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社会の強く、しなやかなつながりを作るために。児童養護施設等から巣立つ子どもたちの自立を支えるブリッジフォースマイルの仕事現場に密着

2019.09.18 

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子どもが好き。子どものために何かしたい。

 

そんな思いをもったことがあるという方も多いのではないでしょうか。

 

特定非営利活動法人ブリッジフォースマイルは、こうした人や企業の思いが最適な形で子どもたちに届くように、その仕組みをつくり続けてきた団体です。2004年から15年間、原則18歳で児童養護施設や里親家庭などから巣立たなければならない子どもたちの自立を支えてきました。

 

今回、オフィスにおじゃまし、実際、仕事現場ではどんなふうに働きながら子どもたちの自立と向き合っているのか、働く人にはどんなことが求められるのかなどをお聞きしました。

子どもたちの自立を支えるブリッジフォースマイルの活動

子どもたちは児童養護施設等を18歳で出ると、自立することを迫られます。仕事と住む場所を得て、生活を維持していかなければなりません。そして、虐待などが原因で児童養護施設に入った彼らは、親と離れている場合がほとんどで、困った時に親を頼れません。

 

ブリッジフォースマイルはそんな状況に置かれている子どもたちが、児童養護施設や里親家庭などにいる間から自立のための準備ができるよう、さらに巣立ち後も社会とのつながりを感じながら安心して暮らせるよう、主に10個のプロジェクトを通して子どもたちをサポートしています。対象は中高生から概ね25歳まで。

 

創設した翌年、スタートさせたのは、高校3年生のための「巣立ちプロジェクト」。物件探しや金銭管理など一人で暮らすのに必要な知識やマナーなどを半年かけて学ぶ(月1回開催)もので、2018年度は首都圏と佐賀県で開催。参加者は140人以上となり、今年は過去最高の約210人となるそうです。

エレベーターホール

ブリッジフォースマイルのオフィスがある階のエレベーターホール

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宇宙をイメージした天井が広がるブリッジフォースマイルが入居するオフィス

 

こうした自立支援プロジェクト、また就労支援プログラムでは、そのほとんどで約500人のボランティアや企業が子どもたちの支援に関わっています。

 

各プロジェクトがスタートする際にボランティアの募集を行っているのが、今回お話を伺った運営チームの下原夏麻(しもはら・なつさ)さんです。

 

「各プロジェクトで集まったボランティアさんを、子どもたちの希望などに合わせてつなげるほか、セミナーの会場探しや事前準備などもしています。全体的にバリバリと支援の現場で働くというよりも、支援スタッフや子どもたちが気持ちよくプロジェクトに参加できるように環境を整えたり、様々な調整をすることが主な仕事です」

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プロジェクトの調整や子どもとの面談などマルチタスクな毎日

下原さんの仕事は、調整業務が主なのですが、面談など人と会う業務も多く、仕事内容は多岐に渡ります。ではどんな仕事があるのか、下原さんの一日のスケジュールをもとにみていきましょう。

 

ブリッジフォースマイル様スケジュール

 

この日はミーティングや確認作業などが行われた後、14:30から最近、増えているという企業との給付型奨学金制度に関係する面談が入っていました(①)。児童養護施設を退所後、奨学金を給付された子どもたちの近況を知るため、定期的に行っているそうです。

 

「私はカフェで会ったりして、『最近どう?』という話から、金銭感覚に不安を覚える子には『今月のやりくりはどう?』といった話をします。その内容は毎回記録してデータベース化しています」

 

また、夏休みや冬休みなどを利用して2日~5日間、企業で仕事を体験する就労体験インターンシップでは、体験に入る前に企業も同席しての事前面談が行われます。面談1回に対し、ブリッジフォースマイルのスタッフは1人という体制を徹底させているため、今年の夏休み期間のように、参加する企業が120社の場合、スタッフはその倍の240人必要になります。毎回、スタッフ総出で対応しているそうで、下原さんもその一人です。

 

「子どもたちに自分がやりたいことや適性と少しでも向き合ったうえで体験してほしいので、事前面談ではその企業で体験したいと思った理由や目標について話し合います」

 

スケジュールにある②は、そのための場所や時間などの連絡です。なお、体験後の面談では感想や企業で働く人を見て感じたことなどを、アンケートフォームをもとに話してもらうそうです。

 

下原さんの仕事はまだ他にもあります。

 

「自立ナビゲーションというプログラムの管理もしています。このプログラムは、退所した子どもの孤立を防ぐため、自立ナビゲーターと呼ばれるボランティアスタッフさんと退所者のお子さんが月1回、面談を行うものです。面談後にボランティアスタッフさんがレポートを送ってくれるので、その内容の確認や進捗管理をしています。その他、各プロジェクト全体を見渡して、改善できるところがあれば改善するといった改善の管理も担っています

 

「横浜の居場所事業を見学したい」「寄付を考えているので、話を聞かせてほしい」といった問い合わせに対応するのも、下原さんたち運営チームの仕事なのだそうです。

 

リモートワークが浸透している分、定例ミーティングで顔を合わせるようにしているのがブリッジフォースマイルの特徴。2週間に一度は全体ミーティングが行われるのだと下原さんは言います。

 

「ミーティングがある木曜日は必ず出社するので、その機会にまとめてミーティングをセッティングします。朝9時に出社してから夕方5時まで、ランチミーティングも含めて一日中ミーティングをする時もあります」

人の価値観が出やすい支援の場での話し合い

フルフレックスの勤務体制でスタッフによっては一日中外出していたり、在宅勤務だったり、それぞれが自由なスタイルで仕事をしているというブリッジフォースマイル。では、スタッフ間のコミュニケーションはどんなふうに取っているのでしょうか。広報担当の植村さんが答えてくださいました。

