未来を担う若者が、組織の垣根を超えて仕掛けていく──
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今回の記事では、Z世代(*)と呼ばれる世代が、「企業に所属しながらも、組織の枠を飛び越え、社会にインパクトを生み出そうとしている様子」をお届けします。
(*)諸説ありますが、1990年代後半以降〜2010年代中盤に生まれた世代のこと
新しい時代を切り拓いていくZ世代は、どのようなことを考えているのでしょうか?
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また、すでに先駆者として時代を切り拓き、今もなお最前線で活躍されている経営者の方々の、「この先の企業や組織のあり方についての考え」もお届けします。
コロナ禍に伴う時代の変革期、企業や組織はどのように進化していくとよいのでしょうか?
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さて前回、前編と題して、Beyondミーティング特別版の第一部開催レポートをお届けしました。その後編として第二部の模様をお伝えします。
企業に所属しながらユニークなビジョンを持つZ世代社員4名が、1人90秒で想いを発表したり、特別ゲスト4名が組織の今後について語ったりと、盛り沢山な内容でした。
<特別ゲスト>
- 山田 邦雄さん(ロート製薬株式会社 代表取締役会長)
- 田口 義隆さん(セイノーホールディングス株式会社 代表取締役社長/一般財団法人ソーシャル・ビジネス・プラットフォーム 代表理事)
- 松本 大さん(マネックスグループ株式会社代表執行役社長CEO / マネックス証券株式会社取締役会長)
- 矢崎 和彦さん(株式会社フェリシモ 代表取締役社長)
Beyondミーティング特別版についての紹介
■タイトル:
Beyondミーティング特別版 feat. Vision Hackers
■概要:
東京オリンピック・パラリンピック開催年となるはずだった今年。世界中で猛威をふるう新型コロナウィルスの影響を受け、私たちがそれぞれ目指し思い描いていた「明るい未来」は遠ざかってしまったようにも思えます。ウイルスに"Hackされた"とも例えられる世界を前に、私たちは今、ただただやり過ごすしかないのでしょうか。
そうではなく、「自らのビジョンで、現在や未来の風景を書き換えようとする"Vision Hacker"」として、私たちひとりひとりの挑戦が、今まさに求められているのではないかと考えます。
すでに歩みを進める若き"Vision Hacker"をアジェンダオーナーとして迎え、先駆者として時代を切り拓き、今もなお最前線で活躍中されている経営者の方々をお招きし、様々なバックグラウンドをもつ参加者のみなさんと共に、めいっぱい創造的なBeyondミーティングにできればと思っています。
※本企画は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団と認定NPO法人ETIC.が推進する「Hack The World」との連携により実現しています。
■日時:
2020年8月31日(月)18:00-20:50
■プログラム:
17:50~18:00 開場
18:00~18:30 オリエンテーション
~第一部~
18:30~18:50 アジェンダオーナー(Vision Hacker)連続ピッチ
18:50~18:55 グループ分け(休憩)
18:55~19:00 ブレスト作戦会議の楽しみ方
19:00~19:30 ブレスト作戦会議
19:30~19:35 応援アクション入力
~第二部~
19:35~20:30 クロストークセッション&Z世代社員ショートピッチ
20:30~20:50 クロージング
■当日の参加者数:
約200名
■企画運営:
and Beyondカンパニー事務局
ロート製薬、ヤマハ発動機、セイノーホールディングス、 マネックスグループ、アビームコンサルティング、江崎グリコ、竹中工務店、PwCコンサルティング、住友生命、フェリシモ、YUIDEA、東京感動線(東日本旅客鉄道)、NPO法人ETIC.
組織の垣根を超えて、仕掛けていく!
