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#社会政策

寄付の“もやもや”をデータから考えてみた(日本の「寄付」とその役割は?編)

2015.12.28 505view 

今年から「寄付月間」がスタートした12月。

寄付月間

寄付の受け手側が寄付者に感謝し、また寄付者への報告内容を改善するきっかけとなること、そして多くの人が寄付の大切さと役割について考え、寄付に関心をよせ、行動をするきっかけとなることを目指した月間です。

歳末たすけあい、赤い羽根、過去にはタイガーマスク現象など、お茶の間の話題に上ることも少なくはない「寄付」。でも、実際に「寄付してください」という言葉を聞くと、なんとなく“もやもや”した気持ちを持つ人も多いのではないでしょうか。

寄付を集める主体の多くを占める「NPO」というものも、どことなく正体不明なイメージがあり*1、何か物を買うときとは違う不思議な抵抗感があります。

今回この記事では、データをもとに日本の寄付市場とその役割について考えてみました!

1.日本の寄付市場は小さい?

まず、寄付白書2015(日本ファンドレイジング協会)による最新データから、日本の寄付市場の概況をみていきましょう。

2014年、4410万人(15歳以上人口の43.6%)が寄付を行ったと推計されています。個人寄付総額は7409億円。会費3129億円と併せると、1兆円を超えています。

寄付文化が進んでいるとされる他の国との比較で見てみると、絶対額で見ても対名目GDP比で見ても、多くはないことがわかります。

図表1

個人寄付総額と名目GDPに占める割合(寄付白書2015より引用)

一方でトレンドを見ると、東日本大震災直後の緊急支援的な寄付を除いて考えても震災後2年間で380億円増加し、わずかに成長基調にあると言えるのではないかと思います。

図表2

個人寄付及び会費総額の推移2009?2014年・1月?12月(2013年はデータなし) (寄付白書2015を基に筆者作成)

今度は、日本全体でなくもう少し身近にイメージしやすい、1世帯あたりの年間寄付金額を見てみます。日本の世帯当たり平均寄付額は、約2400円(総務省統計局家計調査、2013年)です。一方でアメリカでは約31万円*2(米national Phiranthoropic Trust)と、大きな差があります。

図表3

世帯当たり年間寄付額(単位:円)

この寄付額の差は、世帯構成や算出の仕方などにより、世帯の総支出に約2倍弱の差があること(日本の一世帯あたりの家計支出が平均302万:2013総務省統計局家計調査、米国約565万:$53,495、2014 Consumer Expenditure Survey)であることを考えても、相当大きいと言えると思います。まだまだ、日本の寄付市場は「小さい」とも、言えるかもしれません。

2.みんなのために使うお金。税金との比較から寄付の役割について考えてみる

大きさが分かったところで、次に、何らかの社会の課題解決のために個人から集めるお金という意味では同じ使いみちの「税金」と比較しながら寄付の役割・性質について考えてみます。

図表4

個人寄付総額(2014年)と国税・地方税額(2013年度) (寄付白書2015、平成27年版地方財政白書を基に作成。 円の大きさは総額の比率を基にしたイメージ)

社会の課題解決のために個人から集めるお金のうち、寄付は、民間の任意団体(NPOや財団法人など)に任意でお金を託すもの。一方税金は、国や自治体に国民の義務として、お金を託すものです。

そのため税金を使うためには、共同体全員の合意(もちろん直接にではなく、代議員)が必要です。数ある社会課題の中から優先順位を決め、公平な使途を決め、きちんとその通り使われたか確かめるために、多くの調整・管理コストが必要となります(例えば国の、27年度の支出予定96兆3420億円のうち、国会は1兆3756憶円、会計検査院は1713憶円*3 です)。

また、税金については、現在支出と収入のバランスが大赤字の状態ですので、新たな社会課題があっても、そこに対する新たな投資には慎重になるという問題があります。家計に例えると“1か月の収入が30万円で、必要な経費は53万、毎月23万円を借金している状況” *4 で、新たな出費を考える、というのは確かに中々のハードルだと思います。プロジェクトに可能性があっても、何らかの確証もしくはみんなが納得する機運がないと、お金を出してみよう!とはなりません。

一方寄付は、目的や使途を宣言して集めることが多く、「いいね!ぜひ、そのプロジェクトに使って下さい」と賛同している人たちに対して納得感のある管理体制であればよいため、比較的柔軟に新たなチャレンジに踏み出すことができます。

もちろん、幅広いテーマを掲げ多くの人から集めた場合、寄付の使途も公平性という問題に直面することもありますし、寄付を集めている団体が信じられるかどうかという信頼性に課題を感じる人*5 もいます。

日々の目の前の生活の問題から、いざというときや将来の問題、国際的な問題まで、全部を思案し自分で賄っていくことも現実的ではない、と思います。また、ノーベル賞や金メダルは嬉しいと思っても、一人ひとりの研究者や選手に自分のお金をわざわざ100円払いに行くのには手間がかかります。それならば、税金として(勝手に)使われていたとしても、たまに彼らの活躍のニュースを聞けば嬉しいなぁと思える人もいるでしょう。そういった意味で、国・自治体・政治家などの“みんなの問題のプロ”に任せる部分(税金で賄う部分)ももちろん多くあると思います。

ただ、もしあなたに「これは問題だ」「こうしたいのになぁ」という気持ちがあるのなら、同じ気持ちを持った誰かに託す、寄付というアクションを起こしてみるというのも有効な選択肢かもしれません。税金から寄付した分の何割か(最大5割)が還ってくる寄付税制という制度もあります。

次回、後編は、「実際に寄付をしたら、私にどんないいことがあるの?」という点について見ていきたいと思います!

*1:NPOについての若者認知度・イメージ調査 2014年度版 *2:$2,974 (1$=105.8円として換算) *3:平成27年度財政法46条に基づく国民への財政報告 *4:日本の財政を家計に例えると、借金はいくら? *5:NPOについての若者認知度・イメージ調査 2014年度版

参考文献

この記事を書いたユーザー

佃 真衣

佃 真衣

ETIC.事務局/1988年生まれ、高知県高知市出身。東京大学文科三類入学、工学部卒。文部科学省で4年間、科学技術イノベーション政策、震災緊急対応、初等中等教育政策に携わる。教育関係のNPO勤務後、15年1月ETIC.参画(法務兼寄付兼色々担当)。好きなものは、ゆずポン酢と活字と散歩。

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