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卒業生の4割以上がNPO業界に就職!「NPOキャリアカレッジ」プログラムとは?

2013.08.31 605view 

前回のインタビューで、NPOで働くまでの経緯やソーシャルメディアの活用についてお話いただいたNPOサポートセンターの笠原孝弘さん(28)。今回は、笠原さんが担当する「NPOキャリアカレッジ NPO就職・転職コース」のプログラムについて、内容や背景にある問題意識を伺いました。NPOやソーシャルビジネスで働くことを検討している人には、ぜひ読んでもらいたい記事です!

笠原さんセミナーの様子

求職者と、NPO側の採用のボトルネックを解決する

石川:「キャリアカレッジ」って、どういう意図で作られているどういうプログラムなのか、あらためて説明してもらってもいただけますか。

笠原:目的としては、基本的にはNPOで働くことを前提とした人向けの研修です。それに加えて実地研修が入っているプログラム。カリキュラムとしてはNPOの運営の方法だとか、事務局の仕組みだとか、資金調達や広報の入門などを扱っています。あとはかものはしの山元さんなども参加してもらっていますが、NPOで働いている人たちのキャリアの話が聞ける。あとは、ここでどういうふうに自分を変えて行くか、そのあとどうしていくかというマインドセットの部分。受講者もなかなかNPO/NGOの求人を見つけられないし、団体側もいい人がなかなか見つからない。そこの出会いの場として使っています。

石川:キャリアカレッジでは、座学だけじゃなく現場での実地研修も入れているんですね。

笠原:やはり座学だけでなくNPOで働く環境を肌で感じでもらいたと思っています。そしてなにより、実地研修をプログラムに入れているのは、採用につなげてもらうためです。団体側に顔を知ってもらうことは大事です。少人数の組織が新しい1人を選ぶ時、普通に入ろうとすると、超高学歴で超実績を積んだ人でないと書類審査通過もなかなか難しいっていうのが正直なところで。でも、「あの人ずっとインターンしていたし、一緒に働いてみたいよね」という、ご縁から採用になることもあるので。

石川:修了後のキャリアにもつながっているプログラムなんですね。さすがですね!

笠原:キャリアカレッジの前身であるNPOスタッフ養成研修の頃から、それはずっとプログラムに入れていました。今75人卒業生を輩出しましたけど、参加者の8割がちゃんと就職して、さらに4割以上がNPOやソーシャルベンチャーに行っています。

田村:すごいなあ。高い割合ですね。

石川:いわゆる「人が見つからない」、人が見つかっても働いた経験がないから「考え方やキャラクターがわからなくてマッチングしない」、有能な人なんだけど「NPO文脈の基礎知識が足りないからダメだ」っていう3つのボトルネックを、全部うまく解決できるというようなプログラムになっている。

社会起業家を支える2番手・3番手を輩出しなきゃいけない

石川:ちなみにこのプログラムは、どなたが開発したんでしょう。

笠原:僕を含めて2人のスタッフで3年前に考えました。僕個人の問題意識としては、社会起業家はどんどん生まれてくるであろう。ただ、その組織のNo.2か3か、事業を応援して一緒にまわす人は輩出しなきゃいけなくなるだろうと思って。

石川: 聞けば聞くほどよく考えられているプログラムですよね。75人の8割が就職していたって話だけど、参加者としてはどういう属性の人が多いのでしょう。求職中の人たちですか?

笠原:基本的にはそうですね。最初のスタッフ養成研修はハローワークの枠組みだったので、求職中でないといけなくて。20代から上は50代くらいまでかな。

石川:ずいぶん幅広いですね。働けるところまでトレーニングし、実地研修を経て、そのまま就職・転職のマッチングをしていくと。実地研修は例えばどういう団体に行くんですか?

笠原:ほとんどNPOやNGOですよ。有名なところだと、シャンティ国際ボランティア会、国境なき子どもたち、難民支援協会など。震災復興だったらADRA Japanとかもあります。起業家っぽいところで働きたい人も、そうじゃない人も、研修生の好みもあるので、大きい団体から小さい団体までいろんな研修先があります。

石川:3?4割がソーシャルビジネスやNPOに就職ってことは、そのまま企業に就職していく人もいるってことでしょうか。

笠原:進路は結構さまざまです。それこそNPOを人と一緒に立ち上げた人もいて。あとは福島の復興支援団体に行った人や、ブリッジフォースマイル、ファンドレックス、シャンティ国際ボランティア会、セーブ・ザ・チルドレン、ウイングル、難民支援協会など。ADRA Japanでファンドレイザーになっている人もいます。ウイングルの社長の長谷川さんに、「入った彼女、すごく活躍してもらってる!」って言われて、すごく嬉しかったこともあります。他にも、新卒の女性で、「どうしても国際協力系のNPOに行きたいんです」って人といろいろ面談して「やっぱり1度企業にいく」って落ち着いた人もいたり。あとは日本仕事百貨に掲載されているような志ある会社に入った人もいます。次に求人情報が出た時に、その子が写真に写っていて、「メンバーとしてちゃんと一員としているんだなあ」って思ったら、もうたまらなかったです。

