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#スタートアップ

「スタートアップに無駄なこと、大切なこと」社会起業家5名による、創業期についての本音トークより(1)

2014.05.28 1,300view 

2014年5月21日、渋谷ヒカリエ8Fにてアントレプレナークロストークライブvol9が開催されました(イベントの詳細はこちら)。今回は<社会起業塾イニシアティブ特別企画>と題し、当プログラムのOBOGである5名の社会起業家の皆さんをゲストに、「スタートアップに無駄なこと、そして大切なこと」について、語っていただきました。

それぞれが顔見知りであり、和やかな雰囲気で始まったなか、起業当初を振り返って飛び出した本音とは…?その内容を今回はダイジェスト版でお届けいたします。? IMG_5479 (2)

■ゲスト 岩切 準 氏 / NPO法人夢職人 代表理事 熊 仁美 氏 / NPO法人ADDS 共同代表 宮治 勇輔 氏 / NPO法人農家のこせがれネットワーク 代表理事 株式会社みやじ豚 代表取締役社長 山本 繁 氏 / NPO法人NEWVERY 理事長

■ファシリテーター 岩田 拓真 氏 / 株式会社a.school(エイスクール)CEO(校長)及び NPO法人Motivation Maker

事業計画は立てた?経営の勉強は? 起業で「大切なこと」「無駄だった」こと

岩田:今回のテーマは「社会起業家のスタートアップに無駄なこと、そして大切なこと」ですが、みなさん、起業した前と後でどう変わりましたか?

宮治:僕はゼロからの起業ではないんです。実家で親父が養豚業を営んでいたベースがあって、大学卒業後、普通に就職したのですが、「日本の農業を変革したい」と思って、会社を辞めて家業を継いだんです。

起業というと、分厚い事業計画を書いて銀行を回ってお金を集めて…みたいなイメージがあるかもしれないけれど、僕の場合、最初はバーベキューイベントをすることがビジネスプランのすべて(笑)。バーベキューで一人3000円で売上が月12万円あれば食べていける…というところから始めました。実際やってみたらバーベキューだけで年500万?600万円の売上になっているのですが、それも含めて、やってみないとわからないことが結構あるというのが実感ですね。

岩切:僕は起業する気は全くありませんでした。でも、たまたま困っている当事者と出会う縁があり、「何とかしないといけない」と思い、そのうち事業の継続性や運営の仕組みを考えていくようになったんですね。経営などの知識は後から必要に応じてその都度勉強しました。

「◎◎を勉強したら起業します」みたいに言いながら、何年も過ぎている人がよくいますが、そういう人はこの先もきっとやらないだろうなと思います。ここにいる起業家も、当事者を背負って、どうにかしなければと切迫感をもってやっていく中で、やむにやまれず起業しちゃった人が多い気がします。

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「もっと早く起業しておけばよかった」―― 起業に必要な勇気とタイミング

山本:起業してみて思ったのは、「もっと早く起業しておけばよかった」ということです。大学を卒業して最初4年間はボランティア団体をつくって無報酬で活動していて、事業体を立ち上げたのは5年目からです。自分の時間を全部自分のために使えるのは35歳くらいまでなので、それまでにどれだけ頑張っておけるかを考えると、もっと早く始めればよかったな、と。

今は結婚して子どもがいるから仕事の量をセーブしているけれど、起業してから結婚するまでは月400時間働くのが当たり前と思ってやっていました。そういうふうに集中して仕事することで身につくものもあるし、事業にスピードも出る。

あと、起業前は、世の中にはものすごく優秀な人がたくさんいて、自分なんかができるのかなと思っていました。確かにそういう人も一握りいますが、「それほどでもない」というのが今の私の実感です。ですので、起業家はすごい人たちばかりで自分には無理だとか、いろいろ勉強してからでないとできないなどと、考える必要はないと思います。

熊:私も、起業家のみなさんはすごい人たちだと思っていて、でも自分は凡人なので(笑)、博士号を取ってからとか、インターンを経験してからでなければできないと思っていました。でも、社会起業塾で背中を押され、思い切って起業して今は本当によかったと思っています。

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プレイヤーとして現場を知り、 プロデューサーとして仕組みを広げる

岩切:起業というと、全部のことを自分でしなければと思っている人が多い気がします。でも、僕が山本さんをすごいなと思うのは、“借り物競争”がめちゃくちゃ上手いんですよ。例えば、山本さんは当事者である中退者のことは大変よく知っているんですね。でも、ほかの必要なものは全部アウトソーシングしたり借りたりしてきている。協力したいという人たちを巻き込むのがとても上手くて、どんどん仲間が増えているイメージがあります。