Beyondミーティング(以下、BM)特別版・第一部では、「自らのビジョンで、現在や未来の世界の風景を書き換えようとする人」と定義されたVision Hackerたちが、アジェンダオーナーとして登壇し、活動やビジョンについてプレゼンしました。《詳細は前編にて》
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第二部では、企業に所属しながらも、自らのビジョンを掲げ、組織の枠を超えて果敢にチャレンジするZ世代社員4名が登壇。
社内ベンチャーとして事業を立ち上げようと奮闘する社員や、組織に所属しつつ自分でNPOを立ち上げて事業を行なう社員、所属企業とは別の活動を自分で実施しようとする社員など、アプローチは様々。
◆
1人90秒と短い持ち時間でしたが、それにも関わらず4名全員、力強くビジョンを語る姿が印象的でした。
- 長岡 里奈さん(ロート製薬株式会社)
「環境問題・失明問題に挑戦。目薬の廃プラから生まれ変わった眼鏡。」
- 山澤 宗市さん(アビームコンサルティング株式会社)
「今世紀最大のシリアの人道危機にコンサル会社から向き合う」
- 周 佳雪さん(江崎グリコ株式会社)
「好きな食べ物だけ食べて健康になる『OISHIIヘルシー』」
- 中島 朋子さん(株式会社竹中工務店)
「地域と人とがアウトリーチし合う街づくり」
環境問題・失明問題に挑戦。目薬の廃プラから生まれ変わった眼鏡。(長岡里奈さん)【全文公開1】
さて、Z世代社員のプレゼンの中から2名(*)の発表について、「全文公開する形」でみなさんにお届けします。「当日イベントに参加していたかのような臨場感」でお楽しみください。
(*)イベント事後インタビューにもお時間いただいた2名です。本記事の最後に掲載。ぜひお楽しみに!
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『ロート製薬で目薬の商品企画をしています、長岡里奈と申します。私は、生まれた場所にかかわらず、すべての人が健康である世界をつくりたいと本気で思っています。
学生時代、4度インドを訪問していたんですけれども、その中でこの子どもたちに出会って、その想いが本当に強くなりました』
『現在日本でも取り沙汰されているプラスチック問題があると思います。実はロート製薬の目薬の生産過程で出てしまう目薬容器の廃プラスチックもあります。これをリサイクルして、みなさんの目を守るサングラスに生まれ変わらせたいと思っています。
これによって、目薬容器の循環型消費を生み出して、さらに利益の一部を、途上国で生きる失明リスクの高い方へ還元しサポートしたいという風に考えています』
『現在社内クラウドファンディングで資金を集めて、廃プラをリサイクルした試作品でサンプルの作成をしたり、企画を満たす強度の確認を取ったりしました。
次は、サングラスフレームのプロトタイプの作成だったり、途上国へのアプローチ方法の模索をしています。
ぜひこのプロジェクトに興味がある方や、このプロジェクトをより進化させるために以下のような方、ご連絡いただければと思います。聞いてくださってありがとうございました』
地域と人とがアウトリーチし合う街づくり(中島朋子さん)【全文公開2】
『竹中工務店の中島朋子と申します。ガールスカウト活動として地域貢献活動を18年間してきました。留学を経て今、社会人として経験を積んでいます。
小さなグループだからこそ人に寄り添った活動ができて、企業活動だからこそ大きなインパクトを社会に与えることができるという両側面を経験してきました』
『その経験から、意外にも個人とか団体が、地域と繋がり続けるということは難しく、地域や個人というのは、「企業のように地域を大きく変えるような力は無いな」という実感をしてきました。
さらに皆様も今感じているかもしれませんが、コロナによってさらに個人というものが分断されて、孤独を感じていたり、「地域のつながりが思いのほか希薄であるな」ということに気づいたのではないでしょうか。
もし災害が今起きてしまったら、“私たちは誰と助け合っていくのか”ということに強い危機感を私は持っています』
『しかし、地域には様々な才能を持った人たちがたくさん暮らしています。日頃、個人で地域の溢れる才能に触れることは難しいと思いますが、先ほどの災害の例をとっても、そのような人たちと知り合えたら心強いと思いませんか』
『今は知らない誰かが、なにかの為に活動をしているかもしれません』
『しかし、なにか接点を設けて知り合うことができたら、その才能の掛け合わせでシナジーが生まれ、新たな解決方法が見つかり、個人のつながりが生まれて、「地域にとっても個人や団体にとってもWin-Winな関係になるのでは」と思っています。
そのような接点の部分に私はなりたいと思っています。この世の中だからこそ、地域と人がアウトリーチ──手を取り合うようなことができる街づくりをとてもしたいと思っています。
もしこのようなことに興味がある方がいらっしゃいましたら、是非一緒に街をつくる共犯者になってもらえたらなと思います』
コロナ禍に伴う時代の変革期に、仕掛けていくために【特別ゲストのトーク】
Z世代社員2名のプレゼン、いかがでしたでしょうか?
