売り手市場で、人手不足に悩む企業が多い中、NPOやソーシャルベンチャーの採用も難しくなってきています。NPO・ソーシャルベンチャーに特化した求人サイト「DRIVEキャリア」を活用して、採用に成功した企業・団体はどんな工夫をしていたのか――。
今回、株式会社YUIDEA(ユイディア)の採用担当田立さんにお話を伺いました。
株式会社YUIDEA 田立さん
※今回採用された株式会社YUIDEA内藤さんへの取材記事はこちら
>>子育てと仕事、両方大切にしたい。理想のワークスタイルに近づくために、大切なこと【未来をつくる仕事への転職者インタビューYUIDEA・内藤さん】
求人媒体や人材エージェントの使い分け
株式会社YUIDEAは、設立以来継続している生活協同組合とのお取引を起点に、生活者視点を大事にした「食とくらし」のダイレクトマーケティングやステークホルダー視点のESG(サステナビリティ・CSR)情報開示支援を中心としたコーポレートブランディングを事業領域としてきました。設立は1995年で今年で27年目。従業員は200人を超えます。
YUIDEAが運営するWebメディア「サステナビリティ・コミュニケート」は、数多くの企業のCSR・サステナビリティ担当者に読まれています。企業の社会的責任への認知を後押ししたり、その活動を生活者を含むステークホルダーにわかりやすく届けることで、社会全体のサステナブルな動きを推進しようとしています。
YUIDEAが運営するWebメディア「サステナビリティ・コミュニケート」
そんなYUIDEAが、DRIVEキャリアを活用する際に取り入れたのが、「オープンポジション」での募集でした。採用担当の田立さんはこう話します。
「弊社が扱う事業やテーマに興味関心を持っていただける方はいるだろうな、と思ってはいました。一方で、ご自身がどんなポジションで活躍できるか、分からない方もいるのではないか、とも。職種を限定することで、我々自身が、応募してくださる方の可能性を狭めているのではないか、と思いました」
社会貢献性の高い仕事が集まる「DRIVEキャリア」では、オープンポジションで募集し、「WEBデザイナー」「エンジニア」など、スキルマッチ重視の募集は他の求人媒体や人材エージェントを活用しました。求人媒体や人材エージェントを使い分けることで、異なるターゲット層からの応募を狙っています。
その結果、「他のエージェントでは、なかなかご紹介いただけない方と出会えている」と田立さんは語ります。
「我々が扱っているようなサステナビリティやSDGsに関心があったり、実際に自分で動かれていたりする方と面談することができました」
1人の応募者と5人で面談することも
実際に採用したのは、現在サステナブル・ブランディング事業の推進責任者を担っている内藤真未さん。内藤さんの最初の面談は、内藤さん1人に対し、5名のYUIDEAメンバーが対応しました。
「内藤さんの経歴を見て、可能性がありそうな部署のメンバーが入りました。特定の部署からの複数メンバーだけで面談すると、その部署の事業・業務にフォーカスした見方しかできなくなるので」と、田立さん。
職種を限定した求人であれば、「何ができるのか」「何をやってきたのか」が問われます。オープンポジションの場合は、どんなことを質問するのでしょうか。
面接イメージ写真(adobe photostock)
「最初は、自己紹介をしてもらって、私たちの方も自己紹介をします。その後で、何に興味があるんですか?みたいな話から始まる感じが多いですね。書類を見させていただいて、『こういうところでご活躍いただけるかな?』と私たちが感じたことをお伝えしたり、逆に『弊社の事業で、自分が働くイメージが湧く分野はありますか?』と応募者の方に聞いたりしています」
大切にしているのは、「応募者の方の可能性を引き出す」こと。最初は、間口を広げてあらゆるポジションの可能性を探り、徐々に特性に合わせて絞っていくのだそう。
適材適所。その人に合った仕事を探す
「仕事に合わせて人を選ぶ」のではなく、「その人に合った仕事を探す」。理想的ではありますが、その分、時間も労力もかかります。複数の部署メンバーを巻き込んだ採用プロセスでは、全社からの協力が欠かせません。なぜ、YUIDEAではこれが出来るのか。田立さんは言います。
