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はじめての寄付控除入門〜NPOへ寄付したら、税金が安くなる?

2016.12.26 506view 

12月は寄付月間。

今回は、寄付をする人を取り巻く制度・状況に迫ります。

まずは、第一回、個人で寄付したときにどうなるか、はじめて寄付して寄付控除を利用する人向けに、事例を基に書いていきたいと思います。

1

寄付控除って何?

寄付控除(寄付金控除)は、寄付した人の税金(所得税と住民税)を安くします、という制度です。 もう少し具体的にいうと、認定NPOや、国、自治体、社会福祉法人や学校法人、公益法人等、特定の公益目的の団体・活動に寄付した人に、 所得税では、

(年間の寄付金額-2,000円)× 40% *1

住民税では、

自治体により最大10% *2

の負担が軽減されるものです。

例えば、年収500万円の場合、1万円寄付すると、所得税から4200円、住民税から最大800円が減税されます。給与所得者の場合、減税を考慮せず、すでに所得税や住民税が支払われているので、 必要な手続きをすると、4200円が還付され(所得税)、最大800円が翌年の住民税から減額される形になります。

*1:こちらは、「税額控除」という計算方式です。 別途「所得控除」という計算方式を選択することもできます。 高額所得者の場合、寄付額によっては所得控除の方がお得になる場合があります。 少し計算の仕方が複雑になりますので、ご関心の方はリンク先の解説事例をご覧ください。

(2)寄付金控除のしくみとルール ~こんな人ならこれだけお得 / 認定とろう!NET

*2:自分の場合はどうなるか気になるところですが、知るためには、都道府県、市区町村が条例で定めているかどうかそれぞれ確認する必要があります。最大で10%で、国税と別の手続きは要らないのでとりあえず無視して、あったらラッキー、という風に捉えてもよいかもしれません。ご関心ある方は、2011年11月時点の状況は、 各自治体の寄付金に関する税制(「3号条例」)指定状況一欄 / 認定とろう!NETで確認できますし、 「個人住民税 寄附金税制 ●●●(お住まいの自治体名)」で検索すると、大体ヒットします。

寄付控除を受けるためには?~領収書保管と、確定申告

認定NPO等の公益法人に寄付したとき、この寄付控除を受けるためには、以下2つが必要になります。

①領収書(寄附金受領証明書、受領書)の入手 (寄付したとき)

②確定申告 (2月中旬から3月中旬)

概要を把握したところで、具体的なケースでみていきましょう(ケースは、実例を基にしたフィクションです)。

2016年12月時点の情報を基にしています。

対象になる寄付って?

都内在住のイブ美さん(30代、会社員)の場合で考えてみましょう。

12月、大掃除もひと段落して、メールチェックをしていたイブ美さん。イブ美さんが関心のある活動をしている認定NPO団体からメルマガを受け取って、”寄附控除”というものがあることを知りました。

「ふむふむ、寄附の証明書があって、確定申告をすれば税金が最大半分もどってくるのか。 うーん、ちょっと手続き面倒臭そうだけど…どうなんだろう。」

イブ美さんは、まず、自分が寄付したものを思い出してみました。

a 毎月1000円をクレカでその認定NPOに…確か今年の4月からずっと

b 年会費を出身大学の基金に4000円

c 熊本地震のときに5000円をFBで見た団体に

d 熊本地震関係で、おつりの700円ちょっとをコンビニの募金箱に

e 出身自治体のKifu市にふるさと納税3000円

うーん、全部「寄付」だけど…。 1

このうち、寄付控除の対象となるのはどれでしょう。

  金額(年) 寄付先の団体 対象
a 8000円 (1000円×8か月分) 認定NPO
b 4000円 国立大学法人
c 5000円 不明(多分、任意団体。かNPO法人、一般社団法人の可能性も) ×
d 700円ちょっと 日本赤十字社※募金箱 ×
e 3000円 T市

cの場合は、寄付先が、寄付控除の制度の対象ではない*3ため、 dの場合は、募金箱は寄付受領証明書が発行されないため、対象になりません。

*3: その団体への寄附が控除の対象となる場合は、「寄付控除の対象になります」とHP等に書いていることが多いです。団体のウェブサイトにアクセスして確認するか、あるいは直接団体に問合せてみると分かるでしょう。対象となる法人類型について知りたい方はリンクをご覧ください。

事前準備、どうすればいいの?

