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受け身はもったいない!移住&起業が成功するために不可欠な"ある発想"とは?【Eターン@厚真 中編】

2016.08.09 1,058view 

2009年に総務省によって地域おこし協力隊が制度化され、移住が推進され始めてから約7年。多くの成功事例が生まれる一方で、「移住したが、何をしていいのかわからない」「思っていた生活と違った」など、ミスマッチが起こっていることも指摘されています。いったい、地域おこし協力隊をはじめとした移住を成功させる要因は何なのでしょうか。

【Eターン@厚真 前編】」では、近年多くの移住者を集めている北海道厚真町の移住支援が、“移住者目線”に立っていることを紹介しました。今回は移住者の立場から、どのように地域と関わっていけば良いのかを、実際に厚真町に移住し養鶏業で起業した小林廉さんの事例から考えていきます。

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※「Eターン@厚真 前編」「中編」も合わせてご覧ください。

●「求む、自分の幸せの開拓者」。起業家とともに悩み、ともに幸せになる覚悟をもつ町役場が北海道にあった【Eターン@厚真 前編】

●移住の事例から学ぶ!移住成功に不可欠な“ある存在”とは?【Eターン@厚真 後編】

 山奥にある養鶏農家

厚真町の中心部から車を走らせること15分。林に分け入った道路は砂利道に変わり、携帯電話の電波も届かなくなった山奥に、小林農園はあります。奥さん、そして3匹の犬たちとともに、自然豊かなこの土地で養鶏農家を営んでいるのが、小林廉さん。札幌出身のEターン(起業型移住)者です。

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養鶏というと、狭いケージに鶏たちがところ狭しと入れられた様子を思い浮かべるかもしれません。しかし、小林さんが取り組んでいるのは、鶏を地面で放し飼いする「平飼い自然養鶏」という方法です。

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「『鳥=卵を産むマシーン』と考えたら、狭いケージにたくさんの鶏を閉じ込めて、できるだけ多くの卵を産ませる方法になる。でも、僕は卵の質にこだわりたいんです。質にこだわると、効率は悪いけれど、放し飼いという方法になります。」

「いい鶏を育てることが、いい卵を育てることになる」。そんな思いのもと、平飼いで、さらに自家製の配合飼料により育てられた鶏たちが生む卵は好評を呼んでいます。当初は周辺地域への宅配を行っていましたが、昨年の1月からはオンラインショップを通じて全国発送も開始しました。

「仕事=生活」の生き方に憧れ、厚真町へ

厚真町に移住する以前、小林さんは札幌市内で飲食店の経営をしたのち、アジア諸国をめぐる旅を始めました。

「タイ、ラオス、カンボジア、ベトナム、インド、ネパール……いろいろな国を断続的に、トータルで半年くらい旅したんです。例えば、タイのチェンマイで仲良くなった現地の男の子に、彼の家がある村に連れていってもらって、4,5日くらい滞在したり。『ウルルン滞在記』みたいな旅でしたね(笑)。」

アジア各国の農村をめぐる旅を通じて、小林さんのなかである価値観が芽生えたそうです。

「旅で気づいたのは、アジアの農村では『仕事=生活』といった様子で、仕事と生活の境界があまりないこと。旅を経て、『自分も起業して、仕事と生活の区別がないような暮らしを実現したい』と考えるようになりました。」

仕事と生活の区別がない暮らしを実現したいと考えた小林さんは、帰国後、「平飼い自然養鶏」と出会います。

自然のなかで鶏を育てるその仕事に、自らが望む暮らしへの可能性を感じた小林さんは、江別市や札幌市の平飼い養鶏農家で2年ほど勤務。その後、自身の農園を開園するため様々な町村をめぐるなかで、厚真町の地域おこし協力隊の募集を見つけます。

「厚真町の環境は、平飼い自然養鶏をするのに適していると思いましたし、収入を得ながら起業準備ができる地域おこし協力隊の制度は、起業を目指す自分にとってありがたいものでした。」

関係作りのために役立った“役場のお墨付き”

移住してから小林さんが移住者に意識していたのが、地域住民との関係性作り。例えば土地を借りたり、事業のための道具が足りないといった時に、地域の住民との関係性があると、手を差し伸べてくれることがあるそう。

移住者にとって、住民との関係性作りは非常に重要です。しかし移住者からしてみれば、地域で誰と関係を築けばいいのか、どこに行けばその人がいるのかと、といったことはなかなかわかりません。

そこで小林さんは、移住支援を担当する役場の職員の方に、地域で事業をする上で関係がありそうな人物とつないでもらうことをしていました。

「役場の方に、関係者と繋いでもらうのはとても大事です。ヨソ者が何か新しいことをしたり、いきなりコミュニケーションを取りに行くと、時には地元の方から警戒されてしまうこともあると思います。その点、役場の人からの紹介があれば、相手も安心しやすいはずです。

地域おこし協力隊はある意味、役場の“お墨付き”を得てやっているのですから、もし制度を使って地域に移住するのであれば、そのお墨付きは活用したほうがいい。移住者自身が制度を“利用する”っていうことを意識することは、とても大切ですよ。」

移住者に必要な、地域を“利用する”という発想

移住を個人のキャリアに意味のあるものにするためには、小林さんのように、“地域を利用する”という考え方が重要です。

移住が失敗する大きな要因の一つが、移住者が受け身になってしまうこと。「地域に入れば、機会を与えてもらえるだろう」「地域の活性化の“協力”をしたい」といった、地域を「主」、自らを「従」に置く発想を移住者が持っていた場合、地域との間にミスマッチが起こりがちになります。地域側も、移住者のニーズを全て汲み取ってケアできるわけではないためです。

受け身になるのではなく、自らのキャリアにとってどのようなことが必要なのかを考え、地域にある制度やネットワークを上手に利用していく。そうすることが、地域で自らが望むキャリアを実現することの近道になります。

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【Eターン@厚真 前編】」でお伝えしたように、厚真町は移住者目線に立ったEターン支援を行っています。言い換えれば厚真町は、「移住者のキャリアのために、地域を利用してもらう」ことが、結果的に地域のためにもなると理解し、移住支援を実践している地域。(もちろん、自治体の集まりに参加するなど、基本的な地域の約束事は守るのは前提となりますが)。

Eターンを成功させるためには、そうした地域を見極めることも、非常に重要なポイントといえるでしょう。

お知らせ

北海道厚真町ローカルベンチャースクールについて 2016年、北海道厚真町はローカルベンチャースクールを開校します。東京での事業計画講習会も予定されているので興味を持った方はぜひ、ご参加ください。ご応募、詳細は以下から。

この記事を書いたユーザー

山中 康司

山中 康司

働きかた編集者。IT系ベンチャー企業にてオウンドメディアの編集者を経験したのち、現在はNPO法人ETIC.ローカルイノベーション事業部にて、「地方での働き方」に関するプロモーション業務等を担当。立教大学卒、東京大学大学院情報学環学際情報学府修士課程修了。

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