石川:それは嬉しいだろうなあ。そうそうたる団体に就職しているなと感じますが、求職中の人たちってそもそもハイキャリアで高いスキルを持った人たちが多いんですか。

笠原:ううん、やっぱり全員がスキルフルな人ではない。ただ、団体のことを理解しているだとか、NPOの基礎的なことがわかっているとか、実地研修で顔が見える関係になっているということがあり、一緒に仕事をするのに必要なポイントを見出してもらえることで採用してもらえますね。

対談での笠原さん

スキルフルじゃなくても、NPO業界への純粋な思いがあれば

石川:就職の数を増やすことを考えると「そもそもハイキャリアで、高いスキルを持つ人材をかきあつめて就職してもらえばいい」みたいになってしまいかねないと思いますが、そうじゃないんですよね。プログラムを通して笠原さんが大事にしているところってどんなところですか。

笠原:いろんなスキル面の話とかもしますけど、どちらかというと僕はマインドセットが大事だと思っています。自分がやりたいことだとか、そういったところで働く心構えだとか。スキルフルじゃなくても覚悟があるのであればいいんじゃないかって僕は思っていて。その覚悟をどう持ってもらうかっていうのは、「この人は本当は何やりたいんだろうな」と、コミュニケーションをとって聞いていく。「こうしなさい」っていうことはほとんどないし、無理矢理決定ボタンを押させない。だからあんまり就職後に辞めている人はいないし、いいことだなと思います。NPO/NGOスタッフは1年ちょっとでやめる人すごく多いんですよね。僕は、ETIC.の宮城さんに投げかけてもらった「自分じゃなきゃいけない理由」を、本人たちにやっぱり投げかけています。あれがなかったら、僕も辞めていたんじゃないかと思いますもん。

石川:確かにマインドがちゃんと定まって入ったら、そうそうやめないですもんね。

笠原:そうですね。NPOで働いている人たちにも経験を喋ってもらって。ここまで考えていたのかとか、ここまで考えていなくても大丈夫なんだとか、そういうのを自分に照らしあわせて、自分の心構えだとかマインドを固めていくってことがすごい大事なんだと思いますね。あとは最低限のことは覚えていってもらう。そうすると共通言語も増えて、現場でちゃんと話せるから。

石川:本当に、意義深いプログラムですね。

笠原:僕はそのスタッフ養成研修の1期と2期のコーディネーターとして、50人を見てきています。大変でしたけどね。大変さが伝わってしまったのか、NPOサポートセンターも求人を出しているのに、参加している研修生からは「NPOサポートセンターでは働くのはちょっと…笑」って言われました。「笠原さん、終わってから夜中2時頃までなんか発信してますよね。あのストイックな感じはイヤです」って。笑

石川:いやー、大変でしょうね。でも今持っているスキルや、これまでのキャリアを気にせずにっていうのは、励まされる人がすごくいると思います。気にしている人も多いだろうから。

笠原:気にしないです、そこは本当に。個人的には、この業界で働きたいという純粋な思いがあれば問題ないと思います。あとは、起業家とかNPOのリーダーをちゃんと支えるっていう想いですよね。

(続き)「NPOで働きながらプロボノ」自分をドライブするスキルの育て方

■ NPOサポートセンター・笠原孝弘さんインタビュー一覧 (1)新卒としてNPOではたらく (2)孫泰蔵さんがきっかけ!ソーシャルメディア×NPOに着目 (本稿)「NPOキャリアカレッジ」をつくり卒業生の4割をNPO業界に送り込む (続き)「NPOで働きながらプロボノ」自分をドライブするスキルの育て方

特定非営利活動法人 NPOサポートセンター/笠原孝弘

1985年生まれ。大学で法律を学ぶ傍ら、アントレプレナーシップに触発される。事業型NPOのWE21ジャパンでインターンしながら、NPOマーケティングを学ぶ。大学卒業後、起業家支援NPOのETIC.で有給インターンを経験し、次世代の社会起業家と、先輩ベンチャー起業家の連携を生み出すプラットフォーム「イノベーション・グラント」事業を担当。2009年よりNPOサポートセンターに入職。主にNPOを対象としたインターネットツールの活用、ソーシャルメディアの講演や導入支援を務める。「NPO」×「IT」をキーワードにした海外トレンドをNPO/NGOスタッフや日本のビジネスパーソン、社会イノベーターに紹介することに取組む。

NPO法人ETIC. 聞き手/石川孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)と自然を愛する。

この記事を書いたユーザー

田村 真菜

田村 真菜

フリーランス/1988年生まれ、国際基督教大学卒。12歳まで義務教育を受けずに育ち、野宿での日本一周等を経験。311後にNPO法人ETIC.に参画し、「みちのく仕事」「DRIVE」の立ち上げや事務局を担当。2015年より独立、現在は狩猟・農山漁村関連のプロマネ兼ボディセラピスト。趣味は、鹿の解体や狩猟と、霊性・シャーマニズムの探究および実践。

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