未来を担う次世代の社員が、「どんな意志を持っているのか」「社会に対して何を仕掛けていきたいのか」、その一端をご覧いただけたかと思います。
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さて続いて、特別ゲスト4名のお話について、紹介します。
すでに先駆者として時代を切り拓き、今もなお最前線で活躍している経営者の方々は、コロナ禍において、企業や組織、個人の今後のあり方をどのように捉えているのでしょうか。
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うち自身は、社員が持ってるポテンシャルをできるだけ発揮してもらおうと。個人の想いを企業が支援できる接点をもっと持てれば、可能性が広がると思います。実際に複業に成功した人が出てきた際に、もう少し意識して社内からベンチャー的なものを出そうという試みの中で、長岡さんのプロジェクトも水面上に出てきました。
もちろん会社の経営陣で「やる・やらない」を決めてもいいのですが、そうではなくまず社員の賛同を得ないプロジェクトは成り立たないということで、あえて社内クラウドファンディングをやりました。
社員が日頃歩いたり運動したりすることで貯められる社内通貨「ARUCO」というものがありまして、社員自らが応援するプロジェクトを選択し、その社内通貨でファンディングする仕組みです。それなりの事業資金が集まったら、「よし、このプロジェクトはこの資金でやろう」みたいなことをやっています。手探りですけれど、面白そうな予感がしています。
山田 邦雄 氏(ロート製薬株式会社 代表取締役会長)
今、プラットフォーム(*)が色々なところで存在し始めています。それぞれがそれぞれの良さを出して広がっていけばいいかなと思っています。最終的には最大公約数が出てくると思います。頑張りましょう。
(*)ここでは、「社を飛び越えて人が行き来し、仕掛けていけるようなプラットフォーム」のようなものを指しています。and Beyondカンパニー事務局でもそのようなプラットフォームを生み出そうと準備を進めています。
既存で類似のものがたくさんありますので、若い人たちが乗っかって使った方が早くて、展開が拡大できると思います。
田口 義隆 氏(セイノーホールディングス株式会社 代表取締役社長/一般財団法人ソーシャル・ビジネス・プラットフォーム 代表理事)
(コロナ禍で)ずっと気になっているのは、若い人はこれから交友を広げようという時期に、交友が止まっちゃったということがあるので、そんな中で、今日のこういう会(=BM特別版)も含めて、「どうやって交流──刺激を与える場所を、頑張って増やしていくのか」が大きなテーマだと思います。
それをやっていくかやっていかないかで、時間が経ったときに、ボディブローのようにすごい差が出てくると思います。
松本 大 氏(マネックスグループ株式会社代表執行役社長CEO / マネックス証券株式会社取締役会長)
やはり世の中って経済だけで動いてなくて、うちでは“パッションドリブン”と言うんですが、「すべての原動力は情熱」、情熱駆動じゃないとつまらないと思っています。
すべての企業が本業・基幹事業を持っています。その本業・基幹事業の上に“本当にやりたいこと”を重ね合わせると、実現可能性が格段に高まって、無駄なリソースも使わなくてよくって、やっていけることって結構あると思います。そういう風に考えるといいんじゃないかと、特に若い方たちにはアドバイスしたいと思います。
矢崎 和彦 氏(株式会社フェリシモ 代表取締役社長)
Z世代社員への事後インタビュー【開催レポート番外編】
ここからはイベント事後のインタビューをお届けします。
先ほど全文公開で紹介した、長岡里奈さん(ロート製薬株式会社・入社2年目)と、中島朋子さん(株式会社竹中工務店・入社2年目)にお話伺いました。
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──お二人とも登壇おつかれさまでした。BMでプレゼンしてみていかがでしたか?
長岡 今の活動について社外の方々に話すのは、今回が初めての機会でしたので、またとないチャンスでした。当日プレゼン後に「いい活動だと思います」「頑張ってください」と気持ちの面で支えてくださるようなコメントをいただけたり、後日にコンタクトを取ってくださり、活動に必要な支援をしてくださる方もいらっしゃったので、登壇してよかったと思います。
中島 みんなの前で話せることが嬉しくて、当日まですごくワクワクしていました。また当日は90秒で話しきることにプレッシャーを感じていたので、プレゼン開始時、ミュートを解除する瞬間に手が震えるぐらい緊張したのですが、話始めると、やりたいことってスラスラ話せるんだなと気づけてよかったです。
──普段、大切にしていることはなんですか?
