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「途上国と支援者とをつなぐ架け橋に」 ケア・インターナショナル ジャパン 高木美代子さんインタビュー

2015.01.05 257view 

最近、目にする機会が増えつつある「ファンドレイザー」という職業。非営利組織などの資金調達を担い、組織の持続性の根幹に関わる重要な仕事です。

このファンドレイザーという職種は、アメリカでは、憧れの職業ランキング30位以内に入るなど、広く認知されていますが、日本ではまだなじみのない方も多いと思います。

今回は、「認定ファンドレイザー」の資格を持つ、公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン、高木美代子さんに、ファンドレイザーとしてのやりがいや、求められる資質についてお話を伺いました。

高木美代子さんインタビューの様子

架け橋となるファンドレイザー

井上:今日は、認定ファンドレイザーとしてご活躍中の高木さんに、具体的なお仕事についてお話を伺えたらと思っているのですが、高木さんの肩書を拝見すると、「マーケティング部長」となっていますね。

高木:私が所属するケア・インターナショナル ジャパンは、世界70ヶ国以上で人道支援活動を行う国際協力NGOで、14カ国のメンバー国によって構成される「ケア・インターナショナル(以下、CAREと表記)」の日本事務局です。

CAREでは、寄付市場をマーケットと捉えて、マーケティング部においてファンドレイジングを担っています。現在、マーケティング部長として私は、個人寄付、法人寄付、広報、アドボカシーなどに関わる戦略や施策を統括しています。

井上:今回は特に、高木さんの専門であるファンドレイジングについて伺いたいと思います。具体的には、日々、どのように業務を進められているのですか?

高木:主に法人専門のファンドレイザーとして、企業訪問やそのための資料作成などを行っています。新規訪問は全体の約2割で、残りの8割は既に関係のある企業に対して、新たな提案や活動報告などで伺います。

また最近では、例えば途上国でのBOPビジネスに関する連携のお話など、企業からご相談を頂くことも増えています。

井上:お仕事の中でやりがいを感じるのはどんな時ですか?

高木:ファンドレイザーとは、私たちが支援する途上国の人々と、日本の支援者との間に入り「架け橋となる人」というイメージで仕事をしています。その双方にとって最良の道を探り、大きなプロジェクトが成約した時はやりがいを感じます。

また、最近では、単にお金を出すというよりも、人・モノ・金・情報ノウハウ等、企業が有するあらゆる経営資源を活かした形での連携事例も増えています。いわゆる、本業を通じたCSRとか、CSV(Creating Shared Value)と言われるような形態での関わり方を希望される企業さんが増えていると感じますね。

例えば、コンサルタント会社であれば、その経営や戦略コンサルティングノウハウを活かして、途上国での事業展開や非営利組織の経営課題の解決に貢献したいと考えます。

企業とNGOが、れぞれの強みと弱みを掛け合わせて、互いにWin-winになる形で、最終的には途上国支援という目標につなげることが大切です。実際には、そこがうまくマッチしないことが多いからこそ、合致し、大きなプロジェクトにつながった時の喜びは大きいです。

井上:これまでに印象に残っている事例を教えて下さい。

高木:味の素株式会社さんと連携して行っている、ガーナの乳幼児の栄養改善を目的とした、ソーシャル・ビジネス事業ですね。最初にお話を頂いてから契約書を結ぶまでに数年を要し、全てが手探りの中、産みの苦しみが大きかっただけに、とても印象に残っています。

井上:連携先を見極める上で、大切にしていることは何ですか?

高木:まずは目的を互いに共有できるか否かが重要になります。またCAREでは連携ガイドラインを設け、いくつかの連携禁止業界を定めています。特に味の素さんとの例では、CARE USAの協力のもと、財政状況や過去のCSRに関する取り組みなどを含め綿密に調査し、デュー・ディリジェンスのプロセスを踏みました。

また、連携先企業の担当者の方の熱意も不可欠だと感じています。今回、自社の技術や製品で、ガーナの貧困層の課題を解決したいという想いを非常に強く感じましたので、きちんと双方で信頼関係が構築でき、連携を進めるに至ったのだと思います。

井上:大きなプロジェクトでも、始まりは人対人の想いなんですね。

高木:ファンドレイジングでは、人対人の関係が全ての基本だと思います。もちろん企業として中期戦略や基本方針がある程度固まっていることが前提ではありますが、それ以前に、まずは核となる担当者の想いが熱くないと、まとまらない事が多々あるのではないかと感じます。

多くの場合、担当者の方が、社外連携先を探すことに加えて、マネジメントをはじめとする社内の理解や協力を得るために、相当奔走されています。

井上:連携先企業の状況を分析する冷静な目と同時に、人を見る力が重要になってきますね。

高木美代子さんインタビューの様子

信頼の担保となる、認定ファンドレイザーの資格

高木:そうですね。同時に我々自身も、連携に値する人物、団体であるかと常に見られています。そんな時に、認定ファンドレイザーの資格を持っていることが、信頼を担保する一つになればと思っています。 井上:資格は信用につながりますね。そもそも、どうして認定ファンドレイザーの資格を取られたのですか?