「YUIDEAは顧客の業種も多種多様で、社内の職種も様々なので、これまでも採用選考の過程で、『Aの事業領域よりも、Bの事業領域の方がスキルを活かせるのでは』『ここの編集よりも、営業向きでは』など、事業領域や職種を超えて最適ポジションを打診する場面はたくさんありました。実際にそうした採用時のキャリアチェンジを経て活躍しているメンバーもいます。特定ポジションへの応募でも、せっかく関心をお寄せいただいたご縁ですし、YUIDEAとの親和性が高い方であれば、自分の部署が求人中であっても全社視点で人を見ることができるマネージャーが多いのだと思います。
今は、組織の持続的な成長を考え、メンバーの"多能化”も進めようとしています。担当する業務の枠を超え、一人ひとりがやれることを増やしていく。いろんなことにチャレンジして、どんどん自分の可能性を広げていける方がいいよね、と。そんな考えが社内に定着しつつあります」
その兆しは、新規案件の担当決めに垣間見えます。案件の担当者を新しく決めるとき、まず大切にするのは「やりたいかどうか」と、田立さんは言います。誰からも手が上がらなければ、上長から「ちょっとチャレンジングだけど、こんな学びにつながると思うからやってみない?」と理由と共に打診する場合もあるのだそう。まだやり方は試行錯誤ですが、みんなで考えながら理想を探っている最中とのこと。
「本人の意志を尊重する」「仕事で人の可能性を広げていく」。この普段からの姿勢が、採用時の丁寧なコミュニケーションにつながっている事を感じます。
採用活動を通じて、仲間の輪を広げる
よく、不合格のことを「ご縁がなかった」という言い回しをします。YUIDEAでも、もちろん残念ながら一緒に働けないケースもあります。しかし、一度出来たご縁は、簡単に「なかった」ことにせず、いろんな可能性を考えるのがYUIDEA流です。
「直接雇用でなくても、業務委託で一緒にやれる可能性もあります。仲間として一緒に成長できるのであれば、関わり方の裾野は、雇用に限らず広げたいと思っています」
YUIDEAのメンバーの皆さま。向かって右から2人目が今回採用された内藤さん
その背景にある思想は何か。たずねると「自分たちだけで出来ることは限られている」と、田立さんは語ります。
「自分たちだけでできることって限られているので、どんな仕事でも、どれだけ周りの方を巻き込んでいけるかが大切だと思うんですよね。お客さんの課題や本質をきちんと捉えられることは我々の強みです。そこにいろんな人の視点がかけ合わさることで、我々だけでは気づけなかったことが見えたり、新たな価値が提供できたりします。多様な人とつながっていくことで、もっと世の中の役に立てる、というのが我々のベースにあるんじゃないかな、と思います」
プラス1の行動と発想を
採用された内藤さんは、入社して間もなくサステナブル・ブランディング 事業の推進責任者に抜擢されました。田立さんは、内藤さんのことを「本当にぐいぐい引っ張ってくださっているんですよね」と言います。
「『とりあえずやってみよう!』っていうところが、言葉だけじゃなくて行動で示されている。まわりも刺激を受けることが多くて、社内へのインパクトは大きかったと思います」
どんな人がYUIDEAに向いているのかーー。最後に、田立さんに聞いてみました。
「会社の仕組み、制度、事業内容含めて、今、変革の真っ最中です。何もかも基盤が整っています、ということでは決してありません。会社の行動指針に『“+1”(プラス1)の価値を創出すること』というのがあるんですが、“自分初”を恐れずに“自分発”で行動する、今日よりも明日、プラス1の価値を生み出してほしい。そんな会社を一緒につくっていただける方に来てほしいなと思います」
内藤さんは、YUIDEAの印象を「誠実で、仕事に誇りを持っていて、こんな風に私も仕事がしてみたいと思いました」と話していました。YUIDEAの誠実さがにじみでてくる、今回のインタビュー取材。普段の仕事の姿勢が、採用時にもにじみ出るのだな、と背筋が伸びる思いがしました。
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今回採用された内藤さんに関する記事はこちら
>> 子育てと仕事、両方大切にしたい。理想のワークスタイルに近づくために、大切なこと【未来をつくる仕事への転職者インタビューYUIDEA・内藤さん】
>> サステナブル・ブランディングの事業化で組織はどう変わる?―YUIDEAが事業から始めるイノベーション
株式会社YUIDEAは、ただいま人材募集中です。
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