「地域で働きたい・暮らしたい」みなさんも一度は考えた事があるのではないでしょうか。しかし、実際に“やる”人はそう多くありません。
今回実際に地域へ飛び込んだ人の一人、三重県尾鷲市九鬼町 地域おこし協力隊* の豊田宙也さんに「どうして地域へ向かったのか」そしていま「どんなことを考えているのか」をお聞きしました。
* 地域おこし協力隊: 人口が減少している地方において、地域への移住を望んでいる若者などを積極的に招き、彼らのニーズに応えながら地域の力を強めていくことを目的とした取り組み
豊田宙也さん(2014年9月より三重県尾鷲市地域おこし協力隊として活動中)
― まず、宙也さんが働く九鬼町と仕事内容について教えて下さい
九鬼町は、かつては良港として栄え、多い時には人口も3000人ほどいる地域だったんです。その頃には、飲食店や銭湯などの商店はもちろん、映画館、ビリヤード場などなど様々な娯楽施設もたくさんあったそうです。
しかし、産業構造の変化に伴い人口減少が進み、現在では500人まで減ってしました。その影響もあって、商店は軒並み店じまい。そして、町から飲食店が一軒もなくなってしました。そんな町に地域おこし協力隊として入り、もう一度閉店してしまった飲食店を復活させ、「食を通したつながりをつくる」というのが僕の仕事です。 ― なぜ九鬼町を選んだんですか?
この仕事は「自分のやりたい事」と「働きたい場所」が重なっていたんです。
僕は、九鬼町に来る前は東京の大学院で哲学を学んでいました。その頃、長野県の松本市で空き店舗をリノベーションして町の人が集い語り合う場をつくっている人たちに出会って、その活動についていろいろと話しているうちに、自分でも地域のための場づくりをしたいと思うようになっていました。
それと、もう一つは三重県で働きたいと思っていたんです。 もともと父親が三重県亀山市の出身で、今もお爺さんが亀山市に住んでいるんです。お爺さんのことも気になるし、いつかは三重県で働きたいと思っていました。 それで、この仕事を見つけて応募しようかなと思っていました。
そして、この求人の担当の伊東さんが東京に来る機会があるということで話を聞きに行ったんです。その時は、少ししか時間がなかったんですけど、とにかく尾鷲はおもしろいぞと熱く語ってくれたんです。そこで尾鷲の空気を感じる事ができて、応募を決めました。 ― 実際に来てみて町の雰囲気や地域の人はどうですか?
第一印象はあんまり「田舎」といった感じがしなかったですね。サバサバしていると言うか、あまり干渉しない感じでしたね。その辺はむしろ、東京と変わらないぞと思ったんです。そのことは、東京から来た人も同じようなことを言っていましたね。
でも、だんだんと距離が近くなってくると食べ物とかよくくれるようになってきました。その辺はやっぱり良い意味で田舎だなと思いました。後、九鬼の人は“いらち“(せっかち)多いですね。好き嫌いや、やるやらないがはっきりしています。 ― いまどんな仕事をしているんですか?
今は、復活させる喫茶店の仕組みづくりを考えています。地域おこし協力隊の間は家賃も光熱費も無料なんです。この期間をうまく使って終了後も継続して出来る仕組みを考えたいなと思っていて。それを地元チームの20人と一緒に考えています。 ― 始めたばかりで20人も協力者がいるなんてすごいですね。その人達と一緒にやるきっかけは何だったんですか?
来てから最初一ヶ月くらい様子見でおとなしくしていたんです。そしたら、九鬼の人のいらちの部分が出てきて。(笑)2ヶ月目くらいにお前は何がしたいんだと言われたんです。
そこで、自分のプランを発表したら、一緒にやりたいと言ってくれる人がだんだん集まってきて。それから、その人達と一緒に試しに、クリスマス会や忘年会などのイベントやるようになって徐々にメンバーが増えてきたんです。 ― 最後に今後の目標を教えて下さい
町民はもちろん、町外の人や釣り人などいろんな人が集う場をつくりたいですね。それに向けてまずは、今集まってくれるチームの皆さんと一緒に町民向けの飲食店を週3日から始めたいです。 その後は、郵便局や診療所、ダイビングスクールなど外から来る人も多いので町外の人にも来てもらえるようにしたいですね。それと、以前この場所で働いて人もいるので、その人も巻き込んでいきたいです。
僕は、料理もできないし、飲食店の経営の知識もないんです。だから、出来る人をつないで場をつくって、そして僕自身も繋ぐ人になっていきたいです。
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