高木:CAREでは、一年に一度、マーケティング部長(ファンドレイザー)のグローバル会合を行い、各国の成功事例などを共有しています。ファンドレイザーという職業の認知度が高いインターナショナルな組織ならではの良さだと思います。

一方、日本では、まだ認知度も低く、私自身、これまで自分なりに手探りで仕事をしてきました。そんな中、資格制度ができると聞き、これまでの仕事を整理し、さらに学びを深めたいと思い2012年に挑戦しました。

井上:認定ファンドレイザーの資格を取得して良かったことは何ですか?

高木:まずは、体系立てた学びを通して、ファンドレイジング全体に対する理解が深まり、これまでの自身の経験や知識を、より深く自分の中に落とし込めたことです。次に、受験をするために必修のセミナーや研修を通じての素晴らしい仲間との出会いがあります。東京近郊のみならず、地方においても多様な成功事例を知る事ができ、自分の中のファンドレイジングの引き出しも増えた気がします。

そして、経験を言語化して共有できるようになり、部内職員を育てる上でも大変役立っています。認定ファンドレイザーの資格取得は決して簡単ではありませんが、得られる物も大きく、当財団での勤務3年以上の職員には積極的な受験を奨めています。

高木美代子さんインタビューの様子

共感の輪を広げるための、多様なコミュニケーション

井上:ファンドレイザーに向いているのはどんな方ですか?

高木:ファンドレイザーは、いかに信頼され、共感の輪を広げられるかが重要ですから、人とコミュニケーションをとるのが好きな方が向いていると思います。

まずは、チーム内でのコミュニケーションが何より大事になります。基本、一人で動いて、どこかからボンとお金が入ることはあまりありません。チームで戦略を練り、目標達成に向かう。一から創造するその過程を楽しめる人がいいですね。

あとは、多様な方とのコミュニケーション能力が求められます。支援者は、小学生から高齢の方まで、幅広い年齢層の方になりますし、企業であれば、担当者から経営者まで、様々な立場・役職の方とお話しをします。

いかなるときにも、誠実にそして正直でいることはもちろん、どのような場面でも、物おじせず、相手の懐にポンと飛び込んでいけるような方は向いていると思いますね。また、一度会うだけでなく、その次に繋げる努力も必要です。

井上:次に繋げるために心掛けていることはありますか?

高木:連携先企業なり個人が、どのようなことをCAREに対して期待しているのか?何をやりたいのか?まずは事前の情報収集が欠かせません。また支援者と話す際には、一つの案だけを持って行かないようにしています。相手に選択の余地を与えるよう、事前に複数の案を用意するよう心掛けています。

あとは、最初から大きなところを望まないことですね。ファンドレイジングの始まりは、まずは知り合うところからです。一年、二年と時間をかけながら、焦らず信頼関係を構築し、その結果として何らかの支援を獲得する。それが1回きりの支援ではなく、継続しての支援であることが理想ですね。

井上:高木さんの今後の抱負を教えて下さい。

高木:まずは、地道に足元から日々のファンドレイザーとしての仕事を積み重ねることで、当財団の発展、しいては貧困削減に少しでも貢献し、ファンドレイジングの成功事例を作っていきたいですね。

成功事例が増える事により、ファンドレイザーという仕事の認知度が上がれば、優秀な人材がファンドレイザーを志すようになり、結果的に日本の非営利組織の発展にもつながるのではと信じています。

井上:ファンドレイザーの活躍が、日本の非営利組織発展の、一つの鍵を握っているとも言えますね。今日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事を書いたユーザー

井上 陽子

井上 陽子

1981年生まれ。早稲田大学商学部卒業。学生時代にNPO法人ETIC.にてインターシップを経験し、人生を変えるような出会いに恵まれる。2005年から約5年間、日本テレビにてアナウンサーとして活動。スポーツ、情報番組などを担当する。その後、配偶者の転勤により、香港にて生活。帰国後、2014年1月よりDRIVEに参画。一児の母。

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