山本:僕の仕事は今、営業、採用、会議、この3つだけです。

岩切:山本さんも宮治さんも、プレーヤーではなく、プロデューサーに上手くなっていますよね。でも僕の業界みたいに、子どもが好きで事業を始めた人は、子どもと触れ合いたいからつい現場に出ちゃうんですね。そうするとプレーヤー止まりになって仕組みが広がらない

僕も最初はボランティアさんそっちのけで現場に出ていたんですけど、受け入れられる子どもの数は増えないし、スタッフの出番を奪っているだけで、ろくなことはないと気がつきました。今は僕の持っている技術や知識をスタッフに教えて現場に出てもらい、「やってよかった」と思ってくれる人も増えて、よかったなと思っています。

岩田:「プロデューサーにならないと」というのは、頭ではわかるんですが、実際は自分のほうがスタッフよりわかっていたりできたりするんで、意外と難しいですよね。

宮治:最初はプレーヤーでいいんだって。規模やフェーズが変わるときにプロデューサーになればいいんだよ。

山本:僕も大学時代はプレーヤーをやっていました。地元の中高校生の劇団の運営を手伝っていたんですね。それが教育にかかわるきっかけで、現場での体験が今、ものすごく役に立っています。

自分にプロデューサーが務まっているとしたら、それはこれまで現場をやってきたり、大学教育について勉強したり、若者たちに接してきたバックボーンがあってこそですね。だから誰でもある時期はプレーヤーをやるべき。でも自分ひとりでは世の中は変えられないから、仲間を増やす段階で一歩引いてプロデューサーになって事業を成長させていく、という形もありだと思います。

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「本当にやりたいこと」を いつ、どのように見つけるか

岩田:起業にはいろいろなスタートがありますが、宮治さんはサラリーマンを辞めて起業に踏み切ったのですよね。

宮治:まあ、うちは家業があったから、起業できたと思います。だって、会社を辞めるのってね、めちゃめちゃ勇気がいるんですよ。すごく大変。よく、「さっさと辞めて起業しちゃえばいいじゃん」なんて言う人もいるけれど、僕は逆に、本当にやりたいことが見つからないなら起業はやめたほうがいいと思っているんですよ。

山本:本当にやりたいこと…なるほど。実は私は最初はそれがわからなくて、後になって気づいたタイプなんですよ。

私は高校生のときに父親が廃業しています。生活が激変して父も家族も僕もすごく苦しんだ。子どもながらに思ったんです。父親と同じようにはならないようにしよう、と。それで、「いつでも2年間あれば数千万円の事業を作って家族を養っていけるような自分になりたい、そのために足腰を鍛えたい」と思って、学生時代に一度ベンチャーを立ち上げ、卒業後もこうして起業してやってきた、というのが原体験としてあります。社会のため、若者のため、だけじゃなくて、自分のためにもやっていた。

その後、30代前半で、いつでも家族を養っていける事業をつくれる自信ができました。父親の出来事を乗り越えたそのときに、目標を喪失したんですね。自分が本当にしたいことは何だろうって。そのときいろいろと考えてたどり着いたのが、「父親みたいに失業して苦しむ人を生みださない活動をやっていこう」ということ。もう一回目標を持つことができたんです。それに気づくのに10年かかりました。

岩田:熊さんは、自分がやりたいことに確信が持てたのはいつですか?

熊:私は、学生セラピストとしてこの世界に入ったときに、目の前で言葉が話せなかった子が話せるようになったり、毎日変化があるこの仕事が、とっても楽しかったんですね。今も本当にこの仕事が大好きで、そういう仕事ができる場所がほかになかったから自分で起業しよう、と。手段として起業しただけで、最初にあったのは「この仕事が好きだ」という気持ちだけでした。

山本:熊さんと同じように喜びを感じていた人でも、卒業後は活動を辞めて就職した人もたくさんいたでしょう? なぜ熊さんは学生時代の一時の経験で終わらせず、もっと引き受けようとしたんですか?

熊:この仕事が、自分らしさというか、アイデンティティの一部のように感じていたんですね。「この活動がなくなったら自分は何ができるんだろう」と。これを続けていないと自分はダメになっちゃう、という感覚ですね。

後編:「スタートアップに無駄なこと、大切なこと」社会起業家5名による、創業期についての本音トークより(2)

この記事を書いたユーザー

吉楽 美奈子

吉楽 美奈子

商社勤務を経て出版社に転職。編集者・記者として15年以上、月刊誌、書籍、ムック本等の取材執筆や誌面制作に携わる。2011年にフリーランスに。社会起業家に関心を持ち、ETIC.インキュベーション事業部に非常勤スタッフとして約1年半参画。

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