長岡 自分が今生きているのは、「たまたま日本に生まれて、たまたま私のお母さんとお父さんのもとに生まれたから、今の私があるだけ」で、もしかしたら地球の裏側で生まれていたかもしれません。「今の自分があるのは、自分が努力したからだ」とは言えないと思っています。
ですので、すごく傲慢かもしれませんが、プレゼンの時にも言っていたような途上国の経済的に乏しい人たちのために、なにかする義務があると考えています。
「その人たちはその人たちで、そういう生活だからしょうがない」と思うのではなく、もしかしたら私はそこに生まれていたかもしれなくて、そこに生まれていたら、私は今まで通りのことをしてきたとしても、今の状態にはなっていないと思います。だから、生まれた環境が違う彼らのため社内ベンチャーを始めました。入社した理由も同様です。
中島 「今の自分が、過去の自分をよくやったねって抱きしめられる生き方をしよう」というのをポリシーとしてずっと持っています。
大学3年生の時に大きな挫折をしました。それが過去の積み重ねで起きたミスだとしたら、この後は、自分の行動で次の未来の自分が喜ぶように動いた方がいいと思うようになりました。また、信念持ってやってきたからこそ、その挫折した時に「私は頑張ってきてたんだな」と気づくこともできました。
そのポリシーを大切にしながら、明日の自分がちょっと心地よくなる動き方──たとえば業務だと今メールを返しておいたら明日ちょっと嬉しいだろうなと──を心がけています。
──最後に、お二人の今後のビジョンもお聞かせください。
長岡 まずは、プレゼンで発表したことを実現させないといけないと思っています。それは「自分がやりたいから」という想いとともに、今回のBMを通じて応援してくださる方や、社内でも協力してくださる方がいるからです。目標は、今やろうとしている「廃プラのリサイクルのアイウェアの事業」をちゃんと形にして、ちゃんとものをつくって、売って、その収益で途上国支援をすることです。
中島 「雑誌の1ページに載ること」が夢です。そこで私を知ってくれた人が、「この人、街つくってるのか、住みたいな」と思ってもらえて、私自身もずっと輝いていたいです。またプレゼンで話したように、私は「地域で、個人のつながりが生まれるための接点」になろうと思っています。まず直近の目標として、人を巻き込みながら小さな組織を立ち上げたいです。
【長岡さん、中島さんに協力したい方へ】
記事タイトル「未来を担う若者が、組織の垣根を超えて仕掛けていく時代へ」の通り、今回お話くださったお二人は、社を超えた動き方をしながら、それぞれのビジョンを達成しようと考えています。
もし読者のみなさんの中で、「お二人にコンタクトを取ってみたい!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡いただければと思います。
- 長岡さんにコンタクトを取りたい方
https://forms.gle/JBcd6CWgK1qTVsuH8
- 中島さんにコンタクトを取りたい方
https://www.instagram.com/moco_machi_creator/
今後も、and Beyondカンパニーの動きから目が離せません!
みなさん、いかがでしたか?
イベントレポートということで、文字だけでは伝わらない「その場の熱量」も確かにあるかと思いますが、それでも、Z世代社員の想いや経営者の考えが、少しでもお届けできたのではないでしょうか。
なにか新しい兆しを感じていただければと願っています。
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BMを企画運営しているand Beyondカンパニー事務局は、今後も続々とユニークな取り組みを仕掛けていくようです。Facebookページもぜひチェックしてみてください。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
※本記事の掲載情報は、2020年09月現在のものです。
ロート製薬株式会社 プロダクト・マーケティング部/長岡 里奈さん
大学在学時、インドに渡航し石鹸リサイクルプロジェクトの立ち上げを行う。現在はロート製薬で商品企画を担当しながら、社内ベンチャープロジェクトでプラスチックリサイクルサングラスの作成に奮闘中。
株式会社竹中工務店/中島 朋子さん
東京理科大学経営学部を卒業後、2019年に竹中工務店へ入社。18年間ガールスカウト活動続けている。様々な要因で希薄になる地域のつながりを再構築しアウトリーチし合える、災害に強い街を作りたいという夢をかなえるため試行錯誤中。
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