イブ美さんは、寄付の証明書(寄附金受領証明書)を探します。

「えーっと、団体のときは確か寄附控除に必要な領収書を発行するにチェックしてから寄付したような…あ!メールに領収書が添付されてる。 なになに、『本領収書は寄付金控除の証明書になります。』って書いてある。 PDFだけど大丈夫かな、これ印刷すればいいのかな。 大学のやつとT市のふるさと納税は確か封筒が来てたな、 あそこの棚にしまっておいたような…。 ふるさと納税のはあった(ほっ)。 あ、やってしまった。 大掃除で、大学から来た封筒はシュレッダーにかけて捨てちゃったんだった…。」

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  寄附 寄附金受領証明書?
a 認定NPOaに8000円 「本領収書は寄付金控除証明書になります。」と書いてありました。
b 国立大学法人bに5000円 郵送で感謝状・活動報告書と共に「寄附金受領証明書」の原本(立派な厚紙)が届いていたはずですが、誤って捨ててしまいました。(→問合せ後、再発行しました)
e T市に3000円 郵送で領収書や返礼品の案内と共に「寄附金受領証明書」の原本が届いています。

イブ美さんは、b大学の基金のウェブを検索して、再発行できるか調べてみました。

でもよくわからなかったので、問合せ先にメールをし、依頼することにしました。1か月かかりますということでしたが、自宅に郵送して送ってくれるということでした。

「よかった。でもちょっと面倒だな… 2月に間に合うから、不幸中の幸いだけどギリギリだったら無理だったし。 今度から、ちゃんと取っておくようにしよう。」

*ちなみに、ふるさと納税のみの場合、確定申告ではなく別の書類の郵送手続きをすることになります。詳しくは「ワンストップ特例制度」で検索してください。

いざ、確定申告。

さて、領収書も届いた1月末。イブ美さんは、満を持して、確定申告にチャレンジしてみることにしました。

必要なものは、源泉徴収票寄付受領証明書マイナンバー。方法は3つあることが分かりました。

①e-Taxを利用する。(自力で作成して作成してネットで送る)

②確定申告書を自力で作成して郵送する。

③最寄りの税務署にいって相談しながら作成する。

①、②→確定申告書等作成コーナー(e-taxもここ) 

③→最寄りの税務署に行く。休日なら日曜開庁を利用する 

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「どれがいいかな…。 ①e-Tax。 確か友だちのドラ雄さんがe-Taxやってみた!ってFBに投稿してたけど… 領収書添付が省略できるっていうのがいいよね。

でもICカードリーダーを買ってこないといけないのかぁ…。 マイナンバーカードもまだとってなかったな…。間に合うかな。。 何となく設定とか苦手だし、ちょっと今回はパス。

②郵送かなぁ。 えっと、「源泉徴収票」を準備して。会社の経理担当の人から手渡されておいておいたはず…。あった! 寄附金受領証明書は、まとめておいた。これで準備完了! ええと…どうするんだっけ。解説を見てみよう。

動画解説:寄付金控除のときの確定申告の手続きの仕方(国税庁動画チャンネル)(3:00以降)

なるほど。なんとなく記入はできたけど… でも結局、領収書がPDFでいいのかとか、住民税の方はどうやって手続きしたらいいか、 よくわからないし、二度手間になるといやだなー。 あと、せっかくだから医療費控除とかも申請してみようかな。これもよくわからないなぁ。 税務署に電話してみようかな…あ、平日のみか。とりあえず保存して、印刷しておこう。

