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「型破り」な家業の継ぎ方とは?自分らしいこれからの家業のつくり方〈家業キャンプレポート〉

2018.03.26 

2017年8月24日・25日、第一回「家業イノベーション・キャンプ」を開催しました。参加条件が「実家が家業を営んでいること」である本キャンプには、高校生・大学生・若手社会人など10代後半から20代前半の10名の若者たちが全国から集まりました。若者たちは、農家、酒造会社、石材店、養鶏場、果樹園、ゴルフ場など、様々な領域の家業を背負っています。

 

生まれてからずっと家業を営み続ける保護者の背中を見て育った若者たちは、「家業を継ぐことには興味があるけど、どうやったら自分らしく・楽しく継承することができるのだろう?」、という悩みを持っています。また逆に言うと、家業を継ぐことについて、「伝統を守らなければならない?」、「両親のやり方や言うことを踏襲しなければならない?」というイメージを強く持つ若者も多いそうです。

 

今回立ち上げた家業イノベーション・ラボでは従来の家業を継ぐことに対するイメージを変え、実際のアクションの後押しを行うためにスタートしたのが、「家業イノベーションキャンプ」です。

 

今回、農家、酒造会社、石材店、養鶏場、果樹園、ゴルフ場など、様々な家業を持つ若者が集結しました。それぞれ抱える悩みは違い、時代の変化によって大きく経営方針を変えていかざるを得ない業種ならではの悩みもあれば、先祖代々長年にわたり守られてきた伝統とのバランスもある、はたまた両親とのコミュニケーションが難しいにうまくいかないなど、超えるべきハードルは多くあります。

 

時代に合わせて、自分らしさを加えていきながら家業を進化させる第一歩を踏み出すために、キャンプでは様々なプログラムが行われを用意しました。文字通りの泊りこみでがけで、寝食を共にしながら夜遅くまで議論が白熱した、真夏のキャンプの模様をお届けします!

 >2018年3月31日は、家業イノベーションCAFE@九州!

九州近辺でオリジナルな「家業のカタチ」を体現している家業イノベーターと、これから自分らしい家業の関わり方を模索する高校生〜30代社会人が集まり、アイディア・悩みをシェアするイベント!詳細はウェブページをご覧ください。

 

「人生で最高の瞬間ってなんだった?」自分がどういう時にどんな感覚になるのかを知るディスカバリーインタビュー

 

まずはこの二日間を共にする、参加者とスタッフの自己紹介からスタートです。「家業について普段周りの友達とは話すきっかけがないんです。今回のキャンプが、これからの人生について考えるきっかけになればと思っています」等、キャンプに期待していることや参加した動機について共有しました。

 

1日目前半のプログラムのねらいは、自分の気持ちや考えを他人に開示し、家業についてゼロから考えてみることにあります。特に「ディスカバリーインタビュー」は”自分のことがわかる”ことがゴールなのではなく、まずは”自分の内面をさらけ出してもいいんだ!”ということを感じるために、3人1グループでお互いにインタビューをし合いました。

全国から集まった子せがれたち。それぞれの生い立ちや、価値観形成に影響を与えた出来事について、興味津々で意見交換し合っていました。

全国から集まった子せがれたち。それぞれの生い立ちや、価値観形成に影響を与えた出来事について、興味津々で意見交換し合っていました。

 

先輩後継者の話を聞こう!みやじ豚代表宮治勇輔さんトークセッション

みやじ豚代表の宮治勇輔さん(以下宮治さん)は、家業イノベーション・ラボ発起人であり、自身も家業を継いでいる、参加者にとっては先輩後継者の一人です。

 

宮治さんは養豚場を営む実家を継いだあと、養豚だけではなくバーベキュー施設などを設けました。私たちは普段スーパーで豚を買うとき、どこでどのような生産者の方がつくったのか、ほとんどの場合知ることがありません。全国各地にある養豚場から集められた豚肉は、全て同様に商品としてスーパーなどで並べられます。その状況を受けて、宮治さんは自分たちの作った豚肉を、その場で消費者の方に味わってもらう場作りを行なっています。

