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#経営・組織論

マネジメントはパンク寸前?!フラストレーションから始まった改革~ETIC.のあるチームが組織開発プログラムを受けてみた~

2019.04.25 

ETIC.の一部門であるソーシャルイノベーション事業部では、2017年末から6ヶ月間、リーダーシップ開発・組織開発に集中して取り組みました。

組織開発・リーダーシップ開発のためのコーチングサービスを提供する(株)ウエイクアップNPO法人ETIC.が共同開発したこのプログラムは、リーダーに対するパーソナルコーチングと、組織・チーム全体の関係性の向上を促し、自律自走するチーム作りを支援するシステム・コーチング®からなります。

何が起きていて、何が起きたのか。同プログラムに参加したメンバー(佐々木健介事業部長、番野智行マネージャー、加勢雅善マネジャー、石塚真保サブマネジャー、山崎光彦サブマネジャー)にインタビューしました。

「マネジャー」と「スタッフ」という役割や構造に疲れ

─このプログラムに取り組もうと思われたきっかけは?

番野:ソーシャルイノベーション事業部には十数人メンバーがいますが、この5年ほど、佐々木、加勢、私の3人がマネジャーとして、スタッフのマネジメントをしたり、案件の管理をしたり、いわゆる中間管理職の役割をしてきました。

これまではこの体制でうまくいっていたのですが、私たちマネジャーが経験を積んで成長し、働いているスタッフも育ってきた中で、組織の状況が変わってきました。例えば、何かを決める時にスタッフが私たちの意見を聞いてくれるのですが、「もう自分たちで決めて良いよ」と感じることがあったり、私たちが忙しくてタイムリーに話ができず、意思決定のスピードが遅くなることで、お互いのフラストレーションがたまるようになりました。

私自身も、マネジメントに追われてパンク寸前で、「マネジャー」という役割や「上司部下」という構造に疲れ、「もっとやれることがある中で、現在の組織のあり方はすでに限界を迎えつつあるのでは…」と感じていました。

そんな時、(株)ウエイクアップとETIC.の協働で、成長拡大期の非営利組織向けにリーダーシップ・組織開発プログラムを提供するという話になりました。想定はしていなかったのですが、「これはまず自分たちに必要だ」と感じ、チームメンバーに話しました。私は元々パーソナルコーチングやシステム・コーチング®は学んでいて、私たちが提供するプログラムの中にもその要素を入れていたため、その効果やインパクトは期待できると感じていました。

佐々木さんと番野さん

佐々木(左)と、番野(右)

─話を聞いて、どう思いましたか?

佐々木:これはよいチャンスになるかもしれないと感じました。というのも、番野が感じている組織の状況に対して、他に効果的な方策が見いだせているわけではなかったからです。NPOで働く人のマネジメントは難しい面があります。「こういう世の中を作りたい」という理想を持って参画する人が多く、それぞれが主体的にやりたいという思いが強いので、良くも悪くもトップダウンがききません。イケイケドンドン企業のように上から目標を伝えて、やらせるというのも違います。とはいえ、方向性に対する合意形成や意思決定がないと、組織としては成り立ちません。そういう点を悩ましく感じている人たちは多いと思います。

私自身について言えば、もっとリーダーシップを取りたいと思っていましたが、働き方や仕事の成果という面で必ずしも良い形でリーダーシップを発揮できているとは思っていませんでした。そこから、「どうしたら自分がうまく機能するのか?」という問題意識を持っていて、何とかしたいと考えていました。

山崎:私は人前で内面を話すのが苦手なので、最初は消極的でした。加えてプログラムに参加するメンバーは、私以外この組織で10年以上働いているので、「私が入ることにどういう意味があるのか?」という思いもありました。「今までの延長線上にない新しいステップのために必要だと番野さんが言うならやってみようかな」というのが正直な考えでした。

その一方で、このメンバーがチームであることの意味は何だろうという疑問と、事業部として進みたい方向性や大きな戦略が定まっていないという問題意識は以前から持っていました。このプログラムを通じて、もう少しお互いを理解することによって、進みたい方向性を見つけ、一人ではできない大きい仕事――将来必要とされているけれども、まだ誰もやっていないような社会にとって意味ある仕事――を一緒にやれるのではないかという期待はありました。

リーダーの意識が変わることで個人と組織に変化

─プログラムでは、どのようなことをしたのですか?