 

「子ども支援の仕事をしているので、ミーティングでも子どもの話をすることが多くなります。特に支援の仕事はその人の価値観が出やすいんです。夫婦の教育方針が異なった時に、ぶつかることってあると思います。子どものことを考えるからこそですが、それと似たようなことが起きます」

 

下原さんは、子ども一人ひとりに対する支援の方法を話し合うミーティングを例にこう話してくださいました。

 

「スタッフが一人ずつ意見を出し合うのですが、本当に反対の意見を言うこともあります。例えば、せっかく勤め始めた矢先に、仕事を辞めてどうしてもやりたいことがあるという子どもがいたとしたら、『やりたいことができた変化を尊重し、とりあえず話は聞こう』と話すスタッフもいれば、『勤務は続けながら、現実路線を探ってもらえるようにするほうがいい』と話すスタッフもいたり。答えがないからこそ、悩ましい。

結果的に、全員が納得できるような意見に落ち着く場合が多いのですが、同じ話を聞いても、人それぞれ受け止め方が違います。私自身も人の意見を聞いて気づくこともあります

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「ブリッジフォースマイルでは児童養護施設等と子どもたち、そしてボランティアスタッフと企業との信頼関係をとても大事にしています」と広報の植村さんは話してくださいました。

 

ひとつでもそのバランスが崩れるようなことがあると、どの人にとっても、ハッピーなことにはならない。だから、とても大事に、慎重にプロジェクトを進めているのだそうです。そうした信頼関係がスタッフ間でも丁寧につくられ、それが「チームで支援する」というブリッジフォースマイルのあり方を実現させているのかもしれません。

自分がしていることは間違っていなかった

最後に、ブリッジフォースマイルに向いている人、働くうえで心がけたいこと、またやりがいについてお聞きしました。広報担当の植村さんは言います。

 

「ブリッジフォースマイルは代表の林の強い思いもあって、これまでとても速いスピードでいろいろな仕組みをつくってきました。これからもそれは変わらないと思います。マルチタスクな状況と変化を楽しむことができる。そういう方にはすごく刺激のある現場だと思います」

 

続いて下原さんはこう話します。

 

「子どもたちと関わるなかでトラブルも時々起こります。そこで驚かず、臨機応変に動ける力は必要かなと思います。ただ一番重要なのは、支援というものを客観的にとらえながら、自分の限界を認識して、できることに集中することです。いざという時に相談できる相手をたくさん作ることも大事です

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「支援の仕事は厳しい面もありますが、子どもたちの成長に関わることができるのはやはり大きなやりがいです。『この子、こんな風になったんだなあ』って変化が感じられるようなことがあるとうれしいですね」と植村さん。

 

下原さんも続けます。

 

「就労支援のセミナー企画に携わった時など、正直、企画段階では本当に必要とされるか不安な時もあるんです。でも、終了後のアンケートで、『いろいろな仕事があることがわかった』、『困った時には誰かに相談しようと思った』と書いてくれていたりすると、伝えたいことが伝わってよかったと思ったりしますね。結局、私たちが伝えられることはとても初歩的なことばかりなのですが、こういう回答を見たりできると自分たちがやっていることは間違っていないと思うことができます

 

どんな環境で生まれ育っても、子どもが夢と希望をもって将来を生きていける社会にしたい──。この思いを実現するために活動しているブリッジフォースマイル。現在、2件のポジションで人材を募集しています。子どもたちの未来を応援したいという方、ぜひ一員になってその環境づくりにチャレンジしてみませんか?


 

<特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル求人概要1>

 

募集ポジション

支援スタッフ

雇用形態

契約社員

給与

月給22万円〜

◇モデル給与例◇入社3年 月給24万円~27万円

勤務地

東京都千代田区大手町

(東京駅日本橋口 徒歩2分、東京メトロ 大手町駅、日本橋駅、三越前駅からも徒歩)

居場所スタッフ勤務の場合、神奈川県横浜市西区(横浜駅より徒歩6分)

※フリーアドレス制。

必要のないときは、出勤する必要もありません。

訪問先への直行・直帰や、カフェ、自宅など、仕事の場所は自由です。

応募資格

【必須項目】

1.社会問題解決への意欲

2.コミュニケーション力

3.主体性と柔軟性

4.基本的なパソコン操作

5.心身ともに健康であること

6.アルバイトを除く、会社等法人での就労経験2年以上

7.土日勤務可能な方

【あれば尚良い項目】

・対人支援経験(特に就労支援)

・営業の実務経験(特に人材ビジネス)

・プログラミング経験、SalesForce運用経験

・キャリアカウンセラーの資格、実務経験

・GATB(厚生労働省編 一般職業適性検査)の資格、フィードバック経験


 

<特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル求人概要2>

 

募集ポジション

管理スタッフ

雇用形態

アルバイト

給与

時給1,000円〜

※通勤費全額支給(上限2000円/日)

勤務地

東京都千代田区大手町

(東京駅日本橋口 徒歩2分、東京メトロ 大手町駅、日本橋駅、三越前駅からも徒歩)

応募資格

1.社会問題解決への意欲

2.コミュニケーション力

3.主体性と柔軟性

4.基本的なパソコン操作

5.心身ともに健康であること

6.アルバイトを除く、会社等法人での事務経験2年以上

 

「特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル」の募集要項の詳細はこちら!

 

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DRIVEメディア編集部です。未来の兆しを示すアイデア・トレンドや起業家のインタビューなど、これからを創る人たちを後押しする記事を発信しています。 運営:NPO法人ETIC. ( https://www.etic.or.jp/ )

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