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それまでの家業の形態を超えて、時代に合わせて自分自身も楽しめるビジネスモデルを作り出した宮治さんは、「はじめは家業を継ぐつもりはなかった」ということです。では、どうして家業を継ぐ気持ちが芽生え、どのような経緯で現在のビジネスモデルにたどり着いたのか?これまでの宮治さんのストーリーを聞くことで、継ぐこと自体、あるいは継ぎ方に悩んでいる若者たちには、とても良い刺激になったようです。

 

また、「後継者の事業承継4つの戦略」の話から、「家業を継ぐのは、なにも先代のやり方をそのまま踏襲することではない」という気づきを得ることができ、「家業の見方が180度変わった」という声もあがりました。

 

人生100年時代。社会はどう変わる?ライフシフトセッション

 

自分自身に向き合い続けた1日目のプログラムの最後には、これからの社会の変化について考えました。講師は、宮治さんと同じく家業イノベーション・ラボ発起人であるNPO法人NEWVERY ファウンダー・スペシャルアドバイザーの山本繁さん(以下山本さん)です。

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山本さん「人々の寿命が伸び、”人生100年時代”と言われる昨今の社会では様々な変化が予測されています。60歳や65歳で仕事は引退・・と思われていた従来の時代ではなくなっていくのです。皆さんはこれから様々な変化を目の当たりにしながら生きていくと思います。”社会が変わっていっても変わらないもの、自分が大切にしたいことはなんだろう?”そんなことを一緒に考えていければと思います。」

 

“自分らしい家業”のビジョンを描いてみよう!一歩を踏み出すためのプランニングタイム

 

二日目に待っているのは、参加者一人一人による”これから”を共有するプレゼンタイムです。1日目の後半から夜にかけて、そのためのプランニングタイムがはじまりました。この時間帯の外部ゲストとして、株式会社スリーハイの男澤誠さん(以下男澤さん)も加わり、宮治さん、山本さん、ETICコーディネーターの佐々木健介、田中多恵がメンターとなり、一人一人の話を聞きながらビジョンを言語化するサポートを行いました。

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男澤さんは、事業内容として工業用のヒーターを取り扱っていることに触れながら、「ヒーター=社会や地域を温める」というミッションを掲げて活動をしてきたことが語られました。これにより、それぞれの家業が、社会にとってどんな存在でありたいかという話題につながっていきました。

 

例えば、そもそも競技人口が減ってきているという業界としての課題を持つ、ゴルフ場経営者の後継者は、地域の人にとってこのゴルフ場がどんな存在になったらいいかについて話しました。その後継者の方は、これまで漠然と持っていた構想である「地域の真ん中のゴルフ場」について、初めて自分から話したとのことです。それによって、地域の防災拠点や、「野外映画等のエンターテイメントの場としてのゴルフ場」等、メンターや参加者から様々な可能性が導き出されました。また、熊本県水俣市の養豚業の後継者は「水俣で農業を継承する意味」を問い、”環境に配慮した豚にやさしい養豚”をビジョンに掲げていました。

 

当初、「家業イノベーション・キャンプ」という名称から、”家業を継ぐのか継がないのか”決めるためのキャンプだと思っていた参加者もいたようです。実際には、義務的に家業を継ぐことを捉えるのではなく、「自分が何をしたいのか」を起点に考えていくことが大切というメッセージが随所にちりばめられていた初日となりました。

 

家業のある家庭に生まれた子せがれといえども、一人一人はこれから自分の未来が広がっている若者であるという当たり前の事実に、子せがれたちは気付き始めたようです。キャンプ初日の夜は、本当に自分がやりたいことは何なのか、自分の未来を考え夜更けまで語り合う時間となりました。1日目に感じた可能性を、2日目にどのようなプレゼンテーションとして発揮されたのか?乞うご期待!

 
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