佐々木:まずは、私がLCP(リーダーシップ・サークル・プロファイル™)という360度アセスメントツールで個人のリーダーシップ発現度を測定しました。これは「クリエイティブ」と呼ばれる、リーダーシップの発揮につながるコンピテンシーと、「リアクティブ」と呼ばれる、リーダーシップの制限につながる内面的なスタンスを、自己評価と周囲のフィードバックから知るというものです。その結果をパーソナルコーチングで振り返る中で、自分自身の囚われや繰り返している反応パターンに気づきました。例えば、誰からも言われていないのに、「事業部長はこうあるべき」と思い込んでいたことがわかりました。

その後、半年間、マネジャーとサブマネジャーの5人でシステム・コーチング®を受けました。自分たちの強みや課題、方向性等について対話を行いましたが、改めてLCPで気づいたことをシステム・コーチングの中で話すことで、無意識に自分が肩に力を入れて仕事をし、それが周囲にどんなインパクトを与えているかに自覚的になりました。

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システム・コーチング®の様子。左から山崎、石塚、佐々木

─他の方は、どのように感じていたのですか?

加勢:言葉を選ばずに言えば、佐々木は、悩まなくても良いことを悶々と悩んでいました(笑)。例えば、売上を上げなければいけないという時に、一人で上げなければいけないというプレッシャーに押しつぶされそうになっていて。「みんなで上げたらいい」と話しても理解してもらえませんでした。そうした囚われは必要ないのだと受け入れてもらえたことが大きな変化です。佐々木と話すときに以前は面倒な感覚を持ってしまう時があったのですが、 今は“自分が生かされている”という感覚になりました。

番野:自分が事業計画をまとめ、全部の責任を取らないといけないといった「気負い」が少なくなったと思います。肩の力が抜け、自分の強みを活かして外に向けて動いていく方へ時間とエネルギーを使うように、佐々木は変わりました。

加瀬さん

マネジャーの加勢

─チームや組織には、どのような変化が見られましたか?

石塚:システム・コーチング®を通じて、メンバーが何を考えているかを知りました。そこから、以前よりも言いたいことが言いやすくなったと感じています。一番言いやすくなったのは直接の上司である番野さんに対してです(笑)。無駄におもんぱかることが減り、心持ちが楽になりました。

佐々木:メンバーからは、「こういうものをやった方が良いですか?」と推し測るのではなく、「こんな話があったので、やろうと思います」という言葉が出てくるようになりました。メンバー間での遠慮がなくなったように感じています。

山崎:組織の変化はこれからだと思いますが、チームの強みや、5年、10年後の未来像について話せたことで、新しい組織になっていくための「土台作り」ができました。

加勢:組織を作っていく上で、このプログラムのような体験が必要だということは、元々私自身わかっていました。その上で、事業部のメンバーがクライアントである起業家の皆さんに対して、こうしたプログラムを提供する“意味を理解した”というのは大きな進化だと思います。また、ETIC.全体も組織として変革の時期を迎えていますが、広げていく準備ができたと思います。

番野:私たちは経営陣や外部のステークホルダーのニーズや期待を踏まえて進めていくことに長けていたのですが、実際は先回りして過剰に受け取りすぎていました。目に見えない“ゴースト”(システム・コーチング用語で、その時点で存在していないにも関わらず、影響を与えている出来事や人、その人等からの期待やプレッシャー等を指す)にすごく縛られていたんです。まさに中間管理職です。そこに気づいてから、自分たちのやりたいことを改めて考えるようになり、新しい取り組みも生まれようとしています。また、任せるところは任せ、自分たちのリーダーシップを他のスタッフに見せていくことが大事だと再認識できたことが成果の一つだと思います。

◆今回担当したコーチからのコメント

原口裕美(パーソナルコーチ)

「日頃は、営利企業に対する組織開発、リーダーシップ開発をメインに行なっています。今回は、組織を牽引するリーダーやリーダーチームは私とも年齢が近く、彼らが創り出そうとする世界や社会の姿には私も引き込まれました。私が直接ではなくても、コーチという役割を通して、そうした世界を創り出すことに関われているという感覚は大きな喜びでした。」

大坪タカ(システムコーチ)

「日頃は、企業研修やコーチングなど企業の人材育成や組織開発に携わっています。 また、国際コーチ連盟日本支部の理事として業界の成長発展にも携わっています。私自身、非営利団体の立ち上げや運営に携わり、営利企業以上に運営の難しさを痛感しています。今回の経験を通じて非営利団体には、エクゼクティブコーチングとシステムコーチングの両面から関わっていることが大きな変化を生み出すと感じました。改めて、非営利団体にこそ、コーチングは必要だという想いを強くしました。」

川添香(システムコーチ)

「中小企業を中心に企業研修、コーチング、システムコーチングを使って組織開発に、また「保育園の笑顔」という任意団体を起こし、保育園にフォーカスを当てた組織開発も行っています。今回のチームは、論理性が強いチームで、納得すると自分たちでどんどん進むため、その点ではやりやすさを感じました。個人的な思いとして一人ひとりが熱のあるチームへのシステムコーチングはやりがいを感じます。届けたいところに届く、そんな感じがしました。」

―NPO法人ETIC.は、今回効果を実感したリーダーシップ・組織開発プログラムを、株式会社ウエイクアップと協働し、非営利組織向けのプログラムとして引き続き提供します。詳細はこちらからご覧いただけます。

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DRIVE

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