③税務署の日曜開庁 日曜も、朝から空いてるのね。そんなに遠くないし、行って相談しながらやろう。」

翌週、イブ美さんは、源泉徴収票、領収書(寄付控除証明)、マイナンバー通知カードと印刷した申請書と振込先口座が分かる銀行のカードとシャチハタの印鑑(と、医療費関係の領収書)を持って、近くの税務署に行ってみました。

確定申告相談コーナーと案内があり、見ると結構な人が並んでいました。30分くらい待った後、係員の人に相談できました。 印刷した申請書を基に相談したところ、

イブ美さん:「領収書、PDF印刷したものでも大丈夫ですか」

係員:「う~ん、ものによるので…見せてください。はい、これなら大丈夫ですよ。」

イブ美さん:「住民税は別に手続きがいるんですか。あと、間違ってないでしょうか。」

係員:「住民税は別のフロアに相談所があるので聞いてください。あ、これは一か所このように修正してください。」

イブ美さんは印鑑で訂正して、書き直した申請書にのりをはって提出し、確定申告相談コーナーを後にしました(医療費控除は、説明を聞いたところ、大した額ではなかったので手間の方が大きいと思い諦めました)。

別のフロアで、住民税について確かめたところ、結局別の手続きは必要ないとわかりました。

「ふぅ~やっと終わった。」

4

そして2か月後…通帳に無事、振り込まれていました。

「手数料引いて、数千円程度か。手間を考えると正直微妙だな~。まぁでも、領収書を無くさずに、次回は郵送しちゃえばあり…かなぁ。」

(FIN)

※なお、この事例はフィクションであり、一般的制度についてご説明したものです。 個別具体的な相談は、最寄りの税理士さん等にご相談ください。

寄付控除制度

イブ美さんのケース、いかがでしたか? 正直面倒だなと思われた方も、いや、自分ならもっとササっとできそう、やってみようという方もいらっしゃるかもしれません。

その年に転職した人、兼業・副業をして2か所以上から給与をもらっている人、個人事業主等の方は、いずれにせよ確定申告をする必要がありますので、そのついでにぜひ、寄付控除も忘れず申請を検討ください。

いわゆるサラリーマンでも、働き方の多様化の流れの中、

①会社に自分の所得管理を依存せず、客観的に理解するきっかけになる、

②転職、兼業、副業、独立するときの備えになる

という意味では、寄付をきっかけに、確定申告の経験を持つことは、ひとつのメリットといえるかもしれません。

日本の寄付の現状についてはいろいろな見方がありますが、一般的な個人の寄付の還付率という点では、日本は世界でも有数の寄付税制制度を持つ国です。

日本と同じ税額控除方式で66%が還ってくるフランスだと、対象となる寄付金額の上限が総所得の20%に対し日本は、総所得の40%まで対象となります。

他の国(米、英、オランダ等)は所得控除という方式のみのところが多く、これは、高額所得者が一定額以上を寄付する場合以外には、あまり実感できません。 (http://www.tax.metro.tokyo.jp/report/tzc20_4/05.pdf P20 2007年時点。)

日本も昭和42年以降30年来ずっと所得控除方式のみ*だったところ、平成23年度の税制改正で、大幅な制度変更が成され総所得の40%の寄付の、最大半額が戻ってくる、今の形になりました。(NPO の寄附税制の拡充について NDL加 藤 慶 一 )

このせっかくの「寄付控除」制度、個人が、寄附という社会に対するアクションを起こすとき、ついでに活用することを、ぜひご検討頂ければ幸いです。

さて、次回は、法人編。 経営者や企業担当者の方向けに企業向けの寄付制度がどうなっているか、諸外国の制度も含め、追っていきたいと思います。

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その他参考:国税庁タックスアンサー No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除) 

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この記事を書いたユーザー

佃 真衣

佃 真衣

ETIC.事務局/1988年生まれ、高知県高知市出身。東京大学文科三類入学、工学部卒。文部科学省で4年間、科学技術イノベーション政策、震災緊急対応、初等中等教育政策に携わる。教育関係のNPO勤務後、15年1月ETIC.参画(法務兼寄付兼色々担当)。好きなものは、ゆずポン酢と活字と散歩。

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