2020東京オリンピック・パラリンピックやSDGsを、個人と組織のアントレプレナーシップを解放する契機にしようと始まった「Social Impact for 2020 and Beyond」。若い意欲的な次世代リーダーや社会起業家、そして大企業や行政などがポジティブに次の社会を創ろうとする「未来意志」でつながる、創発型のマッチングプラットフォームを目指しています。
前編では、6名の方々のピッチの様子をレポートしました。イベントの後半には、アジェンダオーナーのみなさんとETIC.ファシリテーター、参加者のみなさんでのブレストタイムを設けました。今回のレポートでは、『雲南ソーシャルチャレンジバレー構想に企業が関わりやすくするにはどうしたらいいか?』というアジェンダを提案したNPO法人おっちラボ 代表理事小俣 健三郎さんのグループにフォーカスして、議論の様子をお届けします。
>第4回マンスリーギャザリングレポート前編はこちら
”雲南"を選ぶ理由とは
小俣さん「私たちはこれから、企業と地域の連携を加速するためのプラットフォーム、”『雲南ソーシャルチャレンジバレー構想”を進めたいと考えています。都市部の企業が雲南に来て、新規事業の開発やサービスをつくる流れをつくりたいのです。企業の力を使って社会課題を解決する動きが、ナチュラルに動いていくといいなと思っていますが、どのような仕組みや魅力があれば、企業の方々が乗りやすくなるのかということについて、今日はみなさんと考えることができると嬉しいです。
しかも1社だけではなく、いろいろな企業が関わってくれるような環境をつくりたい。雲南のリソースとしては、まず30個の地区に分かれて自治をしている点があると思っています。それぞれの地域で、自律的に課題解決に取り組んでいるのです。冒頭でお話した若者向けの教育など、全国に展開できる力のあるソーシャルビジネスも起こっていますし、起業家もいます。」
ETIC.ファシリテーター「今の時点で、すでに雲南を活動の拠点としている企業は、なぜ雲南を選んでいるのだと思いますか?」
小俣さん「理由として考えられるのは、まず雲南の行政が民間の取り組みを柔軟に受け止めてくれる素地があるところだと思います。30の自治組織があるので、全住民向けのアンケートなんかはすぐ取れるし、住民との連携プロジェクトが比較的はやく実現できるフットワークの軽さがあります。たとえばコミュニティナースの活動は本当に地域に根付いているので、ナースによる住民の基礎ニーズを把握できています。そのような具体的な課題解決の施策がすでに地域で行われているため、そのような既存の活動と連携することによる相乗効果を期待できる、という点もありますね。」
地域のネットワークを活かした課題解決力
参加者「“課題解決先進地"というビジョンがありましたが、具体的にどんな課題に対して強い意識を持っていますか?」
小俣さん「介護予防や医療の領域は、やはり地域としての関心が高いです。今は、たとえば若者チャレンジのメンバーによる介護予防の取り組みが行われています。高齢者の方の要介護認定のレベルが上がる前にショッピングセンターに連れて来て、歩行補助機能をつけたカートを使ってもらって歩行機能を強化するというものです。
また、コミュニティナースのとりくみでは、日々の高齢者の何気ないつぶやきをひろうことができます。高齢者の考える、”こんなのあったらいいな”を形にする活動も面白いなと思っています。住民を守る力を上げていきたいですね。」
参加者「介護予防という切り口から地域に入っても、実はモビリティとかインフラとか、違うところに新たな課題や解決の糸口があるかもしれないですね。活動を進めながら、別の視点でのアプローチに気づくというのは面白そうです。でもそういうふうに、ひとつの課題を解決したらまた次の課題、またさらに課題がでてきて・・という流れになると、“課題解決“っていうのはどう考えたらいいと思いますか?」
小俣さん「確かにそういう意味では、ひとつひとつの課題自体を可視化することが大事かもしれないですね。」
参加者「ああ、それは面白いですね。”やってみたらこんなことがありました” “こんな課題と成功がみえました" “この課題を解決できたらこんな課題がみえました“。難しいところも良かったところも、実証してみて分かったことをまとめて見せていくのはいいですね。」
小俣さん「そうですね。雲南の強みである地域のネットワークを活かせば、他の地域よりもそういった見える化はしやすいのかもしれません。どんどんしていきたいですね。」
課題解決型人材の集まるまちとしての価値
ETIC.ファシリテーター「雲南のさまざまな活動をみていると、パターンが決まっている社会課題はないということを改めて実感させられます。想像つかないことがたくさん起こるので、雲南の皆さんは常にPDCAを回し続け、柔軟に臨機応変に、新しいことに挑戦している印象があります。考え続けること、変化し続けることを大事にしている人がたくさんいるなと思います。」
参加者「地域全体で見れば、企業ができることって本当にたくさんありそうだと思います。ただ、やっぱり行って何ができるんだろう?どんなことを目的にすればいいんだろう?と悩む企業も多そうに思います。雲南ソーシャルチャレンジバレー構想の目的としては、雲南市の社会課題を解決することなのか、雲南としてのダイバーシティを上げることなのか、どちらかっていうのはありますか?」
小俣さん「うーん・・・どちらもですねえ(笑)」
参加者「今までの話を聞いていると、課題を解決するだけでなく、解決する人材を生み続けているまち、とも言えるのではないかと思いました。課題解決型リーダーを生み出す街、としての打ち出し方もあるのでは?」
参加者「そういう人材が集まってくるからこそ、企業も関心を持ち集まってくるかもしれないですね。中長期的なメリットを考えたとき、自分の会社に良い人材が関わるきっかけにもなるかもしれない。リーダーシップ人材に着目するというのはいいですね。」
小俣さん「確かに雲南の人たちには、あらゆる問題に柔軟に向かう姿勢があるような気がします。パターン化はしないけれど、企業や地域にとって有益なノウハウや経験はどんどんストックして可視化していく。そういう流れをつくりたいですね。」
町中ブレストシティ構想!?
参加者「子どもからお年寄りまで、いろんな年代、いろんな背景を持つ人が出会い続けているのがとてもいいですよね。やっぱりそんなネットワークを活かしてみることはとても面白いような気がします。」
参加者「もういっそ、町中、あらゆる場所でブレストがされまくるみたいな地域ってよくないですか?(笑)商店街で若者とおじいちゃんが出会って、地域の利便性をあげるブレストが行われる。ショッピングセンターで起業家とナースが出会って日々の知見を共有して、新たなプロジェクトのアイデアが生まれる。そんな“町中ブレストシティ"はどうですか?」
小俣さん「いいですね!企業にとっても魅力的なコンテンツが出来上がってきそうでもあります。ふつうだったら恥ずかしくて話しかけられなかったり躊躇してしまいますけど、地域として公式にブレストを推奨していく街になると面白いですね!出会った人にいちいちブレストを仕掛けて行くイベントがあってもいいかも(笑)。」
参加者「やっぱり企業にとって、いかに良い人材に出会うかは共通の課題になっています。地域の課題を解決しながら、人材を育成するきっかけになるのはすごくいいことですよね。」
次回7回目は、11月27日渋谷にて開催予定!7回目も、さまざまな未来意志を持つアクションリーダーのみなさんをお招きしています。ぜひこちらよりお申し込みください。
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