組公演の「ロミオとジュリエット」を鑑賞したのがきっかけでミュージカルに魅了され、今に至ります。
その後、日本のミュージカル市場に関する記事やミュージカル役者を対象にした自主アンケート調査結果を発表したところ、多くの反響をいただきました。そして、関わるすべての人がハッピーでいられるミュージカルの健全なビジネスモデルを模索する中でTSG2020に出会いました。現在はプロデューサー兼脚本家としてオリジナルミュージカル制作に邁進しています。
ー事業について教えてください。
「ミュージカルをみんなのものに」をビジョンに掲げ、これまで一部の人しか興せなかったミュージカルを解放し、誰もが自由に創ったり演じたり発信できる世界を目指しています。
そのひとつの形態として、現在は短編映像ミュージカル作品の制作を手掛けています。
ミュージカルを実際に公演するためには多額の初期費用が必要です。しかし、それを毎回調達できて公演を実施できたとしても、小劇場で公演する私たちの利益率はとても低いのが現状です。
そこで、ミュージカルのデジタルトランスフォーメーションをテーマに、業務をデジタル化して人件費を削ったり、デジタルコンテンツの販売に力を入れて利益率の向上をはかっています。
ー実際にビジネスアイデアを形にするときに、最初に誰に伝えましたか?
一緒にオリジナルミュージカルをつくる作曲家でもある夫に伝えました。
ー何がきっかけで、自分の心に火が付きましたか?
私がTSGに応募した年はコロナ禍がはじまった年でもありました。舞台業界は大打撃を受けており、誰もが何かをしなければならないと考えた時だと思います。
TSGの選考途中でアイデアがより具体的になっていく時、考えをSNSで発信し多くの人が賛同してくれた時、実際に公演を打った時にはじめてわかった新しい課題にぶち当たった時、それぞれ自分の心に火がつきました。
―自分自身にスイッチを入れるためにどのようなことをしていますか?
他人と比べずに、私は私だと自分に言い聞かせて、今自分ができることを着実に進める努力をしています。
コンテスト中の仲間との出会い
ーTSGに参加したきっかけを教えてください。
「いつか起業できたらいいな」と考えていたときにたまたまTSGの存在を知りました。たった400字でエントリーできると知り、本当に軽い気持ちで参加を決めました。
ーTSGに参加されて、どのような出会いがありましたか?
これまで自分が構築してきた環境の中では決して出会うことがないだろうたくさんの先輩方に出会いました。皆さん真剣に私のビジネスアイデアに向き合ってくださり、ただのアイデアだった構想が、短期間の間で飛躍的に具体化しました。
またコンテスト中に出会った起業同期と協力して新たなミュージカルクリエイターを創出するためのプロジェクト「Protopia Creators Colloboration」を実施しました。
ー水島さんにとって、TSGにはどんな価値がありましたか?起こった変化や気づきなどがあれば教えてください。
参加していたわずか数ヶ月の間で「自分が何をやりたいのか」「なぜやるのか」「何のためにやるのか」という基本的な部分を何度も文字に書き起こし、メンターと壁打ちができたことで、土台がガッチリと固まった気がします。この期間を経たおかげで、信念がぶれることがなく今は「事業を具体的にどう進めるか」に専念できています。
ー記憶に残っている参加中のエピソードはありますか?
TSGの1st Stageのプログラムで、起業の動機となる自分の原体験を探すワークショップがありました。
そこで「これまでの人生を振り返ってあなたにとっての『最高の瞬間』を映画のシーンのようにありありとストーリーでお話いただけますか?」という問いがあり、『最高の瞬間』を詳細に思い浮かべるうちに涙が溢れてくるという貴重な体験をしました。このワークショップのおかげで、私は自分の起業の原点を明らかにすることができました。
日本産のミュージカルを世界に届ける
ー今後、実現したい世界やビジョンについて教えてください。
まだまだ課題の多い業界です。まずは、関わる人がみんなハッピーでいられるミュージカルの健全なビジネスモデルを実現する「ステークホルダーを繋ぎ、たがいの権利をシェアして、雇われないで公演を成立させる、ミュージカルオンラインプラットフォーム」の構築を目指します。その上で日本産のミュージカルを世界に発信することで、人々の未来を変えるようなエンターテイメント体験を提供したいと考えています。
ーこれから起業を考えている方や、エントリーを検討している方に向けてメッセージをお願いします!
何かしらの「迷い」がある人にこそエントリーをしてもらえたらと思います。参加することで、晴れる迷いは多いと思います。TSGは選考に進めば進むほど成長できる、まさに起業版のライザップです。短期間で成果を出したい人には特にお勧めなビジネスコンテストです。
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